「彼」が訪ねてきたのは暮れも押し詰まった日の午前。 久々の再会だったが顔からは生気が失われ、前かがみで歩く姿は僕よリひと回り下とは思えないほど老けてみえた。 話を聞くと、総合病院で診察を受けたのは、倦怠感や腹部のしこりで胃が圧迫され食欲が落ちてきた昨年11月初めで、診察・検査の結果「原発性肝細胞がん」の末期と診断され、なんと余命3ヶ月。 肝臓内には12cm×5cmの大きなものを含め4個以上の腫瘍が認められた。 沈黙の臓器と言われ自覚症状のない肝臓の癌は怖い。 すっかり諦めの境地に入っていた彼だが長男ガ嫁を貰うまでは生きたいと、がん体験のある僕を頼ってきた彼を前にして、僕に何ができるだろと考えながら、助けたいという想いが次第に強くなってきた。
肝臓がんの病期分類は、「腫瘍が一つ」 「大きさが2cm以下」 「血管への浸潤がない」 この3つの条件をクリアーし、さらに「リンパ節転移・遠隔転移が無い」 が加わって「ステージ1」。 3つのうち2つの条件を満たし、転移の無い場合「ステージ2」。 3つのうち1つの条件を満たし、転移の無い場合「ステージ3」。 3つの条件全てが合致せず転移の無い場合が「ステージ4」となる。 転移がある場合は3つの条件に関係なく「ステ-ジ4」。 ステージ1~2の治療法は摘出手術・経カテーテル肝動脈塞栓法・エタノール注入療法など。 ステージ3になると原則手術は対象外で塞栓法・エタノール療法・化学療法・放射線療法・肝移植などが行われる。 ステージ4になると対症療法・緩和療法のみとなる。
さて病期分類を彼に当てはめてみると該当するのは「ステージ4」。 つまり一般的には対症療法か緩和療法になるが、彼の体の状態が治療に耐えられると判断した担当医は、12月に入って入院させ、放射線科で「冠動脈塞栓術」の治療を行っている。 肝癌は進行すると癌への栄養補給をするため血流が豊富になる。 そこで足の付け根の大腿動脈からカテーテルを挿入し、肝臓内の癌に通ずる細い動脈まで進んで、癌の位置を確認したら抗がん剤を注入し、さらに塞栓剤で血流を遮断しがん細胞を壊死させるのが「塞栓術」。 つまり化学兵器と兵糧攻めで癌を死滅させる戦術で、副作用として彼の場合痛みや発熱、吐き気などに加えて肝臓がかなり肥大するようだ。
1回目の治療を終え、心身ともに弱っている彼に対し僕が思いついたのは、全国区で末期がん患者の相談に応じているT医師に引き合わせること。 連絡を取ると年末の飛込み依頼にもかかわらず、その日の午後予約をとってくれた。 T氏は僕が参加している前立腺がん患者の会で度々ゲストスピーカーでお招きし、再発や転移で苦しむ患者に新しい情報や元気をいただいている人。 医学部卒業後東京の総合病院医長を経て米国の大学院博士課程を修了し開業しているが、末期癌患者の最後の拠りどころとして心身のケアに尽力している。 その日彼が受けた助言は「ゲルソン療法食」(動物性蛋白質・塩・砂糖・油脂、抜き)や、「抗がん物質を多く含む食材」、「作用の違う数種類のサブリメントの組み合わせ」、など。
これらに加えて「超濃度ビタミンC点的療法」や「免疫細胞療法」などのプログラムも説明を受けたが、彼の場合は経済的な理由で無理、しかしT医師は末期がんを克服した幾つかの事例を示し、決して諦めてはいけないと励ましてくれた。 60分のカウンセリングは彼に生きる希望を与えたようで、かなり元気を取り戻していた。 最後に僕が「彼に試してみたいと」T医師に見せたのは、昭和27年以前に採掘された秋田・玉川温泉のラジウム鉱石。 実は僕も補助医療として使用中だったが、頼ってきた彼を助けたかったので、優先順位を彼に与えようと思ったからだ。 医師は線量を計測した後、「私も多くの石を見ていますが、これだけ高い数値のものは初めてです。 これによって抗がん剤治療による副作用の減少が期待できるでしょう」と、使用を薦めてくれた。
肝臓がんの病期分類は、「腫瘍が一つ」 「大きさが2cm以下」 「血管への浸潤がない」 この3つの条件をクリアーし、さらに「リンパ節転移・遠隔転移が無い」 が加わって「ステージ1」。 3つのうち2つの条件を満たし、転移の無い場合「ステージ2」。 3つのうち1つの条件を満たし、転移の無い場合「ステージ3」。 3つの条件全てが合致せず転移の無い場合が「ステージ4」となる。 転移がある場合は3つの条件に関係なく「ステ-ジ4」。 ステージ1~2の治療法は摘出手術・経カテーテル肝動脈塞栓法・エタノール注入療法など。 ステージ3になると原則手術は対象外で塞栓法・エタノール療法・化学療法・放射線療法・肝移植などが行われる。 ステージ4になると対症療法・緩和療法のみとなる。
さて病期分類を彼に当てはめてみると該当するのは「ステージ4」。 つまり一般的には対症療法か緩和療法になるが、彼の体の状態が治療に耐えられると判断した担当医は、12月に入って入院させ、放射線科で「冠動脈塞栓術」の治療を行っている。 肝癌は進行すると癌への栄養補給をするため血流が豊富になる。 そこで足の付け根の大腿動脈からカテーテルを挿入し、肝臓内の癌に通ずる細い動脈まで進んで、癌の位置を確認したら抗がん剤を注入し、さらに塞栓剤で血流を遮断しがん細胞を壊死させるのが「塞栓術」。 つまり化学兵器と兵糧攻めで癌を死滅させる戦術で、副作用として彼の場合痛みや発熱、吐き気などに加えて肝臓がかなり肥大するようだ。
1回目の治療を終え、心身ともに弱っている彼に対し僕が思いついたのは、全国区で末期がん患者の相談に応じているT医師に引き合わせること。 連絡を取ると年末の飛込み依頼にもかかわらず、その日の午後予約をとってくれた。 T氏は僕が参加している前立腺がん患者の会で度々ゲストスピーカーでお招きし、再発や転移で苦しむ患者に新しい情報や元気をいただいている人。 医学部卒業後東京の総合病院医長を経て米国の大学院博士課程を修了し開業しているが、末期癌患者の最後の拠りどころとして心身のケアに尽力している。 その日彼が受けた助言は「ゲルソン療法食」(動物性蛋白質・塩・砂糖・油脂、抜き)や、「抗がん物質を多く含む食材」、「作用の違う数種類のサブリメントの組み合わせ」、など。
これらに加えて「超濃度ビタミンC点的療法」や「免疫細胞療法」などのプログラムも説明を受けたが、彼の場合は経済的な理由で無理、しかしT医師は末期がんを克服した幾つかの事例を示し、決して諦めてはいけないと励ましてくれた。 60分のカウンセリングは彼に生きる希望を与えたようで、かなり元気を取り戻していた。 最後に僕が「彼に試してみたいと」T医師に見せたのは、昭和27年以前に採掘された秋田・玉川温泉のラジウム鉱石。 実は僕も補助医療として使用中だったが、頼ってきた彼を助けたかったので、優先順位を彼に与えようと思ったからだ。 医師は線量を計測した後、「私も多くの石を見ていますが、これだけ高い数値のものは初めてです。 これによって抗がん剤治療による副作用の減少が期待できるでしょう」と、使用を薦めてくれた。