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遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(549) 小説 <青い館>の女(38) 他 愚人大統領

2025-05-25 11:25:50 | 小説
               愚人大統領(2025.5.23日作)



 この 大言壮語の果ての無能ぶり
 アメリカと言う国の品性 権威が
 日毎 月毎 低下 失われ
 渦巻く嘲笑の波は
 世界各地に沸き起こる
 それでも御当人 何処吹く風の
 暴言 妄語 愚行の数々 乱発
 アメリカ大統領 トランプ
 かつては限り無い憧れの国 
 垂涎の的だったアメリカ
 只今現在 その魅力は失せ果てて
 失望と軽蔑の対象国へと成り下がって行く
 無能な大統領 下卑た動作のあの 身振り手振り
 歪めた顔での悪口雑言 世界各地に撒き散らす
 品性 品位 資質の欠けらも無い アメリカ大統領
 愚かで無能なトランプ故に
 世界の平和 秩序が乱され 日毎 月毎
 壊れてゆく 




          ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




              <青い館>の女(38)




「切ってしまった」
 わたしは気を取り直して加奈子に言った。
「なんて言ったんですか」
 不安気な表情で加奈子は聞いた。
「会う必要なんか無いって言った」
「全く卑怯なんですよぉ」
 込み上げる怒りを抑えられない表情の憎悪を込めた口調で加奈子は言った。
 わたしは手に持ったままの受話器を元に戻した。
 加奈子は窓辺へ行くとカーテンを揺らす事なく小さく開いて外を覗いた。
「見えるかい ?」
 その背中に問い掛けた。
「見えないですよぉ」
 加奈子は外を見詰めたまま言って、なお外を覗いていた。
 その夜は再び電話の鳴る事は無かった。
 男はわたしと加奈子の上に共通の影を落として新たな気懸かりとなった。
 その夜、わたし達は同じ難題を抱えた者同士としての共通意識の下、思いも掛けない充足感を何時もの行為の中で得ていた。
「だからと言って、無理をしてはいけません。抑制だけがこの安定を保証してくれるんですから」
 斎藤医師の言葉が頭を過った。
 斎藤医師は常にわたしの暴走を牽制する様にこの言葉を口にしていた。
「言わば、終身執行猶予の身と言う事ですかね」
 わたしは取り戻す事の出来ない虚無感の中で、斎藤医師の言葉を肯定するより仕方がなかった。
「まあ、そう思っていれば間違いありません」
 斎藤医師は軽い微笑と共にわたしの言葉を受け入れた。
 男はその夜以降も、格別、変わった行動に出て来る事は無かった。
 それでも加奈子に付き纏っている事に変わりは無くて、電話の夜以来、わたしには奇妙にそれが気になって、小うるさく鬱陶しいものに思えた。
 心の表層を荒立てられる様な気分の居心地の悪さと共に、男の存在を抹殺してしまいたい苛立ちに囚われた。
 無論、直接的な行動に出る事など出来るはずもなくて、わたしは苛立ちだけを募らせた。
 北の街の支店ではその間にも開店一周年を迎えていた。
 記念の感謝セールと銘打った安売りが一週間にわたって行われた。
 改まっての行事、パーティー等は行わなかった。
 経費削減、簡素が義父から受け継いだ<スーパーマキモト>の経営理念で、それはわたしや息子の代になっても受け継がれていた。
 わたしはそれでも、感謝セールの最終日には支店長に、売り場の主任達だけでも一年の労をねぎらう様に言って、その為の出費を認めた。
「だから、あなたは甘いって言うんですよ」
 妻なら多分,そお言うだろう。
 無論、構わない。
 これまでにもわたしは、義父や妻には内緒で何度もそうして来たのだ。
 北のこの小さな街で思いも掛けない成績を上げた従業員達の労をねぎらうのも悪くはない。
「なかなか良いですねえ。結構、遣り手ですよ」
 東京本社から送り込んだ川本部長も若い支店長の手腕を高く評価していた。
 その支店長が希望している中古車販売に関しては、目立った進展は見られなかった。
 息子はまず、中古部品の販売から入りたい意向で、その方面との提携を模索していた。
 わたしは息子の依頼で、提携相手になりそうな業者を何度か現地に案内したが、息子は相変わらず多摩地区の物件の立ち上げに向けて精力的に動いていた。
「親父さんに北の街へ案内して貰った篠田興業が、話しに乗ってもいいって言って来たよ」
 本社のわたしの部屋へ顔を出した時、息子は言った。
「いいって ? で、どうするんだ。進めるのか ?」
 わたしは部外者の様に熱意も無く聞いた。
「うん、進めようと思うんだけど、今直ぐにっていう訳にもゆかないんだよ。ちょうど、多摩地区の物件も煮詰まって来ているし、先にこっちの目安を付けて置きたいんだ。だから、篠田興業の方は当分、見ていて貰いたいと思ってるんだ」
「多摩地区の相手は急いでいるのか ?」
「急いでる訳ではないけど、篠田興業の社長には、一応、会長に相談してみて詳しい返事は後でするって言って置いたんだ」
「まあ、繋ぎは付けて置くが、最後の交渉はお前がすべきだなあ。お前がこの会社の責任者なんだから」
「うん、それは分かってるよ。だから、もう一度相手の実態を詳しく洗い直してみて、間違いが無ければ進めようと思うんで、それまで繋いで置いて貰いたいんだ」
 わたしが北の街へ向かう月に一度位の割合はその間も変わりなく続いていた。
 その度にわたし達は加奈子の部屋で会う様になっていたが、それも慣れて来ると如何にしても部屋の狭さが気になった。
 普段、広い部屋で気ままに過ごしている身には、その狭さが何に付けても息苦しく思えた。
 わたしは北の街へ向かう飛行機の中で次第に一つの思いに没頭する様になっていた。
 最早、不治とも言える身体不調を抱えて日々、鬱々として過ごす身に取って北の街は、思いも掛けず偶然出会った年若い一人の女の存在と共に何故かしら、不思議に生きる事の息苦しさと滅入る気持ちを解き放ってくれる空間になっていた。
 その北の街で生きる為に、加奈子にマンションの一部屋を買って与えてはどうか ?
 これからも加奈子との関係を続けてゆく為には一つの良案に思えた。
 今のわたしには決して不可能な事では無かった。
 それ位の事なら何時でも出来る。
 無論、名義は加奈子のものにする。
 加奈子も恐らく厭とは言わないだろう。
 マンションの住居が自分の物になるのだ。
 それにわたし自身、北の街へ来る度にあの狭い部屋へ行かなくて済む事になる。
 周囲の眼を気にする必要も無くなる。
 今のわたしに取って最良の構想に思えた。
 あとは加奈子がなんと言うか ?
 恐らく、世間一般の常識から見た時、如何にも馬鹿げて物好きな戯(たわ)言に思える違いなかった。
 然し、当のわたしに取っては戯言で済まされる事では無かった。
 残り少ないわたし自身の人生に於ける最後の自分自身を生きる為の一つの道に他ならなかった。
 悔いなく残り少ない最後の人生を生きる。
 後はわたし自身が納得無出来ればいい。
 わたしは加奈子を付け廻す男の存在も考えた。
 もし、住所が変われば男も付け回しが出来なくなるのではないか ?
 だが、直ぐにその考えの甘い事に気付いた。
 例え、住所を変えたとしても、仕事からの帰りを付けられた直ぐに住所はばれてしまう。
 男の眼から逃れる為には住所を変えるだけでは駄目なのだ。




             ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




              tyakeziisan様


               このブログをお止めになるとの事
              長い間 何時もお眼をお通し戴き有難う御座いました
               新しいブログわたくし自身 対応出来るかどうか分かりませんので心配です
              ちょっと拝見して なんだか記事が狭苦しく感じられる印象でした
              わたくし自身もこれから何処かへ移動しなければなりませんが         
              こういう事に疎い身に取っては心配の種です
               いずれにしても長い間 有難う御座いました
              感謝申し上げます
 

 
  


 
 
  
 
 














































 

遺す言葉(548) 小説 <青い館>の女 (37) 他 愚人賢人

2025-05-18 11:33:52 | 小説
              愚人賢人(2025.4.25日作)



 権力的高い地位にある人間
 地位ゆえの自己過信と共に
 権力維持の為 往々にして
 横暴 暴挙に走り勝ち 
 折角 得た地位 名誉 名声 尊敬 等々
 台無し 無にして 結果 批判 非難の下
 人知れず消え去ってゆく
 市井に生きる名も無き人々  
 名も無き故の謙虚さ 日々
 人の眼に触れぬ場所での隠れた善行徳行
 日々 人の眼に触れなくても
 人から人 口から口
 噂は広がり その輪は次第に広がり 大きくなり
 深さを増し 賞賛 賛美の下
 生涯を全うし得る
 無名の賢人
 高位の愚人
 共に真実 その姿




              ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




               <青い館>の女(37)




 
 加奈子はそれでもそれ以降、深夜の帰宅時にはなるべく同僚の女性を誘ってタクシーで一緒に帰って貰う様にしていた。
 そんな時、街路樹の陰に隠れている男の姿が見られたりして、
「あそこだよ、ほらぁ、あそこにいるじゃん」
 加奈子が言うと、同僚も一緒にタクシーを降りてくれて、
「二人で行って、文句を言ってやろうよ」
 と言った。
 男はだが、二人に気付くとすぐに逃げてしまった。
「全くぅ、卑怯な奴ったらありゃしない」
 加奈子は悔しさを吐き出して言った。
 そんな男はわたしがほぼ月に一度の割合で加奈子に会っている事を知っているのだろうか ?
 ある夜、わたしが加奈子の部屋に居る時に電話が鳴った。
 午前一時を過ぎていた。
 加奈子はすぐに男からの電話だと察した。
 わたしの顔を見つめたまま受話器を取ろうとはしなかった。
 わたしはその様子を見て自分で手を延ばし、受話器を取った。
 途端に電話は切れてしまった。
「切れちゃった」
 わたしは加奈子を見詰めて言った。
「あいつからですよぉ」
 加奈子は言った。
「こんな事はよくあるの ?」
 受話器を握ったまま聞いた。
「しょっちゅうですよぉ」
 加奈子は辟易した口調で言った。
「だからぁ、夜中は何時も電源を切って置くんですけどぉ、さっき電話を貰ったままでぇ、切るのを忘れちゃったんですよぉ」
 加奈子は言った。
「電話番号は教えたの ?」
 男が電話番号を知っている事自体が疑問に思えて多少の非難を込めた口調で聞いた。
「教えた事は無いんだけどぉ、わたしがよく通販で買い物するんでぇ、そこでぇ電話番号を盗まれたんじゃないかと思うんですよぉ。品物は取られた事は無いんだけどぉ」
 再び電話が鳴った。
 わたしは即座に受話器を取ると、
「こんな時間に何んの用だ !」
 威喝する様に言った。
 今度は切れなかった。
 相手は答えなかった。
 少しの間、沈黙が続いた。
 その沈黙は一体、何を意味するのか ? 
 突然聞こえた、男の野太い声に戸惑っているのか ?
「変な電話ばっかりしていると警察に訴えるぞ」
 威嚇の口調のままわたしは言った。
 突然の反撃だった。
「訴えるなら訴えろよ。お前が訴えるなら、俺だってみんなバラしてやるよ。なんだ、いい歳しやがって」
 憎しみの籠った声で男は投付ける様に言った。
 若い声だった。
 一瞬、肝を冷やした。
 わたしは男に見られている。
 物陰に隠れていた男の様子からして、それは当然だとしても加奈子の部屋へ来る事まで、男は知っていたのだろうか ?
 もし、知られていたとすれば厄介な事になる。
 支店を開いて間もないこの地での不祥事をわたしは恐れた。
 店に影響の及ぶ事への思いもあったが、加奈子との関係に水を差される事態をもわたしは恐れた。
 男がもし、わたしの身元を察知して世間に言い触らしたりした時には、たちまち好奇心に満ちた世間の人々の眼差しに晒されて、わたしはいい笑い物になるだろう。
「ほら、あの人だよ。ピンクサロンの若い女と出来ている<スーパーマキモト>の会長って言うのは」
 その時、わたしは人々の視線を無視して今まで通りに、平然とこの街に来る事が出来るだろうか
 噂が直ちに店の営業に影響を及ぼす事は無いにしても、店長を始め店員達に対するわたしの権威は間違いなく失墜して、嘲笑と蔑みの眼差しだけが向けられる様になるだろう。
 スケベ親父が威張り腐って何言ってやがんだ !
 東京本社や、わたしの家族に知られる事への危惧はそれ程意識しなかった。
 それより、この北の街でのわたしの立場がどうなるのか、それのみが気懸かりだった。
 既に、この街はわたしに取っては日々、生きてゆくのに必要な場所になっていた。
 唯一、わたしに取っての安息の地と言えるかも知れなかった。
 此処でならわたしは、僅かな果実ながらにも、加奈子という年若い一人の女性の下、日々を生きるのに必要な力を得る事が出来る。
「いい歳をしやがって ? 一体、おまえは何を勘違をしてるんだ」
 わたしは防御の立場に立たされた自分を意識しながらも、その弱味を包み込んで強い口調で言った。
「勘違いだって ? ふざけた事を言うなよ。勘違いなら、なんで若い女の部屋に年中、いい歳をした男が通って来んだよ。おかしいじゃねえかよぉ」
 わたしは息を吞んだ。
 そこまで男は見ている。
「わたしは親戚の者だ。仕事の関係で毎月、こっちへ来てるんだ」
「親戚 ? 親戚の者がわざわざラブホテルへ行ったりなんかすっかよお」
 背筋を恐怖が走り抜けた。
 一体、何処まで男はわたしと加奈子の事を知っているんだ ?
 何んとかしなければ・・・・
 何をすればいいんだ !
 男はわたしが<スーパーマキモト>の会長だと知っているのだろうか ?
 知っているとすれば猶更、厄介な事になる。
 頭の中が混乱で渦巻いた。
 その混乱を抱えたままわたしは強い口調で言った。
「なんでお前は何度も何度もしつっこく電話を掛けて来るんだ。何が欲しいんだ。一度会ってゆっくり話しをしようじゃないか !」
「会う必要なんか無いよぉ」
 男は投げ捨てる様に言うとそのまま電話を切った。
 受話器を置く乱暴な音が聞こえた。
 わたしは取り残され、放り出された様な気分でその音を聞いた。




              ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




                takeziisan様



                有難う御座います
               わたくしもブログの引っ越しそろそろ考えなければと
               思っていますが
               パソコン操作に疎い身で上手く出来るか考えるとついつい先延ばしに
               なってしまいます   
               気の重い事です
                野菜畑 羨ましい光景です
               ネギ どうします ?
               出荷も可能ですね
                ジャガイモの花 懐かしく思い出しながら拝見しました
               それにしても小さな雑草の花々 改めて眼を凝らして見ると
               それぞれがそれぞれに美しい 昭和天皇が雑草という草はない
               と言ったそうですが改めて納得させられます
               もうツユクサの季節 時は確実に移ってゆき
               人は老いてゆく
               先の見えてきた人生に思いは複雑です
               セキチク ? 初めて見ました。
               サトイモ 楽しみですね 
                イノシシ この言葉に自然の豊かさが改めて偲ばれます
               「おしゃんぽ」人生の活性化に繋がります
               頑張って楽しく美しい絵を引き続き見せて下さい
                有難う御座いました
              



























 
  
 
 
 

遺す言葉(547) 小説 <青い館>の女(36) 他 コンクラーベ

2025-05-11 12:22:35 | 小説
                 コンクラーベ (2025.5.8日作)

 

 教皇退位 
 コンクラーベ 
 根(こん)比べ ?
 劇場は今日も開いているのか ?
 華やかな衣装を身に纏い
 豪華絢爛 巨大な建造物内での
 世界を挙げてのお祭り騒ぎ

 神に向き合うのに
 豪華絢爛 巨大な建造物
 華美な衣装など必要なのか
 必要ない
 裸身で向き合う

 神は 自身が自身を律する為に
 自身の心の内に育む存在
 頼るべき存在などでは ない
 
 全智全能の神など 存在しない
 人の生涯 総ては自身が持つ 運命 が
 決める事
 人はただ 今日一日を真摯に生きる
 人に出る事はそれだけ
 
 人の運命
 運命は 閉ざされたものでは無い
 無限の可能性 無限の絶望を秘めている
 努力によって開ける運命
 永遠に開かれない運命
 偶然がもたらす幸運
 偶然がもたらす不運 悲劇
 
 運命の予見など
 誰にも出来ない
 この世に存在し得ない
 神などに出来るはずがない
 神 自身が自身を律する為に心の内に育む存在
 神は 道端の一本の草木にも宿り得る

 豪華絢爛 煌びやかな衣装 寺院 
 飾った名称など
 神は 必要としない
 総ては教会宗教 その飾り物 権威付け 
 虚栄の為の道具に過ぎない 

 教皇退位 コンクラーベ
 劇場は今日も開ているのか ?
 バチカン その内膜  真の姿は ?




    神 宗教 の 名の下に 醜い争い
    戦争は起きても
    神 宗教に 戦争を収める力は無い







             ーーーーーーーーーーーーーーーーー




              <青い館>の女(36)



 

 唯一、わたし達を悩ませていたのが、わたしが最初に加奈子の部屋を訪ねた時に眼にした、あの男だった。
 男はなお、加奈子に付き纏っていた。
 わたしが加奈子を知らなかった頃から続いている事で、仕方がないと言えば言えるかも知れなかったが、それだけで済まされる事でも無かった。
 わたしが二度目に加奈子の部屋を訪ねた時にも男は居た。
 わたしの乗ったタクシーがマンションの前で停まると、慌てた様に四つ角の建物の陰に隠れる男の姿が見られた。
「今日もあの男が居たよ」
 わたしが言うと加奈子も、
「わたしもカーテンの陰から見てたんですよぉ」
 と言った。
 これから行くから、とわたしが電話をした時、
「人目に付くといけないから、タクシーを降りたらすぐにわたしの部屋へ来ちゃってくれますかぁ」
 と加奈子は言った。
 タクシーが止まる音がしたので外を見ると、あの男の姿があったという事だった。
「わたしの部屋に明かりが点いている時には何時もああして、うろうろしてるんですよぉ」
 加奈子は困惑の表情を浮かべて言った。
 わたしはだが、今度は警察という言葉は口にしなかった。
 加奈子との不健全な関係、その意識がこの時にも頭の片隅を過っていた。
 それにしても、一体、加奈子と男との間にはどの様な関係があったのだろう ?
 男がこれ程までに執拗に付け廻す裏には当然、何かの経緯があるはずだった。
 わたしは二人の間の背景に思いを馳せながら聞いた。
「全然知らない男なの ?」
 加奈子は隠す事もなく言った。
「そうじゃなくてぇ、二回か三回、お店に来た事があるんですよぉ。その時にぃ、わたしを指名してくれてぇ、でもぉあのお店は高いからぁお金が続かなくなっちゃったみたいでぇ、それっきりぃ来てないんですよぉ」
「それからずっと、後を付け廻しているの ?」
「そうみたいなんですよぉ」
「男は店で、奥の部屋へ行ったの ?」
 興味に駆られて聞いた。
「行かなかったんですよぉ。何時も一万円だけ使って帰ったんですよぉ」
「奥に部屋がある事は知ってたの 」
知ってましたよぉ。お店に来た人にはみんな説明しますからぁ」
 それで納得した。
 何処か人当たりの柔らかい加奈子に男が魅かれたとしても不思議はなかった。
 それでも、年若い男にはそんな心の内を満たすだけの財力が無かった。
 胸の内に溢れ出る若い欲望と共に、それを満たす事の出来ないもどかしさが、加奈子を高嶺の花として男に仰ぎ見させたとしても不思議は無かった。
「何をしている男なの。学生 ?」
 わたしは聞いた。
「良く知らないんですけどぉ、働いているみたいな事を言ってましたよぉ」
「君はその男が嫌いなの ?」
「若い奴なんて大っ嫌い ! あの人じゃなくても若い奴なんて大っ嫌い」 
 驚く程に激しい感情をむき出しにして加奈子は言った。
 わたしはその口調の激しさに驚いたが、何時だったか加奈子が同じ言葉を口にしていた事を思い出した。
 加奈子と若い男との間に一体、何があったのか ?
 無論、わたしの知り得る事ではなかったが、複雑な状況を想像しながら、
「それで君は、わたしの様な年寄りを相手にしているんだ ?」
 と冗談めかして言った。
 加奈子はその言葉には答えなかった。
 堅い表情のまま口を噤んでいた。 
 わたしはそんな加奈子をなだめる様に、
「兎に角、なるべく男を近付けない様にした方がいいよ」
 と言った。
 男はそれからもなお、加奈子に付き纏っていた。
 夜中の電話、その電話の中での卑猥な言葉による行為の強要、そして付け廻し。
 男が何時、何処から現れるのか予測が出来なかった。
 仕事に出掛ける時間帯の事もあれば、深夜一時過ぎの帰宅時の時もあった。
 隙を見せれば男は何処ででも接近して来た。
 過去に何度か腕を掴まれたり、背後から抱き締められたりした経験があるだけに、細心の注意だけは怠らなかった。
 それでもある時には、深夜の帰宅時にマンションの玄関内で待ち伏せされた事があった。
 加奈子の悲鳴を聞いて男はすぐに逃げて行ったが、以来、マンションの正面玄関の壁には <最近、痴漢が出没します。不審な者を見た人は直ちに管理人に御報告下さい> と書かれた大きな注意書きが張り出された。
 男はそれ以来、建物の中に入って来る事は無くなったが、加奈子は自分が付け廻されている事は管理人にも話さなかった。
「いろいろ聞かれると嫌(や)だからぁ」
 と言った。




               ーーーーーーーーーーーーーーーー




                takeziisan様


                春真っ盛り 良い季節になりました
               それにしても今年は雨が多い様に感じられます
               野に咲く花にとって雨は良いのか悪いのか  
               普段 何気なく眼にしている野の花 草花たち
               改めてこうして見ると実に美しい衣装を纏っています
               そんな美しさ 自然の美に触れる事の出来ない都会生活の味気無さ
               今はしみじみ自然の中でもう一度暮らしてみたいと思っています
               毎回 ブログの記事 羨ましい思いで拝見しています
                モンカラクサ 初めて眼にします
               外来種でしょうか そう言えばこの頃 セイタカアワダチソウの
               噂を聞きません
                半世紀以上前 この地に来た時には辺り一面セイタカアワダチソウの群生でしたが
               今ではどこもかしこも人家の屋根 壁ばかり
               しみじみ時の流れを感じます  
               マツヨイグサ 宵待ち草と呼んでいましたが懐かしい花です            
               紫蘭は旺盛な花でほったらかしの土の中から芽を出し
               庭の片隅にまで花を咲かせています
               防風囲い 一口に農業と言っても農家さんの御苦労が偲ばれます
                方言 良いですね 特に関東以北地方の方言が好きです
               柔らかい響き 寒さの厳しい中 互いに思い遣る心の表れでしょうか
                様々な花の美しさ 眼の慰めです
               有難う御座いました






































































































 
         

遺す言葉(546 )  小説  <青い館>の女 (35) 他 生きる力 

2025-05-04 12:15:32 | 小説
              生きる力(2025.4.12日作)



 何時の時も
 眼の前にあるのは現実
 現実のみ その
 現実に向き合い
 耐え得る力 能力を
 養い 育て 身に着ける
 現実 今この時を正確 確実に把握
 自身の進む道 探り出す
 人が生きる
 最も大切 為すべき事
 失敗を恐れるな
 重ねる失敗 成功の基 礎
 要らぬ助言 進言
 下手な教本 解説本
 頼るな
 それらは総て それを語る者達
 彼等の勝手な解釈 思い込み
 現実 今 眼の前にある事象
 総ては一つ一つ 各々 異なる
 異なる事象 異なる現実
 その前で総ての事柄
 総ての事象 その
 原因 要素を自分で探り 
 自身の進む道 を 探り出す 
 その事こそが 今この時
 眼の前 そこにある現実
 総ての事象に耐え得る力
 解決の源となる




             ーーーーーーーーーーーーーーーーー




              <青い館>の女(35)



 
 その財力でわたしを支配しているという自信が常に彼女にはあって、わたしが何処で何をしようが、結局は自分の手の中から逃げ出す事は出来ないーー。
 わたしのお里を知る彼女は冷静にそう判断していたのだ。
 わたしの女性関係など、彼女に取っては取るに足りないものでしか無かった。
 軽蔑すべき事以外の何物でも無かったのだ。
 彼女に取っては孝臣という牧本家の跡継ぎが出来てしまえば、後はもう、わたしなどは意味の無い存在にしか過ぎなかった。
 嫉妬の対象にも成り得なかった。
 何故なら妻は、石の存在でしか無いのだから。
 妻との二人の朝食は何時もの朝と変わらずに始まった。
 わたしが新聞に眼を落とし、妻はテレビを観ながらハルさんと会話を交わす。
 程なくしてハルさんもテーブルに加わった。
 わたしが眼を落す新聞には、どれも取り立てて興味を惹かれる記事は無かった。
 さっと五紙各紙の見出しを見た後、二、三の記事を拾い読みしてから、何時もの様に死亡記事欄に視線を移した。
 体調を崩して以来のわたしは、その死亡記事が奇妙に眼に付いて興味を引かれるものになっていた。
 各々記されたそれぞれの人達の経歴を見ながら自分の人生を其処に重ねていた。
 格別の付き合いは無くても様々な会合などで出合った人達の死には、自分を取り巻く周囲の空気が揺り動かされる様な感覚を覚えて、愕然とした思いに捉われた。
 自分がこうしてこの欄に掲載されるのは何時の事になるのだろう、などと考えたりしていた。
 明日でもある様にも思えたし、まだまだ遠い未来の事でもある様にも思えた。
 何れにしても、やがてはわたしにもその様な日は確実に訪れるのだ。
 日々、死亡記事欄を眼にする度に死への思いを深めている自分がそこに居た。
 食事が終わると洗面所に向かい、すぐに出社の支度に取り掛かった。
 歯を磨きながら改めて鏡に映った自分の顔に注意を向けた。
 一昨日別れたばかりの加奈子の若さに満ちた存在が、意識の何処かでわたし自身を照射して来た。
 衰えた髪と広くなった額、弛(たる)みを増した頬などに未だ年端もゆかない加奈子との遥かな距離を感じて、その距離をも顧みずなおも加奈子の若さにしがみ付いてゆく自分に浅ましさを覚えて思わず鏡の中の自分から視線を逸らした。
 自分自身の無色透明が望まれた。
 清廉潔白、公明正大、君子のわたし。
 もし、そうであれたらどんなに良い事か !
 だが、それは不可能だった。
 妻へのなんとはない憎しみを抱え、体調不良に怯えながらもなお、失われてゆく歳月に未練を残して無様に過去を手繰り寄せようとしている。
 それがわたしの現実なのだ。
 混沌に沸き返る坩堝でもがいている。
 人は誰もが生きている限り、惨めさからも無様な自分からも逃れられないのではないか ?
 君子のわたしなど、望むべくも無い。
 そう納得して、漸く加奈子との関係を肯定した。
 これからも可能な限りわたしは、加奈子との係わりを続けてゆくだろう。浅ましても、醜くても、愚かでも。
 そうしなければ、自分が生きている事の根拠が失われてしまう様な気がするのだ。
 それにしても何故、加奈子はこれ程までにわたしの心に侵入して来るのだろう ?
 これまでわたしは、直ぐには思い出せない程の数多くの女性達と関わって来た。
 その女性達との間では常に一定の距離が保たれていた。
 わたしが何時も拒絶の姿勢を崩さなかったのだ。
 人生という場に於いてわたしは、それ程深い関係を女性達に求めて来なかった。
 わたしに取っての人格としての女性は、ただ一人、石の女、妻であったに違いないのだ。
 その妻との間にわたしは確執を持っていた。
 あらゆる面でわたしは妻を否定し、踏み越えなければならなかった。
 そんなわたしに取っては、世間の女達は束の間の気晴らし、気を紛らす為の存在以外の何物でも無かった。
 人格としての女性など必要ない。ーー
 その日、会社に出るとわたしは何時もの様に、秘書が整理をし、まとめて置いてくれた各支店からの営業報告書の数字に眼を通した。
 息子は一日中、外出していた。
 多摩地区の物件の立ち上げに本腰を入れ始めた様子だった。
 いずれにしても、詳細はわたしに報告され、決定に向けての相談が持ち掛けられるだろうが、その時には既にわたしの妻の意見をも取り入れて、総てが決定済みに近い条件で固められているのだ。
 わたしが反対しても息子はそれを実行するだろう。


            5


 わたしの支店廻りは依然として、二カ月に一度の割合で継続していた。
 加奈子が居る北の街には、東北地方へ出向いた折には誰にも内緒で、加奈子にだけ電話をする事があったが、関係は依然として変わらなかった。
 海岸ホテルに宿泊したわたしが電話をして加奈子の部屋で会う。
 ホテル代に代わる二万円はその都度、彼女に渡していた。
 管理人やマンションの住人達の視線は殊更、気になる事も無かった。
 無論、それなりに気は使っていた。




               ーーーーーーーーーーーーーーーーーー  




                 takeziisan様    

    

                新天地 順調の様ですね
               まずはおめでとう御座います   
               当方 重い腰はまだ上がりません
               パソコン操作が不慣れなもので なるべく簡単な方をと 
               考えているのですが どうなります事か
                仙丈岳 荒々しい山肌 雰囲気が伝わって来ます
               これでは断念も仕方が無いかと納得            
               山の景色は好きで 旅行した折りなどに眼にした
               山の景色を思い出しながら 何故か懐かしい気持ちで拝見させて戴いております
                人間 目的が無ければ気力も湧かない
               目標を持つ 人が生きる上での最も重要な要素ではないでしょうか
               目的があれば多少の苦労も乗り越えられる
               腑抜けの殻 これでは何も出来ません 
               気を張って生きて行きしょう  
                花道 見事 素晴らしい光景です
               実際現場を見てみたいです
                スズラン 何故か懐かしい 
               クンシランほっぽり放しのわが家でも花盛り 
               棕櫚は田舎のわが家にもありました
               栴檀の木と共にこれも懐かしい木です
               それに柿の木 これも あの秋の彩りと共に郷愁を誘われます
               日本の原風景とも言える様な光景
               いずれにしても都会の屋根を見て暮らす人間には
               過去への郷愁と共に様々な思いが蘇ります
                イノシシ ジビエ 是非 食べてみたい物の一つですが
               都会に居ては無理なのでしょうか
               以前 旅行先でシカの肉の刺身を食べた事がありますが
               癖が無くて美味しかった記憶が残っています
               本来 癖が無いのか 上手に調理した結果なのかは分かりませんが
               イノシシ クマ 食べてみたいと思っています
               野生動物被害の叫ばれる中で 何故もつと
               ジビエを活用しないのかと不思議に思っているところです 
                今回も楽しく拝見させて戴きました
               有難う御座いました             

    

 
                
   

               





 






















 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



 
 
 






























  

遺す言葉(545) 小説  <青い館>の女(34) 他 宗教と覆面

2025-04-27 11:55:35 | 小説
                 宗教と覆面(2025.1,20日作)



 
 宗教の名の下  
 顔を布で覆い
 銃を持ち構えての行動程
 愚かな行為は無い
 宗教 人の苦悩 苦難を救い
 慰めと安らぎを与える
 その為のもの
 宗教に限らず
 あらゆる人間の行為に於いて
 顔面を覆い隠し 悪事を重ねる行為は
 人間 人としての最低行為
 神はその者達 愚かな人間達をこそ
 罰すべき
 だが 神は無力
 悪事は為すがまま

           
           

 神にとって 司祭の身に纏う服も
 音吐朗々たる祈祷の言葉も
 祭壇の前の仕草も大事だ などと考えるのは
 愚の骨頂である
 神の要求する礼拝は
 心に依る礼拝だけだ 

             ルソー「サボア司祭の告白」より




             ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




             <青い館>の女(34)



 
 
 疲弊したわたしの心には、眠りだけが唯一の救いである様に思える事も多かった。
 その夜、わたしは妻が何時帰ったのかも知らなかった。
 わたしが夕食に降りて行った時には妻はまだ帰っていなかった。
「奥様は皆様とお食事をなさってからお帰りだという事で、お電話が御座いました」
 ハルさんの言葉もわたしは聞き流しただけだった。
 殊更、今日に始まった事では無い妻の行動にわたしは不満を抱く事も無かった。
 わたし自身もまた、妻と向き合う時間よりは一人で居る時間の方を好んでいた。
 翌日、わたしが何時もの朝の様に七時過ぎに起きて行くと妻は食卓に向かい、朝食作りに余念のないハルさんと話しながらテレビを観てお茶を飲んでいた。
「昨日は早かったんですって ?」
 わたしに気付いて妻は言った。
「うん、二時過ぎに帰った」
 何時もの様に口の中で言葉をこね回す様にしてわたしは、低い声で言った。
 妻と向き合う朝のこの時間、わたしは何故か晴れやかな気持ちで言葉を口にする事が出来ないのだ。
 無意識の裡に重い気分に捉われる。
「どうでした、向こうの具合いは ?」
 当然ながら、妻は営業の状態を訊ねたのだ。
「まあ、順調に行ってる。予想以上だと言ってもいい」
 わたしは言った。
「それはそうと、もう聞いたかしら ? 多摩地区の物件、なんとか折り合いが付いたみたいよ」
 妻は言った。
「いや、聞いて無い」
 意外な事を聞く思い出でわたしは小さく言った。
 それでもわたしに取っては、別段、驚く事ではなかった。
 もともと、わたしは今では総てを息子に任せていたのだし、何事に於いても息子が最初に相談するのは体調を崩して人生を降りてしまった様なわたしより、近年、頓(とみ)にその言動に自信を深めている妻の方が先だった。
「二十年契約ですって」
 妻は言った。 
「借りる事で話しが着いたのか」
「そうみたいよ」
 地主は二千坪程の土地をわたし達が買い取る事を望んでいた。
 息子はだが、綿密な調査の結果、将来性への一抹の不安から買い取る事には二の足を踏んでいた。
 状況次第では何時でも撤退出来る余地を残して置きたかったのだ。
 それに、膨大な資産を抱え込むのを嫌う手法は義父時代からのもので、豊富な手元流動性を基にした機動的経営が<スーパーマキモト>の強みにもなっていた。
 その手法は株式市場に於いても一応の評価を得ていた。
 常に身軽でいる事が信条だったのだ。
 北の街では地価の安さが魅力で広大な土地の購入へと踏み切っていた。
「会社へ行けば孝臣から詳しい話しがあると思うわ。わたしも昨日、電話でちょっと聞いただけだから」
 妻も詳細は知らない口振りだった。
 わたしはそれ以上、妻との会話を進める気は無かった。
 すぐに椅子に着いて新聞を広げた。
 妻はテーブルに両肘を突き、湯飲み茶椀を両手に持ってテレビに視線を向けていた。
 わたしが昨日の午後、奇妙に中途半端な時間に帰った事にも関心が無いかの様に問い質す事も無かった。
 殊更、わたしを無視するのでは無かったが、わたしの行動のあらゆる事柄が彼女に於いては既に、無関心の他の何物でも無いものになっていたのだ。
 今、彼女が最も強い関心と興味を寄せているのが、他でもない息子の動向だった。
 妻に取っては実の父が起ち上げた事業の継承者としての息子の手腕に、彼女の関心の総てが向けられていた。
 既に引退の境地に入ったわたしの動向など、彼女に取ってはどうでもよい事であつた。
 無論、わたし自身に於いても妻のそんな態度に多少の違和感を抱く事はあっても、強いて問題視する気持ちにはなれなかった。
 二人の間に横たわる長い年月に於ける無意識裡の意識の乖離に身を委ねて来た身には、かえって其処に安住している赴きさえあった。
 仮死の生活、仮死の夫婦関係、真の関係の蘇りさえ望む事の無い生活が何時からなのか、思い出す事も出来ない遠い昔から続いていた。 
 それが今まで途切れる事無く続いて来たのは、一体、何故だったのだろう ?
 他の何かがわたし達夫婦を結び付けていたのだろうか ?
 わたし自身に付いては説明出来る。
 要するに、牧本家の財力にしがみ付いていたのだ。
 貧しい生活に戻る事を恐れていた。
 その為にのみわたしは、軽蔑の眼でしかわたしを見る事の無かった石の様な存在の妻に、離婚を突き付ける事も出来ずに来たのだ。
 では、妻はどうだったのか ?
  御し易さだけで妻はわたしを繋 ぎ留めて来たのだろうか ?
 多分、そうだろう。




             ーーーーーーーーーーーーーーーーー




               takeziisan様



                有難う御座います
               ブログ引っ越し 気が重い事です
               若い方々の様に自在にパソコンを操作出来ませんので
               厄介な事だという思いのみで未だ引っ越す気にはなれません
                ブログ考 大変 面白く拝見しました
               便利さと怖さ いずれにしてもこうして気軽に書き込める
               この上もない利点です 保存には改めて
               気を配らなければと思います
                方言 わたくしの方と同じです
               どの様にして遠く離れた場所で繫がるのでしょうか
               言葉の面白さです
                犬 生きている犬かと思いました
               豊かな自然 画像を拝見する度に 羨ましさを覚えます
                十年前の畑 きれいですね
               雑草に覆われたネギ 自然の力強さ
               対抗するにはやはり 若さが必要という事でしょうか
               この頃 ふと 思うのですが 物事を見る眼が何時の間にか
               無意識的に末期の眼差しになっている自分を見い出したりして
               改めて年齢を意識させられます
               若い頃は死は遠い世界の事でしたが 昨日も今日も顔馴染や名前馴染の人々の 
               訃報を耳にしたり眼にしたりすると改めて自身の年齢を意識させられるのです
               生きるのだ 生きなければならない
               ヴァレリの詩
               「風が立つ 生きる努力をせねばならぬ」
               堀辰雄の「風立ちぬ」の元となった詩を思い出して
               そんな事を呟いたりしています
                無人駅のサクラ
                新入社員の村役場
                郷愁のリンゴ箱
               良いなと思いました
                何時も入選 御立派です
               有難う御座いました
               面白く拝見させて戴きました



 
 
 
 
 
 
 

 
 
 



 
 
 


  


 
 



























 

遺す言葉(544) 小説 <青い館>の女(33) 他 家族崩壊

2025-04-20 12:00:17 | 小説
            家族崩壊(2022.4.12日作)




 家族崩壊
 この現象は 文明の発達 発展と共に
 避けて通れない現象ではないか ?
 象やライオン 或いは 人類に近い
 ゴリラ チンパンジー 野生に生きる動物達は
 一頭 或いは二頭 上に立つ者達が居て
 その下に群れを作る
 人間にしても 密林に住む部族は多くが
 一人の支配者の下 
 共同体を形成して生きている
 報道番組等で見聞する事
 厳しい環境下 そうしなければ生きて行けない
 必然的形態なのではないか ?
 それに比し 
 現代という時代 間接的には
 他者の力を借りなければ生きては行けない
 その事に変わりはない  
 それでもなお 直接的には
 社会の仕組みを利用し 一人でも
 生きてゆける
 この国 日本に於いても過去には
 貧しい環境下 一族一家で力を合わせ 人々は
 懸命に生きて来た
 そうしなければ生きられなかった 
 現代 世の中 社会はずっと豊かになり
 その生活形態は崩れていった
 個人 一人でも 努力をすれば
 社会の仕組みの中 生きてゆける
 この社会 世の中 豊かに 文明的になるに従い
 人 人々 その孤立化は次第に深まり 
 増してゆくのでは ?
 人間 人は各自各々 それぞれ
 意志と個性を持つ存在 それぞれ独自に 独自の心で
 独自に 独自の世界を生きる
 束縛 他者からの干渉の無い世界
 自由な心のままに生きる
 自身の心の世界を生きる
 文明 その発展と共に 人の世界もまた
 少しずつ 移り 変わってゆく
 変わらないもの 人間存在
 独自に独自の心を持つ人間
 各々 自身の心を生きる各人各個 その世界は
 次第に深まり 深みを増して その果てに
 やがて来るものは ?
 移りゆく時の中 人の世界もまた 移り 
 変わってゆく




               
            ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





              
              <青い館>の女(33)





「昼間、何時(いつ)もああして居るの ?」
 加奈子の部屋で一夜を過ごした効果か、わたしはこれまでになく打ち解けた気分になっていた。
「滅多にいないんですけどぉ、でもぉ時々、ああして居る事があるのでぇ怖いからぁ、何時も確かめてから降りて行くんですよぉ」
 加奈子は言った。
「警察に訴えた方がいいよ。変な男が付き纏っていてしょうがないって」
 ーー思い掛けない事だった。
 その言葉に加奈子は突然、顔を歪めて嫌悪の表情を顕わにした。
 それが思いもしない事だったのでわたしは狼狽した。
 何か悪い事でも言ったのだろうか ?
 最初にエレベーターの中でその言葉を口にした時には、ドアが開くのに紛れて見る事が出来なかったのだが、加奈子に取っては耳にしたくない言葉だったのだろうか ?
 次の瞬間、わたし自身、恐怖にも似た感情を覚えていた。
 売春 !
 加奈子はわたしとの関係の中で、或いは売春という事を意識していたのだろうか  ?
  その為に警察という言葉を恐れた ?
 わたしの気持ちの中には加奈子との関係に於いて、売春という言葉などの入り込む余地は無かった。
 加奈子はあくまでもわたしの死に絶えた様な日常の中で、僅かながらにも希望の光りを与えて呉れる貴重な存在だった。
 その存在の加奈子は若さの特権かすぐに普段の表情に戻っていて、
「じゃあ、行きますけどぉ、いいですかぁ」
 と言った。
「うん、いいよ」
 わたしは言った。
 加奈子の先に立って部屋を出た。
 わたしの意識の中にはそれでもなお、先程思い浮かべた警察という言葉に対しての拘りがあった。
 その拘りを抱いたまま加奈子と並んでエレベーターへ向かった。
 エレベータ―の中でわたしは加奈子に言った。
「今度来る時には来月になるけど、その時にはまた電話をするから」
 加奈子はなんの疑いもなく、
「いいですよぉ」
 と言った。
 エレベーターを降りて玄関へ出る時覗いた管理人室には人の影が見当たらなかった。
 なんとなく安堵の気持ちを覚えた。
 外へ出たわたし達は昨夜、わたしが男を探した通りへ出てから大通りへ向かった。
 大通りでは最初に来たタクシーにわたしが乗って、加奈子はわたしを見送った。
 真っ直ぐに海岸ホテルへ向かった。
 わたしが自宅へ帰ったのは、翌日の午後三時過ぎだった。
 妻は外出していた。
 コリー犬のデュークが門を入ったわたしを見て、何時もの様に歓迎して吠え立てた。
 ハルさんがその声を聞いて迎えに出て来た。
 自分の息子夫婦と離れて、長年、我が家に暮らして居るハルさんはデュークの吠え方一つでわたしや妻に限らず、わたしの息子や彼の細君が来た事まで聞き分ける事が出来た。
「奥様はお友達の皆様とお芝居見物で、少し前にお出かけになりました」
 ハルさんはわたしが手にした鞄を受け取りながら言った。
 ハルさんは今では妻以上に、わが家では無くてはならない存在になっていた。
 家庭内の細かな事や町内会の行事など、ハルさんが居なければ何も分からなかった。
「お家(うち)の皆様が良くして下さいますので」
 家の中の何もかも押し付け、頼り切っているわたし達にハルさんはそう言って、尽くすのが当たり前だと言う顔をしていた。
 わたしと妻の、決して良好とは言えない関係も多分、早くから気付いていたはずだったが、その気配も見せず二十年近くもわが家で過ごしていた。
 わたしは自分の部屋へ入ると、取り敢えずベッドに入り一眠りした。
 体調は別段、悪くは無かったが、最近頓(とみ)に疲れの取れにくくなっている事が蓄積された過去と、その歳月を思い起こさせて自分を労わる気持ちが一段と強くなっていた。
「若い頃と違ってある程度歳を取ったら、進んで体力の維持に努めなければ駄目ですねえ。放って置けば衰える一方ですよ」
 斎藤医師もそう言っていた。
 わたし自身、納得出来た。
 激しい運動の制限されているわたしは、室内運動器具を揃え、軽い汗を流す様に務めていたがその面からも体力の衰えは如実に実感出来た。
 一週間も怠惰のうちに放置された肉体は覿面(てきめん)に衰えの兆候を表して驚かされた。
「一時的な激しい運動より、軽い持続的な運動が大切なんです。歳を取ってからの無理は何事に於いてもいけません」
 斎藤医師は何かしらの含みを持たせた様な笑顔のうちに言ったが、その言葉を待つまでもなかった。
 わたしの肉体はもう無理の利かない状態になっていた。
 高々、六十歳を二つか三つしか過ぎていないにも係わらずだ。
 そんな中でわたしは、少しでも眠りを取る事に依って体調を整える事を覚えていた。
 時として、思いがけずその眠りの中で見る夢がわたしを慰めて呉れる事があった。
 幼い頃や青春の頃の数少ない楽しかった日々にわたしを引き戻してくれて、束の間の至福の時間で心を潤してくれた。
 その至福に満ちた心を抱いたままわたしは、虚無に満ちた今の時を歩んで行く思いを取り戻したりしていた。




             ーーーーーーーーーーーーーーーーー




              takeziisan様

               ブログ引っ越し 早々と手を打って見事なものです
              当方はなんの準備もしていません
              勿論 これまでの記事を無駄にしたくありませんので
              何んとかしようとは考えています
              これが紙媒体とは違った恐ろしい所ですね
              それにしてもスタッフの皆様には 長い間 お世話になりました
              引っ越しの時にはまた 改めて御礼申し上げます
               安曇野 水車のある風景 近くにある花屋の店内に
              これと全く同じ写真が飾ってあります
              ああ 同じだと思って拝見しました
              それにしても安曇野の風景 眼にしているうちに最早
              再び還る事の無い日々への郷愁と共に自ずと胸の裡が熱くなって来ました
              黒沢明の「夢」見ています オムニバス映画ですが
              狐のお面を被った人々の花嫁行列のシーンは殊更強く
              印象に残っています
               野菜畑 羨ましい風景です 自然に近い中で生きる事の素晴らしさ 
              改めてつくづく思います
               それにしても雉 藤の花 もう咲きましたか
              良いですね こんな環境ではなんだかだと言いながらも 
              散歩も楽しいのではないでしょうか
              伸脚 屈伸 腰伸ばし 日々の生活の中での日課の様なものに
              なってしまいました
              一年一年 体力の衰えは顕著です
              なんとか頑張って生きて行こうと思っています
               有難う御座いました
 




































 
 
 
 
 
 


 
 
 



           
         
 
 




























 

遺す言葉(543) 小説 <青い館>の女(32) 他 語れない

2025-04-13 11:46:18 | 小説
             語れない(25.3.15日作)



 真に物事を理解する人は 寡黙だ
 物事の本質は言葉では語れない 深奥に
 潜んでいる
 その本質を理解するには 何事に於いても
 正面から真摯に向き合い
 行為 行動 その中で 一枚一枚
 本質を覆う ベールを剥いでゆくより 方法は
 無い
 たゆまぬ努力 探求心 による 行動 それがやがて
 物事の本質 その真実を
 垣間見させてくれるだろう
 本質を掴む
 言葉や理論 理屈より 感覚
 感覚で 物事の深奥 そこに潜む
 本質を掴み取る
 言葉での理解 その理解の 稀薄さ 脆弱さ
 物事総ての本質は 感覚の中でしか
 掴み得ない
 感覚で掴み取る本質 その
 堅固さ強硬さ
 物事 総てに於いての真の理解は
 此処に在る
 



              ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




               <青い館>の女(32)



 
 
 わたしの人生、或いはわたしの宿命、わたしが現在置かれた立場に向けての無意識的報復にも似た思いが込められた金でもあったのだ。
 現在、わたしは趣味という趣味を持っていなかった。
 ゴルフも止めた。
 スキーも止めた。
 忙しさにかまけてスキーは何十年来、手にしていなかった。
 まして、体調を崩してからのわたしには、昔取った杵柄などという言葉も通用しなかった。
 スキーと言う言葉に未練を残す事さえ無かった。
 むしろわたしは、妻との出会いを連想させるこの言葉に、かつての卑屈だった自分を思い浮かべて嫌悪の感情すら覚えるのだ。
 他人は体調を崩してからのわたしに向って、
「のんびりした時間の過ごせる釣りなんかいいんじゃないか」
 或いは、
「金があるんだから、絵画の収集なんかしたらどうだい。絵が好きなんだしさ」
 などと言ったりする。
 馬鹿げた話しだ。
 わたしの財産などでどれだけの名画が買えるというのか。
 明日の命さえ分からない様な人間が、一枚や二枚の名画を手に入れてそれが何になると言うのか !
 名画など美術館へ行けば好きな時に好きなだけ見られる。
 わたしは競馬や競輪など、賭け事は一切しなかった。
 貧しさの中で育ったわたしには、賭け事に使う金などは無くて、その習慣が身に付く事も無かったのだ。
 パチンコさえわたしはしなかった。
 効果の読めない行為はわたしに取っては、無駄以外の何ものでも無かった。
 その点で、義父はわたしを買っていた。
 義父が何かに付けて文句を言いながらも、わたしを<マキモト>の社長の座に据えたのも、娘婿という立場以外にそんな事情が関係していなかったとは言えなかった。
「あいつなら、財産を食い潰す様な事は無いだろう」
 わたしの堅実さが義父の眼には優柔不断に見えたとしても、それがかえって御し易く思えたに違いないのだ。
 だからと言って、わたしが全く浪費をしなかったかと言えば、そんな事は無かった。
 各地の支店を廻る時にわたしの浪費が行われていた。
 女性に注ぎ込む金だった。
 特定して囲い込む女性は居なかったにしても、各地に行き付けの料亭、バーやクラブ等があって、それなりに親しい女性達が数多く居た。
 その関係はわたしが体調を崩すまで続いていた。
 わたしに取ってはその時得られる時間だけが唯一、自分を解放出来る時間であった。 
 更にまた、多年に渡って積み重ねられて来た、妻や義父に対する鬱憤への意識するともない反発でもあった。
 そうしてわたしは長年、心の平衡を保って来たのだ。
 何時かはきっと、完全に<スーパーマキモト>を掌握する日を夢見ながら。
 だが、今のわたしにはもう、その夢も無い。
 現在、妻や妻の母親が<マキモト>の株式の大半を握っていて、息子がわたしに代わって会社を仕切る様になっていた。
 問題は、そこに有るのではなかった。
 何よりもまず、わたしの体調不良がわたしの気分を滅入らせるという点にあった。
 わたしはまるで、手足を縛られた奴隷の様にわたし自身を思う事がある。
 自分の意志のままに動く事が出来ないのだ。
 少しの行動違反で警告が出る。
 その警告を恐れてあらゆる行動の前で躊躇する。
 尻尾を巻き、頭を垂れて引き下がる負け犬の様に背中を見せて引き下がる。
 息を潜めてひっそりと生きる。
 引退の人生。
 わたしはまだ、六十歳を少し過ぎたばかりなのだ。
 まだ若い。
 意欲は少しも衰えていない。
 まだ、何かが出来る年齢なのだ。
 しかし、何も出来ない。
 眼の前に見えて来るのは、人生の境界線とその向こうにある虚無だけだ。
 わたしは考える。
 わたしが生きて来た意味は一体、何んだっんだろう。
 今のわたしには何も無い。
 最早、抜け殻だけをわたしは生きている。
 それだけの存在なのだ。
 その中で出合ったのが、北の街に住む加奈子だった。
 その加奈子がわたしに微かな生の息吹を吹き込んで来る。
 何故なのか ?
 わたし自身にも分からない。
 特別な魅力に溢れた女性でも無かった。
 極めてありふれた、街中などでよく眼にする二十歳前後の女性達となんら変わる事の女性だった。 
 その加奈子がわたしに微かな生の息吹を吹き込んで来る。
 その女性に更なる蘇生を求めてわたしは法外とも言える金を注ぎ込んでゆく。
 法外とも言えるその金がわたしに取っては、わたし自身の抱えた宿命への報復で無くてなんであろう。
 加奈子がわたしを受け入れてくれた事が既に希望であった。
 その希望に縋ってわたしは生きる事が出来る。
 その為にわたしは、この北の街へ来るのだ。

 加奈子が部屋を出たのは四時過ぎだった。
 すっかり身支度が整い、外出する段になると加奈子はそっと窓辺のカーテンに近寄り、慎重に警戒しながら窓の外の状況を窺った。
 すぐに安心した様にカーテンから離れた。
「どう、居なかった ?」
 わたしは聞いた。
 加奈子が男の存在を気にしている事は明らかだった。
「ええ、居ないみたいです」
 加奈子は言った。

 


               ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




                  takeziisan様


                   春の気配
                  身体も動いて来ます それでも
                  花の命は短くて・・・
                  老木は後何年 ? 迎える時を数える年代になりました
                  花びらながれ・・・
                  流れゆく時は一瞬のためらいも残さず過ぎてゆく
                  散りゆく花の命のはかなさ
                  昨日 今日 既に散った桜で道が彩られています             
                  美しい桜並木もひと時の夢と化して間もなく
                  五月 若葉の季節となるのでしょうね
                   今回も山の景色 楽しませて戴きました
                  富士山の美しさ 霊峰と崇められる理由も
                  分かる気がします
                  近頃の富士山噴火の予測 ちょっと厭な気がします
                  せめて自分の生きている間は穏やかであって呉れ
                  と願う気持ちです
                  噴火があれば多分 あの美しい形態も失われる事でしょう  
                   高山の天辺 岩の上に立つ人々
                  多分 その爽快感には山の経験の無い人間には
                  想像も出来ない達成感があるのでしょうね
                  その気持ちだけは理解出来る気がします
                   年金時代 上手いですねえ
                  こうして笑えるうちはまだ良いのですが
                  最近の物価高 米不足 どうにかしてくれよ !
                  年金暮らしにはその思いだけです
                  政府の無策無能さ 腹立たしい限り
                   歩け 歩け ついつい 自転車に乗ってしまいます
                  何しろ 年中 時間に追い掛けられている様な気持ちで
                  日々を過ごしているものですから
                  それでも 毎朝 身体を動かす事は欠かさずしています
                  身体も頭も使わなければ錆び付くばかりだという
                  思いがありますので
                   今回も楽しませて戴き いろいろ
                  考えさせて戴きました
                  有難う御座いました
                   
 

                  
                
                  
            



    
 
 



 


















































 
 
 

 
 

遺す言葉(542) 小説 <青い館>の女(31) 他 神は心に

2025-04-06 11:13:13 | 小説
              神は心に(2025.3.20日作)



 全知全能の神など 
 存在しない
 神とは何か 真理だ
 真理とは何か 心だ
 心とは何か 人間だ
 人間とは何か 自己だ
 自己とは何か 他者だ
 他者とは何か 自己だ
 自己が他者 他者が自己とは何か
 人間は一つ 人間は一つとは何か
 人は総て同じ形態の生き物
 総てが溶け合う
 溶け合うとは何か
 他者の痛みは自己の痛み
 自己の痛みは他者の痛み
 他者の喜びは自己の喜び
 自己の喜びは他者の喜び
 人の心に変わりは無い
 他者は自己 自己は他者
 他者を愛す事は 自己を愛す事
 他者への憎悪は 自己への憎悪
 その真理
 人それぞれの心の裡に
 自覚を促す存在 神
 全知全能の神など 存在しない
 豪華絢爛 飾り立てた教会に
 神など居ない
 人 その人自身の心の中にのみ
 存在し得る 神
 自身が 自身の心の裡で育む存在 神
 全知全能 頼り得る神など
 何処にも居ない
 豪華絢爛 飾り立てた教会に
 神など居ない




               ーーーーーーーーーーーーーーーーー




               <青い館>の女(31)




 
 二人で入った湯船は小さかった。
 わたしは自ずと触れて来る加奈子の肉体に手を延ばし、加奈子もまた、わたしの身体に触れて来た。
 小さな湯船はだが、わたし達の自由な行動を阻んでいた。
 わたし達は裸のままベッドに移ると改めて身体を寄せ合って横たわった。
 わたしはだが、その時、早くも兆して来る何時もの喉元を締め付けられる様な感覚を感じ取っていて、途端に委縮する気力を意識した。
 加奈子に向けられた熱い思いも同時に冷えて早くも、微かな怯えにも似た不安が意識の総てを覆っていた。
 わたしは心此処に在らずの思いのまま、加奈子の肉体に触れていたが、その手はためらいがちなものになっていた。
 加奈子はそれでもなお、熱心にわたしの肉体に触れて来て、その行為に没頭していた。
 わたしは気を取り直し、加奈子の肉体に没頭する事だけを意識した。
 加奈子はその中で何度か熱い思いを滾(たぎ)らせ、身を反らした。
 ーーわたし達が眼を醒ましたのは明け方近くだった。
 加奈子はわたしを見ると微かに恥ずかし気な笑顔を見せた。
 わたしはその加奈子を抱き締め口元に顔を寄せていった。
 長い抱擁の後でわたしは加奈子を離した。
 加奈子はわたしが依然として不可能だった事にも不満の表情一つ見せなかった。
 わたしはその日、加奈子が店へ出る時間の少し前までの時間を加奈子の部屋で過ごした。
 その日の目覚めが遅かった事もあるが、わたしに取っても何も予定の無い一日だった。
 加奈子は店へ出る時間が迫って来ると、
「わたしちょっとぉシャワーを浴びて来ますねぇ」
 と言ってベッドを降りた。
「わたしも一緒に浴びて来よう」
 二人並んでシャワーを浴びても身体を触れ合う事はなかった。
 浴室を出て出勤の身支度をする前に加奈子はわたしを見て何かの言い訳の様に言った。
「ちょっとぉ管理人さんの処へ行ってぇ、昨日、おじさんが東京から来ているからって言って来ますねぇ」
 その様子にわたしは、
「管理人は煩いの ?」
 と聞いた。
「そんな事ないですけどぉ、でも変に思われると嫌だからぁ、ちょっとぉ、断って置いた方がいいかなあって思ってぇ」
 別段、気にする程の事でも無い様に加奈子は言った。
 その言葉に反応する様にわたしは聞いてみた。
「この部屋は賃貸なの ?」
「そうですょぉ」
 当然だという顔で加奈子は言った。
「家賃は幾らなの?」
 別段の興味もなくわたしは聞いていた。 
 自然に口を出た言葉だった。
 加奈子はその問には、
「八万円なんですよぉ」
 と言って拘る様子も無かった。
 その値段が安いのか高いのか、この地方の事情に疎(うと)いわたしには分からなかった。 
 それでもその時、わたしの意識の中にはふとした閃(ひら)きと共に浮かび上がって来る一つの思いがあった。
 その思いと共にわたしは言っていた。
「今、ちょっと思ったんだけど、今度から会う時にはこの部屋で会う様にしてくれないか、そうすればわざわざホテルへ行かなくても済むし、落ち着いて君とも会える様な気がするんだ。勿論、ホテル代に使っていたお金は君に上げるよ」
 突然の思い掛けな言葉に加奈子は当然の事ながら、驚いた表情を見せてわたしを見詰めた。
 その加奈子にわたしは重ねる様にして言った。
「管理人には、おじさんが仕事の都合で月に一度ぐらい、東京から来る様になったのでとでも言って置けばいい」
 加奈子はそれでも決心が付き兼ねる様子だった。
 わたしは更に言葉を重ねて言った。
「どうだろう、そうしてくれないか。そうすればわたしの方も傍目を気にする事も無くて気苦労が少なくて済む」
 その言葉に対して加奈子は初めて口を開いた。
「今までの十万円の他にホテル代のお金もくれるんですかぁ」
 金銭に引き付けられる加奈子の心のうちが垣間見える気がした。
「うん、二万円とちょっとだから、三万円を上げるよ」
 加奈子の気持ちを煽る様にわたしは言っていた。
 加奈子はそれで漸く、不承不承ながらにもわたしの提案を受け入れる気になったらしかった。
 黙って小さく頷いた。
 加奈子にしてみれば、煩くは無いと言ってもやはり、管理人の眼は気になるに違いなかった。 
 もしもの事を思う気持ちは充分理解出来た。
 それでもわたしはその方がより強く加奈子との結び付きが得られる思いがしていて、その気持ちに動かされていた。
 或いは、わたしのこの様な行動は他人から見たら恐らく、愚かで馬鹿げた行動に思えるに違いなかった。
 たった一晩のうちに二十歳を少し過ぎた位の特別な魅力がある訳でもない一人の女に、次から次へと途方も無い金を注ぎ込んでゆく。
 恐らく、世間一般、多くの人達に取っては多分、小遣いでは済まされない金額に違い無かった。
 それだけの金額でひと月の生活費を賄うわたしと同年配の人達も数多く居るに違いない。
 無論、わたし自身、それは承知の上での事であった。
 しかし、それでもなお、そうしなければいられない気持ちがわたしの心の裡には鬱積していた。
 伊達や酔狂で済まされる事では無かったのだ。




              ーーーーーーーーーーーーーーーーー




                takeziisan様


                 有難う御座います
                漸く春の気配 我が家の近くのそれなりに大きな公園の桜も
                今 満開です
                今年は雨の日が多く 心配しましたがそれでも頑張ってまだ散る
                事も無く華やかな彩りを添えています
                 画面上に見る花々 春の気配 心もほのぼのとした思いに誘われます
                 モズの生け贄 子供の頃 良く見た風景です
                あの頃過ごした自然の環境を懐かしく思い出します
                 それにしても雑草の力強さ 驚きです
                三日見ぬ間の雑草かな というところでしょうか
                バイモ 初めて知りました スズランの様にも見えて来ます
                 痛っ 痛っ 愚痴りながらも続ける散歩
                どうぞ 頑張って下さい 人間 動かなくなったら終わりです 
                畑仕事も 多分 年々 苦痛になって来ると思いますが
                どうかこのブログの為にも頑張って下さい
                良き収穫の品々 楽しみにしております
                 有難う御座いました

                  
                 
 
 

 

 
 
 
 
 
 
 




















































 
 
 


遺す言葉(541)小説 <青い館>の女(30) 他 残り木

2025-03-30 11:58:05 | 小説
             残り木(2025.3.2日作)



 
 人生の終末
 命を取り巻く総てのもの達が
 光りを失い 影を薄くして やがて
 消えて行く
 幼き日々の学校友達 級友
 仕事仲間の誰 彼
 学術 芸能 スポーツ 
 それ等の世界の あの人 この人
 揚げ句の果ての 長の連れ合い
 共に日々を過ごした 妻 夫
 総てのもの達が光りと力を失い
 やがて 消えて行く
 昨日は彼の地で 今日は此の地で
 消えて行くもの達
 残されし者の歳月 あと幾年月
 長い歳月生きて来て 日毎 年毎
 細りゆく身の 残り木
 今日も寂しさ抱え
 命の限りを生きてゆく




             ーーーーーーーーーーーーーーーーー




              <青い館>の女(30)





「こっちにぃエレベータ―が有るからぁ」
 加奈子はすぐにわたしを自分が出て来た廊下の陰へ導いた。
 人目を気にしているらしかった。
 黒いミニスカートにピンクが淡い薄手のセーターが露骨なまでに身体の線を見せていた。
 それがわたしの欲望を刺激した。
 わたしと加奈子が前に立ったエレベータ―のドアの上には緑色の小さな明りが「Ⅰ」の数字を見せていた。
 加奈子は「上」へのボタンを押してドアを開けた。
 他に乗る人の居ないエレベータ―はすぐにドアが閉まって、加奈子は三階のボタンを押した。
「ずっと下で待ってたの ? タクシーを降りて三階の部屋を見たら暗くなっていた」
 上昇するエレベータ―の狭い空間で、漸く加奈子を捕まえ得た安堵感と共に言った。
「そうじゃなくてぇ、部屋に居たんですけどぉ、タクシーが停まるのが見えたのでぇ、急いで降りて行ったんですよぉ」
 エレベータ―の上昇する数字に眼を向けたまま加奈子は言った。
 その背中がわたしの眼の前にあった。
 わたしは狭い空間でそれを意識すると、身体の線をあからさまに浮き出した服装共々、またしても欲望を刺激されて背後から力の限り抱き締めたい誘惑に駆られた。
 一方でわたしの意識はまた、明確な自覚の下に自身の不可能性をも認識していた。
 それがわたしを若者達と同じ性急な行動には走らせなかった。
 わたしは心の裡で揺れ動く感情を抑えたまま、努めて平静を装って言った。
「タクシーが停まった時、慌てて逃げて行く男が居たけど気が付かなかった ?」
 加奈子はその言葉で、初めてわたしの方へ顔を向けた。
「そうなんですよぉ、あの男なんですよぉ」
 困り果てた様な表情を見せて言った。
「何時もあそこに、ああして居るの ?」
「何時もではないけどぉ、時々、あんな風にしてぇ、わたしがお店から帰って来るのを待っていたりするんですはよぉ」
「警察に訴えた方がいいよ」
 わたしは言った。
 加奈子がその言葉に応える前にエレベーターが停まった。
 わたし達は廊下を歩いて加奈子の部屋へ行った。
 誰にも会わなかった。
 ベッドが有る部屋と食卓の有る二つの部屋が加奈子の居住空間だった。
 それぞれ四畳半程の広さだった。
 ベッドの有る部屋には狭い空間を埋め尽くして、姿見やテレビ、小さな箪笥などが置かれていた。
「すいません、これに座って待っててくれますかぁ。今すぐコーヒーを淹れますからぁ。インスタントコーヒーなんですけどぉ」
 加奈子は狭い部屋に立っている私の足元に姿見の前に有った赤い丸椅子を差し出して言った。
 部屋の中にはその色と同じ、姿見を覆った布のビロードの赤の他にはこれと言って若い女性らしさを感じさせる華やかな飾り付けは何も無かった。
 仕事柄、兎角、想像し易い男の存在を思わせる様な物もまた、無かった。
 何処となく倹(つま)しささえが感じられる部屋の佇まいだった。
 加奈子がコーヒーを淹れる為に隣りの部屋に行った後、わたしは椅子に腰を下ろしたまま、先程、通りから見上げた部屋の窓辺に視線を移した。
 そこには桜色の濃淡で花柄が描かれた厚手のカーテンが、部屋の灯りの一寸でも漏れる事を恐れるかの様にぴっちりとした形で引かれていた。
 これでは、たとえ、部屋に明かりが点っていても外からは見えないかも知れない。
 なんとなく納得する思いだった。
 その夜、わたしと加奈子は加奈子が男を警戒するままに、ホテルへは行かずに部屋で過ごした。
 最初は男の存在に神経を尖らせていた加奈子も時間の経過と共に次第に落ち着きを取り戻して来て、普段の加奈子に戻っていた。
 軽くコーヒーを飲んだ後、加奈子はふと思い出した様に、
「ちょっとぉ、今、お風呂の支度をして来ますねぇ」
 と言って席を立った。
 思い掛けない加奈子の言葉だった。
 わたしはこの部屋ではそこまでは期待していなかった。
 加奈子に取っては、それでも十万円を手にする為の出来得る限りのサービスの心算なのかも知れなかった。
 風呂のある場所は食卓のある部屋のその奥にあった。
 こじんまりとした湯船だったが、風呂の湧いた事を知らせる甲高い音が聞こえると加奈子は、
「あっ、お風呂が出来ました。一緒に入りますかぁ」
 と言って、悪戯っぽい眼でわたしを見た。
 その表情は明らかに外でわたしが会う加奈子そのものになっていた。




              ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




                takeziisan様


                 年金者待ちぼうけ
                何時になたら 春が来るやら
                菓子の下 菓子も黒い菓子ですかね
                 川柳 良いですね 遣る気がある内はまだ若い
                遣る気を失くしたら総てが終り
                これからも期待しております 
                 まだ出来る もう出来ない 大違い 
                まだまだ遣るんだ 出来る 諦める心算は無い 
                人生 心の持ち方次第
                 四月は別れと出会いの季節 昔を思い出し
                なんとなくほろ苦い季節 その陽気と共にまた期待の季節
                 土筆 出ていますか 懐かしい姿 今ではこうして見るより
                見られません
                 山の写真 何時見ても 何度見ても心 洗われ 惹かれます
                気持ちが和みます
                これまで行った旅先の風景等に重ね合わせ
                思い出しながら画面を拝見しています
                 花の街 懐かしいですね
                子供の頃によく耳にした歌です
                ラジオから流れて来た当時が懐かしく思い出されます
                穏やかな時間の流れ 再びは帰らない過去です   
                 楽しい画面 有難う御座いました

 

 
 
 
 
 
  




 


































 
 

遺す言葉(540)小説 <青い館>の女(29) 他 少女の涙

2025-03-23 11:32:14 | 小説
             少女の涙(2025.3.21日作)



 テレビがロシアのウクライナ侵攻に関する
 映像を映していた
 兵士としてロシア国内から戦場に赴いた
 幼い二人の娘を持つ一人の若い父親が 
 戦死した
 父親の亡き骸は祖国へ還り
 国の為 戦い 尊い命を犠牲にした 英雄
 として称賛 褒賞された
 父親の遺影は 埋葬された墓地
 少女(姉)の通う学校 で
 国の為に戦い 尊い命を落とした 
 英雄として飾られ 崇拝された
 まだ幼い少女は 英雄として祀られ
 多くの人々 同級生などから
 称賛の眼差しで見られる
 父の遺影を眼にする度に
 嬉しくなり 誇らしい気持ちになった
 少女には祖母が健在だった
 祖母もまた 英雄として 称賛され
 崇拝される息子の姿が誇らしく
 思えた
 誇らしさ 誇らしい気持ち それでいながら
 心の奥の底 何処かには やはり 最早
 この世には居ない息子の存在 その淋しさが
 拭い難く 消し難く 残っていた
 テレビの前 祖母は
 英雄として称賛され 崇拝される
 息子を語る時 誇らし気な表情
 その裏に 時折り
 滲み出る淋しさ その表情 哀しみを
 垣間見せた
 両の眼には涙があった
 祖母の傍ら 横には 肩を抱かれて
 少女の姿もあった
 少女もまた 始め 祖母の息子を思う
 誇らし気な話しを聞いていて それが
 自分の父である事に 得意な気持ちを覚えた
 それでも 祖母が涙を浮かべ 
 再び帰る事のない 父の話しになった時
 少女は祖母と同じく 涙を浮かべていた
 二度と 自分の元へ帰る事のない父
 少女はこの時 明らかに 国の為
 英雄として死んで逝った父を 誇りに思う
 その気持ちより 二度と再び 
 自分の傍へ帰る事のない父を思って
 哀しみの涙に暮れていた
 幼い少女のこの哀しみ
 永遠に消える事のない 哀しみ
 再び 自分を抱き締め 
 頬ずりをして呉れる事のない父
 ロシア大統領 プーチンと言う 一人の愚か者
 この愚か者が齎した少女の哀しみ
 その哀しみの
 永遠に消える事は
 無い !




              ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




               <青い館>の女(29)




 
 加奈子はだが、気の進まない様子だった。
「でもぉ、部屋が狭いしぃ」
 重い口調で言った。
「狭くたっていいさ。兎に角、これから行ってみるよ。それで、その男を見てみよう」
 わたしは押し付ける様に言った。
「でもぉ・・・、いいですからぁ、約束は無かった事にしてくれますかぁ」
 困惑を織り交ぜた口調で加奈子は言った。
 自身の生活の場に一介の客でしかない見知らぬ男を招き入れる事を嫌ったのかも知れなかった。
 わたしの執着心はそれでもなお解けなかった。
 何故なのかはわたし自身にも分からなかったが、日頃のわたしには思いも及ばない執拗さだった。
 五カ月近くも離れていた若さに満ちた加奈子の肉体への執着心からだったのか ?
 或いは、唯一、わたしが生きている事への実感を得られる思いへの拘りだったのか ?
「それじゃあ、その男が付き纏ってる限り会えないじゃないか」
 わたしは批難がましく言っていた。
 わたし自身、何時の昔に失われてしまったのか、今では思い出す事も出来ない一途な情熱と感情の昂ぶりが自分でも不思議だった。
 加奈子はそんなわたしの言葉に何かを言ったが、わたしの耳には届かなかった。
 わたしは更に、加奈子を無視して言った。
「もし、迷惑でなかったら、これから迎えに行くよ」
「別にぃ迷惑って事はないですけどぉ」
 加奈子はやはり気が進まない様子だった。
 わたしはそれでも諦めなかった。 
「大丈夫だよ。君には悪い様にはしないから。もし、男が絡んで来て何か言ったら警察に突き出してやればいい」
 恋に一途な若者の様にわたしの言葉には熱意が籠っていた。
「でもぉ、その人の事はぁそっとしておいて貰いたいんですよぉ」
 加奈子は幾分、迷惑そうな気の進まない様子で言った。
「なんで ?」
 わたしは疑問に思って聞いた。
「厄介な事には係わりたくないからぁ」
 加奈子は言った。
「それならそれでいいけど、兎に角、君の住所を教えて呉れないか。君には一切関係ない様にして行ってみるから。わたしも君との事は誰にも知られたくないんで、悪い様にはしないよ。それに君だって今日は店を休んで、もし、わたしが行かなかったら十万円は入らないし、店の日当も貰えなくて一日が無駄になっちゃうじゃないか」
 わたしが口にした十万円という言葉に加奈子は改めて心を動かされた様子だった。
 ぼそぼそとした口調で、マンショんの名前と住所を教えて呉れた。
「もしぃ、管理人さんに何か聞かれたらぁ、わたしのおじさんだって言ってくれますかぁ。そうすると都合がいいのでぇ」 
 加奈子は言った。
「うん、分かった」
 わたしは受話器を置くと電話ボックスを出た。
 タクシーを探しながら大通りを海岸ホテルの方角へ向かって歩いた。
 加奈子が教えてくれた建物が何処にあるのかは分からなかった。
 それでも、何時来るのかも分からないタクシーを待ってじっとしている気にはなれなかった。
 タクシーは十分ぐらい歩いて漸く捕まえた。
 建物の住所と名前を言うと五十歳絡みの運転手はすぐに分かった。
 加奈子が住む町に入ると程なくしてタクシーは街灯の灯りの乏しい通りに乗り入れた。
 こじんまりとした瀟洒な感じの三階建て三十戸前後の建物の前でタクシーは停まった。
 その時、建物に向き合った大きな駐車場に沿って並んだ街路樹の陰から不意に一人の男が飛び出して、タクシーが来た方角へ向かって慌てた様子で走り去って行った。
 加奈子が言っていた男に違いないとすぐに判断出来た。
 タクシー代を払い、車を降りた時には男の姿は見えなかった。
 わたしはそれでも男が何処かに隠れて居はしないかと警戒し、辺りを見廻し、確認してから眼の前にある建物に向った。
 加奈子は三階、正面入口の左外側から二番目の部屋が自分の部屋だと言った。
 その部屋に明かりは無かった。
 用心して明かりを消しているに違いなかった。
 片側一車線の二車線道路を渡り、建物の玄関先に立った。
 大きなガラスのドアの金色のドアノブに手を掛けて開けた。
 玄関に人影は無かった。
 入口左側に管理人室と書かれた黒いドアがあるのがすぐ眼に入ったが、窓口からは人影が見えなかった。
 建物全体が奇妙に静まり返っていた。
 怪しまれる事を恐れて窓口に近寄り中を覗いた。
 小さな部屋には窓口近くに椅子が置かれていたが人影は無かった。
 そのままその場を離れ、正面に見えるエレベーターのある場所へ向かった。
 その時不意に、エレベーターの横合い、左廊下の陰から加奈子が姿を現わした。
 思わずギョッとしたわたしに向って加奈子は、
「吃驚しましたぁ」
 と、屈託のない笑顔で言った。
「驚いたぁ」
 わたしは息を吐き出す様にして軽く言った。
 加奈子はそれには答えず、
「すぐに分かりましたぁ」
 と聞いた。
「うん、タクシーで来たからすぐに分かった」
 わたしは機嫌よく言った。
 玄関正面に掛かった丸時計が十一時七、八分の辺りを指していた。




               ーーーーーーーーーーーーーーー




                 桂蓮様


                 お久し振りです
                記事 拝見しました
                理想と現実 何事に於いてもそうですね
                まして 自身に関する事は自身の思っている姿と
                他者の視点から見る姿とは全く異なります
                他者の眼を気にして自分を失うのも困りますが
                自分を主張するばかりで他者の視点を考慮に入れないのも
                また困りものです
                総て程々 と言う事でしょうか
                それにしても あらゆる事柄に於いて感覚で掴み取り 理解する
                これが大切な事ではないのでしょうか
                この事に関しては文章にも纒てあり 後日
                掲載する予定でいます
                 感覚で掴み取り 理解してこそ 本当の理解と言えると思います
                それまでの努力 是非 頑張って下さい
                写真撮影 良きパートナーの方に恵まれお幸せです
                日本の男性なら多分 フーンと言って 面白半分の軽い眼差しで
                見るぐらいでしょうね
                いずれにしても それに打ち込めるものの有るという事は
                人生を豊かにしてくれますものね
                実は 今日(3月23日)NHKで午後九時からバレーの放送があります
                楽しみにしているところです
                 バレーでの充実した日々の中 ブログがおろそかになるのも
                仕方のない事かも知れません 
                 またの御報告 楽しみにしております
                有難う御座いました
                          

































遺す言葉(539) 小説 <青い館>の女(28) 他 闇の中

2025-03-16 12:34:53 | 小説
             闇の中(2025.3.4日作)



 生きる事は
 一寸先は闇の中 歩いて行く事
 今この瞬間 そしてまた
 明日という時の中 自身の身に
 何が起こるか 誰にも分からない
 それでも人は 歩いて行かねばならない
 今日も 明日も また明日も
 歩くという事 生きる事
 その中で 人は せめて 自身を照らす
 一つの明かり 一つの星を心に持ちたい
 一寸先は闇の中 今この時 
 今日という日を生きる糧として
 金色輝く一つの星 希望という名の
 一つの星を心に持つ それだけで
 ただ それだけで 一寸先は闇の中
 明日に向かって歩いて行く その足下が
 明るくなるだろう
 一寸先は闇の中 明日の事は
 誰にも分からない その中で
 心に点した一つの明かり 金色輝く希望の星
 それを頼りに今日もまた 今この時
 今日という日を歩いて行く
 生きて行く




             ーーーーーーーーーーーーーーーーー




              <青い館>の女(28)



 
 
 義父が亡くなり、会長に就任してからのわたしはもう、専用電話を持ち歩く事もなくなった。
 それは頸木から解き放された様な解放感をわたしにもたらした。
 その上、丁度この頃、わたしは体調の不良にも悩む様になっていた。
 専用電話の放棄はそんなわたしの、仕事の第一線からの無言の引退宣言とも言える様な事だった。
 幸いと言うべきか、<マキモト>の株式の大半を握っていて絶対的議決権を持つ現在、九匹の猫と暮らす為にお手伝いさんを雇い、一人暮らしをしている義母とわたしの妻がわたしを社長の座から降ろして息子に未来を託し、社長の座を与えてわたしを会長職へと押し上げたのだった。
 社長を辞め、お飾りと言ってもいい様な会長職に就任した事に付いては、体調不良もあってむしろ肩の荷を下ろした様な解放感をさえ覚えたものだったが、それでもわたしはこの時、結局、わたしは何時まで経っても牧本家に於いては外様の存在でしかないのだ、と言う思いを強くしていた。ーーーー
 わたしが扉を開けた公衆電話の中は、如何にも漁港に面した場所を思わせて染み付いた魚の匂いがしていた。
 加奈子の電話番号は覚えていた。
 電話はすぐに繋がった。
「はい、加奈子ですぅ」
 加奈子は答えたが、その声には何か困惑した様な気配さえが感じられて、先程見せた明るさが無かった。
 わたしはだが、半分怒りに任せた感情でそんな仔細に拘る気分にもなれないままに、
「一体、何やってるんだよ。今、何処に居るんだ」
 と怒鳴っていた。
 受話器を通した向こうからは明らかに、加奈子の緊張した気配が伝わって来た。
「御免なさい。今、家に居るんだけどぉ、外に出られないんですよぉ。変な男がうろうろしていてぇ」
 今にも泣き出しそうな声で加奈子は言った。
「変な男 ?」
 わたしは思わず口にしていた。
 同時に不安が心を過ぎった。
 厭な事に巻き込まれるのでは ?
 最も恐れている事だった。
 たとえ、偽名を使っていても、もし、この事が新聞記事になったり、テレビ、ラジオ等で大々的に報じられたりした時には、身元などは簡単に判明してしまうだろう。
 加奈子が生きている世界が多少、如何わしいとも言える夜の世界だっただけに、わたしの脳裡にはその背後に居る存在が黒い影となって大きく浮かび上がった。
 何かの罠に掛かったのでは ?
 恐怖が身体の中を走った。
 そんな思いの中でわたしは極力冷静さを保って、
「どんな男なの。その男は ? 知らない男なの」
 と聞いていた。
「知らないんですよぉ。だけどぉ、何時もぉわたしの後を付けて来るんですよぉ」
 加奈子は半分泣き出しそうな声で言った。
「その男が ?」
 この時になって漸くわたしは、加奈子に対する疑念が払拭出来て静かな声で聞いた。
「そうなんですよぉ」
 加奈子は言った。
 と言う事は、今流行りのストーカーという事か ?
「若いの ? その男は」
 わたしは軽い緊張感と共に聞いた。
「若いんですよぉ、二十四、五歳かと思うんですけどぉ」
 困惑と不安の入り混じった声の、今にも泣き出し兼ねない表情を言葉に滲ませて加奈子は言った。
 わたしはそれ等の事から想像して、加奈子の言葉に嘘は無いという思いを抱いて早くも逃げの姿勢を自身の裡に感じ取っていた。
 厄介な事には巻き込まりたくない。
 同時に軽い疑念をも抱いた。
 この前会った時はそんな事は一言も口にしなかった。
 わたしから逃げる為の口実ではないか ?
 だが、加奈子はわたしと直接に会う事によって店で得る収入よりも遥かに多くの現金を手にする事が出来るのだ、と考えるとまんざら嘘でも無いのでは、という気もして来た。
 わたしは不可解な思いを抱いたまま聞いた。
「その男は何時も、そうして居るの」
「よく分からないんだけどぉ、わたしが仕事から帰って来たりするとぉ、居たりするんですぉ」
「ずっと前からそうだったの ?」
「何時からかは分からないんだけどぉ、この所、しつっこいんですよぉ」
「今も其処に居るの ?」
「そうなんですよぉ。樹の陰に隠れてるんですよぉ。それでぇ、わたしの部屋を見てるんですよぉ」
 加奈子の言葉の中に男の姿が浮かんで見えて来る気がした。
 それでもわたしは男の存在を無視する様に、
「男になんかは知らん顔をして、そのまま出て来る事は出来ないの ?」
 と聞いた。
「でもぉ、怖いんですよぉ。わたし前にぃ、腕を掴まれて服を破られた事があるんですよぉ。だからぁ、怖いんですよぉ」
「その男に ?」
「そうなんですよぉ」
 この時、初めてわたしは緊張感を覚えた。
 その緊張感と共に言った。
「じゃあ、これから、わたしが君の部屋へ行こうか ?  何気ない顔をして行けば男には解からないだろう」
 真相を確かめてみたい気持ちと共に、何故かその時、その事に対する強い執着心を覚えていた。




              ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




               takeziisan様


                有難う御座います
               春の気配一杯 ブログ記事を拝見していますと
               なんとなく心が浮き立って来ますが今日のこちらは寒く
               雨で冬の気配 憂鬱です
                行ったり来たりの気紛れ天気 ヴィヴァルディの四季の様な
               心弾む陽射しが欲しいものです
                ブログには春一杯の景色 北国の春 ダーカーポ 早春賦
               早春賦は中田喜直の父 中田章の曲ですね
               森繁久彌の知床旅情の元歌と言ってもいいと思います
               出だしの部分などは全く同じです
                それにしても何事に於いても良いものは人の心を捉え
               何時までも後世に残ります
                フリオ イグレシアス 懐かしいです
               日本にも来ましたね
                ブログ画面の様な春の気配 待ち望むばかりです
               不安定な天気 どうぞ御身体にお気を付け下さい
               わたくしは血圧が低いものですから 低気圧が来ると覿面に
               体調に響いて来ます それでどうと言う事は無いのですがーー
               有難う御座いました

                  

 
                  albi-france様

                
                  有難う御座います
                 厄祓い なんとまあ 生意気な と愛情を込めて言いたくなります
                 犬にも厄祓いがあるのですかね
                 たとえペットと言えども 愛玩する者に取っては
                 大切な行事なのでしょうか
                 でも 初めて聞きました
                  相変わらずの美食 どうぞ 食べ過ぎには御注意を
                 わたくしは以前 大腸がん手術をしましたので 
                 今は専ら 野菜が主食と言ってもいい様な食事をしています
                 勿論 タンパク質 適度な油分の補給にも注意をしています
                 お蔭で現在 体調はほぼ完璧です
                  どうぞ 過食 美食には御弔意を !
                 年齢と共に代謝は悪くなって来る
                 日頃 実感している事です
                  小梅ちゃんのあの物欲し気な眼差し 以前にも書きましたが
                 人間の眼差しと全く変わりません 
                  " 愛さずにはいられない " 
                 その気持ちが良く伝わって来る画面です
                 こうして画面で見ているだけで楽しくなって来ます
                  有難う御座いました
                  
 
       
 


 







































遺す言葉(538)小説 <青い館>の女(27) 他 神は心

2025-03-09 13:05:36 | 小説
             神は心(2025.2.24日作)



 神は誰の心にも存在する
 愚かな人間は その神が見えない故に
 悪事を重ね 蛮行を繰り返す
 世界各国 各地 様々 存在する神 教会
 何々教 何々宗派 その中に神は
 存在しない
 跪いての祈りなど 神は
 必要とはしない
 それ等の行為の総ては
 教会宗教 宗派の宣伝行為 押し付け行事 権威付け
 神は心 人の心の中にのみ
 存在し得る
 人が人として 真実の道を歩む その指標 
 心の支え 心の糧として 自身が心の裡に 育む存在 神 
 全知全能神など 何処にも居ない
 教会 宗派の中に 神など存在しない
 神は心 人 その人自身の真摯な心の裡にのみ存在し
 存在し得る  




             ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




              <青い館>の女(27) 




 加奈子はだが、それには、
「あっ、大丈夫ですよぉ、いいですよぉ」
 と言って、乗り気な様子を見せた。
 わたしの気持ちを損なう事を恐れている様にも受け取れた。
「店は休めるの ?」
 加奈子の立場を思って聞いた。
「ええ、大丈夫でよぉ」
 加奈子は言って、既に気持ちの整理も出来ていたらしかった。
「そう。じゃあ、また、この前の場所で待っていて呉れないかな」
 わたしは言った。
「やっぱり、九時頃までに行ってればいいんですかぁ」
 迷いの感じられない声で加奈子は言った。
「そうだね。その頃がいい」
 わたしは言って受話器を置くと途端に、激しい嫌悪感に襲われて気分が滅入った。
 仕事も何もそっち除けで、まだ幼い孫と言ってもいい様な女を相手に愚にも付かない電話をしている ! 
 自分の行為の愚かさ浅はかを思うと気持ちが沈んだ。
 わたしはそのまま受話器の傍を離れるとベッドに行って身体を投げ出した。
 何も考えたくなかった。
 沈み込んだ暗い気持ちだけが身体全体を包んでいた。
 このまま何も考えずに眠りたい。
 頭の下に両手を組んで眼を閉じた。

 眼を醒ました時には七時に近かった。
 五階の部屋から見下ろす海岸通りの街灯には尽く灯が入っていた。
 入浴を済ませてからトーストの軽い食事をした。
 気分は相変わらず優れなかった。
 加奈子との約束の場所まではタクシーで行けば十二、三分の距離だった。
 行かなければ行かないで済む事だったが、空虚な気分のままに行かないと決断する気にもなれなかった。
 約束の場所に着いた時には九時を少し過ぎていた。
 加奈子は来ているものと思ったが何処にも姿が無かった。
 どうしたのだろう ?
 微かな疑問と共に、何かの事情で遅れたのかと思いながら、そのまま待つ気になった。
 海から吹いて来る風が思いの外、冷たかった。
 腕組みをして思わず首をすくめた。
 少しして街灯の灯りで腕時計を見ると15分が過ぎていた。
 依然として加奈子は姿を見せなかった。
 この時になって初めて不安な思いと共に疑念を抱いた。
 騙されたのか ?
 電話をしたあの時、加奈子はしつこい男から逃げる為に体よく口裏を合わせただけなのか ?
 加奈子の秘かにほくそ笑む様子が脳裡に浮かんだ。
 年甲斐もなく、助平な親父ったらありゃしない。いい気味だ !
 そんな思いが頭を過ぎって激しい屈辱感に襲われた。
 自分自身の滑稽さと惨めさが全身を包んだ。
 再び腕時計に眼を遣ると九時半を過ぎていた。
 帰ろう、と思った。
 こんな所で、来るのか来ないのか分からない女を待っていても仕方が無い。
 わたしは歩き出した。
 何故か気持ちは軽かった。
 齢はもゆかない女に見事に騙された、という思いはあっても、これで総てがさっぱりすると思うと、愚かな行為への諦めもつく気がした。
<サロン・青い館>を訪ねる事も、もう無いだろう。
 北の街の海辺に面した海岸通りには行き交う車の姿も無かった。
 当然の事ながらタクシーの姿も無かった。
 街灯の灯りを頼りに公園の柵に沿って歩いて行くと漁港への入り口に出た。
 この前と同じ様に漁港には数々の漁船が暗い夜の中、影を見せていたがやはり人影は無かった。 
 その時、思い掛けなく漁港の入り口を入ってすぐ近くの場所に、一台の公衆電話ボックスが在るのが眼に入った。
 大きく枝を広げた暗い樹の下に立つ、極くありふれた電話ボックスが何故かその時、わたしの心を捉えた。
 瞬間的に思っていた。
 そうだ、あれでもう一度電話をして文句の一つも言ってやろう。
 復讐心のみが強かった。
 そのまま電話ボックスに向かった。
 普段、わたしは携帯電話を持ち歩かなかった。
 電話をわたしは嫌っていた。
 電話には良い思い出が無かった。
 義父が健在だった頃にはわたしも携帯電話を持ち歩いていた。
 義父からのものを始め、至る所で様々な連絡を受けていた。
 地方へ出た折りにはしばしば夜間でも受けた。
 概して義父からのものが多かったが、義父は自分の思い通りに事が進まない時には、何時でも何処でも所かまわず電話をして来た。
 わたしに取っては理不尽と思える事でも義父は怒りをぶちまけて来た。
「おい、正月用の数の子がまだ入ってないぞ。一体、何遣ってるんだ。さっさと送らせなければ駄目じゃないか。今、売らないで何時売るんだ」
 わたしが数の子などには関係のない山間部の地方を廻っている時でも、そんな電話が掛かって来た。
 それらの事で義父自身が関わっている事もしばしばあった。
 自身の思い通りに行かない時に限って不満をわたしにぶっつけて来るのだ。
 わたしはそれでもなお、義父の機嫌を損ねる事を嫌って、翌日には義父に連絡出来る様にと夜中の電話を担当者に掛けたりした。
 担当者に取っては当然の事ながら迷惑な深夜の電話で、受話器の向こうからは不機嫌な声が帰って来た。
 電話に抱く生理的とも言える嫌悪感は、そうした義父の度重なる怒声や部下達のそれとはない不機嫌な声音によって形成されて来たのだった。




              ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




               albi-france様

                
                有難う御座います
               小梅ちゃん 何度か見て見馴れているはずなのに
               また新たに眼にすると思わず笑いが出てしまうのは何故でしょう
               あの澄まし顔がなんとも言えずに笑いを誘います
               こちらの気持ちを理解している様にも見えて来ます                    
                前にも書きましたがこれでは愛玩せずにはいらません
               はたから見てもその気持ち 充分理解出来ます
               旅のお供の重要なパートナーですね   
               最近はペットを連れての旅行にも理解が進んでいる様です
               嬉しい限りではないでしょうか
                どうぞ 大事にして上げて下さい
               有難う御座いました
                次回の小梅ちゃん どの様な表情を見せてくれるのでしょう
 


                
                 takeziisan様


                  何時も有難う御座います
                 今回も楽しませて戴きました
                 雪景色 昨夜は暖かいこの地方でも薄っすらと積もる程度に
                 雪が降りました
                 今朝はもう全く影も形もなく朝日の輝く朝を迎えました
                 NHKテレビでは今朝 新潟県の雪深い地方の番組を放送していました
                 雪国に生きる人々の寒さに負けない逞しさ
                 雪景色の美しさ 何時も見入ってしまいます
                 寒さを除けば憧ればかりが膨れ上がります
                  三頭山 これもNHK番組 三頭山ではありませんが
                 毎週 百低山番組を見ています
                 NHK番組でも詰まらない番組は見ないのですが
                 地方の景色や人々の地道な暮らしを描いた番組は
                 拾ってよく見ています
                  母への手紙 お母様の御写真 いいですねえ
                 自身の母親の姿も思い出しました あの当時の生活が蘇ります
                 ブログの中でもお書きになっておられますが
                 みんな遠い思い出です
                  ねえちゃ かあちゃ ねえちゃん かあちゃん
                 寒い地方ではそうやって口を開くのまで節約しているんだ
                 などと冗談めかして聞いた事がありますが
                 やはり北国地方の発音ですね
                 面白いです わたくしは東北地方の方言は好きです
                 柔らかさがあります
                 地元 関東の言葉のきつさとは雲泥の差です
                  なごり雪 懐かしい曲 当時は余り関心を払わなかったのですが
                 テレビで当時の楽曲の販売コマーシャルで様々な楽曲の一端を耳にした時 
                 ああ あの頃には 案外 好い歌があったのだなあ
                 などと思いました 今聴いても良い歌が沢山有ります
                 これも一つの財産ですが やはり遠い思い出の中のものです
                  有難う御座いました 



                        
                 
 
 
 
 
 
 


 
 








             
 



























遺す言葉(537)小説  <青い館>の女(26) 他 独裁者

2025-03-02 12:35:53 | 小説
               独裁者(2025.2.25日年



 
 一国の指導的立場に立つ人間に取って
 独裁といてう言葉程 魅力に充ちた響きを持つ言葉は無い
 故に ロシアのプーチンの如き 何万もの
 人の命を無為に奪って 恥じる事も 心を痛める事も無い
 人非人  愚劣極まる人間に同調して恥じない
 愚かな指導的立場に立つ人間達が この地球上
 東西南北 世界各地に無数に出現 存在する
 この悲劇的現実 混迷を深める世界
 世界は人 一人一人のもの
 愚かで卑劣な
 独裁者達のものでは無い


 独裁者==自分の欲望以外に他を見る事の出来ない低能者 愚か者

 
    




             ーーーーーーーーーーーーーーーーー




              <青い館>の女(26)



 
 
 それでもわたしはまた春が来て、北の街を訪れた時には加奈子に会おうとするだろう。
 彼女に依って得られるものが束の間の充足感であっても、それを求めて行くだろう。
 それのみが今のわたしに取っては、生きている実感を与えて呉れるものだった。
 その加奈子は、このまま何カ月も電話をしないでいるわたしに対してどの様な思いを抱いているだろうか ?
 今度会った時には、なんて言うだろう ?
 不機嫌に冷たくあしらうのだろうか ?
 それとも、口では体裁の良い事を言って置きながら、いい歳をして助平な奴ったらありゃしない、と軽蔑しているのだろうか ?
 わたしはだが、そうして浮かんで来る様々な思いの中でもなお、加奈子に電話をしてみようという気にはならなかった。
 彼女がたとえ、どの様な思いを抱いていようともそれはそれでいい、思い煩っても仕方のない事だ、と心に決めていた。
 

            
             四


 
 わたしが久し振りに足を運んだ北の街は、テレビが春の訪れを伝えていた四月も半ばを過ぎた季節の中にあった。
 三月末の支店長会議で新営業年度の経営方針が打ち出されていて、新たな指示の必要は無かったのだが、わたしの支店廻りがまた始まっていた。
 北の街では何時もの様に海岸ホテルに宿泊した。
 ほぼ五カ月振りに見る北の街は季節の違いを除いて外に変わりはなくて、わたし自身もこれ程までに、と思える様な懐かしさに捉われていた。
 海岸ホテルに落ち着くと東京に居る時とは比べ物にならない程の身近に加奈子の存在を感じた。
 電話をすれば直ぐにも会えるのだ、という思いがその存在を身近なものにしていたのに違いなかった。
 わたしはなんとなく増して来る明るい気分と共に、取り敢えず、仕事を済ませてから加奈子に電話をしようと、心の裡で呟いていた。
 その日、午後八時過ぎにまだ事務所に居るはずの支店長に電話をした。
「今日、午後に着いたので明日、そっちへ行くよ」
「はい、分かりました」
 支店長は言った。
「どうだい、お客さんの動きは ?」
 支店長の声は暗かった。
「良くありません。やっぱり、消費税を上げた事が直に響いてますねえ」
「四月の入学関係も駄目か ?」
「多少の動きはありましたけど、期待していた程ではなかったですねえ。この辺りは大都会と違って子供の数も限られていますから」
 わたしは「まあ、頑張ってみてくれよ」と言って電話を切った。
 翌日、わたしは午前十時過ぎに店に顔を出し売り場を廻り、その後、支店長や川本部長に会ったりして午後三時過ぎまでを過ごした。
「空港までお送りさせましょうか」
 わたしが帰り支度を始めると支店長は気を利かせて言った。
 わたしがホテルからすぐに東京へ帰るものと思っていたのだ。
「いや、いいよ。ホテルで少し休んでから帰るので、後はタクシーで駅まで行ってそこから空港までは電車で行くから」 
 支店長はわたしが心臓疾患を患っている事は知っていた。
「そうですか」
 なんの疑念も挟まなかった。
 ホテルまで送ってくれた車はすぐに帰した。
 部屋へ入るとソファーに身体を埋めた。
 今年初めての仕事が無事に終わった解放感からか、途端に思わぬ疲労感を覚えていた。
 背凭れに頭を寄せ掛けると眼を瞑った。
 暫くは何も考えずにいたが気分が収まって来るとふと加奈子の存在に思いが走って、何時、電話をしようか、と考えた。
 腕時計に眼をやると間もなく五時になろうとしていた。
 この時間ならまだ、加奈子は部屋に居るだろう。
 いざ電話をするとなると気持ちが引けた。
 五カ月を超える空白期間が加奈子の気持ちをどの様に変えているのか、読み切れなかった。
 電話の向こうの不機嫌な加奈子の声を想像すると躊躇われた。
 厭な思いはしたくない。
 それでもこのまま電話をしない事にも、悔いの残る思いがした。
 意を決して受話器を取った。
 四度目か五度目かの着信音で電話が繋がった。
「はぁい、加奈子ですぅ」
 無邪気とも言える屈託の無い声が聞こえて来た。
 何時も遣り取りしている相手からの電話だと思っている様子が窺えた。
 加奈子のそんな気楽さに対してわたしの気分もまた、解きほぐされていた。
「しばらく。 三城だよ」
 親しみを込めた口調で穏やかに言った。
「ああ、三城さん・・・」
 加奈子にはだが、予想外の事らしかった。
 息を呑む様に言って言葉を切った。
 その様子が加奈子の驚きを顕わしている様に思えて一瞬の戸惑いを覚えた。
 その心の揺らぎを隠してわたしは言った。
「年末年始の仕事に追われていてなかなか来られなかったんだ。久し振りに来たので電話をしてみたんだけど、どうだろう ? 都合が悪いかな」
「・・・・・」
 加奈子はわたしの言葉に思いも掛けない事を聞いた様に一瞬、言葉を呑むといった気配を感じさて黙っていたが、やがて、
「別にぃ、大丈夫ですぉ」 
 と、ボソボソした口調で答えた。
 その口調に加奈子の迷いが感じられる気がして、
「もし、都合が悪ければ明日でもいいんだ」
 と言い訳をする様に言っていた。




              ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





                albi-france様

                 有難う御座います
                小梅ちゃん 過去の作品も見せて戴きました
                それにしても やっぱり笑ってしまいます
                いやぁ 可愛いです 何回も書く様ですが
                全く 人間の子供と変わらなく見えて来てこれでは
                絵を撮りたくなるのも無理はないと思ったりしています
                 それにしても相変わらずの日常のお楽しみ 羨ましい限りですが
                今年の寒さの中 何処へ出る気にもなれませんでした
                漸く見えて来た春の兆し また六甲の山の景色なども
                拝見出来たらと思います
                 あるやん・・・しょっちゅうです
                あれ、今此処に置いたのに・・・
                今まで当たり前の事が当たり前ではなくなって来る年齢
                日々 今までより一層 注意深く物事を見る様になりました
                美しい風景 楽しませて戴いております
                 有難う御座いました



                
                takeziisan様


                 有難う御座います
                花々の写真 楽しませて戴きました
                蒼空に映える白梅にメジロ 河津桜の見事さ
                こちらの公園はまだ冬枯れの景色そのままです
                 それにしても今年の雪 雪国育ちの方々はどの様に
                御覧になっているのでしょうか 自分達に取っては
                当たり前の景色 ?
                 それにしても雪国に生きる方々の真摯に生きる姿には
                何時も感動を覚えます また雪国への憧れみたいなものも
                心の隅にはあるのですが その寒さを思うと引く気持ちもあります
                温暖な地域に育った人間には無理ーー
                 川柳 相変わらず傑作揃い 良くお作りになります
                そうだ そうだ うふふっ いや 楽しいです
                これからも傑作 お待ちしております 
                「キエン セラ」ロス パンチョス
                懐かしいですね 懐かしさの余り 当時を思い出して瞼が熱くなりました
               やはり パンチョスが良いですね
                ペレス プラードはあのトランペットの響きに魅了されます 
               パンチョスにしてもプラードにしても 日常
               何気なく耳にしていた事を思うと なんと贅沢なという気持ちになって来ます
               これも前回書きました 総ては遠い過去の思い出です
               今の雑音の様な音楽は聴く気にもなりません
                有難う御座いました

                


             




             
























 
   
 

遺す言葉(536)小説 <青い館>の女(25) 他 雪の中

2025-02-23 13:15:41 | 小説
             雪の中(2025.2.22日作)



 凍て付く空 寒気の帯
 寒気の針が 人の
 身体を刺す 心を刺す
 荒れ狂う猛獣 狂獣
 冬の生き物 暴れ者
 白い結晶 雪
 雪一面の白い世界 この国 北国の
 何時にも増しての 厳しく 寒い冬景色
 それでも人は その中 今日も生きている
 冬の生き物 贈り物 寒気の猛獣 狂獣
 白い結晶 雪と闘い 跳ね除けながら
 日毎 夜毎 厚さを増し 重さを増し 
 日々の生活 人の生きる術を脅かす
 自然の猛威 暴挙の中を 今日も人々
 多くの人々 人達が 生きている
 生きている 生きている 生きるという事
 厳しく過酷な現実 その世界 それでも 
 笑顔を見せて耐え抜きながら 今日もまた
 多くの人々 人達が 真摯に生きている
 生きる 生きるという事 真摯に生きる その姿 
 その逞しさ 美しさ 
 雪は今日もまた
 降り続く




          ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



             
            <青い館>の女(25)



 
 各営業所とも年末商戦で普段の月より成績を上げていたが、昨年同期と比べると明らかに伸び悩みの傾向が見えていた。
 世間の不況風を真面に受けているという事だ。
 何処かの支店に限って不振が目立つというのであれば、電話で問い質す作業も必要だったが、総ての支店に於いて同じ様な傾向が見られる以上、何処の支店長をどうのという訳にもゆかなかった。
 その後、社長室に電話をしてみた。
 社長は午後三時過ぎでないと帰りません、という返事だった。
 息子は東京、奥多摩地区に物になりそうな物件があるという事で動き廻っていた。
 その息子が四時過ぎになってわたしの室へ顔を出した。
「電話があったんだって ?」
「おお、帰って来たのか。何、用事って程の事じゃないんだ」
 息子はわたしの四角い大きな机の向こう側の椅子に座るとすぐに、煙草を取り出して火を点けた。
 その姿が何時も義父の姿を思い起こさせた。
 息子がM農産販売を切った事を思い浮かべながらわたしは、総てが義父にそっくりだ、と改めて思った。
 息子がM農産販売を切った影響は今のところ顕著に表れてはいなかった。
 その分、仕入れ担当部長の中園は品揃えに苦労していた。
 M農産販売では各規格毎にきちんと揃えて出荷してくれていたのだったが、市場での寄せ集めとなるとなかなかそうはゆかなかった。それだけ仕入れ担当部には負担が掛かった。
 その上、品物自体の不足に見舞われる事もしばしばあった。
 息子はそれでも、それらの事情を口実に営業成績の落ちる事を認めなかった。
「それが、あんた達の仕事だろう。それ位の事が出来ないんなら仕入れ担当部なんてのは要らないんだよ」
 もし、わたしだったら、仕入れ担当部の反対を押し切ってまで断行した事柄に、それ程の強い態度で臨む事は出来なかっただろう。
「お坊ちゃん育ちで、苦労を知らないからね」
 古い社員の間からは、そんな陰口も聞こえて来た。
 そればかりではなかった。
 あらゆる行動規範が義父の生き写しだった。
 わたしは何時も彼の遣り方に義父の面影を見ている。
「どうだ、物になりそうか ?」
 奥多摩地区の物件を聞いてみた。
「まだ、なんとも言えないけど、商売的には良い環境だと思うよ。よくあんな良い物件が残っていたと思うよ」
 息子は明らかに乗り気になっていた。
「それはそうと、あっちはどうなっている ? それを聞いてみようと思ったんだ」
 わたしは同時並行で行われている地方物件、北の街の中古車販売の件に付いて聞いてみた。
 息子はこの件に関しては顔を曇らせた。
「なかなか好い相手が居ないんだよ。何しろ、こっちはずぶの素人だし、やたらに手の内を明かしてお株を取られてしまったんじゃあ、何んにもならないからねえ」
 息子は言った。
「手は廻してあるのか ?」
「いろいろ様子は聞いてるんだけど、どういだろうなあ。部品屋にも当たってみてはいるんだけど」
 突然、鳩尾の辺りに大きく突き上げて来る痛みと脈拍の乱れを感じてわたしは、思わず顔をしかめて右手を添えた。
「どうしたの。具合が悪いの ?」
 それに気付いた息子は煙草を持っていた右手を宙に浮かして凍り付いた様な顔で聞いた。
「いや、なんでもない。突然、ドキンと来たのでびっくりした」
 一瞬のうちに治まった心臓の異変に安堵を覚えながらわたしは静かに言った。
「相変わらず、具合いは良くないの ?」
 わたしの病状を知る息子はそれでも不安気だった。
「いや、この所、安定しているんだけど、昨夜、飯倉さんのパーティーで少し飲み過ぎたのが良くなかったのかも知れない」
「昨夜は大盛況だったみたいだね」
 母親に聞いたのだろうか、息子は言った。
「うん、賑やかだった」
 わたしは醒めた口調で答えた。
 今のわたしに取っては総ての事が遠い世界の出来事にしか思えない。
 わたしを襲ったばかりの不安定な病状に怯え続ける日常、その中ではあらゆる物事が暗い影の下、黒く浮かび上がって見えて来るだけだった。
「それにしても、年末商戦は余り期待出来ないなあ」
 わたしは話題を変えて言った。
「かなり厳しい」
 息子も状況は把握していた様だった。
 クリスマスが過ぎると店舗の商品構成は即座に年末年始に向けて変えられた。
 本部からの指示に基ずくものだったが、地域によって店頭に並べられる商品は違っていた。
 総て地元の裁量に任せてあったが、店長の手腕が問われる処でもあった。
 わたしは北の街の夜に灯を点す<サロン・青い館>の加奈子を時々思い出した。
 それで心を乱される事は無かった。
 当分、北の街へ行く事は無いだろうと決めて思い出す加奈子は、雑誌の中の写真に見る女達の様に遠い存在にしか思えなかった。
 北の街では束の間、彼女によって心の空虚を埋めていたがそれも遠く離れて東京で顧みる時、年甲斐もない好色、としか言い様のない行為に思えて来てまた新たな自己嫌悪に陥った。




               takeziisan様


                
                奥様の御介護にお忙しい中
               駄文にお眼をお通し戴き有難う御座います
                編笠山 遠い思い出に
               そうですね われわれの年齢になると総てが遠い思い出になってしまいます
               寂しい限りです
                でも 思い出があるという事は良い事かも知れません
               それだけ人生が豊かだったという事なのかもしれませんから          
                豪雪 今回 ちょうど雪にまつわる文章を書いてみました
                腰痛 わたくしも以前 神経痛を持っていたのですが
               自己流体操を続けているうちに何時の間にか治っていました
               今は寒い中でも出る事がありません
               水泳は是非 続けた方がいいのではと思います
               高齢になると体を動かさないとそれだけ堅くなってしまう様です
               動く事が一番の高齢対策だと思います
                大根 今回はきれいな大根
               前回の大根を見た時 ふと こんな言葉が浮かびました
               「大根は 千両役者 形(かた)自在」
               大根役者ではなかった
                「慕情」「ある愛の詩」
               映像 メロディー 共に記憶に刻み込まれています
               寒さの厳しい中 どうぞ御身体に気を付けて
               これからも素晴らしい映像の数々をお送り下さい
                有難う御座いました



           

                                                    albi-france様


                有難う御座います
              六甲に近い処にお住まいとの事 毎日 自然の環境を眼にしながら1日を終わる
              素晴らしい事だと思います
              日々 家々の屋根だけしか眼に入らない街中に生きる人間に取っては
              羨ましい限りです
              時々 東北地方などへ旅行をする事があるのですが
              車の窓などから雄大な山々の連なりが眼に入って来ると
              ほっと心が洗われる様な思いを抱きます
              日々 自宅の窓からそんな自然 六甲の山々を見ながら1日を終わる
              なんと贅沢な事か という思いです
               贅沢なと言えば お友達との会食 余り外で食べ事の無いわたくしには
              今 街中でどんな料理が流行っているのかも知りません
              そうやってお友達などとの会食を楽しむ心の余裕 豊かさ
              これもまた羨ましい限りです
               でもどうぞ 過食には御注意を !
              小梅ちゃん 相変わらず何故か笑ってしまいます
              まるで人間の幼い子供の様です 表情がいいですね
               有難う御座いました
               



  
                                      


                































遺す言葉(535)小説 <青い館>の女(24) 他 トルストイの言葉ほか

2025-02-16 11:25:54 | 小説
             トルストイの言葉ほか(2025.1.18日作)


 
 知識は手段であって目的ではない
 トルストイは言っている
 得た知識を何に使うか
 知識を有効に使う事によって知識が生きる
 実行を伴わない知識は死んだ知識
 物知り顔にペラペラ喋り 知識を誇っても
 その知識を使う事を知らない人間は
 知識のない人間


 人は他者から自分に取って良い事をされた時には
 それが当然の事の様に受け止めるが
 悪い事をされた時には
 大袈裟にその悪事を吹聴 批難する


 文章を書く事は
 それを読む人の心の中に絵を描く事
 文筆家は画家
 文字でそれを読む人の心の中に絵を描いている
 文字を読む
 人の心の中に鮮明に絵が浮かび上がる時
 名文だと言える
 長たらしく 派手に飾り立てた言葉など必要ない
 名文はたった一言 たった一行の中に
 豊かな絵を浮かび上がらせるだけの力を持っている




            ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




             <青い館>の女(24) 



 
 
 それにしても、教授がこんな風に妻と親し気にしているのはどういう事だろう ?
 何か魂胆でもあるのだろうか ?
 それとも単なる顔馴染みというだけの事なのか ?
 もし、教授が今でも昔の面影を残していて、とても還暦を過ぎたとは思えない妻の美貌に魅せられているのだとすれば、愚かな事だ。
 妻は単なる人形、気位の高い人形でしかない。
 木偶の感情しか持ち合わせていない石にしか過ぎないのだ。
 それとも教授は牧本家の財力に眼を付けているのだろうか ?
 財力にかけてはこの会場にはもっと大物が一杯居るだろうに。
 あるいは二人は既に深い関係にあるのか ?
 だが、それらの事も今のわたしに取っては、どうでもいい事であった。
 もし、教授が妻との関係を深めたいのなら深めればいい。
 今のわたしに取ってはそれもまた、遠い世界のわたしには関係の無い事の様に思えて来るのだ。
 折よく、エッセイストだか作家だか、これもまたテレビによく顔を出している相川早紀子がのっぺりした顔立ちのテレビタレントらしき男と連れ立って来て、教授とわたしの妻を捕まえた。
 わたしはその隙に彼等の傍を離れた。
 バーティーが終わりに近付く頃、妻とわたしは飯倉夫妻の傍へ行き、挨拶をしてから会場を後にした。
 酒が入る事を考慮して車を置いて来たわたし達はホテルの前でタクシーを拾った。
 妻は座席に身体を埋めると早速、文句を言って来た。
「いったい、何やってるのよ。会場の隅にポッネンとしていて見っともないって言ったら、ありやしないわ。どうしてもっと積極的に自分を売り込まなかったの。飯倉さんのパーティーなんて、財界のお偉方と御近付きになるのにこんないい機会はないじゃないの。それをまるで世をすねたみたいに会場の隅で一人しょんぼりしているんだから、話しにも何もならないわ」
 わたしは疲れていた。
 妻が言う様に誰と話しをしなかった訳ではなかった。わたしはわたしなりに数多くの人達と挨拶を交わし、勧められるままに水割りウイスキーのグラスを空けていたのだ。
 たいして酒に強くはないわたしはそんな事もあって、体調の不良と共にタクシーの座席に身体を埋めると同時に軽い酔いと、何時もより速い心臓の鼓動を意識して不安に捉われた。
 その不安を押し殺してわたしは言った。
「誰とも話しをしなかった訳じゃないさ。それなりに必要と思える人にはちゃんと挨拶して置いたさ」 
 妻はわたしのそんな言い訳めいた言葉にも耳を貸さなかった。
「とにかく、孝臣はまだ若いんだし、幾らマキモトの社長だって言ったって、あなたがちゃんと手を貸して遣らなければ駄目なんですよ」
「奴の事は心配しなくて大丈夫さ。俺より余程、しっかりした仕事をしている」
 普段、彼の仕事ぶりを眼にしているわたしは本音を言った。 
「何時もこうなんだから」
 妻は勿論、そんなわたしの言い訳めいた言葉には耳を貸さなかった。
 如何にも不満気な口調で呟くと座席の後ろに頭を持たせ掛けて眼を瞑った。
 わたしはそんな妻を見て、お前が付いていれば大丈夫さ、と胸の中で呟いたが、無論、言葉には出さなかった。
 タクシーは渋滞に巻き込まれていた。
「何かあったのかしら ?」 
 妻は不安気に外を見て言った。
「この通りは何時も混むんですよ」
 タクシーの運転手もうんざりした口調で言った。
 わたしは気分の優れないままに眼を閉じていた。
 外の渋滞に眼を向ける気にもなれなかった。
 そんなわたしの眼を閉じた世界には改めて、パーティー会場の華やかな雰囲気とその中に居た人々の煌びやかで艶やかな姿が浮んで来た。 
 にこやかな笑顔を振り撒きながら、得意満面でいた誰彼の姿が思い出された。
 わたしはそんな人達の姿を思い浮かべながら、優れない気分と共に思わず心の中で、みんなスノッブだ ! 俗物だ ! と呟いていた。
 その夜、わたしは自宅へ帰ると酔いに焙り出された様に意識を覆って来る倦怠感と疲労感で、風呂に入る事も面倒臭くなってすぐに寝室に向かった。
 妻は機嫌が良かった。
 我が家の家事一切を取り仕切って二十年近くなる、早くに夫を亡くして来年一月三日で六十八歳になるハルさんを捕まえ、パーティーの華やかだった様子を得意気に聞かせていた。
 翌日、わたしはそれでも二日酔いもなく会社へ出る事が出来た。
 何時もの通り、昨夜の内に送られて来た営業報告書の数字を仔細に読み解く作業を続けた。




               ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




                albi-france様

       
                 有難う御座います
                ブログ記事拝見しますと とても日常の生活を楽しんでいる御様子
                羨ましい限りです 西にお住まいなのでしょうか
                関東に住み 西はさっぱり不案内ですので その日常の御様子が
                何か新鮮な気がします
                この狭い日本に居ながら 
                 元々 地方の方々の生活を拝見するのが好きで
                滅多に見ないテレビでもそのような番組にはよく眼を通しています
                また地方の御様子をお伝え下さい
                 小梅ちゃん 何故か 相変わらず笑ってしまいます
                良いですね 純真な眼差しが
                 つまらない文章にお眼をお通し戴き
                有難う御座います