きらく堂日記

鍼灸師の喜楽堂が日々の出来事、過去の思い出、趣味にまつわる話などを綴った日記帳(=雑記帳)です

フリーマガジン

2008年07月26日 | 日々の暮らし
 先日、高血圧の薬をもらいに某総合病院に出かけた。
いつものとおり、自動受付を済ませてから休憩室で病院や市が行っている健康セミナーや講習会のテキストや記事に目を通そうと思ったが、今回は側に目新しい綺麗な冊子が積まれていて、表紙には良く見かける「無料、どうぞご自由にお持ち下さい」の文字があり、いわゆる「フリーマガジン」で、健康や医療に関する一見科学的にみえる解説がされていて、その後にそれに関する健康食品やサプリメントの広告が満載という例のパターン。

 掲載されている食品や材料をざっと見てみると・・・黒糖バナナ黒酢、DHA、EPA、サメ生肝油、スクワレン、オメガ3脂肪酸、ベータグルカン、グルコサミン、ラクトフェリン、コラーゲン・・・・などなど。今話題の名前が並んでいて、これらの効果・効用の解説が相変わらず「針小棒大」で・・・。
 私がよくチェックしている独立行政法人「国立健康・栄養研究所」の「健康食品の安全性有効性情報」ではこれらの材料は、「ヒトでの有効性については信頼できるデータが見当たらない」、「○○薬との併用でおそらく有効と思われる」、「適切に用いれば経口摂取でおそらく安全と思われるが、妊娠中・授乳中の使用は避ける」、「食事以外から一度に過剰摂取するときは注意が必要」・・・など慎重な表現になっていて、「こんな実験結果も出ています。」程度のもので、必ずしもヒトを対象にして科学的・医学的に実験検証されていないものばかりであることを認識しておく必要があります。

 例えば女性に人気のコラーゲンについては、「健康食品の安全性・有効性情報」では、「・・・コラーゲンは健康食品として、俗に美容に良い、骨・関節疾患に伴う症状の緩和に良いなどと言われているが、ヒトでの有効性については信頼できるデータが見当たらない。安全性については、アレルギーを誘発する可能性が示唆され、妊娠中・授乳中の安全性に関する十分なデータが無いことから使用をさけるべきとされている・・・」とある(詳細は「健康食品の安全性・有効性情報」を参照してください。)コラーゲンは蛋白質の一種であり、食べると体内で一度アミノ酸に分解される、このアミノ酸を材料に体内でまたコラーゲンが合成される保証は何処にも無いのである。コラーゲンを食べるとコラーゲンができる訳ではないことと、他の蛋白質(肉、魚・・・)を食べてもコラーゲンは合成されることを知っておくべきだし、様々なアミノ酸を摂るべきという点からはコラーゲンという偏った蛋白質を取るより、魚、肉を食べた方がずっと良いのです。

 時間つぶしのフリーマガジンとは言っても、病院に置かれていればそれなりに信頼できる内容と患者さんは思ってしまうのではないでしょうかね・・・あきらかに疑似科学に属する誇大広告満載のこのようなフリーマガジンは病院側でちゃんとチェックして排除すべきではないでしょうかね・・・。フリーマガジンが何たるものかを理解しているヒトばかりではないですからね・・・「なんでこんな良い本がただなの!?」と不思議がっている・・・ありがたがっている・・・おばあちゃんもいるのですから。

 健康食品(健康補助食品)はほんとに要注意です。
ほんとうに効くなら医薬品とすべきで、ただし、そのためには医学的エビデンス(効用の科学的な実証)が必要であり、実験検証のためには、莫大な費用と時間がかかります。健康(補助)食品には十分な科学的エビデンスはありません。どこかの学者が実験した結果「こんな効果があるらしい、ただしラットの実験で・・・」なんていうのを、あたかもヒトに大きな効果があったように書いていたりします。宣伝のうたい文句は、こんな症状の人がこんなに良くなった、こんなに効果があった・・・癌に効いた・・たぐいの経験談ばかり(ゴーストライターの捏造が多い)ですからね。いわゆるバイブル本を使った違法商法もはびこっています。

 ダイエットのための中国茶で死亡した人が出たのもこの間のことですが、新奇なものを試すなら命がけの覚悟が必要ですね。大昔からそうやって試行錯誤を重ねて、多くの犠牲者の下に毒薬と良薬が選別されてきたわけで、何も自分から積極的にそんな実験に協力する必要はありませんね。

<鍼灸マッサージサロン・セラピット>


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