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中国漁船問題・・・構造的に

2010-10-03 21:17:39 | 日記




大まかに言うと、軍事的な拒否的抑止力は「やっても無駄だな。」って相手に思わせて行動を思い止まらせることでしょ。軍事的な報復的抑止力は「やったら、強かやり返されるな。」って思わせて行動を思い止まらせることじゃないですか。まず、この二つが確り揃ってないと警察力は上手く機能しないですよね。

捜査や被疑者の逮捕が可能になるのは、その時に相手が抵抗しないから、また相手の抵抗を抑え込めるから。警察力が対象の抵抗に屈するなら捜査も逮捕もできないんですよ。

今回、違法操業を行っていた中国漁船の船長を逮捕できたのは米軍の軍事的報復力、自衛隊の軍事的拒否力が背景としてあったからでしょう。つまり報復的抑止力と拒否的抑止力が効いていたからこそ中国海軍は表立って手が出せず、海上保安庁が警察力を発揮できたと言うことじゃないですか。しかし日本には外交力がなかったと言う顛末な訳です。

「自衛戦力は相対的であるべきだ。」と言うのは、「中国が軍備を近代化・拡大し自信を強めるなら、それに見合った軍事的備えが必要だ。」と言う意味ですよね。

中国の放つ軍事的抑止力が日本側が放つ軍事的抑止力よりも効いているとなると、日本側がより多くの行動を思い止まらざるを得なくなるじゃないですか。日本側の行動、例えば拿捕、逮捕のような行動が封じられてしまうと、つまり中国側の行動範囲が広まると言うことになる。

極端な話、米軍の軍事的報復力や自衛隊の軍事的拒否力が機能していない状態と仮定して考えると、海上保安庁の巡視船が違法操業する中国漁船を拿捕しようとした際、中国海軍の軍艦が「自国領での自国民保護。」を主張し攻撃してくる可能性も考慮するべきと言うことになるでしょう。そうなった場合、巡視船だけではどうすることもできないですよね。つまり逮捕も糞もないと言うことになる。

特にカードが乏しく外交力のない日本の場合、確りとした抑止力がなければ、国民の生命や財産、犯罪の予防や捜査、被疑者の逮捕なんて満足にもできないじゃないですか。





軍艦派遣に賛成する民意が98%を越える中国。その中で事件後、なんで中国軍の軍艦ではなく中国農業省の漁業監視船の漁政が来ているのか、そして日本は自衛隊の艦船ではなく海上保安庁の巡視船なのか、それは緊張が高まる中、極端な事態に発展しないようにしている面が大きいでしょう。竹島で韓国がやっていることも大方同じですよね。

何故か、それは最前線だからですよ。つまり一触即発の可能性が秘められているから軍事行動ではなく警察行動のワンクッションをおいていると言うことじゃないですか。今後、先島諸島に自衛隊の防衛拠点が作られることになったとしても警備活動は海上保安庁の巡視船が行うでしょう。

軍艦を派遣しない理由が「最前線で自衛隊の艦船と中国海軍の軍艦が睨み合っている状態では、些細な出来事から軍事衝突に発展する可能性があるから。」なら、つまり軍事衝突に発展しては中国としても困ると言うことですよね。

軍事衝突に発展して困る理由は政治や経済、国際法、その他、色々な要素が含まれていると思いますけど、その中に米軍の報復的抑止力や自衛隊の拒否的抑止力も含まれているはずです。

自国領の保護意識、国内外へ向いた面子、国粋主義的な暴走は政治や経済、国際法の壁なんて越える可能性だってあるでしょう。だからこそ最後の砦として軍事的な抑止力が必要なんじゃないですか。

でも「じゃぁ、今のままで良いじゃないか。」とはならない。何故なら、敵性に行動を思い止まらせるための自衛力は相対的であるべきだから。

日本もアメリカも中国も、宣戦布告して全面戦争なんてできません。何故なら、その後に残るのものが互いの大きな損害だからです。つまり互いに報復的抑止力が効いていると言うことでしょう。

更に、先制攻撃を仕掛けた側は国連で平和を破壊したとして扱われる、そして、その後の行動において不利になるのだから懲罰的抑止力も効いている。

ただ、領土保全を主張する領土紛争は必ずしもそれは当て嵌まらないですよね。自国領内の行動と位置付けるなら国外に行動の正当性が主張できる訳ですから。

日米と中国は互いに放つ報復的抑止力で軍事的選択が封じられている。しかし、自国領内として主張できる領土保全なら報復的抑止力が互いに効いている分、ある程度の行動が可能になる。

互いに自国領として行動すると言う前提がある以上、例えば当該の領域で日本側が軍事的選択をした場合、中国側からしても自衛として軍事的選択をせざるを得なくなるでしょう。そして武力紛争に至る。そうはならないように中国側は総合的な抑止力を放ち、対する自衛隊は拒否的抑止力を放ち、互いの軍事的選択を封じている訳です。

つまり侵犯の排除に関しても軍事的選択が互いに封じられていると言うことになるのだから、中国政府主導の非軍事的な保護行動や抗議行動、民間の抗議活動や違法操業のようなものが当該の領域において可能になる訳で、それに対し海上保安庁のような警察力が機能できるし、そして、その力による排除を試みる他はないと言うことになる。



海上保安庁の警察力を機能させるには十分な報復的抑止力と拒否的抑止力が必要になりますよね。従って中国の軍事力が近代化・拡大する中で、日本はそれに見合った戦力を保持する必要があるでしょう。

アメリカは基本として同盟国の領土問題には介入しないとしながらも「尖閣は日米安保の対象。」と明確に言い放ち日本防衛における米軍の報復的抑止力を担保しましたよね。

自衛隊に必要なのは、十分に拒否的抑止力を構成するために体制を現状に合ったものに組替え、また必要に応じて軍事技術の開発や軍備の調達、軍備の更新などを行い訓練などを通じで意志と能力を国外に示すことでしょう。

海上保安庁に必要なのは、十分な警察力を得るために必要に応じた装備の調達や装備の更新などを行い警備を強化、また訓練などを通じて意志と能力を国外に示すことですよね。そして、これらを行うことで中国側が行動を思い止まるように仕向けると言うことに帰結する。

当然、総合的に考える必要があるので、例えば、日中で再発防止のための枠組みの構築、外交力の強化、主張の発信力の強化、経済における中国依存度の軽減、エネルギー安全保障の強化、価値観を共有する国との連携強化などなとは早急に取り組む必要があるでしょうね。



話はズレますが、日本の今後を考えるとアメリカは、経済の低迷、中国の台頭に手を焼く、更にソマリア、ルワンダ、アフガン、イラク等々での迷走、弱体化が進んでいるように見える。つまりパスク・アメリカーナは崩れ去ろうとしていると言うことでしょう。特殊な事情を抱える日本は今後、何に寄り添うか考えないと長期的に見て立ち行かなくなる可能性だって有るんじゃないですか。

将来のビジョンとして日本が放つべき国際的イニシアティブは相互不可侵を盛り込んだ国際安全保障体制の新たな枠組みの構築かもしれない。これを進めるには少なくともアメリカと敵対しては駄目でしょうね。価値基準から言って味方につけなければ交渉の切っ掛けすらできないでしょう。

理想論を言えば、まず国連加盟国の大半とイギリス、フランスを味方につけ交渉力を得てアメリカ、中国、ロシアを含めた円卓を構築すると言うことになるのでしょうけど、現状の価値基準と交渉に必要なカードを考えればアメリカを先に味方にしてから中国との交渉のテーブルを作ると言う方向性しかないでしょうね。

まぁ、兎にも角にも時間を要するものなら、より早く取り組むべきでしょう。



最後に、米軍の報復力と言うと過激に聞こえるけど相手の攻撃以上のダメージなんて与える必要なんてないんですよ。相互に確証的な損害があるなら抑止力が発生するじゃないですか。だいたい今の世の中、中国に対してアメリカ一国で占領して沈黙させるなんて無理だ。

 


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