a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

行ったり来たり ~こみあげたり~

2024-03-06 20:00:00 | 稽古場ブログ

『行ったり来たり』の稽古進んでおります。
およそ90年前に書かれたこの作品、「ああ過去ってこんななのね、隔世の感だわ!」という気分にはならなくて、現在進行中の様々な問題が頭をよぎります。

今日、土井敏邦監督のドキュメンタリー「ガザ-オスロ合意から30年の歩み」を見ました。
第一部は故郷を追われ難民キャンプに住むパレスチナ人家族を撮り続けたもの、二部はハマスを追ったものでした。

「分離と閉鎖は違う。分離は我々の自立のために必要だが、閉鎖は生殺しのようなものだ」

パレスチナ人の言葉がこの芝居に取り組んでいる今、切実に響いてきます。
私たちはどのようにボーダーを必要とするのか、あるいはしないのか?
国境間を行ったり来たりするハヴリチェク、どちらの国にも入れてもらえない…

もう一つ私が絶えず想起するのは自分のルーツ、私自身を含む在日朝鮮人のことです。
歴史的背景を伴い日本に生まれ、そして大切な人達に出会い、これからも生活していくだろうこの国なわけですが、心はいつも故郷を欲しがって、行ったり来たりしているような気がします。
この芝居のテーマ曲とも言えるハヴリチェクのソロを聞くと込み上げるものがあります。
国籍の問題ではないのかもしれません。
多かれ少なかれ人間は自分の存在の不確かさに戸惑いながら、行ったり来たりしているのかもしれません。



あくまでコメディとして上演しますが、色んな意味で心を揺り動かす作品になる予感がしています。
またそうなるよう稽古に取り組みたいと思っています。



私は小学校以来のおじさん役、苦戦しております。
多くの方々のご来場お待ちしています!



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東京演劇アンサンブル創立70周年記念公演 第一弾
  行ったり来たり

エデン・フォン・ホルヴァート/作
大塚直/訳・ドラマトゥルク
公家義徳/演出

2024
3/23 (土) 14:00★
3/24 (日) 14:00★
 野火止RAUM

3/28 (木) 19:00
3/29 (金) 14:00/19:00
3/30 (土) 14:00/19:00★
3/31 (日) 14:00
 すみだパークシアター倉

全席自由
前売一般/4,300円 
前売U30/3,300円
★=Low Price Day/3,000円
当日/4,800円

Staff
音楽/monje
舞台美術/公家義徳
衣裳/稲村朋子
照明/真壁知恵子
音響/島猛
舞台監督/永濱渉
宣伝美術/本多敬 永野愛理
制作/小森明子 太田昭

Cast
ハヴリチェク/永野愛理
サメク/洪美玉
エーファ/福井奏美
コンスタンティン/雨宮大夢
ムルシツカ/浅井純彦
ハヌシュ夫人/西井裕美(フリー)
X/原口久美子
Y/志賀澤子
個人教育者/二宮聡(フリー)
その妻/鈴木貴絵
レーダ夫人/町田聡子
シュムッグリチンスキー/小田勇輔

公演詳細、チケットのお申し込みはHPにて
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