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春が来た

いまだ「調査中」・・・航大帯広分校・小型機墜落事故

2013年06月14日 | 航空機
平成23年7月28日9時11分、帯広空港を離陸した航空大学校所属ビーチクラフト社製・「ボナンザA36型」・JA4215が、計器飛行の訓練中、剣山(3600フィート)山腹に激突、3人が死亡一人が重傷を負った事故からまもなく2年になる。 幾つかの疑問が残る極めて不可解な事故だったが、幸い前席左側(機長席)にいた訓練生が重傷ながらも生き残ったことから、事故原因の究明は早いのではないかと思いきや、何故かいまだに調査中なのである。

帯広空港からきわめて近い訓練区域で、その地形を熟知してる筈の教官がなぜ山(剣山)より低い高度で、危険の伴う計器飛行訓練をしたのか?・・・これが第一の疑問。 そして帯広空港出張所に提出されたフライトプランによると、VFR(有視界飛行)により高度2000フィート~6000フィートで飛行するとなっているが、札幌管区気象台帯広空港出張所の予測では墜落位置付近の山岳地帯には、雲底3100フィートの積雲系の雲が散在し、低高度をVFRで山岳地帯に接近するのはかなり危険な行為。

計器飛行の訓練で生徒は特殊なフードをかぶって完全に視界を遮り、計器のみで高度・速度・針路・上昇・降下・旋回などを行うが、このとき右席の教官は訓練生に代わって周囲の状況に眼を配り、安全を確保するのが絶対条件。 しかし生き残った生徒の証言は生々しい。 『雲の中を出入りするような感じで訓練をしていたが、「あつ!」という教官の声でフードを上げると、目の前に山が迫り、回避するまもなく樹木に激突、その直後コクピットは火の海、火傷を負いながら機外に転がり出た』

空港レーダーによれば、事故機は離陸して約20分後、高度2250フィートでレーダーから機影が消えている。 見張り役の教官は一体何をしていたのだろう・・・? これが第二の疑問。 その後航空局から提供された情報によると教官はアレルギー性鼻炎の治療薬(オノンカプセル112・5mg)を1日4カプセル、朝晩の2回に分けて服用している。 教官は航空身体検査の際その旨を申請書に記載し、医師から「適合」として証明書が発行されているが、副作用項目に「眠気」も入っていることは事実。

ところで後席左側に乗っていたもう一人の教官は、プロとしてたぶん身の危険を感じたはずなのだが、なぜモノ申して行動しなかったのだろう? もし航大にそうした校風があったとしたら、この際徹底してメスを入れるべきではなかろうか。 事故のあと書いたブログに、亡くなった訓練生のお身内から、興味のあるコメントが入ったが、直ぐに消去して欲しいと懇願され、そのようにした。 とにかく繰り返して起こる事故の再発を断ち切るためためにも、早期の原因究明と公表を願ってやまない。