寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
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(第2446話) 本当の気持ち

2017年05月20日 | 人生

 “約五十分間の記者会見を一枚の写真で、どう表現するか。フィギュアスケートの浅田真央さんの引退会見は、難しい判断だった。四人の本紙カメラマンがさまざまな表情を撮っていた。テレビで生中継もされたので、多くの読者も見たことだろう。ほとんどの時間が笑顔で、本人も「すごく晴れやかな気持ちです」と語っていた。質問も尽き、さあ最後のあいさつ。そこで初めて沈黙し、後ろを向いて涙を指で押さえた。翌日、朝刊一面を飾った一枚は、その最後のあいさつを終えて会場を後にするため、体の向きを変えた瞬間の顔だった。
 引っ込めた涙の痕が目尻に残っている。表情を追い続けたカメラマンは「真一文字に結んだ唇に、浅田選手の気持ちが表れていると思う」と言った。
 五歳から二十六歳まで。良い時も悪い時もあり、挑み続けた長い競技人生を終える。「晴れやか」「何も悔いはない」の言葉通り、笑顔の写真を選択する手もあった。でも、最後の涙の意味を考え始めると、それでいいとも思えない。確かなのは、この会見が新たなスタートだということ。「笑顔で前に」と語った決意は、この唇に示されていると思った。”(4月30日付け中日新聞)

 写真部長・八木さんの「世談」と言う記事欄からです。タレントやスポーツ選手などにあまりのめり込まないボクであるが、浅田真央選手は例外である。演技の優雅さ、さわやかさ、可愛さ、インタービューも素晴らしい。妻はフィギュアスケートの大ファンであり、テレビ中継は何をおいてもみているが、ボクはチラッとだけである。でも浅田選手の時だけはしっかり見てきた。その浅田選手が引退である。この会見もテレビで見た。そしてこの記事である。カメラマンにもいろいろな思いがあって、ファインダーを覗いている。中日新聞だけでも4人のカメラマンがいたとは驚きである。報道とはそういうものかと知った。そして、あの写真である。浅田選手はやはりプロである。そして人間である。いい写真であったと思う。
 浅田選手は一度引退し、そして復帰した。復帰後の成績はあまりいいものではなかった。「ソチオリンピックシーズンの世界選手権は最高の演技と結果で終える事ができました。その時に選手生活を終えていたら、今も選手として復帰することを望んでいたかもしれません。実際に選手としてやってみなければ分からない事もたくさんありました。」とあります。良いときに辞めて花道を飾ると言う生き方もありますが、ボロボロになるまでやってやり尽くしたという思いで辞めるという方法もあります。この言葉を聞いて、浅田選手にはこれでよかったと思いました。この言葉を聞いて、ますます好感を持ちました。新たなスタートを期待します。


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