「過ぎゆく時を知らず」
傷を負った一羽の水鳥
騙しだまし生きる人生の中で
僕は何かを見失ってしまった
決して消えぬ痛みとともに
誰にでもわかるだろう
生きることは容易くない
過ぎゆく時を知らず無邪気に生きれば
いつまでも永遠の子供でいられるのに
僕は浜辺から遠くの海をいつまでも眺めた
ポケットの携帯電話をオフにして、誰からの連絡も絶って
鮮明に甦る
迫りくる漆黒の海、海、海
不思議と怖さはない、もうそこまで足が向いているから
消え去っても仕方がないちっぽけな存在
すべてが終わるはずだった、二十年前のあのとき
誰が、何故、繋ぎとめたのだろう
《歩を進めるにつれて水面が脛、膝、腰へと上がってきた。水圧に押されて、だんだん思うがままに足を動かせなくなる。水が遂に胸の高さまで来た。俺は視線の先に見える青空を見た。もうこの青を二度と見ることはないと思った。そして目を瞑り、穏やかだがずっしりと重みのある水流に負けないよう、海底をしっかり足の指で掴んで脚をゆっくりと前に進める。既に思考は不可逆であった。》
あれから時は遥か過ぎゆき
生に対して冒涜を働いた僕は
もう大人になってしまった
随分と年老いてしまった
いつからか負った傷の癒えぬままに
いつまで生を紡ぐのだろう
現実は虚構よりも恐ろしい
悪魔が舞い降りた傷だらけの我が人生
それでも命を繋ぐ
人生は生き地獄
過ぎゆく時を知る僕は
衰え、劣化し、腐敗して
世界の素晴らしさを知りながらも
この人生からの退場を待つばかり
傷を負った一羽の水鳥
騙しだまし生きる人生の中で
僕は何かを見失ってしまった
決して消えぬ痛みとともに
誰にでもわかるだろう
生きることは容易くない
過ぎゆく時を知らず無邪気に生きれば
いつまでも永遠の子供でいられるのに
僕は浜辺から遠くの海をいつまでも眺めた
ポケットの携帯電話をオフにして、誰からの連絡も絶って
鮮明に甦る
迫りくる漆黒の海、海、海
不思議と怖さはない、もうそこまで足が向いているから
消え去っても仕方がないちっぽけな存在
すべてが終わるはずだった、二十年前のあのとき
誰が、何故、繋ぎとめたのだろう
《歩を進めるにつれて水面が脛、膝、腰へと上がってきた。水圧に押されて、だんだん思うがままに足を動かせなくなる。水が遂に胸の高さまで来た。俺は視線の先に見える青空を見た。もうこの青を二度と見ることはないと思った。そして目を瞑り、穏やかだがずっしりと重みのある水流に負けないよう、海底をしっかり足の指で掴んで脚をゆっくりと前に進める。既に思考は不可逆であった。》
あれから時は遥か過ぎゆき
生に対して冒涜を働いた僕は
もう大人になってしまった
随分と年老いてしまった
いつからか負った傷の癒えぬままに
いつまで生を紡ぐのだろう
現実は虚構よりも恐ろしい
悪魔が舞い降りた傷だらけの我が人生
それでも命を繋ぐ
人生は生き地獄
過ぎゆく時を知る僕は
衰え、劣化し、腐敗して
世界の素晴らしさを知りながらも
この人生からの退場を待つばかり