巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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風が泣くとき(推敲中)

2018-08-25 12:45:21 | 
『風が泣くとき』

風が泣く声が聞こえる

 絶やすことなく
 紡いできた糸は
 ほつれることなく
 長々と結ばれてきた

 それがどうだ、今は
 プツリと切れた血管のよう

 遅すぎた迎えは不要だと
 強がり言って誤魔化す君
 己のすべてが傲慢すぎて
 恥じ入りながら引き返す

風が泣く声が聞こえる

 三年前に胸元に抱えた遺影
 艶っぽい襟足を見つめては
 終点に至る道程を振り返る
 いつもその場限りの気遣い
 至らぬ業を神々に懺悔する

 新しい涙がドクドクと
 溢れては次々に零れ落ちて
 天地の際までグングンと広がり
 もはや収拾がつかないところにある

 命の欠片はこんなところに落ちていない!
 誰かが小さな胸で叫んでいる

風が泣く声が聞こえる

 ふたりが向き合っていた日常は幻想で
 真逆には現実という虚構がそびえ立つ
 ならば、ひとしきり泣いて、泣いて
 今や消え去ろうとする己の躯を
 自ずから丁寧に葬ってしまおう

 空が翳り、陽が傾いてきた
 君が隣にいない三度目の秋の日
 これ以上哀しいことはないのだと
 赦しを得るのはいつ頃のことだろう

風が泣く声が聞こえる

アホウドリが二度、三度と啼いた

自分葬(ドラフト)

2018-08-25 12:07:11 | 
『自分葬』

風が泣く声が聞こえる

絶やすことなく
編んできた糸は
ほつれることなく
長々と結ばれてきた

それがどうだ、今は
プツリと切れた血管のよう

写真の艶っぽい襟元を見つめては
終点に至るまでの道のりを振り返り
いつも気掛かりだとその場しのぎだった
至らぬ思いを神々に懺悔する

風が泣く声が聞こえる

懐かしいあの頃の
はかない夢を叶えたい
遅すぎた迎えは不要だと
強がりを言って誤魔化すも
すべてが傲慢すぎて削除する

新しい涙がドクドクと
溢れるように流れるように
夢の際までグングンと広がって
もはや収集がつかないところにある

人生の欠片はこんなところに飾っていない
私の小さな胸が叫んでいる

風が泣く声が聞こえる

貴方が向き合っていた日常は幻想
真逆には現実という虚構がそびえ立つ
ならばひとしきり泣いて、泣いて
今や消え去ろうとする己の躯を
私が私で丁寧に葬ってしまおう

陽が傾いてきた
三度目の秋の日
もうこれ以上哀しいことはないのだと
赦しを得るのはいつ頃のことだろう

風が泣く声が聞こえる

アホウドリが二度、三度と啼いた


月下美人

2018-08-25 10:53:53 | 
『月下美人』

掌に閉じ込められた
春霞のような未来は
覆い、
包み、
漂いながら
銀の夜空にたなびく

人との出会いに疲れた日には
足元の影を踏むように歩こう

都会は毎日がそんな日の連続だ
昼夜問わず人混みでごった返し
地球に逃げ場がないなんて
僕は大袈裟に喚いてしまう

あゝ、ふと視線を上げれば
芳しい香りを放つ月下美人
あの開花をひとり待つように
静かにひっそりとしていよう

誰も知らない秘密の花園で
僕の人生も二度、三度と咲く