夜窓より ☆私の考えなり流儀なり☆

日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』に連載中の教育への雑感をまとめておきます。夜間定時制高校の教師の視点です。

■「理想の学校作りへ」(10)

2015年07月29日 | 教育
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■「理想の学校作りへ」(10)瀬尾公彦(愛知県) 
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【連載】


■「理想の学校作りへ」(10)


     瀬尾公彦(愛知県) 
     seo@ksn.biglobe.ne.jp


翌日、チャンさんとホーチミンからニャチャンまで飛行機で移動、
のはずが、いきなりトラブル発生。カウンターで発券していたら、
チャンさんへ電話がかかる。結構長く話している。いきなり、「
先生、私は図書館に行かなくてはなりません。」???落ち着い
て、ゆっくり聞いてみると、図書館は大使館の間違い。来月来日
予定のチャンさんのパスポート関係の事で、急遽大使館に呼び出
されていると言うことがわかる。

と言うことで、1人でニャチャンへ。ニャチャンにはこの春から
研修生として来日予定のソさんが出迎えてくれる。勿論日本語は
通じない。英語もあまり聞き取れず、珍道中の始まり。ちょうど
ベトナム語で書いてある日本語勉強のテキストを持っていたので
そのテキストを駆使して、会話。とりあえず、日本のベトナム人
達に勧められた、「大きいエビ」を食べに行く。テキストにエビ
の図があったのでそこはOK。会話が途切れると何なので、いきなり
そのテキストを使って、日本語を教え始める。確か、ひとつ、ふ
たつ、みっつ、などの数え方などを教えた。

その日はニャチャンで、ソさんと二人タバコを吸いながら、海を
前にしてゆっくり過ごし、翌日教え子の会社の現地の社長のヴィ
ンさんと合流し、そこから100キロ(道路が悪いので車で約2時
間)のヴィンさん初めとするチャム族の村が点在するファンランの
街へ。かつてベトナムを支配していたチャム族の遺跡などをまわる。
私はファンランという街がチャム族の街という認識でいたが、実は
街自体はキン族が9割で、チャム族の村はそこを取り囲むように点
在していたのである。ファンランの広い土地なども見たがファンラ
ンの街に学校を作ると、そこまでそれぞれの村から自転車などで結
構時間がかかる。夜は真っ暗であるし、高校生などを想定すれば、
あまり好ましくもない。

広大な土地を見て考えたのは、いきなり日本の学校規模の大きな学
校を作ってしまうことの是非である。教師の問題もある。需要はあ
るとしても、やはりまずは、少人数対象であるとしても、こちらの
考える「理想の」教育のシステムを、まず実施していくことが重要
であると考えた。そこで、ヴィンさんの村でヴィンさんのかつて住
んでいて今はお母さんだけが住んでいるという土地を見学してそこ
を学校候補とすることとした。お母さんは快く他に移ってくれると
いう。

そこは、どうだろうざっと200から300坪くらいの広さであるが、ま
ずはそこでスタートさせることができたらと考えた。都合の良いこ
とに、すぐ近くに先生候補第1号のチャンさんの実家がある。チャ
ンさんは4月から名古屋の大学に一年留学して、ちょうど夏休みの
始まる来年の6月くらいからそこで教え始める。いきなり学校を作
るのではなくて、まず今の家を教えることができるように改装する。
そして少人数で教え始めていき、その様子を見つつ校舎を建設する。
そう言う青写真ができた。ついでにチャンさんや名古屋での教え子
の家へ立ち寄り、食事などを振る舞われながら、家族となかなか素
敵な時間を過ごした。

 一歩前進。未来は少しずつ開けていく。



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===編集日記=== 

  皆様に支えられて「日刊・中高MM」第3443号です。

 瀬尾公彦さんの「理想の学校作りへ」、お届けします。
 亀や牛のような歩みから人の歩行へと進行しつつある理想の学校作り、
 確かなその歩みの音が聞こえてくる。期待と共に是非実現して欲しい。
 例え小さな一歩であってもまた小規模であっても実現を切に願う。

       皆様のご意見・ご感想お待ちしています。
       sukaji@po.synapse.ne.jp
       梶原末廣【インターネット編集長】

■「理想の学校作りへ」(9)

2015年07月10日 | 教育
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■「理想の学校作りへ」(9)瀬尾公彦(愛知県) 
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 【連載】

■「理想の学校作りへ」(9)


     瀬尾公彦(愛知県) 
     seo@ksn.biglobe.ne.jp


3月13日から18日まで、ベトナムに行ってきた。目的は様々あるが、
取りあえず、この国の空気を感じてみたかった。初日、この4月から名
古屋の大学に留学が決まっているチャンさんと最初は予定になかったミ
さんが空港まで迎えに来てくれた。ミさんとの出会いは偶然的なもので
ある。しかしその偶然が必然と感じられたりもするのだ。
 
この2月からベトナム関係のためにフェイスブックを始めた。前々から
知人より勧められていたが、億劫であったのが、少し拡がりを持とうと
思ったのである。結構ベトナム人とも友達になったものの、ベトナム語
は読めないので、見ていても自ずとスルーということになる。ベトナム
に旅立つ寸前に、名前が「夢を信じます」と日本語で書いていた人が不
いた。ベトナム語の中に、長く日本語で書いてあった文章を見つけた。
正確な言葉遣いもあったものの、長い文章だった。私はさっそく、フェ
イスブックで連絡を取ってみた。そうすると、大学生で、英語が専門な
のだが、日本語の先生になりたいという。それがミさんであった。そこ
で旅立つ前日だったか急に会うことにした。フェイスブックで私の教え
子の友達であったらしく、教え子と迎えに来るチャンさんと同じ村であ
った。懇意だというのでいっしょに出迎えてもらうことにした。

現地に着いて、当初はホーチミンの日本語学校を見学したいと思ってい
たが、予め著名な二つの学校に断られていた。或る人に言わせると、日
本語学校のベトナム人教師は、自信がないので日本人の教師には見せた
がらないのだろうという話であった。ホテルの前に高校があるのを調べ
ていたのだが、突撃の交渉もダメで、許可されなかった。

ホテルで二人と少し話したりしたが、チャンさんは何日かSkypeで
も話していたが、何とか会話は成立できた。ミさんもそこそこであった
が、何より日本好きで、私が持っていってみんなで飲み終えたお茶のペ
ットボトルもらってもいいですか? というくらいで、その「日本愛」
に驚かされた。

郵便局や教会などのホーチミンの観光地を少し歩き、何より名物の限り
なく続くバイクの群れの中を通っていったのである。夕食はガイドブッ
クで調べていったカニ料理を3人で食べた。実は私は野菜が嫌いなので、
「おいしい」ベトナム料理は結構苦手で、日本の研修生達からも心配さ
れていたのである。このあとも随分気を使わせてしまう事になる。


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 瀬尾公彦さんの「理想の学校作りへ」、お届けします。
 めまぐるしいほど瀬尾さんはご活躍のようです。
 異国の地で様々な困難に遭いながら解決していく。
 たいへんだけどそれが夢の実現に近づく。
 
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       梶原末廣【インターネット編集長】