夜窓より ☆私の考えなり流儀なり☆

日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』に連載中の教育への雑感をまとめておきます。夜間定時制高校の教師の視点です。

「遠景のモノ語り」(11)

2022年11月06日 | 教育
「遠景のモノ語り」(11)瀬尾公彦(愛知県)
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【連載】

■「遠景のモノ語り」(11)

   瀬尾 公彦(愛知県)
   seo@ksn.biglobe.ne.jp


*生徒たちからのサイン色紙やサインボール*

この連載もモノとからませて書いてきたが、最初から12回と決めていた。
あと2回。この2回は特定の生徒の思い出ではなく、不特定多数の生徒た
ちを思いつつ、自分の思いを書いていきたいと思う。

基本担任をすることが好きで、主任等を引き受ける時も担任と兼務ならば
という条件を必ずつけていた。

数えてみると定年まで33回、再任用で2回担任を受け持ったことになる。

定時制の場合、1年生が3クラスで始まり、4年生で1クラスということ
もある。そのような中、数えてみると1年から4年生までも継続して担任
したことが6回ある。これだけで24年。

1年生から4年間、基本15歳から19歳までのなかなか微妙な年代を共
にする。少人数でもあり、当然関係は密になっていく。

定時制の卒業式は常に感動的であり、その折り、記念に寄せ書きや、わざ
わざ自分たちでお金を出し合って、ボールペンなどの記念品をいただくこ
とがあった。40年程前にいただいた、ラルフローレンのポロシャツは、
いまだに時折り袖を通す。

私が希望して初めて定時制に言った頃は、まだ東北や九州から名古屋に集
団就職してきている生徒が少しではあるが残っていた。会社のバスで学校
まで送迎されていた。「保護者会」ではなく、「保護者、雇用主懇談会」
と言う名称であった。

卒業式の夜は、生徒たちがお金を出してくれて、先生たちと一緒に謝恩会
を設けてくれた。今は昔であるが、「あいつらは4年間迷惑かけっぱなし
だったけど、今日だけはよくしてくれる」という先輩教師の言葉が今も耳
に残っている。


セクハラ防止と称して生徒との関係を希薄にするような上からの指導?の
現在、やはり私もやめ時だとしみじみ思ってしまう。


教職が知的で理性的な職業であるとすると、99%は関係のない、おまえ
セクハラするだろう、的な、教育委員会のアリバイ施策的な対応は、一方
で矜持を要求される教職に就いている人々に対して大変失礼な振る舞いと
言わざるを得ない。

「教員」としては生徒と個人的な連絡を取ってはいけないご時世なのかも
しれないが、私はもう何十年このスタイルであるので、かつてと変わらず
電話もLINEもオープンにして、深夜に相談に乗ったりしている「不良教員」
である。

良い「教員」である前に、一「教育者」であれたらと思う。「学校運営」
を考える前に「教育」を考えたいと思う。と言うことを言っているようでは、
やはり去り時であり、実際来春には完全に教壇を降りる予定である。

話が逸れたが、ダイソーの100円のサイン色紙は生徒たちの寄せ書きが書
かれたときにプライスレスな貴重な宝物となる。それは言葉の重みであり、
関わった月日とその関わりの重みなのである。


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===編集日記=== 
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  皆様に支えられて「日刊・中高MM」第4979号です。

 瀬尾公彦さんの「遠景のモノ語り」、お届けします。

 ・生徒たちからのサイン色紙やサインボール

 ・100円のサイン色紙は生徒たちの寄せ書きが書かれたときに
  プライスレスな貴重な宝物となる。それは言葉の重みであり、
  関わった月日とその関わりの重みなのである。

 いい話です。それに終わらないのが、教育・学校・定時制の持つ
 意味だと考えます。気持ちに応ずるのが、基本の仕事です。

 11月に入っています。今年も二ヶ月余となりました。コロナ禍、ロシアの
 ウクライナ戦略、韓国ソウルの事故、枚挙に暇がない災いが続いています。
 生きているのが不思議なくらいに生きている。このまま何処へいくのか、
 皆目見当が付かないといってもおかしくないぐらい。日々を今日という1日を
 大事に大事に暮らしたい。


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