世界の原発発電量ピーク減る フクシマ機に減少

2012-06-19 17:36:37 | 政治
【ワシントン共同】世界の原発による発電量は既にピークを越え、減少に転じた可能性があると分析した報告書を、米環境シンクタンク「アースポリシー研究所」が19日までにまとめた。

 中国やインドでの建設ラッシュという増加要因はあるものの、昨年の東京電力福島第1原発事故を機に脱原発に踏み切った国もあり、老朽化で廃炉を迫られる原発が増えるなど、減少へ向かう流れの方が強いという。

 報告書によると、世界の原発発電量は2000年以降、ほぼ横ばい傾向だったが、11年は日本やドイツ、英国で計13基が閉鎖。年間発電量は過去最大だった06年比5%減の2兆5200億キロワット時だった。

中部電「脱原発」の株主提案、牧之原市が賛成

2012-06-19 17:29:16 | 政治
中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の半径10キロ・メートル圏に位置し、同社の株主でもある同県牧之原市が、27日の株主総会で、別の株主が提案する「脱原発」を求めた議案に賛成する意向であることが、同市への取材でわかった。

 議案は否決される公算が大きいが、同社と安全協定を結ぶ地元自治体が厳しい意見を突き付けることになる。

 株主が提案するのは計7議案。このうち、同市は、中部電の定款に「脱原発を実現し、地域社会とともに、さらなる自然エネルギーの開発、充実に努める」との条文追加を求める議案など5議案に賛成する。「脱原発宣言」の章を定款に追加する議案には反対する方針。

原発再稼働と今井尚哉

2012-06-19 10:58:58 | 政治
いますぐ全部原発辞めるは無理があるが新規の原発はやめるぐらい言えないのか。

ウランの埋蔵量の最も楽観的な見通しは550万トンで、世界の原発のウラン消費量は、国際原子
力機関(IAEA)によると年間7万トン。つまり、ウランを経済的な値段で採掘できる年数は、約80年しかない。


今井尚哉〈経産省資源エネルギー庁〉
新日鉄の今井敬名誉会長と故今井善衛元通産事務次官を父とおじにもつ

民主党政権はあっさりと原発再稼働を決めた。自民党の長期独裁政治からの政権交代を掲げ、あれだけ政治主導を連呼したにもかかわらず、政権交代からわずか3年弱ですっかり官僚の操り政権と化してしまった。国民からすると「裏切られた革命」である。

 野田佳彦首相は6月8日の記者会見で「国民の生活を守るために大飯原発の3、4号機を再稼働すべきというのが、私の判断であります」と述べ、原発再稼働を高らかに宣言した。昨年3月の福島第一原発爆発事故で「レベル7」という人類史に残る大参事を引き起こしたにもかかわらず、その戦犯官庁である経済産業省の術中にはまり、彼ら経産官僚の描いたシナリオに完全に乗った格好だ。

 国内54基ある原発のうち、東京電力の福島第一、第二の合計10基は震災で壊滅的被害を受けて再開がままならず、残る44基は定期検査のため運転を止めている。北海道電力の泊原発3号機が5月5日に定期検査に入ったのを最後に国内の全原発が運転を停止したのだ。つまり、我が国はこの1カ月余、原発ナシで電力をまかなっていることになる。

 こうした事態に焦りを感じたのが電力・エネルギー業界を所管する経産省だった。原発がなくても国民生活が維持できるとあれば、このままなし崩しの脱原発が実現してしまうからだ。だから原発再稼働は同省の主流派官僚たちの悲願だった。

 原発依存度が9電力のうち最も高い関西電力は、この夏場の電力不足が心配され、経産省資源エネルギー庁で電力問題を所管する今井尚哉次長は関電の大飯原発3、4号機の再開に全精力を傾注してゆく。今井は原発再稼働を使命と感じている節がある。新日鉄の今井敬名誉会長と故今井善衛元通産事務次官を父とおじにもつ彼は、官界のサラブレッドである。「経産省は産業界からの信頼を失ってはダメなんだ」――今井が庁内で折に触れそうつぶやくのを部下の一人は聞いている。「今井さんの目線には国民は入っていません。気にしているのは産業界の意向です」と、この部下は打ち明ける。あれだけの災害を受けた福島県に、今井は足を踏み入れたこともない。下々のことは関係ないのだ。エリート意識丸出しの今井は、原発再稼働に使命感を感じていた。そんな今井の信頼を集めて暗躍するのが香山弘文原子力国際協力室長だった。彼も旧自治省の香山充弘事務次官の息子という霞が関のサラブレッドだった。似た者同士といえる。

 原発に対して冷淡で、国会で「現時点では再稼働には反対だ」と言ってのけた枝野幸男経産相を、今井たちはあの手この手で折伏し、再稼働に転向させることに成功している。とりわけ決め手は、仙谷由人元官房副長官の取り込みだ。もともと電力業界にパーティー券を多く買ってもらい、電力総連からの支援を受けてきた仙谷は、原発に甘い。今井が仙谷のもとを日参して意思疎通を深め、師と仰ぐ仙谷からの指導もあって枝野は転向せざるをえなかった。



次に今井たちが厄介視したのが、大飯原発の再稼働に反対してきた大阪市の橋下徹市長と滋賀県の嘉田由紀子知事だった。しかも橋下の側近に、経産省の脱藩官僚の古賀茂明や脱原発派の飯田哲也環境エネルギー政策研究所長や環境経済学の植田和弘京大教授らがいる。世論受けする橋下、嘉田2人をどう屈服させるかが大きな課題だった。たしかに橋下一派の動きは手ごわかった。関電が原発再稼働がないと夏場に15%電力が不足するとの試算をまとめると、古賀、飯田、植田の連係プレーで内閣官房国家戦略室を動かし、電力不足の関電に中部、中国、四国、北陸の4電力会社が相互融通する代案を提示。さらに大阪府市エネルギー戦略会議では、工場など大口需要家が電力需給に逼迫時に電力を節約すると、その節約分に関電から代価が支払われるネガワット取引や、電力先物市場づくりが計画されている。立案にかかわっていた古賀は「なんとか乗り切れそうだ」と周囲に漏らしている。

 橋下はこうしたブレーンたちの進言を受け入れつつも、やはりいざ電力不足で計画停電の実施に追い込まれることに不安を覚えたらしい。5月19日には「夏場だけ3、4号機を動かす」という期間限定の再稼働に言及したが、藤村修官房長官に「現実的でない」と一蹴されている。それでもこのまま橋下がある程度突っ張るかと思われたが、5月30日の細野豪志原発担当相と関西広域連合の会合後急速に軟化し、6月1日には報道陣に「負けたと言われても仕方がない」「反対し続けられなかったことは反省する」と完敗を宣言した。ふがいなさを感じたのか、脱原発の最大のブレーンの飯田が大阪市の特別顧問を辞任する騒ぎになった(飯田は山口県知事選への出馬が取りざたされている)。

 なぜかくもあっさり寄り切られたのか。一つは今井ら経産省が操って、産業界が脱原発を掲げる首長たちを激しく突き上げたことがある。滋賀県の嘉田知事の場合、県内にある京セラの工場長が知事に直談判し、「このまま再稼働を認めないと工場を滋賀県から撤退する」と申し入れたとされる。滋賀県野洲市の京セラの新鋭工場は太陽電池パネル生産の拠点工場の一つで、再生可能エネルギー法の施行に伴い、いまはフル操業が続く大忙しだった。さすがに工場移転の恫喝を突き付けられ、彼女も沈黙を強いられた。

 橋下市長の場合もそうだった。大阪維新の会に属する府議や市議が軒並み、関電や商工業者の陳情攻勢にさらされ相次いで陥落。市長が私淑する大前研一も説得に乗り出したとされ、ついに橋下市長も降参した。「裏で今井が動いている」。そう橋下市長のブレーンは言う。5月30日に関西広域連合で配られた資料もエネ庁でつくられたとみられるペーパーだった。

 一方、今井は総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の事務局役をつとめている。将来のエネルギーミックスを考える同委員会は近く原発を継続的に稼働させる報告書をまとめることになるとみられている。原子力委員会の近藤駿介委員長のもとに設けられたインナーと呼ばれる秘密会合には、腹心の香山を送り込み、核燃料サイクル計画を引き続き継続するよう政策誘導するつもりだった。毎日新聞のスクープによって露見したが、香山は筋金入りの原発推進官僚である。原発の海外輸出を打ち出した「原子力立国計画」がつくられた際に、所管課長の柳瀬唯夫原子力政策課長(当時)とともにまとめあげたのが彼だったらだ。

 かくして筋金入りの原発官僚たちの描いた絵によって、原発再稼働と継続的な運転が進んでいく。あまりにも民主党の野田政権はそれに対して無能であった。2020年の脱原発を決めたドイツのメルケル政権と比して、その幼稚さはあまりにも際立っている。