発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

『月形洗蔵』本当に近日発刊。

2021年02月05日 | 本について
◆新刊ですよ
 印刷製本段階で紆余曲折が生じたものの、それは白鳥の湖の水面下のお話。さきほど印刷会社から納品日の連絡があり、脳内にはチャイコフスキー第5交響曲第4楽章が響き渡る。納品されれば白雪姫アニメの歌を「配本~配本~♪」と歌いながらしばらくは段ボールにまみれる生活となる。

 自分の能力を最大限に使い、薩長連合の礎石となったものの、栄光なきまま死罪とされてしまった筑前勤皇党の月形洗蔵の伝記である。

◆「幕末プロジェクトX」、あるいは「栄光なき天才たち筑前編」
 例えれば、こんな話(?)である。もっとまっとうな解説は後日。
 F社(筑前福岡藩)中間管理職T(月形)は、あるとき犬猿の仲であったS社(薩摩藩、もともと社長はここの経営者一族の出身である)とC社(長州藩、響灘を挟んだお隣の会社で仲が良かった)を仲直りさせろ、という無茶なプロジェクトを社長(筑前藩主黒田長溥)から仰せつかり、社長を尊敬していたので、使命感を背負って奮闘努力して成功を収めた。その間にはC社内にもあった激しい派閥争い(俗論派と正義派)や、S社のカリスマ敏腕部長(西郷隆盛)などの話も当然絡む。ところが困難なプロジェクトを完遂したものの、それがやっぱり親会社(江戸幕府)の逆鱗に触れるのではないかとビビった社長に自分の属している派閥ごと首を切られてしまう。
 これが武士の世界なので、本当の斬首となるのだ。
 そのプロジェクト大成功については、その後、年金や勲章をもらったり、あの渋沢栄一や土方久元に褒めてもらったりして、子孫や縁者は罪人の係累の不名誉を味あわずにすんだ。
 だが、解雇(斬首)されるときTが叫んだ通り、F社はその後グダグダとなる。
 後からやってきたベンチャー企業の社長の話がビジネス小説として売れたため、そちらの方が有名になってしまい、真のレジェンドたるTの功績を知る人は多くない。

◆歴史人物のヴィジュアルについて
 なんで司馬遼太郎が『竜馬が行く』を書いたかというと、名前とヴィジュアルにかなりインスパイアされて構想が広がったのだと思う。薩長のために歩きまくった中岡慎太郎、彼の評価は山口でもっと高くていいと思っているのだけど『慎太郎が行く』ではいまいちだったのかな。
 今回、ご子孫の監修で月形洗蔵のヴィジュアルを用意した。これにインスパイアされて歴史小説となってくれればいいなと思っている。

 これは古写真ではなく初公開なので、フリードメインではないから、お取り扱いには注意を要します。

 それにしても、月形洗蔵、往年の時代劇映画のヒーロー、月形半平太(の月形は、この月形洗蔵の月形、半平太は土佐の武市半平太からとったのだそう)よりも、さらにキリっとしてカッコいい名前だと思う。

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