土橋 章宏著
「いも殿さま」
いや~今年最後にいい本に出会いました
笑いあり、涙あり
そしてハラハラドキドキあり
本の表紙の絵はお芋の花
でも、お芋の花って余り見た覚えがないですね~
ジャガイモの花はよく見かけますけどね
さてお話は
幕府の勘定方
旗本の井戸平左衛門
もうすぐ還暦
そろそろ勤めを辞め、大好きなスイーツを食べる旅にでようと思うと
用人の藤十郎に話す
平左衛門は、出世にはまるで興味がないため
上役に付け届けをしたことも
又賄賂を受け取ったこともない
しかし、経理の仕事は手抜かり無し
辞職することを申し上げようとした矢先
大岡忠助に呼ばれ
「石見銀山に行ってくれと」
と言われる
「隠居をしようかと考えています」
と、お断りを入れると
大岡は、彼が大のスイーツ好きなのを知っていて
上様に献上されるお菓子をちらつかせる
「行きます」
その一言で彼の人生ががらりと変わってしまうのでした
用人の藤十郎も丁度恋に破れた勢いで
平左衛門についていく
しかし、二人のついた石見銀山は貧しい貧しい所だった
農民の苦労など、机上のことだった平左衛門は
今までの食べ歩きの日々を深く反省するのだった
そして、飢饉で米が穫れずに
銀山の銀もあらかた取りつくされていた
ひょんなことから
薩摩に唐芋というのがあるということを知った平左衛門
平左衛門は薩摩に行くという
しかし、代官の平左衛門に行かせるわけにいかないので
藤十郎が行くことになる
そして、藤十郎と後二人の
ハラドキ、芋、持ち帰りの旅が始まる
命からがらも、無事に種芋を持ち帰ることができたのである
そして、田には稲穂が実り、あと少しで収穫
腹いっぱい食べさせてあげられると
平左衛門は心から喜ぶのだった
しかし、しかし、
その収穫直前の稲穂をイナゴにやられてしまうのだった
食べるものはなく、餓死するものがでてくるだろう
芋はまだまだ来年、再来年のこと
平左衛門は、年貢米として少しあった米を放出し農民を助ける
しかし、それはやってはいけないこと
いも殿様~
と農民や銀山の抗夫達の平左衛門を慕う声の中、唐丸籠に乗せられ護送される
そして、平左衛門は・・・
と、まあざっくり書くとこんな感じの話しです
実在の人物だったんですね
あんなに好きだった甘いものも食べずに
私財も全部投げうって
息子の死に目にもあえずに
唯々民のことを考えた平左衛門
本当にいいお話でした
もしよかったら読んでみて下さい
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