出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

書店「さん」

2006年06月08日 | 出版の雑談
最近このブログを通じて、創業ウン十年の出版社の営業をされている方と知り合った。私が孤軍奮闘しているのがかなりオモシロイらしく、書店向けのファックス通信で記事を書くとのことで、うちの事務所まで来てくれた。

人に話を聞いてもらうのは、本当に楽しい。本当はただ細々とやってるだけなんだが、なんかエライことをしているようで、いい気分になる。が、出版営業のプロということで、こっちからの質問のほうが多くなってしまった。

ひとつ気づいたことがある。

この方は、常に「書店さん」と言うのである。私と2人だけで話していて、別に書店向けのスピーチでも何でもないのに、いつも「書店さん」。ところが自分で話したり質問したりして気づいたのだが、私は「書店」と言っている。やっぱり、書店営業の人は違うな~と感心した。

自分のことを振り返ってみると、売っていただくのはありがたいし大切な間接的取引先だが、さん付けするのはなんとなくピンと来ない。(ちなみにこのブログでは、この方を含めてあまり「敬意を表する書き方」をしていないが、それはあえて簡潔に書いているからである。) 

関係ないが、以前、福祉業界の人が「利用者様」と言ってるのを聞いて非常に不快に思ったことがある。ただ様をつけてるだけで、態度が伴ってなかったからだ。利用者という客観的というかニュートラルな言葉に「様」が付いてるのにも違和感がある。

「読者さん」とは言わない。「取次さん」と言う人はいるんだろうか?

よく考えてみると、私も「本屋さん」とは言う。読者というか客の立場のときに、よくそう言う。八百屋さんとか魚屋さんと同じ感覚だ。コンビニさんとかスーパーさんとは言わないことを考えると、「ありがたくて親近感がある」相手じゃないとさん付けしないということか。コンビニのように用を足すだけの相手だと、付けない。用を足したことに対して多少なりともありがたく思うと、付けるのか。

となると、やっぱり自然に「書店さん」と口から出るようにならないとダメだ。「本屋さん」と同じくらい身近にならないと。

イメージトレーニングだか刷り込みだか忘れたが、物事は思い込んだほうがいいらしい。あまり書店営業には行かないんだが、今後は心して「書店さん」と言うようにしよう。

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (ケイ)
2006-06-09 11:04:17
書店営業をしています。やはり私も「書店さん」と言います。読者は「読者の方」です。習慣的に。

取次の場合は社名で呼ぶことの方が多いので「取次さん」という機会はないですね。
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私も初めまして… (Taro)
2006-06-09 16:32:40
編集の者です。私の場合、やっぱり営業の方々の言い方にならって最近「書店さん」と言うようになりました。また、「読者」の言い方も、とある著者さんが「読者さん」と言っていてちょっといいなと思ったので、よく使います(あ、「著者さん」は無意識に使ってます…)。



もちろん、なんでもかんでも「さん」づけがいいとは限りませんが…。
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Unknown (Unknown)
2006-06-10 00:54:09
仕事相手のことを話す時は、基本的に「さん」付けではないですか。

例えば「紀伊國屋さん」「岩波さん」「トーハンさん」と、取引先だけではなく、同業他社にも付けます。

その会社の人がその場にいてもいなくても、へりくだった感じというか、仲間意識というか。

取次のことが呼び捨て(?)だから、このブログからは微妙に傲慢な感じを受けますよ。
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○○屋 (通りすがり)
2006-06-10 11:44:36
学生時代、京都で花屋のバイトをしたとき、ある納品先で入り口がわからずオロオロしていると、

「おい、花屋!こっちだ!」

とおじさんに言われました。

その時、「『花屋』はねぇだろ...」と思った記憶があります。

なんとなく微妙に見下された感じがしたのを覚えてます。



が、振り返ってこのことをこうやって書いてみると、1行目にはなんの抵抗もなく「花屋」と書いている私がいます。

相手との相関関係、立場などが絡む微妙な問題なんだと思います。
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荒すつもりはありません。 (まんねり)
2006-06-10 23:56:46
>このブログからは微妙に傲慢な感じを受けますよ。



ブログとはそれぞれ個人の表現の場であり、社会的常識さえわきまえれば、なんの規制もないはず。

そのような場で上記のようなコメントをする人間こそ「傲慢」でしょう。

ネットの世界でも現実世界でも、考えを押し付ける人、または場の空気が読めない人は居るもんですな。

良識ある人間なら、不愉快なら見なければよいのでは?

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ケイさん、はじめまして (タミオ)
2006-06-12 10:27:43
私、元々はどちらかというと「○○の方」という言い方のほうが好きです。

書店さんという呼び方は、業界言葉とまでいきませんけど、倣っていくつもりです。
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Taroさん、はじめまして (タミオ)
2006-06-12 10:31:33
>なんでもかんでも「さん」づけがいいとは限りませんが…。



個人的に、雑誌などで芸能人にさん付けしてるのが気になります。これは、へりくだるというより「丁寧にすることによって逆に親近感を持たせる」って高度な技なんでしょうけど。



若い子じゃ合わないかもしれないけど「○○氏」のほうが好きです。
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Unknownさん (タミオ)
2006-06-12 10:33:35
>仕事相手のことを話す時は、基本的に「さん」付けではないですか



えーと、仕事相手と話すときは美しい敬語を使うこともできますが、このブログは仕事じゃないもんで・・・



傲慢な感じを受けるのは、言葉遣いもそうですが、文句ばっかり言ってるからだと思います(笑)
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通りすがりさん (タミオ)
2006-06-12 10:41:50
面と向かってる場合は、マナーは結構クリアなルールみたいなもんと思います。が、「おい! 花屋!」は複雑ですね。



「花屋」が「本屋」みたいな親しみのある言葉なのかわかりませんが、そうでもないような。失礼であることは事実としても、「おじさん」は「学生」より年上でしょうし。



>1行目にはなんの抵抗もなく「花屋」と書いている私がいます



私のブログに対するコメントで、何の問題もないのではないのでしょうか。「お花屋さん」じゃ主婦の会話みたいですし(^^;
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まんねりさん (タミオ)
2006-06-12 10:44:34
実は、傲慢だという自覚はあるんです(笑)

「エラそうに・・・」と流してくれたらいいなと期待しつつ、文句を書き連ねるって感じでしょうか。
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