今夜は、以前から気になっていたお店に、飛び込みで入ってみました。
外観は、古い小さな(余計なお世話だ)居酒屋。
定食もやっているようなので、お酒が飲めない私でも大丈夫だと思って入ったのですが
なんと、カウンターしかない小さな店内(大きなお世話だ)は
隅からすみまでお客さんがびっしり。
とは言っても、小さなお店なので(しつこい)、全員で12人ですが。
お店の外観からして、高倉健か小林薫のような、渋くて寡黙な男性が
カウンターの向こうで黙々とお料理を作っていることを期待していたのですが
カウンターの向こうには、60代半ばくらいの
やたら元気のよいおばちゃんかひとり。
「ちょっと!この人が座るから、みんな詰めて詰めて!」
おばちゃんの声に従って、みんなが席を詰めて、私の場所を作ってくれました。
イメージと違ったから、出ようかと思ったのに、なんとなく出るに出られない。
カウンターの人たちは、かなり前からの常連だそうで
(隣の席の男性に教えてもらった)
お互いに名前も職業も知っているのだそうです。
なんでも、このお店が、来月いっぱいで閉店してしまうそうで
最近は、常連さんたちが頻繁に集まっているのだそうです。
完全にアウェイな私...。
でも、座っちゃったから、何か食べなくちゃ。
壁に貼られたお品書きは…っと。
「有るものと、無いものがあって、どちらかというと、無いものの方が多いから
ママに今日出来るものを聞いたらいいよ」
2つ向こうの席に座っていたおじさんが教えてくれました。
「あの、ご飯ものが食べたいのですが」
「あらゴメ~ン!ご飯、もうなくなっちゃったの」
あらー、残念。
「じゃあ、お魚料理は何が出来ますか?」
「カスベの煮たのと、鰊の煮たのがありますよ」
「じゃあ、カスベをお願いします」
「冷たいのに煮こごりをつけたのと、温かいの、どっちが良い?」
「では、温かいのでお願いします」
「はーい」
この数分後、私の前に現れたのは
冷たくてぷるぷるの煮こごり付きの、冷たいカスベの煮物でした...。
まあ、美味しいから良い。
でも、煮魚は出来れば温かいものが食べたい。
それに、カスベの煮物ひとつでお勘定をしてもらうのは気が引ける。
「すみません、鰊の煮たものをお願いします」
「はーい!」
数分後に運ばれてきた、温かい鰊の煮物を食べ終えると
私は、常連さんたちで盛り上るお店を後にして、家に向かいました。
ああ、あったかい白いご飯が食べたかった…。