出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

取引条件の変更

2010年03月15日 | 出版経理
最近ちょっと疑問に思っていることがある。

委託と注文は、どちらになるか自ずと決まってきて、なおかつ最初から決まっている条件の取引になるという理解でいる。つまり、新刊だと言って見本を持ってって配本してもらったら新刊委託だし、受品口に持ってくのは注文。返品についての前提とか建前の話を抜きにすれば、特に細かく変わってくるような要素はない。

たまに、他の注文と同じルートだが、「長期か延勘で頼むよ」という注文が来る。新規出店の書店向けだったり、数が多かったりする場合だ。そうやって「お願い」されるので、なんとなく「お互いが合意したら成り立つ、委託&注文以外の特別条件」と思っていたんだが、もしかして違うのだろうか。

最近、某取次から受け取る某ネット書店からの短冊に、「3延でお願い」と書いてあるのである。

うちは受品口で短冊を受け取って、その場で本に挟んで納品する。リアル書店からの注文だといろいろ吟味して楽しむんだが、ネット書店はパッと見て分かるので、パパパッと作業する。

最初に気づいた日はちょっと急いでいて、伝票を書いてお姉さんにハンコをもらうときになって、本からはみ出してる短冊の見慣れない文字に目が行った。が、急いでいたので、まあいいかと、そのまま(伝票は注文扱い)にしてハンコをもらってしまった。

その次の納品のとき見ると、やっぱり3延でと印刷されている。一瞬、倉庫の違いかと思って、もう1回様子を見ることにした。3回目、やはり印刷されている。その書店からの注文はすべてということらしい。

ここで思い出したのは、出版を始めて3年くらい経った頃だったか、取次から呼び出されてお叱りを受け、取引条件をちょっと変えるよと言われたことである。お叱りを受ける理由はもっともだったし、掛け率じゃなくて支払時期なら「いいよ、待ってやる」と強気にもなれたので、合意した。

3延というのは当時の変更と同じ種類の変更だが、そのバックグラウンドも同じなのだろうか。もしそうだとしたら、なぜ呼び出されないのか。電話して聞いてみればいいんだが、やぶ蛇になる気がして、今のところとりあえず無視している。

そもそも、無視していていいものなのだろうか。個人的には、最初に取り交わした契約と違うのなら、呼びつけて(でもいいから)「次から変える」と双方で確認するべきじゃないかと思う。というか、これまでそう思っていたんだが、もしかして「そういう条件は、あちらさん指定」なのか。

他の考え方もある。今までの長期や延勘の注文は、理由が分かりやすかった。新規出店か大量注文である。新規出店の店の在庫が委託期間中の新刊以外全部注文扱いだったら大変なんだろうし、「いっぱい注文するんだからちょっと色つけて」ということもわかる。

特に新規でもいっぱいでもないとなると、誰か(取次か書店)が「苦しい」のかと変な詮索をしてみたくもなるが、おそらく最初に疑った弱い者いじめの確立のほうが高いと思われる。

弱い者にならないためにもっと頑張らないといけないが、とりあえず無視でいいのか?

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