■「理想の学校作りへ」(12)瀬尾公彦(愛知県)
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=☆★【10月11日に中高MMは3500号の発行です。】☆★=
<10月座談会&12月望年会&2月朗読Cafe>
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【連載】
■「理想の学び舎作りへ」(12)
瀬尾公彦(愛知県)
seo@ksn.biglobe.ne.jp
先回のベトナム訪問は3月の話である。今これを書いているの
は9月下旬である。4月にNPOを申請して,それが7月に認可され
た。現在は様々なところで準備を進めているところである。
NPO「ベトナムに理想の学び舎を!」
この名称に伴い、この拙文も「理想の学校作り」から「学び舎
作り」に勝手に変更させていただいた。「学校」には「学校化社
会」と言うように使われてしまうイメージがある。既成のの概念
もある。実際に私たちが目指すのは垢にまみれていない「学び舎」
の方がふさわしい気がしている。
さて、4月より大学院に通うことにした。相談に行くと、「普
通に入学しても良いけれども、こういう制度が今年からできまし
た。」と勧められたのは、科目聴講生。そこでの単位は10単位
まで、後に大学院入学後認められるという。ちなみに大学院卒業
単位は30単位で、これを含めて3年間で卒業するというプラン
の方が。まだ現職で不安定要素の多い私には相応しいと思い、科
目聴講生として入学した。
後から思うと、高校も転勤となり、結構ばたばたしていたので
これくらいが限界で、丁度良かった。科目は3科目6単位分を前
期履修習得した。
前期が終わった現在から書かせていただくと、大学院の講義は
なかなか新鮮であった。ただ、日本語を教える為の学部のために
言わば、高校国語教師の私だけが、その知識もなく、学部から進
学した大学院生や、海外や社会で日本語教師の経験のある方々や
海外の日本語を専門としている交換大学院留学生の人たちの中で
悪戦苦闘もした。
結構厳しい授業もあり、予習にも時間を取られて、仕事の関係
で午前中の講義しかとれず、朝も早いので、職場でダウンする日
もしばしばあった。講義自体は面白かったが、やはり大学院の専
門性は細部に関わることが多く、自分の問題意識とはどうしても
かみ合わない感じで進んでいった。
最初は本当に余裕がなく、職場も新しいので、授業が終わると
高速道路でダッシュで職場に向かう日々であったが、後半になる
と共同研究もあり、同級生と一気に仲良くなり、このことが一つ
の財産となった気がしている。
大学院のクラスメイトの多くの人が、日曜日の私のベトナム人
への授業に顔を出したり、授業を手伝ったりしてくれた。ベトナ
ム人とのSkypeにつきあったり、8月にいっしょにベトナムに同行
してくれた人まで出てきた。簡単に言えば、極めて仲の良い若い
仲間たちができた。
海外からの留学生の人たちとの交流も面白かった。半期留学の
メンバーが甲子園に行きたいと言うので調べてみると、帰国する
前日が開会式で、それでも行きたいというので車で行って、大阪
でカニ料理を食べたりしたのも実に楽しかった。一度経験したい
というゴルフ練習場やバッティングセンターにも行き、先日はベ
トナム人といっしょに諏訪湖の花火大会にも同行した。いろいろ
と1人1人の話を聞けた時間も私にとっては有益で、基本感心し
つつ、若者たちから刺激を受けることとなっている。
そして、大学院の中で教授の勧める、日本語学会にもできるだ
け参加したが、これも得るところがあった。
ただ現在後期も受講し始めたところだが、来年から1年100
万円のお金を払って入学するかは迷うところである。純然たる学
問として行けばそれなりに楽しいとは思うが、ベトナムの事をや
りつつと考えると、今更論文書きでもなかろうと考えてしまうの
である。
私にとって大学院卒業の資格も別に不要ではあるし。その分2
00万円使えば、ベトナムに一戸建ての日本人向けの宿泊所さえ
できてしまうのも現実である。
大学院は、研究して論文を書くのがメインとなる。穿った見方
をすれば,それは儀式のようにシステマティックである。物事を
大きく捉えると言うよりは、細部について、先行論文を遺漏なく
押さえつつ、たかだか2年間くらいでできる内容について、テー
マを設定する。私の関わった大学院生の多くはその事について、
多かれ少なかれ疑問を持ってはいる。しかしそれが日本のみなら
ず、そういう現実がある。
例えば、ベトナム人は、「つ」を「ちゅ」と発音してしまうこ
とがある。そのことの誤用研究というテーマがある。そのような
先行研究の論文はあるだろうし、ベトナム語の発音から研究しつ
つ、母語の影響などを研究しつつ論文を書くことは興味深い事と
は思う。しかし、例えばそれが私が二年かけるテーマかというと、
決してそうでもなかろうと思えてくる。
そのようなことを考えながら、それでも大学院なり、大学とい
う機関や人材との関わりの、「いいとこどり」をしたいと考えて
いるのが現状である。
とりあえず、前に進もうと思う。
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===編集日記===
皆様に支えられて「日刊・中高MM」第3499号です。
瀬尾公彦さんの「理想の学び舎作りへ」、お届けします。
・NPO「ベトナムに理想の学び舎を!」
瀬尾先生は一歩も二歩も前に進んでいる。そのエネルギー源は
どこから来るのか、はたまた彼をして突き動かすものは何か。
刺激的で興味深い。是非、着実なる展開を期待します。
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瀬尾公彦(愛知県)
seo@ksn.biglobe.ne.jp
先回のベトナム訪問は3月の話である。今これを書いているの
は9月下旬である。4月にNPOを申請して,それが7月に認可され
た。現在は様々なところで準備を進めているところである。
NPO「ベトナムに理想の学び舎を!」
この名称に伴い、この拙文も「理想の学校作り」から「学び舎
作り」に勝手に変更させていただいた。「学校」には「学校化社
会」と言うように使われてしまうイメージがある。既成のの概念
もある。実際に私たちが目指すのは垢にまみれていない「学び舎」
の方がふさわしい気がしている。
さて、4月より大学院に通うことにした。相談に行くと、「普
通に入学しても良いけれども、こういう制度が今年からできまし
た。」と勧められたのは、科目聴講生。そこでの単位は10単位
まで、後に大学院入学後認められるという。ちなみに大学院卒業
単位は30単位で、これを含めて3年間で卒業するというプラン
の方が。まだ現職で不安定要素の多い私には相応しいと思い、科
目聴講生として入学した。
後から思うと、高校も転勤となり、結構ばたばたしていたので
これくらいが限界で、丁度良かった。科目は3科目6単位分を前
期履修習得した。
前期が終わった現在から書かせていただくと、大学院の講義は
なかなか新鮮であった。ただ、日本語を教える為の学部のために
言わば、高校国語教師の私だけが、その知識もなく、学部から進
学した大学院生や、海外や社会で日本語教師の経験のある方々や
海外の日本語を専門としている交換大学院留学生の人たちの中で
悪戦苦闘もした。
結構厳しい授業もあり、予習にも時間を取られて、仕事の関係
で午前中の講義しかとれず、朝も早いので、職場でダウンする日
もしばしばあった。講義自体は面白かったが、やはり大学院の専
門性は細部に関わることが多く、自分の問題意識とはどうしても
かみ合わない感じで進んでいった。
最初は本当に余裕がなく、職場も新しいので、授業が終わると
高速道路でダッシュで職場に向かう日々であったが、後半になる
と共同研究もあり、同級生と一気に仲良くなり、このことが一つ
の財産となった気がしている。
大学院のクラスメイトの多くの人が、日曜日の私のベトナム人
への授業に顔を出したり、授業を手伝ったりしてくれた。ベトナ
ム人とのSkypeにつきあったり、8月にいっしょにベトナムに同行
してくれた人まで出てきた。簡単に言えば、極めて仲の良い若い
仲間たちができた。
海外からの留学生の人たちとの交流も面白かった。半期留学の
メンバーが甲子園に行きたいと言うので調べてみると、帰国する
前日が開会式で、それでも行きたいというので車で行って、大阪
でカニ料理を食べたりしたのも実に楽しかった。一度経験したい
というゴルフ練習場やバッティングセンターにも行き、先日はベ
トナム人といっしょに諏訪湖の花火大会にも同行した。いろいろ
と1人1人の話を聞けた時間も私にとっては有益で、基本感心し
つつ、若者たちから刺激を受けることとなっている。
そして、大学院の中で教授の勧める、日本語学会にもできるだ
け参加したが、これも得るところがあった。
ただ現在後期も受講し始めたところだが、来年から1年100
万円のお金を払って入学するかは迷うところである。純然たる学
問として行けばそれなりに楽しいとは思うが、ベトナムの事をや
りつつと考えると、今更論文書きでもなかろうと考えてしまうの
である。
私にとって大学院卒業の資格も別に不要ではあるし。その分2
00万円使えば、ベトナムに一戸建ての日本人向けの宿泊所さえ
できてしまうのも現実である。
大学院は、研究して論文を書くのがメインとなる。穿った見方
をすれば,それは儀式のようにシステマティックである。物事を
大きく捉えると言うよりは、細部について、先行論文を遺漏なく
押さえつつ、たかだか2年間くらいでできる内容について、テー
マを設定する。私の関わった大学院生の多くはその事について、
多かれ少なかれ疑問を持ってはいる。しかしそれが日本のみなら
ず、そういう現実がある。
例えば、ベトナム人は、「つ」を「ちゅ」と発音してしまうこ
とがある。そのことの誤用研究というテーマがある。そのような
先行研究の論文はあるだろうし、ベトナム語の発音から研究しつ
つ、母語の影響などを研究しつつ論文を書くことは興味深い事と
は思う。しかし、例えばそれが私が二年かけるテーマかというと、
決してそうでもなかろうと思えてくる。
そのようなことを考えながら、それでも大学院なり、大学とい
う機関や人材との関わりの、「いいとこどり」をしたいと考えて
いるのが現状である。
とりあえず、前に進もうと思う。
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===編集日記===
皆様に支えられて「日刊・中高MM」第3499号です。
瀬尾公彦さんの「理想の学び舎作りへ」、お届けします。
・NPO「ベトナムに理想の学び舎を!」
瀬尾先生は一歩も二歩も前に進んでいる。そのエネルギー源は
どこから来るのか、はたまた彼をして突き動かすものは何か。
刺激的で興味深い。是非、着実なる展開を期待します。
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