カキぴー

春が来た

操縦ミス説が濃厚になってきた 「アシアナ航空214便事故」

2013年07月15日 | 航空機
名パイロット「ダンカン・マニング」の操縦する「DCー10」は、ファイナル・アプローチに入った。 風速ヘディング320度から18ノット。 ギア・ダウンしフラップを下げると、進入角度表示電波をキャッチした計器バーがゆっくり下がった。 フラップを最大の50度にし、グライド・スコープに乗せ続けるためパワーを少し入れる。 スピード115ノット(210km)、機体は飛行と失速とのきわどい狭間にある。 高度50フィート、30、20、10・・・・車輪が金属製の甲板を激しく叩き、4本のタイヤが破裂した。

間髪を入れずブレーキを踏むとウイングスポイラーが自動で開き、滑走制止用のネットをかぶった巨体が、甲板先端から28フィート手前で停止した・・・。 これは現職ライン・パイロット 「オースチィン・ファーガンス」の小説 「101便 着艦せよ」から引用したが、航空機のファイナルは、3度の進入角をキープしながらパワーを徐々に絞って高度を下げ、滑走路にソフトランディングさせるのがパイロットの技。 「スピードは昇降舵、高度はパワー」 このキーワードを訓練時に徹底して教え込まれる所以。

事故当時サンフランシスコ国際空港では、4本の滑走路のうち「28L」1本のグライド・スコープが、工事のため停止中と 「ノータム」(航空情報の一種)に公示されており、214便は着陸をリクエストした際にも管制官から伝達された筈。 しかし気象条件も良く、コーパイ(副機長)に 「ILS」を使用しない、着陸訓練」の実施を予定していたため、28Lの滑走路使用を決めたものと思われる。 マニュアル(手動操縦)による着陸は、装置のトラブルなどに備え定期的に行われる訓練。

この訓練では、着陸機の操縦席から進入角度が正確かどうかを視認するため、滑走路端付近に設置された灯火 「PAPI」(進入角指示灯)が大事な役割を果たす。 214便のコーパイかキャプテンが灯火を常時監視していれば、高度が低すぎるのに気付き、出力まで数秒かかるスロットルをもっと早く入れられた筈。 福島空港などローカル空港には、滑走路の片側にしかILSは設置されていない。 しかし風向きによってはILSの無い側からの着陸でもPAPIを利用し、何ら支障なく運用されている。 

事故原因については、グライド・スコープの停止やオート・スロットルの故障など、アシアナ航空や韓国側から出されていた幾つかの問題点が、フライトレコーダーやボイスレコーダーの解析が進み、操縦ミスの可能性を否定する項目から外された。 ファイナルに入ってから絶対に欠かせない 「高度」と「スピード」の連呼すら実行されてない着陸訓練を、当事者達はどう考えているのだろう・・・・。 事故解明の途中で漏らしたアシアナ航空社長の言葉が耳に残る 「全ての責任は機長にある!」