カキぴー

春が来た

高貴な酢、バルサミコ酢

2010年05月23日 | 食・レシピ

女優の 川島なお美は大変なワイン通で、ソムリエの資格も有するほど。 そんな彼女がこんな文章を書いている。 「シャトー・オーゾンヌの1928年・マグナムを、ワインラヴァーのメンバーとご一緒に開ける機会に恵まれた時のこと。 残念ながらボトルの肩より、うんと目減りしている状態から、「酸化」は99パーセント予想できた。

でもその緋色がまだ輝きを保ち健全そうなので、わずか1パーセントの望みに皆ですがりついた。 恐る恐る香りを確かめてみると・・・・飲んでみるまでもない、やっぱり完全なる酸化状態。 とはいえ素晴らしい熟成を経た極上の バルサミコ酢のようでもあった。 私は皆にヒンシュクをかうだろうことも忘れて、『これサラダのドレッシングにしましょうよ』と叫んでいた。

真っ先に賛成してくれたお店のソムリエ氏が、そのマグナムボトルを厨房へ持っていき、数十分後私たちの目の前に運ばれてきたものは、ガーネット色のドレッシングをまとったグリーンサラダ。 ほのかに甘く、酢もエレガントでコクがある。 それは世界一贅沢なドレッシングだった。 萎れてた72歳のオーゾンヌは、ヴァージンオイルに助けられ、鮮やかな大輪の薔薇となって甦ったのだ」。

なかなか優れた文章だと感心が、ここに登場したバルサミコ酢は古い歴史を持ち、19世紀頃バルサミコ酢の製造は、一つのステイタスとなり、富裕層はこぞって工房を作った。 またバルサミコ酢は、結婚持参金の一部になったといわれる。 時代とともに商業的価値が高まり、偽者も横行するようになり、イタリア政府は地域を指定し、基準を満たすものにのみ特定原産地の名称を付して、販売することを許す制度(DOP)を法制化した。

DOPの指定を受けられるのは、イタリアエミリア・ロマーナ州のデモナと レッジョ・エミリアの2地区で基準を満たして造られ、最低12年の成熟を経たものだけ。 ちなみに日本での価格は100mlの小瓶で2万~3万円、まさに調味料のキャビア。 しかし擬似商品は本物と比べ格段に安いが、通常の食酢と比べれば高価で、粗悪品というわけではない。


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