見出し画像

雑感録

これがぽ~ちゃんだ その15『FLOWERS IN THE DIRT』

 
FLOWERS IN THE DIRT(1989 Paul McCartney)

イギリスでは久々にセールス的にも成功した快心作。
今回はエルビス・コステロとパートナーを組んで、曲づくりもけっこういっしょにやってる(ライティングのクレジットは本名のデクラン・マクマナス)。
コステロはこれまでの“大物ゲスト”や“子分”とは違い、ジョン以来の対等なパートナーとなったようで、否定的なものも含め、かなりのアドバイスを受けているらしい。
コステロの影響か、3拍子の曲が多いのも特徴だ。
プロデューサーは曲ごとにかなりの数を起用しているが、不思議なことにアルバムのトータリティは失われていない。
アルバム発表後、コアのレコーディングメンバーで久しぶりのワールドツアーを敢行。
1990年3月にはついに日本公演も実現。
東京ドームで行なわれたこの公演には、全6日中3日行ったんだけど、どれもアリーナの後ろの方かスタンド席で、ポールの姿はほとんど豆粒程度(アリーナの後ろよりはスタンドの方が、角度がある分まだマシだった)。
それでも、ポールと同じ場所にいて同じ空気を吸ってるんだ、ポールといっしょに歌ってるんだというあの感激は忘れろと言われても忘れられない(誰もそんなこと言わないけど)。
このワールドツアーの模様は2枚組の『TRIPPING THE LIVE FANTASTIC』とそのダイジェスト版『TRIPPING THE LIVE FANTASTIC: Highlights!』に収められている。
また、1991年には、来日記念盤としてボーナスCDを追加した2枚組『フラワーズ・イン・ザ・ダート -スペシャル・パッケージ-』を限定発売。
おかげで同じようなものを2回買うはめになってしまったではないか(『スペシャル・パッケージ』の方は中古で買ったけど)。
『FLOWERS IN THE DIRT』のメイキングっぽいビデオ『PUT IT THERE』ってのも作られていて、これをなぜかアメリカのお土産としてもらったのだが、当然日本語字幕があるわけでもなく、内容がさっぱり分からなかった。
ちなみに、1991年には当時MTVで流行ってた『UNPLUGGED(The Official Bootleg)』をリリースしていて、これはなかなか聴き応えがあって面白いんだけど、例によって『TRIPPING THE LIVE FANTASTIC』とともに割愛させていただきます。

01 My Brave Face
コステロとの共作のポップナンバー。コステロのススメでヘフナーのバイオリンベースを使用。「テイクミ~トゥウダアプレ~イス」の「プレ~イス」でハモリを入れるなど、意図的にビートルズ的なものを入れこんだらしい。ちなみにPVは日本人のビートルズマニアがヘフナーのベースを盗むが、防犯カメラでお縄になるというしょうもないオチ。
http://www.youtube.com/watch?v=GF4J_YSzqjU

02 Rough Ride
2曲目はなんともけだるい曲。リンダの合いの手、コーラスがけだるさに拍車をかけている(もちろん狙ったんだろう)。

03 You Want Her Too
コステロとのデュエット曲。というか、ポールが歌ってコステロがゴニョゴニョ言う。またポールが歌ってコステロがゴニョゴニョ言う。んでサビは二人のコーラス。しかし、コステロのやんちゃな歌い方って意外とポールのボーカルにはまるなあ。

04 Distractions
これまたけだるい曲で、マイナーだかメジャーだかよく分からない感じだが、『Rough Ride』よりはるかに洗練されている。お得意のオクターブ唱法もいい。
http://www.youtube.com/watch?v=m7A6E0jZRvE

05 We Got Married
結婚の歌だが華やかで幸せ一杯なそれではなく、とても現実的っぽい(細かい内容は分からんが)ところがいい。当時仲間内では最初に結婚するカップルがいて、ライヴのチケット(自分が行けなかった日の分)にこの曲を添えて贈ったもんだ。ギターはまたもやギルモア、ちょっと長いぞ。

06 Put It There
久々に快心の小品。小品ながらシングルカットするくらいだから、本人もよっぽど気に入ったのだろう。ビデオ『PUT IT THERE』ではズボンをまくっての必殺技・膝叩きの解説をやっていた。ストリングスはジョージ・マーティンのスコアによるものらしい。

07 Figure of Eight
ツアーの話を聞いたときに、オープニングはこの曲しかあり得ないと思ったくらいの痛快なロック(実際その通りだった)。全体をリードしたというルート打ちのベースもカッコイイし。でも、ポールの歌唱力がなければこんなカッコイイ歌にはならないだろうな。どうでもいいけど、CDで聴いていたので、レコードではこれがA面ラストなのかB面頭なのか長いこと疑問だった。

08 This One
ポールならではの最高のポップソング。“This One”と“This Swan”をかけていて、内容的には「気持ちはちゃんと伝えないと、タイミングを待ってちゃいけないよ」って感じ。男女間のことだと思って当時は感じ入ってたものだが、どうもジョージのことを歌ってるらしい。まあ、詞を作るきっかけになったことをそのまま出すんじゃなく、男女のことなどに置き換える。当たり前のことなんだけどね。本人が語らなきゃ分からないんだけど、別に受け取り方は聴く人次第でいいんだし。「ホワッロ~ポ~チュ~ニティ~」からの盛り上がりと最後のバースのファルセット、一転ブルージーなエンディング、素晴らしい。
http://www.youtube.com/watch?v=9pb-8bdhogs

09 Don't Be Careless Love
美しいコーラスをバックに静かに始まる現実。「ドオ~ン、ビ~、ケ~レ~スラアアッ」とお経をあげて、シャウト気味に力強く歌って夢の中へ。コステロ色の強い(?)、不思議な展開と不思議な内容の曲。『ケアレス・ラヴに気をつけて』という頭痛が痛そうなケアレスな邦題はなんとかしてほしい。

10  That Day Is Done
これもコステロと共作の、物語風でダイナミックなワルツ。早漏が恥ずかしくて(アイフィ~サッチソウロ~、アイフィ~サッチシェイム)別れた男女の物語。「ダッデイイズドワ~ア~アン」、く~、泣けてくるよ。ピアノはニッキー・ホプキンス(メアリー・ホプキンスのお兄さん)が弾いているらしい。ちなみにこの曲の中の一節で、「シ~スプリンコ~、フラワ~ズインザダ~ッ」とアルバムタイトルが登場する。『ふりむかないで』と、2曲続けてお願い調の邦題がついていたとは知らなかった。

11 How Many People
チコ・メンデスとかいう人に捧げたというレゲエナンバー。以上。

12 Motor of Love
コステロとは関係ないけど、“スケールの大きなバラード”ワルツ編。でも、個人的にはちょっと…。

***CD版ボーナストラック***
13 Ou Est Le Soleil
初版のボーナストラック。なんというか、まあどうでもいいや。何て歌ってるのかもよく分からんし。

14 Back on My Feet  
ここから3曲は再版時に追加されたボーナストラック。これは1987年のシングル『Once upon a Long ago』のB面で、コステロとの共作。コステロっぽいのかどうか知らんが、こんな曲もつくるんだ。

15 Flying to My Home
先行シングル『My Brave Face』のカップリング。これを聞きたくて、初めてシングルCDというものを買った。アカペラから始まるスローなロックナンバー。

16 Loveliest Thing
シングル『Figure of Eight』のカップリング。妙なカウントから始まり、不思議なコーダで終わる。悪くないんだけど、この手の曲にしてはボーカルにエコーを効かせすぎてて、安っぽく聞こえてしまう。

***スペシャルパッケージボーナスCD***
01 Message
何て言ってるのか分からんが、日本のファンへのメッセージらしい。

02 The Long and Winding Road
おそらくワールドツアーから。『BROAD STREET』のときよりもはるかに本来のイメージに近そう。

03 Loveliest Thing
再販時に本編のボーナストラックになってしまった。

04 Rough Ride
ビデオ・ヴァージョンらしい。やっぱりけだるい。

05 Ou Est Le Soleil (7"MIX)
どうでもいいもののミックスが変わったところで…。

06 Mama's Little Girl
シングルカット『Put It There』のカップリング。『WILD LIFE』の再販時のボーナスにも収録。

07 Same Time Next Year
こちらも『Put It There』のカップリング。録音はなんと『BACK TO THE EGG』のときなんだと。

08 Party Party
ソングライターのクレジットはワールドツアーメンバー全員。“連名”ってことでしょうか。まあ、いかにもジャムな曲。長いし。

09 P.S. Love Me Do
ワールドツアー用の曲で、もちろんビートルズのデビューシングルのA面とB面を合体させたもの。スタジオ録音版はこの日本限定版にしかついてないらしい。個人的にはカッコよくアレンジし直された『I Wanna Be Your Man』の方をスタジオ版で聴いてみたかった。

***この時期の他のオリジナルシングル***
I'm Gonna Be a Wheel Someday
CDシングル『My Brave Face』のカップリングでファッツ・ドミノのカバー。『СHOBA B CCCP』に収録されたもの。どうでもいいけど、『СHOBA B CCCP』ってやっぱロック初心者のロシア人向けだよなあ。

Ain't That a Shame
同上。

The First Stone
CDシングル『This One』のカップリング、ヘイミッシュ・スチュアートとの共作。いや、なかなか面白いよ、コレ。スピード感あるし。

I Wanna Cry
CDシングル『This One』のカップリング。思いっきりギター弾きたかった…て感じでもないんだけど、スローなブルース。『СHOBA B CCCP』時の録音らしい。

I'm in Love Again
CDシングル『This One』のカップリングで、ファッツ・ドミノのカバー。『СHOBA B CCCP』に収録されたもの。

つづく
CONTENTS

フラワーズ・イン・ザ・ダート
EMIミュージック・ジャパン
詳細を見る

フラワーズ・イン・ザ・ダート スペシャル・パッケージ
EMIミュージック・ジャパン
詳細を見る


ポール・マッカートニー・ライヴ!! 1989-1990
EMIミュージック・ジャパン
詳細を見る

ポール・マッカートニー・ライブ ・ハイライツ!!
EMIミュージック・ジャパン
詳細を見る


ポール・マッカートニー: ゲット・バック [DVD]
パンド
詳細を見る


プット・イット・ゼア [DVD]
ハピネット・ピクチャーズ
詳細を見る


公式海賊盤
EMIミュージック・ジャパン
詳細を見る

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「ぽ~ちゃん」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事