「原発と映画」プロジェクト準備ブログ

原発に関する映画の紹介をメインに2011年から書いているブログです。

原発に関する映画その78  「終の住処を奪われて」

2018-05-18 23:52:29 | 原発と映画

3月に、2017年夏に完成した福島原発被害東京訴訟の映画「終の住処を奪われて」をみて、同訴訟の団長でもあり、この映画の主人公でもある鴨下祐也さんと遠藤大輔監督のトークを聞いてくることができました。


https://motion-gallery.net/projects/fghtokyososhou

https://www.youtube.com/watch?v=aVhkYTtMqF0

こちらの映画は37分のドキュメンタリーということで、この手の映画は、ただ映像を並
べただけのニュース映像みたいなものもあり
がっかりすることも多いのであまり期待しないで、みたのですが、ものすごくいい映画
でした。

監督の遠藤大輔さんのお力だと思います。
薬害エイズや肝炎の問題や、ホームレス問題など社会問題をとりあげた映像を、20~25
年間撮り続けてこられている方で、いつもテーマは向こうからやってくるといっておら
れました。
前作ホームレスのことをとりあげた映画の劇場公開時に、福島から避難のおかあさんか
ら声をかけてもらい、次の映画はこれになるのだろうと予感したそうです。

そして2012年から取材をはじめ、弁護士さんがいつも福島からの避難者の集会に顔をだ
されていたので、裁判が起きるのだろうかと思ったけれども、当時は集会の映像をとる
のも怖いという感覚があるときで
表にたとうという避難者もいない時期だったと振り返って語っておられました。

多くの避難者の話を聞く中で、この問題は実に一人ひとりが抱えているものが違うこと
も理解されたうえで、一人の人に焦点をしぼることで
その人の上に起きた悲しみや怒りを共有してもらうという方法で映画を撮ることに決め
られて、ずっと鴨下さんに密着取材してきたそうです。

鴨下さんが科学者としてこの問題に向き合っているということも最大限押し出した映画
となっていました。

鴨下さんの自宅の土壌測定の様子はもちろん、室内のほこりがなぜ汚染されるのかの説
明もありました。
高専の屋上で水耕栽培されていた機械を全部除染して、それから育てた野菜をはかって
、それも放射能が検出されたので、夢をかけていた高専での屋上菜園を断念した話とか
もありました。

住宅問題では、国と福島県と両方に交渉しながら、矛盾を明らかにしていく様子もとら
れていました。

もちろん東京訴訟で明らかにしてきた国の責任が何かということも描かれていました。

他の同種の裁判を広めるためにも、役にたつ映画と思いました。

☆トークの中では、今回の映画にはいれたかったけれど、いれなかった問題が二つあり
、それは食の問題と東京の汚染の問題だという話もありました。
食の問題では、鴨下さんはチェルノブイリ事故のあと一年間は牛乳を飲むのをやめてい
たくらい、放射能問題を気にはされていたとのことで、2011年の前と後で国の測定方法
が違っていることを知ってほしいという話でした。
今ほとんどの食品がNDになってきているけれども、2011年前の100倍ゆるい検出限界で
の測定に変わっているからこそという指摘をされてました。
東京にも汚染があり、月間降下量が昨年は福島に次いで第二位だったなど、2~5位をい
ったりきたりしているけれども、東京の汚染があまり減っていかないのは、焼却の問題
が大きいような気がしているという話も鴨下さんからあり、同感しました。
住宅問題の現状についての話もありました。


 


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