ちょびっと嬉しかった。

ムスメがモデル事務所にスカウトされた。「目が印象的でかわいいですね」と声をかけられて、親バカ夫婦は悪い気はしない。「えへへ～、かわいいでしょ」と振り向き、話を聞いてしまった。
私も相棒も、ムスメを芸能人にしたいという希望は特にない。むしろ“売り物”にはしたくない。時間や場所や色々なストレスを受けるよりも、やりたい放題自由奔放で過ごすことが今のムスメにとって幸せで大切なはずだ…という結論に達しお断りした。ムスメの可能性をつぶしたわけじゃないよね、とちょっと悩みつつ後日ネットで色々調べたところ、あまり評判のよくない事務所だったので結果オーライ。ま、“スカウトされた”ということだけでも「いい記念」だよね、ムスメ。

よだれ。

顔を横にして眠りについたムスメ。だらしなく開いた口元がきらりと輝いていた。相棒に「見て見て、かわいい♪よだれ垂らして眠ってるよ」と言うと、「うーん、これは“垂れてる”なんてもんじゃなくて“溢れてる”だな」。「え？」よくよく見ると、ムスメの口から滝のように流れ出ているよだれで、枕に湖ができつつあった。「わ！ほんとだ！」。