夜窓より ☆私の考えなり流儀なり☆

日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』に連載中の教育への雑感をまとめておきます。夜間定時制高校の教師の視点です。

「理想の学校作りへ」(8)

2015年06月21日 | 教育
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■「理想の学校作りへ」(8)瀬尾公彦(愛知県) 
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 【連載】


■「理想の学校作りへ」(8)

  
     瀬尾公彦(愛知県) 
     seo@ksn.biglobe.ne.jp
  

さて、学校を作ると言うことは校舎を造ると言うことでもある。
当然どのような学校を作るかによって、その形と規模も決まって
くる。

 規模を考える時に、そこには理念が求められる。何せ需要はた
くさんあると言う話である。学校を作るポリシーをどこに置くか。
いくつかの切り口がある。とりあえず、現在需要の多い、日本語
の学校をホーチミンに作ると言う考えもある。

 チャム族の多く住む日本語学校のないファンランという地に学
校を作るという意味もある。貧しいので授業料を取らない、と言
う切り口もある。その切り口によって、学校を作るという意味と
目的は微妙に変容するのである。

 では、どこまでの問題意識で学校作りをするのか。他にかかわ
っている人たちは皆それぞれの問題意識がある。それぞれ微妙に
異なるであろう。それは理解しつつ、自分のコンセプトを練って
いく。

 私の基本コンセプトは、彼らの問題意識を踏まえつつ、最もこ
だわりのあるものとなる。ベトナムのチャム族の多く住む、ファ
ンランに、無料(に近い金額)で、理想の学校を作る。

 理想の中身については、先回少し触れたが、校舎についての関
わりで言えば、少人数の授業と言うことになる。具体的に言えば、
最大10人までの授業。ホーチミンには一クラス60人というク
ラスもあったそうだ。より多くを救うという切り口も又あるであ
ろう。しかし、ここではその切り口は採らない。


 5人以下の授業。10人の授業。スカイプでのもう少し多人数
の授業。そのようなイメージで、設計士の方と打ち合わせをした。
教室を間仕切りで、フレキシブルに利用する。現実とのすりあわ
せの中で、様々な考えるべき問題も当然出てくる。

 ファンランの暑さ。風の通り道。作る素材。現地では木材の調
達もなかなか難しく、と言って輸入を考えれば、港での賄賂の問
題が出てくるようである。

どこの国でも港はやくざものが仕切っていると言う話だとか。あ
と枯れ葉剤の影響もまだあるようである。チャム族の多くの家は
土で作られているという。私は建築は門外漢なので、そこは聞い
ているだけである。

 そう言う議論の中、設計士に作っていただいたモデルを見る。
教室ひとつひとつが分離しているのである。風通しなどを考慮し
た発想。なかなか素敵である。スタートはそれほど大きなものを
作らなくとも良い。

 教える側の問題もあるので、教室を四つくらい作る想定である。
そして職員室などの別棟。ここにできれば、日本からの客人の宿
泊施設があると良い。


 まず、一つの学び舎として、教育としてもきちんとスタートさ
せていきたい。被教育者の個を大切にする所をしっかりと踏まえ
て進んでいきたいと考える。

日本からの外国の学校作りによくあるような、取りあえず学校と
いう箱を作る(それはそれで意味のある話であると思うが)と言
うことではなくて、私たちは教育内容に即した学校の校舎作りを
進めていきたいと思う。


 3月に初めてベトナムに行った。作る場所も見てきて、ほぼ決
定してきた。現在建物があるので、いきなり学校を作るのではな
く、そこを改築して、とりあえず来年より、教え始める。その状
況を見つつ、早ければ来年度中に、校舎の着工に取りかかる。そ
れが最も順調なプランである。まだ敵のキャラが現れていないか
見えていない。最後のボスキャラを倒すまで、戦い続けたいと思
います。




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===編集日記=== 

  皆様に支えられて「日刊・中高MM」第3388号です。

 瀬尾公彦さんの「理想の学校作りへ」、お届けします。

 ・3月に初めてベトナムに行った。
  作る場所も見てきて、ほぼ決定し
  てきた。現在建物があるので、い
  きなり学校を作るのではなく、そ
  こを改築して、とりあえず来年よ
  り、教え始める。

 上記1点だけでも、現実味を帯びた計画実行プランである。 
 楽しみです。

       皆様のご意見・ご感想お待ちしています。
       sukaji@po.synapse.ne.jp
       梶原末廣【インターネット編集長】