カキぴー

春が来た

国の衰退と、個人の自立

2010年02月26日 | 社会・経済

「会社は潰れるものと考えて、常に自分の実力を高め、転職に備えよ」 私は社長在任中、そう言い続けてきた。 しかし今思うと、そんなことを口にすべきではなかった、その通りになってしまったからだ。 だが社員や役員は、私に言われたことを実感したようだ。 当社の営業権を買い取り、事業を引き継いだ会社は、社員のレベルの高いことで知られた、中央の大手企業。 しかし厳しい面接と試験ををクリアーし、全従業員の80%が、会社に留まることができたからだ。 さらに彼らが中心となって、倒産後初めての決算で、億単位の利益を上げ、さらに自信を深めることができた。

日本航空の倒産は、日本を代表する大企業に就職しても、決して安泰ではなく、企業年金も、まともに当てにできないことを、 改めて多くのサラリーマンに再認識させた。 しかし、厳しい認識は民間企業までで、 公務員のレベルでは、これまでの給与水準も、受け取る年金も大きく減ることはないと、危機感は薄い。 そしてこれを国に置き換えてみると、 国民の大多数は、 国が潰れることはない、いざとなったら国が何とかしてくれる筈だ、 と思ってるのではあるまいか?

平成不況が始まって10年、 日本経済は、政府の財政支出によって、最悪の事態を回避してきた。 つまり収入を上回る予算を組み、差額の赤字を、事実上の借金である国債や地方債で先送りしてきた。 きっと景気が回復すれば、借金も返せるはずだとの思惑で。 しかし今や税収を上回る国債を発行し、返済や金利を払うために、また国債を発行しているのが現状。 これから先も発行額は増え続け、仮に景気回復を見込んでも、元金返済など 夢のまた夢。 国債は、いわば国が振り出した約束手形だ。 この先決済できなくなれば、不渡りとなり、国は倒産する。 その前兆として、国債の金利が上昇し、続いて暴落。 被害者は、これを保有してた国民や、銀行など、こんなことが現実にならなければ良いのだが。

現政権が、こうした事実を、包み隠さず国民に説明し、人件費や経費の更なる削減、消費税の引き上げなど、痛みの伴う改革に本気で取り組めるだろうか?  政治と金の問題でさえ自浄作用が働かず、大臣が政府専用機を飛ばして、ダボス会議の「様子を見に行く」現状を見てると、 可能性はきわめて薄い。

しかし、国が滅びるのを、黙って見過ごすほど国民は愚かとは思わない。 与えられた1票に、期待をこめて行使できる 政党の出現を待ちたい、 同時に個人も精神的に自立することが大事。 「自分を救えるのは自分だけ」 そんな心構えで、新しい時代に立ち向かって欲しい。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿