出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

規模の違う営業

2008年02月18日 | 営業
昨年末に出した本がNHKの人の目に留まって、著者がある番組に出演することになった。凄いことである。

うちの発刊頻度や業界全体の新刊数などのことを考えると、意外とうちの本は「取り上げられ率」が高いんじゃないかと、密かに喜んでいる。類書がなくて苦労すると、同時に取り上げられるチャンスは高まる。今回は特に、「こんなの初めて見ました!」とコンタクトをされたので、やった!という気分だった。

思い返せば、まだ何もよくわかっていなかった頃、新聞に(書評じゃなくて小さい記事)載ったときは、一人でお祭り騒ぎをしたものだった。喜ぶばっかりで、ちゃんとチャンスを活かしたとは言いがたい。今回は、そのへんきっちりと数字につなげなければならない。

ありがたいことにアドバイスをくれる人もだんだん増えてきたので、さっそく相談した。飲み会の席だったせいもあるが、みんな「いけいけ!どんどん!」営業をしろと言う。普段はコストのかかる営業はしていないので、書店へFAX営業するだけで私としてはOKとしたかったんだが、書店チェーンの本部がどうのこうの・・・なんて話が出てくる。

はい、せっかくですから私も頑張りますが、考えるだけで血圧が上がってしまう。紹介すると言われても、ビビってしまう。しかし問題は、営業嫌いでビビっていることではない。

再委託とか、取次の別の部署がどうのこうのとか、書店チェーン本部取りまとめの数を見て増刷しておいてチャンスを逃さないとか、うちの普段の規模からかけ離れているのである。「テレビで見て本屋に行って、あれば買うけどなければ買わない」という理屈だけは理解している。「リスクもあるから、ここは勝負ですよ」と言われると、そうだよなとも思う。

前回(新聞のとき)は、「ま、最悪10人くらいは買うだろう。ただで出るんだからよしとしよう」と思って、ふたを開けたら3ヶ月で500部くらい動いた。うちの感覚では、数的に問題があるわけではない。が、今回はそういう受け身じゃダメだし、だからいろんな人からアドバイスをもらっているんだが、どうにも怖い。

人によって言うことが違う。本部で注文をとりまとめてもらうことに対して、「勝手に注文しやがってと思う支店が多い」という説と、「そういうチェーンは本部仕入れに慣れているから大丈夫」という説がある。それぞれの出版社でそれぞれ経験して得た知識だろうから、うちも「経験」すればいいんだろうが、いっぱい失敗するのは怖い。どちらかというと、少しずつ大きい規模に慣れていきたいのである。

とりあえず、テレビと言ったって紹介のされ方次第だというのはわかった。誰かが「これ、よかったんですよ!」と、損得抜きに褒めると動くらしい。ただタイトルが出るだけなんてのは、あまり動かないらしい。ま、当たり前。

今回は「よかったんですよ!」系統ではなく、下手すると「著者をかっさらって自分とこの番組をうまいこと作る」系統になるかもしれない。それでも全国ネットなので、やっぱり準備はしておきたい。

ここ数週間、悩んだりビビったり、しなきゃいけない営業を想像して気が滅入ったりしていた。が、やっぱり本屋さんでの展開については本屋さんに聞くのが一番だと腹をくくることにした。本当はうまい売り込み方とかあるんだろうが、こっちもビクビクなのを隠したってしょうがない。プロの判断をあおげばいいのだ。「さっさと在庫をさばく」ことをまず目標にしておいて、本屋さんの意見を聞くことに決めた。

最後に、小ネタをひとつ。

そのテレビに著者が出る本のちょっと後に、委託配本しない本を出した。注文対応だけできるように、取次には書誌の登録をお願いした。トーハン・日販ともに『見本は2冊」であった。ちょろちょろと注文分を出荷していたんだが、TRCから来るTBレポートを見ると、なんと図書館に3冊納品されている。2冊はわかるが、あとの1冊はどこから調達したのか。日販からもらったんだろうか。

2 コメント

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おじいさんはぼく (ぱんた)
2008-02-22 18:29:56
またまたお邪魔します。

小ネタの本は『おじいさんはぼく』でしょうか。
それでしたら、少しづつですが日々売れていますよ。
(日販からは貰っていません)
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ぱんたさん (タミオ)
2008-02-26 17:33:19
いつかご挨拶できたらと思っておりましたが、そうでしたか!
トーハンさんからも大洋社さんからも注文いただいて、
少々不安になっていたところでした(笑)

どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
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