遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(504) 小説 希望(28) 他 夜の目覚めに

2024-06-30 12:41:44 | 小説
             夜の目覚めに(2024.6,8日作) 



 真夜中 ふと目を覚ます
 誰も居ない一人の寝室(へや)
 静けさに包まれた闇の中
 今日まで生きて来た 長い年月(としつき)
 甦る人生の時 過ぎ去った日々
 あの場所 あの時
 あの場所 あの時 共に過ごした
 あの人 この人は今 何処に居て
 何をしているのだろう ?
 日々 細りゆく人生の時 人と人との縁(えにし)
 自身の命も細りゆく 老齢の時
 日々 夜毎 細りゆく人生の時 我が命
 それでも今 此処にこうして生きている
 この夜を生きている 不条理 不義 不浄
 苦難 苦渋に満ちたこの世界 世の中
 僅かな幸せ 小さな幸運 
 恵みに縋りながら 日々
 過ぎ行く人生の時を生きて来て 今此処に
 こうして一人 静寂(しじま)の中 闇に包まれ
 夜の目覚めを生きている
 あと何年 ? 残された我が人生
 日々 夜毎 深まりゆく孤独
 日々 夜毎 薄れゆく喜び 楽しみ
 老いゆく人生 老齢の時
 何を心の糧として 何を見据えて 
 生きて行く ? 
 生きる 人が生きる
 生きるという事は ?
 生きている 生きているから
 生きるのだ それだけ 只
 それだけの事 
 生きているから 生きる 生きなければならない
 残り少ない人生の時 
 日々 夜毎 薄れゆく喜び楽しみ それならせめて
 豊かだったあの頃 あの日々
 若かりし頃の思い出 懐かしき思い出を胸に
 時々 刻々 迫り来る人生の終わりの時
 その時に備えて 今一度
 豊かだったあの頃 若かりし頃の思い出と共に
 今この時 人生の終わりの時を
 生きてゆこう
 あの頃の思い出と共に生きてゆく
 残り少ない我が人生 老齢の時
 一人目覚めた夜の中
 静寂にそっと呟き 眼を閉じて
 再びの 眠りへと入ってゆく




             ーーーーーーーーーーーーーーーーー



              
              希望(28)
             


 
 祖母の一周忌。 
 母親が言った言葉が修二の意識の中から消えなかった。
  二月二十一日、祖母が死んだ。
 もう、一年になる・・・・
 祖母が亡くなるまでの最後の日々を思い出すと、その哀しみと共に、せめて形だけでも何かしてやりたいという思いが募った。
 一周忌・・・・
 何をすればいいんだろう ?
 どんな事をするんだろう ?
 修二には全く分からなかった。
 かと言って、母親に聞くなど出来なかった。
 お寺に電話をして聞いてみようか ?
 それでも細かな手はずを考えると自信が持てなかった。
 隣りのえ(家)のお父っあんに相談してみようか ?
 その思いも、だが、家を飛び出して以来、挨拶一つしていない負い目が先に立って、きっと、いい顔などされないだろうと思うと気持ちが引けた。
 修二はその夜、一睡も出来なかった。
 あれこれ考えながら夜の明けるのと共に結局、祖母の一周忌への思いは捨てていた。
 父ちゃんも婆ちゃんも、もう居ない !
 総てが虚しく現実だけが重くのしかかった。
 空虚な思いだけが心を満たした。
 女将さんは二十日が過ぎても修二の部屋を訪ねて来なかった。
「御免ね。近いうちに行くからね」
 女将さん自身が焦れている様子が分かった。
 修二は女将さんの肉体を待つ反面、軽い疎ましさにも似た思いをも抱く様になっていた。
 女将さんという存在に何とは無い束縛感を覚えた。
 その思いを払拭する様に初めての体験でソープランドへ足を向けた。
 雑誌の中の裸の女達では満たされない欲望が、女将さんの肉体を知った身体の中に渦巻いていた。
 初めて体験するソープランドは修二を戸惑わせた。
 それでも、そこを出る時には新たな欲望の世界が開かれた思いがして、満足感で充たされていた。
 女将さんは二月に入って三日目、土曜日の夜に修二の部屋を訪ねて来た。
 ソープランドでの体験を経た修二は積極的だった。
 女将さんはそんな修二を自分が育てたかの様に歓迎した。
 女将さんは足繫く修二の部屋へ通って来た。
 修二の積極性がそうさせるらしかった。
 修二は女将さんが以前にも増して頻繁に修二の部屋へ来るのに従って、次第に心の奥に負担を覚える様にもなっていた。
 マスターへの思いだった。
 マスターへの思いが女将さんの来る数が増えるに従って、より強く意識される様になって修二を苦しめた。
「大丈夫よ、心配なんかしなくたって。マスターはもう、わたしの事なんか諦めているんだから」
 女将さんは言った。
「マスター、駄目なの。ピストルで撃たれて死ぬか生きるかの大怪我をして以来、駄目なの。マスター、わたしばかりでは無くて、人生そのものを捨ててしまったのよ。マスターに取っては、月に何度か出掛ける花札の場だけが今では只一つの楽しみなの。その為にだけ、マスターは生きている様なものなのよ」
 修二に取っては初めて耳にする言葉ではなかった。既に、鈴ちゃんから聞いていた事だった。
「そんなマスターとどうして別れないのかって不思議に思うでしょう。でも、わたしはマスターと別れる気は無いの。修ちゃんとこんな事をしていたって、別れる気は無いの。マスター、この事はちゃんと知っているのよ。だけど、あの人、何も言わない。自分が駄目な事の負い目があるからかも知れないけど、そればっかりでないのよ。あの人の心にはもう、何も無いの。怒る事も、哀しむ事も、喜ぶ事も。あの人、人生を捨ててしまってるのよ。あの人には、自分の身体の具合いの悪い事もあって、何も信じられなくなっているのよ。せめて、わたしだけでも信じてくれれば良かったんだけど・・・・。だからと言って、わたし、マスターへの復讐の為にこんな事をしてるんじゃないのよ。ただ、寂しいだけなの。寂しくて、哀しくて、そうしなければ居られないだけなのよ。あの人、九年間、刑務所に居たんだけど、出て来た時にはすっかり人が変わってしまってたの。その間に何があったのか、あの人、何も話してくれないんだけど、昔は、あの人、その世界では県外にまで名前を知られた凄腕の人だったの。依頼された仕事も完璧にこなして。でも、撃たれたの。仲間の誰かに。マスターを消そうとしたのよ。口封じの為にね。ーーこのお店を始めてから、もう十五年になるんだけど、マスター、今でも気を許していないのよ。勿論、跡目を譲った親分がマスターには付いていてくれるんだけど、何時、何処で何が起こるか分からないって。だから、このお店の名義も家(うち)の名義も全部、わたしのものになっているの。自分にもしもの事があっても、わたしが困らない様にってね。--あの人、優しい人なのよ。わたしの両親が人に騙されて困っている時、助けてくれたの。でも、その事で恩着せがましい事は一言も言わなかった。だから、わたしは今ではわたしの両親に代わって、あの人のお母さんに出来る限りの事をして上げてるんだけど、それでも、あの人、わたしを受け入れてくれないの。あの人の死んだ心がわたしを受け入れないのよ。それがわたしには、堪らなく哀しいの。わたし、今でも、あの人の心の中に入ってゆく事が出来たらって思うわ。わたし今、あの人のお母さんが入っている施設へ毎週、通っているんだけど、あの人に優しくしてやれない分だけ、あの人のお母さんに優しくして上げたいと思ってるの。わたしには兄妹も居ないし、両親も、もう居ない。だから、せめて施設のベッドに居るあの人のお母さんだけには優しくしてやりたいと思うの。ーーマスター、<ブラックキャッツ>のリーダーが刺された時、修ちゃんのナイフが使われたっていう事も知ってるわよ。警察がお店に来た時、旨く言い繕ったけど、あの人、修ちゃんを庇っていたのよ。新聞に<凶器は鋭利な刃物>って書いてあったでしょう。マスター、それで見抜いていたのよ。こういう事に掛けてはマスター、プロだもんね」
 修二は女将さんの思わぬ言葉に凍り付いた。
 自分では隠しおおせていたと思っていた事が根底から崩れ去った思いで、頭の中が混乱した。



              八



 三月初め、久し振りに北川が<味楽亭>に顔を出した。




             ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




              takeziisan様


               有難う御座います
              扇風機四台 出ましたね  これからの季節
              今年はどうなります事やら まだクーラーを使っていません
              部屋部屋の窓を開けておくだけで どうにか凌げています
               糸魚川小唄 民謡はかなりの数知ってるつもりですが
              初めての印象があります あるいは勝太郎などで聞いた事があるのかも知れませんが
              いずれにしても初めての印象です 一流の作者達の手になる唄だけに
              言い歌です
               佐渡おけさ 相変わらずいい歌ですね
              佐渡は遠く離れて故郷でもなく 訪ねた事もないにも関わらず
              何故か 郷愁に似た感覚を覚えるのは何故でしょうか
              やっぱりあの鳥追い笠姿 魅せられます
              それにしても離れ島にも係わらず 佐渡の文化の豊かな事
              この豊かさが郷愁を誘うのかも知れません  
               米若 虎造 練り上げられたいい声をしています
              こんな芸能が当たり前のようにラジオから流れていた時代が懐かしいです
              今では総ての芸が軽くなってしまったような気がします
              テレビの画面に映ってちょっと人の気を引けばそれでスター扱い
              なんの素養もない者達に長続きのする良いものが作れるはずがありません
               野菜 相変わらずいい艶です ジャガイモ 写真を見て
              昔 掘りたてをすぐに釜で蒸かしてふうふう言いながら食べた記憶が蘇ります
              あの旨味 味が懐かしいです
              キュウリはわが家の屋上プランターでも大きく育ちました
              ピーマンと共に何度か収穫です            
               アオダイショウ 槙塀をのそのそと這い廻っていた事を思い出します
              今 御当地ではそれだけ 自然が豊かだという事なのでしょうね
              都会の 人の家の屋根ばかりを見て暮らす日々の中で
              この頃 無性に自然の広がりに心惹かれます
              普段 見ないテレビでも造ったものではない自然の映像には
              過去の記憶と重なるせいか深い感動を覚え 憧れます
               川柳 入選作以上に面白い作品がいっぱいです
              何時もながら ふふふ の含み笑いとともに拝見
              楽しいです
               有難う御座いました



































       

遺す言葉(503)  小説 希望(27) 他 哀れなピエロ プーチン  政治家

2024-06-23 11:52:17 | 小説
            哀れなピエロ プーチン (2024.6.20日作) 


 
   プーチン
   哀れなピエロ
   無謀な侵略侵攻
   結果は四苦八苦
   慌てて 仲間造り
   御機嫌取りの他国訪問
   行く先々で笑顔を振り撒き
   ピエロの踊り なんとも
   醜く惨めな姿 それでも
   本人気付かず 得意顔
   哀れで愚か プーチンピエロ



          政治家


   政治家の言葉程
   空虚なものは無い
   政治家の言葉は総て
   保身から出る言葉 もし
   保身が危ういと知れば
   いとも簡単 平気 平然 前語を翻し  
   正反対の主張を し始めるだろう
   真に自身の信念を貫き通す政治家
   何人 居る ?


   政治家
   権力欲 虚名欲の 素顔の上に
   国家の為 社会の為 という
   仮面を載せた 偽善者
   戯言(ざれごと)喜劇役者


   政治家と称する存在
   権力欲 虚名欲 自己保身
   脳裡にあるのは それだけ
   社会状況 世界情勢 考慮 考える
   素顔の上に被った 仮面の言葉




               
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              希望(27)



 
 
 修二は八日の初営業日が不安だった。
 マスターを裏切った事への心苦しさと共に、女将さんへの不安もまた生まれていた。
 どのように女将さんに挨拶したらいいのか分からなかった。
 女将さんの修二に対する態度にも不安を覚えた。
 マスターの前では兎も角、鈴ちゃんの前で女将さんが、これまでに無かった親密な態度を見せて来たりするのではないか、と思うと気持ちが落ち着かなかった。
 女将さんの肉体の甘味な感触もまた生々しく残っていて、修二の心を乱した。
 マスターと共に姿を見せた女将さんは、だが、これまでの女将さんと何一つ違った表情を見せなかった。
「お早う」 
 と修二に声を掛けて何時もの様に支度部屋へ向かった。
 営業初日、店は混んだ。
 女将さんは何事も無かったようにてきぱきと動いて鈴ちゃんや修二に指示を出した。
 鈴ちゃんも女将さんの態度に不審を抱く事も無かった。
 マスターは旅行土産に鈴ちゃんと修二にそれぞれ金色の小さな達磨と菓子折りを買って来てくれた。
 修二はマスターの顔を真面(まとも)に見る事が出来ずに、黙って頭を下げて礼をした。
「二十日過ぎでないと修ちゃんの所へ行けないからね」
 修二と二人だけになった僅かな時に女将さんは修二の耳元で言った。
 十六日になって突然、母親が訪ねて来た。
 マスターに来訪を告げられてまた、仕方なく<らんぶる>へ足を向けた。
 母親は一人でさっさと足を運ぶ修二の後を小走りに追い掛けながら自分が来た事の弁解をする様に、
「婆ちゃんの一周忌が二月だろう。お前に相談しようと思って来たんだよ。父ちゃんの一周忌が十二月だったて言うんじゃないか。わたしはうっかりしていて気が付かなかったんだけど、婆ちゃんの一周忌が来るなと思ってお寺さんへ電話をしたんだよ。そしたら、そう言われてびっくりしたんだけどねえ、お寺さんではお経を上げておいてくれたって言ってたよ」
 と言った。
 修二は母親の言葉など全く心に留めていなかった。それでも、父親と婆ちゃんの一周忌という言葉には胸を打たれた。
 もう、一年になる 。ーーー
 修二にはこの一年、二人の事を思い浮かべる暇(いとま)もないままに日々が過ぎていた。
 見知らぬ土地に流れ着いてただ夢中に毎日を過ごして来た。
 思い掛けない母親の言葉と共に、鮮明に甦った父親と婆ちゃんの姿に修二は胸の締め付けられる様な切なさを覚えて涙ぐんだ。
 それにしても一体、なんて言う母親なんだ !
 新しい男との生活にのめり込んで居て、実の夫の死んだ日さえ意に介さなかった !
 今日、わざわざ訪ねて来たのも、実際は、婆ちゃんの一周忌の相談なんかで来たんじゃないんだ。家の相続で俺を丸め込む為に来たんだ !
 母親の行動の総てが読める気がした。
 そんな母親は依怙地に口を噤んだまま、何一つ答えようとしない修二の態度にとうとう業を煮やして、<らんぶる>のテーブルに着くと直ぐに、
「何が気に入らなくて、そんなにふくれっ面をしてるんだよ。なんとか言ったらいいだろう」
 と怒りの滲んだ眼で修二を見詰めて言った。
 修二はそれでも黙っていた。
 店員が来た。
 母親はコーヒーを二つ注文した。
 修二は不機嫌に黙ったままだった。
 店員が去ると母親は、今度は急に態度を変えて、
「父ちゃんの供養が出来なかった事もあるし、婆ちゃんの供養は父ちゃんの分も含めて一緒にやってやろうよ」
 と優しい口調で言った。
 修二はそれでも黙ったままだった。
 母親は店員が置いていったおしぼりを広げ、手を拭きながら、
「家の相続の方も細かい手続きはみんな終わっていて、あとはお前が、うん、って言ってくれればいいだけなんだよ。もし、代理人が必要なら、それもわたしの方で頼むよ」
 母親は何故か、機嫌のいい表情を見せて言った。
「お前には何一つ、迷惑は掛けないよ。第一、何時までもあそこを父ちゃんと婆ちゃんの共同名義のままにして置く訳にもいかないだろう。二人共、死んでしまって居ないんだしさ。だから、婆ちゃんの一周忌だけでもきちんと済ませて、名義もお前とわたしの名義に書き換えて置こうよ。そうすれば、やがてはみんな、お前のものになるんだから」
 修二の心の中では、母親が機嫌を取る様に穏やかな口調を見せれば見せる程に怒りの感情が沸き立って来ていた。
<俺ん所へ警察が来たのも、テメエが告げ口をしたんだろう>と、思わず口に出かかる言葉を堪えて吞み込んだ。
 ただ、絶望感だけが深かった。
 こんな母親には何を言っても始まらない !
 コーヒーが運ばれて来た。
 母親はそれぞれの前に置かれたコーヒーの自分のカップを引き寄せると、ミルクと砂糖を入れた。
 その手で、修二を見詰め、
「砂糖は ?」
 と聞いた。
 修二は腕組みした手を太ももの上に置いたままなおも怒りに満ちた表情で黙っていた。
「全く、強情なんだから。いいかい、お前がそうやって強情を張っていれば物事は何も進まないんだよ。それでも良いのかい」
 母親は砂糖のスプーンを元に戻しながら怒りを投げ付ける様に言った。
 修二はそんな母親などは意に介さずに立ち上がると、今まで堪えていた感情を一気に爆発させて投げ付ける様に、
「いいから、テメエなんかさっさと男の所さ帰(けえ)りやがれ」
 と言い残し、そのまま席を離れた。
 どの様にして店まで帰ったのか、覚えていなかった。
 母親がその後、どうしたのかも勿論、知るはずはなかった。
 店へ帰ると最初にマスターに、
「すいません、今、帰りました」
 と挨拶した。




             ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




               takeziisan様


                梅雨入り 今年もこの季節が来ました
               梅雨 というと何か懐かしい響きを感じるのですが
               今の梅雨は懐かしさどころか 何処か暴力的なところがあって
               情緒どころではありません 嫌な時代になったものです
               梅雨に限らず 猛暑 暖冬 季節の風情がなくなりました
               数日前の日経新聞に 今は四季ではなくて二季だとありましたが
               その通りだと思います この国の何もかも古き時代の情緒を
               無くしてゆきます 古今東西 不変なものは何も無い
               そう言われればそうですが 季節が持つ情緒ぐらいは
               昔のままであって欲しいものです
                エアコン まだ使っていませんが いずれ使わざるを得なくなるでしょう
               幼い頃の自然に囲まれた家の縁側での夕涼み
               ホタルが舞っていた事や様々の虫の喧しい程の合奏が蘇ります
               それも都会の真ん中では再び得られない 懐かしい情緒です
               六時で暑すぎ ? 驚きです これも地球の温暖化 ?
                野菜の生育 苦労の後の楽しみ いいですね 
               羨ましく思います
                鈴木正夫 声が若いですね 民謡 まだまだ埋もれた名曲が
               一杯あるのではないでしょうか それぞれの地方に根差した
               その地方特有の歌 民謡は土の匂いのする歌と言いますが
               並みの歌謡曲にはない良さです また珍しい歌を発掘 御紹介下さい
               楽しみにしております
                有難う御座いました














































遺す言葉(502) 小説 希望(26) 他 感覚

2024-06-16 12:33:56 | 小説
            感覚(2024.5.13日作)


 
 学者 知識人達の長たらしい
 論文 解説文などより
 一般市民 生活者の それぞれの場に根差した
 心の底から生まれ出る 何気ない一言 短い言葉
 その言葉の中にこそ より深い
 真実が込められている
 現実に根差した言葉
 言葉の組み立て 理論等に囚われて 
 現実を見詰める眼差しを忘れるな 
 現実を生きる
 現実を生きる この行為を忘れるな
 新幹線の列車 あの列車の見事な鼻ずら(鼻先)
 ロングノーズ
 最終的仕上げ作業は
 技術者の掌の感触によって整えられるという
 人の持つ感覚
 感覚の伴わない言葉 行為は空虚だ
 本物とは言えない




            ーーーーーーーーーーーーーーーーー




             希望(26)



 
 
 次第に数を増す警察の車を見て北川と幹部達は解散の指令を出した。
 警察との間にいざこざは起こらなかった。
 北川達は<ブラックキャッツ>の領域にまで踏み込んだ事で、走りは充分、成功したと気を良くしていた。
 地元新聞には翌朝、<暴走族 走り初め>と書かれた見出しの下、Vサインと共に得意満面の笑顔を見せている男達の写真と記事が掲載された。
 女将さんが修二の部屋を訪ねて来たのは四日の夜だった。
 修二が一日中、ゲームセンターや映画館などで過ごして午前零時過ぎに帰って鎧戸の鍵を開けようとすると、既に開けられていた。
 一瞬、泥棒に入られたのかと狼狽して急いで鎧戸を上げ、中へ入って店の中を見廻すと、別段、荒らされた様子もなかった。
 ホッとしたまま二階へ上がろうとすると、そこに女物の細いサンダルが脱ぎ捨てられてあるのが眼に入った。
 女将さんのサンダルだ、とすぐに察しが付いた。
 途端に嫌悪の気分に捉われた。
 何しに来やがったんだ !
  階段の下に立ったまま見上げて耳を澄まし、部屋の様子を窺った。
 物音は聞こえて来なかった。
 一体、何をしてやがるんだ !
 胸の中で呟き、そっと階段を登って行った。
 ドアの隙間から明かりが見えているのが分かった。
 物音は依然として聞こえて来なかった。
 ドアの前に立った時にも、中からは人の居る気配さえも伝わって来なかった。
 何をしてやがんだろう ?
 不審の思いだけが募った。
 そのまま、そっとドアを開けてみた。
 女将さんは部屋の真ん中に布団を持ち出して、その上に服を着たまま横になって眠っていた。
 黒いスカートが膝の上まで捲れ上がっていて、太ももが露わになっていた。
 一目で泥酔しているのが分かった。
 女将さんの生々しい、白い太ももが眼に入ると同時に普段、眼にしているヌード雑誌で見る女達の姿が重なって息苦しくなる程の欲望を覚えた。
 その思いを振り払ったのは、女将さんを通して浮かんで来るマスターの存在だった。
 マスターは修二に取っては唯一、信頼を寄せる人であり、尊敬する人であった。
 普段、マスターが口にする言葉の中に修二は、その静かな口調にも係わらず何処とは無い重厚さを感じ取っていて、その口調と共にマスターは仰ぎ見る存在になっていた。
 そのマスターへの冒涜など考える事さえ出来なかった。
 修二はただ茫然として、しどけなく寝入っている女将さんを見詰めて立っていた。
 マスターはどうしたんだろう ?
 花札にでも行ったんだろうか ?
 考えていても始まらなかった。漸く意を決して女将さんの肩に手を掛けると、
「女将さん、女将さん」
 と言って身体を揺すった。
 女将さんは一度では眼を醒まさなかった。
 二度、三度と揺すった。
 女将さんが眼を開けた。
 修二はその女将さんに強い不満の表情を見せて、
「困りますよ。俺」
 と言った。
 女将さんは修二を見たが、寝ぼけ眼の眼差しで状況がよく呑み込めないらしかった。暫く見詰めていてから、
「何 ? あんた修ちゃんじゃないの」
 と、もつれる様な口調で言った。
「そうですよ。俺、困りますよ」
 修二はまた言った。
「なんで、あんた、こんな所に居るの ?」
 女将さんは不思議そうな顔で言った。
「女将さんが、俺の布団の上で寝ちゃったんじゃないですか」
 修二は更に強い不満を顔にも言葉にも表して言った。
 女将さんはそれで漸く理解した様だった。周囲を見回して、
「ああ、わたし、酔っぱらって眠ちゃったんだわ」
 と言った。
 その眼差しは依然として朦朧としていた。
「困りますよ、俺」
 修二は再び、強い非難を込めて言った。
 その日、女将さんは近所の友達とカラオケバーで盛り上がり、はしごを重ねた末に、午後十一時過ぎに友達と別れて修二の部屋へ来たと言った。
 マスターはその日の午前十時過ぎに、飲食店連合会の新年会を兼ねた二泊三日のバス旅行で出掛けた。
 それで女将さんは、女は女同士で楽しみましょう、という事になって仲間達と共にカラオケバーで羽目を外す結果になったのだという。
 そんな、経緯を話しながらも女将さんはまだ酔いが醒め切らないらしく、絶えず身体を前後に揺すっていた。それからまた直ぐに、起きている事も辛そうに布団の上に身体を横たえると腕枕で寝入ってしまった。
 修二はその女将さんを見詰めながら、処置なし、と言った思いで、
「このクソ ババァ !」
 と呟くより仕方が無かった。
 一日中、火の気の無かった部屋の中は冷え切っていた。
 その寒さに気付いてストーブの傍へ行き火を点けた。
 熱気が伝わって来るとその前で膝を抱えて座り込み、冷え切った身体を暖めた。
 何時の間にか修二自身も暖気の中で眠っていた。
 気が付いた時には横になった身体に毛布が掛かっていた。
 女将さんが背中から修二の身体を抱く様にして同じ毛布の中で眠っていた。
 修二は驚いて毛布を跳ね除け、身体を起こした。
 女将さんは腕を離されて眼を覚ました。
 すぐに修二の様子に気付いて、
「駄目 !」
 と言って、また腕を絡み付けて来た。
 女将さんの身体の重みで修二は重心を失い後ろに倒れた。
 女将さんは更に強くそんな修二の身体に腕を巻き付け身体を重ねて来た。
 右手が修二の股間を探っていた。
 
 女将さんと修二は終日、部屋に籠っていた。
 店の鎧戸を開ける事もしなかった。
 部屋中に臭気に満ちた空気が淀んでいた。
 夜になっても女将さんは帰らなかった。貪欲に修二を求めた。
 明け方、五時過ぎになって帰り支度を始めた。
 気だるい雰囲気と匂う様な柔らかさが女将さんの全身を包んでいた。
 修二は、そんな女将さんの総てが自分の物でもあるかの様な錯覚に陥った。
 あれ程、憎悪を傾けた女将さんに離れがたい気持ちを覚えた。
 普段、空想の中で遊ぶ写真の中の女達とは違って、生身の女の肉体が修二を虜にしていた。
 女将さんは最後に修二の口を求めた。
 長く執拗な抱擁が続いた。
 女将さんの左手が修二の股間を探った。
「またね」
 そう言って修二を離して見詰める女将さんの眼差しが優しさと艶やかさに満ちていた。




           ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー              



            takeziisan様

             
             今回もいろいろ楽しませて戴きました
            民謡の数々 懐かしい物ばかりです
             勝太郎 市丸 若い頃の歌声が聞けて懐かしさひとしおです
            鈴木正夫も久し振りです 相馬盆歌といえば鈴木正夫が浮かびます
            また 最上川舟歌 見事です 民謡歌手なんていう物じゃないですね
            感動的とも言える良い歌でした 世の中にはあらゆる分野に於いて
            このように知られざる名人 達人が居るものです
            世間一般の虚名などに惑わされない様にしたいものです
             川柳 画面では展開が速く ちょっと残念な気がします
            文字で補足して戴けたらと思いました
            いずれにしても川柳は庶民を読んだもの 実感が籠っていて楽しいものです
            楽しませて戴きました
             畑 相変わらず気になる小石 自分の方の土地では
            考えられない見た目です 
             頭を悩ませるイノシシにはイノシシの図太さと共に
            思わず笑いが出てしまいます 御苦労が偲ばれます
            それにしても野菜の数々 羨ましい限りです
            トウモロコシ 懐かしい映像です 
             様々な花々 それぞれ色彩の鮮やかさが眼に染み込んで来ます
            今の時期の特権でしょうか
             くちなしの花 作詞者の 水木かおる氏とは多少の面識があったものですから
            改めて懐かしく聴きました
             その水木氏も既に亡くなっています
            若き頃の憧れのスター 久我美子さんも亡くなりました
            日々 細りゆく我が人生 というところでしょうか
             日頃の歩行数 是非 頑張て下さい
            有難う御座いました
















遺す言葉(501) 小説 希望(25) 他 惑わされる

2024-06-09 11:47:12 | 小説
            惑わされるな(2024.5.31日作)


 
 宗教家の金ピカ衣装に惑わされるな
 社会通念一般の 地位 名称に惑わされるな
 総ては権威付けの為の虚飾
 人がこの世を生きる上で最も大切なもの
 人が人として如何に 人としての真実の道を
 歩むか その一事だけ
 たとえ 人の眼に触れる事の無い
 日常の 小さな小さな仕事であっても 人として
 真摯にその道を生きた その一生
 汚職塗れ スキャンダル塗れ
 社会通念一般の 高い地位を誇る人間達 
 金ピカ衣装の尊大 権威的人間達
 彼等の一生より はるかに尊く立派
 安易に世間一般通念の 地位名称
 金ピカ衣装の威厳 権威に 惑わされるな
 人は人としての真実の道を 如何に生きたか
 問われるものは その事実 一つだけ




            ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




             希望(25)



 
 二人の刑事がマスターの店を訪ねて来たのは北川が店へ来てから三日目だった。
 修二は調理場の奥で野菜の下ごしらえをしていた。
「確かに奴等はこの店にも顔を出しますよ。だけど、飯を食いに来るだけの事ですから。少なくともこの店は堅気の店なんで、変な眼で見るのは止めて下さいよ」
 マスターの静かだが腹の座った声が調理場の奥にも聞こえて来た。
 修二はその声を聞くと仕事も手に付かなくなった。
 刑事の聞き込みが自分の身にも及ぶのかと思うと落ち着いた気分では居られなかった。
 しつこく問い詰められた時、旨く言い訳が出来るか ?
 以前、火事の事を聞かれた時には母親への憎悪もあって、信念の揺らぐ事は微塵も無かったが、今度の場合は事情が異なった。
 旨く言い包(くる)められるだろうか ?
 それに今度の場合は相手の人間も係わって来る。
 相手が自分の特徴等を喋ったりしていないだろうか ?
 息の詰まる様な緊張感の中で修二はマスターと刑事の遣り取りに耳を澄ましていた。
「何をぼんやりしてるのよ。早く洗っちゃいなさいよ」
 傍に来た鈴ちゃんが野菜を手にしたまま聞き耳を立てている修二を見て言った。
 間もなく刑事達は帰って行った。
 修二は全身の緊張感が一度に緩む安堵感の中で、思わず倒れそうになる身体を流し台の縁(へり)で支えた。
 マスターは刑事達が帰った後も、修二には何も尋ねなかった。
 事件に関する事柄はだが、それで終わった訳では無かった。
 幾つかの新聞はなお事件に関する後続記事を載せていた。
 その記事を見る度に修二の心は揺れた。
 何時か、自分の所へも誰かが訪ねて来るのではないかーー。
 北川は今まで通り、時々、<味楽亭>に顔を出した。
「どうだ、警察は ?」
 マスターは北川に聞いた。
「しつっこくメンバーの連中に聞いて廻ってるみてえだけっど、なんて事は無(ね)えですよ」
 北川は気にもしていない様子だった。
 修二はひと月が過ぎる頃になってようやく、不安に揺れ動く心から解放された。
 警察に追われる夢で夜中に飛び起きる事も無くなった。
 それと同時に自分が一つの事を完全に成し遂げた、という奇妙な自信にも似た気持ちが湧いて来ている事にも気付いた。


           七
  

 北川はチームでの走りを自粛していた。         
 警察の動きを警戒しての事だった。
 警察がその後、マスターの店を訪ねて来る事は無かった。
 重傷だという、修二が刺した相手がどうなったのかは分からなかった。
 店では以前の様に女将さんがしつこく修二に絡んで来る事も無くなった。
 マスターや女将さんが実際には、どの様な眼で自分を見ているのかは分からなかった。
 修二は以前より、かえって一生懸命に働くようになっていた。
 事件に付いてマスターが何一つ尋ねて来ないのが修二には、マスターが自分を信用してくれている証拠の様な気がして、その気持ちに応えたい思いが一層、強くなっていた。
 修二に取って、一日一日は瞬く間に過ぎて行った。
 何事も無いままに間もなく年の暮れを迎えようとしていた。
 母親が訪ねて来てあれからどうしたのか、修二には分からなかったが、そんな事はどうでも良かった。
 母親とは完全に縁を切った思いが強かった。
 年の暮れは<味楽亭>でも忙しかった。
 忘年会流れの客や、一年の締め括りに追われる人達が夜の遅い時間にも係わらず訪れた。
 修二に取っては初めて迎える知らない土地での年の暮れは、騒(ざわ)めきと多忙の裡に心の裡を省みる暇も無く過ぎていた。
 マスターは十五日に門松を立てた。
 年の暮れの多忙は十五日が過ぎても続いた。
 女将さんは大晦日の朝、切り餅とお節料理を持って来てくれた。
 <味楽亭>は七日までの正月休みだった。
「休みはどうするの ? 田舎へは帰らないの」
 女将さんの口調に他意は感じられなかった。
「はい」
 修二は素直に答えた。
 繁華街へ出て、一日中、ゲームセンターなどで過ごす計画を立てていた。
 北川もまた、久し振りに大掛かりな走りの計画を立てていた。
 北川が耳にした噂によると、修二が刺した<ブラックキャッツ>の頭(あたま)は命に別状は無かったものの、退院後も左半身に麻痺が残って居て、これまでの様には動けなくなっているという事だった。
 警察もまた、正月七日が過ぎるまでは寺社の警備や何かで手薄になる事をこれまでの経験で北川達は知っていた。その隙に相手の領域にまで踏み込む心算でいた。
 修二は北川達の頻りな勧めにも係わらずチームには入らなかった。
 元々、免許証は無かった上に、興味も持てなかった。
 大晦日の営業は午前三時になってようやく終わった。
 マスターと女将さん、それに鈴ちゃんの三人はそれぞれに、
「じゃあ、良いお正月を」
 と修二に声を掛けてくれて帰って行った。
 修二は二階へ上がると一日中、立ちっ放しでいた疲れからそのまますぐに布団にもぐり込み、翌日、眼が醒めた時には午後二時になっていた。
 空腹を覚えて、女将さんが持って来てくれたお節料理を食べ、餅を焼いて食べた。
 午後三時になって漸く外出した。
 休みの七日間を思うと大海原へ漕ぎ出した様な解放感を覚えて気持ちが訳も無く弾んでいた。
 その日は、まずゲームセンターへ入り、長い時間ゲームに興じてから最後に映画館へ入って、部屋へ帰った時には午前一時を過ぎていた。
 そのまま布団に入って眠り、眼を醒ました時には正午近くになっていた。
 空腹を覚え、残っているお節を食べ、餅を焼いて食べた。
 銭湯は三が日、午後三時までだった。
 身体の汚れが気になってタオルと石鹸を持って出かけた。
 北川達は二日の深夜から三日の明け方に掛けて約四時間、百台近くに及ぶ車を結集し、旗を立てて走った。
 クロちゃんが死んだ境川の橋を越え、<ブラックキャッツ>の領域にまで踏み込んだ。
 <ブラックキャッツ>からの反応は皆無だった。
 地元住民の苦情を受けてパトロールカーや白バイが集まって来た。




             ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




               桂蓮様


                お忙しい中 コメント 有難う御座います
               一分のポワントに三年 バレーの難しさが改めて
               認識されます ましてや若い頃とは違って ある程度
               年齢を重ねてからの挑戦 苦労が偲ばれます
               でもその苦労がまた 楽しいのではないのでしょうか
               趣味としてやっている その特権だと思います
               本格的プロを目指すとなれば楽しんでばかりはいられませんから
               四人のプリマドンナ 楽しそうですね
               良い御写真です
                ビギナー 模範役 やるじゃないですか
               これからも頑張って下さい
               とにかく若い頃と違って年齢を重ねてからの挑戦
               思う様に身体が動かないのは仕方がない事で
               テレビの画面等に見るバレー教室の幼い子供達の柔軟な動きには
               思わず見とれてしまいます 述懐されている内容が理解出来ます
                何かの事に打ち込む やはり大切な事だと思います
               目的 目差すもののない人生なんて詰まらいものです
               どうぞ これからも成果など気にせずに楽しんで趣味のバレーに励んで下さい
               良いお仲間が居ればそれだけ励みにもなりますものね
                お忙しい中 有難う御座いました




              takeziisan様


               今回も楽しませて戴きました
              ドナウ河のさざ波 懐かしく聴きました
              耳に馴染みの曲ですが暫く耳にしていませんでしたので
              妙に懐かしく聴きました
               両津甚句 佐渡おけさ いいですね  
              この踊りが好きです 佐渡おけさ あの踊りの手の動き
              まるで佐渡に寄せる波の動きの様に見えて来ます
              大きな動きはないのですが 静かなこの動きの踊りには
              何時も心動かされます それにあの頭にした編み笠
              深く顔を隠した被り方 以前から不思議に思っている事ですが
              ファッションデザイナーは何故 この傘を参考にしたファッションを
              取り入れないのだろうと思っています
              顔を隠した被り方 優雅で誰もが美人に見えて来ます
               ナスの見事な輝き さぞ美味だろうと想像してしまいます            
              イノシシ奮戦記 テレビでもこの間やっていましたが
              肥料にと積んで置いた糠だったか すっかり食い荒らされていた
              その様子が監視カメラにも映っていて なるほどと思いました
              傍目には思わず笑ってしまいますが 当事者としては
              堪ったものではない というところでしょうね
               カルガモ親子を見詰めての早朝散歩 改めて自然の豊かさを羨ましく思います
              美しい自然の花々との出会い 健康の為にも良いと納得して
              どうぞ これからも楽しい記事をお寄せ下さい
               何時も有難う御座います

































 


遺す言葉(500) 小説 希望(24) 他 あなたは あなたでいい

2024-06-02 12:24:24 | 小説
              あなたは あなたでいい(2024.5.23日作)



 あなたは あなたでいい
 金が無くてもなんだ ?
 名声が無くてもなんだ ?
 今日一日を自分の出来る限りの事をした
 他者に迷惑を掛ける事も無く
 他者の眼差しに触れる事も無く
 人が人として生きる上での必要な
 真実の道を生きた
 それで充分
 人は一人では生きられない
 あなたの今日一日を生きた
 人の眼に触れる事も無い
 人の耳に届く事も無い
 人としての真実の道 その道を
 真摯に生きた
 それだけで充分
 人間社会の一個の礎 この世界の礎石として あなたは
 立派に 人としての役目を果たしている
 蟻の一穴 大きな堤もそこから水が漏れ 崩れてゆく
 あなたの 他者の眼には見えない
 他者の耳には届かない その仕事
 一日の その務めは蟻の一穴 その
 小さな 小さな穴
 人間社会 この世界 そこに穿(うが)たれる
 眼には見えない 小さな小さな穴
 蟻の一穴を埋めるその仕事 その作業
 日毎 夜毎 この人間社会 世界の礎
 基盤を支えるあなたの仕事 その務め無くして
 人間社会 この世界は 
 成立し得ない




           ーーーーーーーーーーーーーーーーー




              希望(24)
 


 
 修二は次第に激しくなる胸の鼓動を意識しながら、それでもなお、男に近付いて行ってⅠメートル程の距離になった所でようやく声を掛けた。
「すいません。あのう、境川駅へ行きたいんですけど、どっちへ行けばいいんですか ?」
 相手の男はこの時初めて顔を上げて修二を見た。
 初めは少し怪訝そうな表情で警戒する様子を見せたが、すぐにまだ子供っぽい面影を残す修二を確認するとその緊張感も解けたかの様に穏やかな表情で、
「ここを真っ直ぐ行って左へ曲がればすぐに駅が見えて来るよ」
 と親切に教えてくれた。
「ここを左ですか ?」
 修二は左手でその方角を差して言った。
「うん」
 そう答えると男はまた直ぐに手元の何かに視線を落として歩き始めた。
 修二と男の身体が入れ違った。
 無防備な男の後ろ姿が振り返った修二の眼に映った。
「今だ !」
 咄嗟に思った。
 そのまま修二はすれ違った男の背後に一歩近づくと、右手に隠し持っていたナイフを握り直して同時にボタンを押し、刃を開いていた。
 その動作は金物店の店頭でナイフを盗み取った時と同様に素早かった。
 男の左横腹目掛けて思いっ切りナイフを突き刺した。
 男はナイフが身体に突き刺さった瞬間、ウッと小さな声を上げ、痛みを堪えるように身体をよじった。
 ナイフを突き刺したままの修二もその男の動きに釣られて振り回されていた。
「テメエッ、なに・・・・」
 男は言って修二に襲い掛かろうとした。
 修二は頭の上から覆い被さって来るかと思われる男の動きから逃れるようにして身体を引いた。
 ナイフもその瞬間に抜けていた。
 同時に、男が膝から崩れる様にして道路の上にうずくまって行くのが見えた。
 修二は素早く踵を返すと事前に指示された通りに歩道の方へ逃げてその足で柵を飛び越え、植え込みの中に逃げ込んだ。
 植え込みの中で待っていた相棒の男がそんな修二を確認するとすぐに近付いて来た。
「上出来、上出来 !」
 男は興奮気味に言った。
 修二は息を切らしたまま何も言わなかった。
 二人はすぐに指定された車の来る場所へ向って走った。
 公園に人の姿の見えない事が幸いした。
 修二達が指定された場所に来た時、車はまだ来ていなかった。
 修二と相棒はそれぞれに太い樹の幹に身体を貼り付けて車の来るのを待った。
 何分かした後に車の来るのが見えた。
 二人はほとんど同時にそれぞれ樹の陰から離れて車に走り寄り、すぐに開いたドアの中へ修二から先に乗り込んだ。
 エンジンを掛けたままの車はすぐに走り出した。
 夜の公園の何処にも人影らしいものは見えなかった。
 北川がすぐに言葉を掛けて来た。
「どうだった ?」
「上手くいったよ。大丈夫だ。狙い通りだったよ」
 後部席に修二と並んで座った相棒が興奮気味に言った。
 相棒はそれからすぐに、修二の左腕に視線を向けて驚いた様に言った。
「なんだ、お前(め)え。血が・・・」
 言われて修二も初めて左腕に視線を向けた。
 二の腕一帯が血で濡れていた。
 何処かに違和感を覚えていた自分をこの時初めて意識して、このせいだったのだと、納得した。
 その納得と共に途端に傷口の痛みが意識されて、まだ握ったままでいた血に濡れたナイフを急いでズボンのポケットに押し込むと右手で傷口を押さえた。
「大丈夫か ?」
 相棒は言った。
「うん」とだけ修二は答えた。
「遣られたのか ?」
 車を運転しながら北川が言った。
 修二は答えなかった。
「血が出てんのか ?」
 北川がまた聞いた。
「大丈夫」とだけ修二は言った。
 それでも激しい痛みは傷を意識すればする程に増して来るようだった。
 修二は顔をしかめ、力いっぱい右手で傷口を押さえて痛みを堪えた。
 傍に居る相棒がその様子を見て、
「大丈夫か」と聞いて「何かで包帯をした方がいいな」
 と言った。
「俺のシャツをやっからそれで包帯しろよ」
 北川の横に居る鳥越が言ってすぐにシャツを脱ぎ、後部席の相棒に渡した。
 相棒の男は受け取り、修二に向き直って、
「腕を出してみな」
 と言った。
「俺ん所へ帰(けえ)ったらすぐに傷口の手当てをしよう」
 北川が言った。
 傷はさして深くはなかった。
 男の巨体に振り回され、ナイフが男の身体から抜けてよろめいた時に傷付けたに違いなかった。
 一方、ナイフを握った右手は力一杯ナイフを刺し込んでいたにも係わらず、上下に張り出した堅固な滑り止めが見事にその役目を果たしていて、傷付く事もなかった。
 北川のアパートへ着くとすぐに部屋へ入って傷口の手当てをした。
 血に汚れた衣服や靴は総て北川が用意して置いた別の物に取り替えた。
「これは証拠を残さねえ為に処分しちゃうかんな」
 北川は確認を取る様に修二に言った。
「うん」
 と修二は答えた。
 三人の男達に送られて北川のアパートを出た時には午前一時を過ぎていた
 翌日、修二は何時も通りに店に出た。
 傷の痛みは消えなかったが必死に我慢した。
 マスターや女将さん、鈴ちゃんに気付かれたくないという思いの一点からだった。
 幸い左腕で服を着てしまえば外目には見えないので、その点で助かった。
 ただ、何時もの通りの自然な動きをする事には苦労した。
 事件はその日の夕刊各紙で報じられた。
 見出しはどれも「暴走族の抗争か ?」とされていた。
 男は命に別状は無かったものの重症だった。
 北川達は早速、警察の事情聴取を受けた。
 車の運転に係わった四人の男達はその時間、揃って境川駅に近い飲食店に居た事が立証されて疑惑は解かれた。
 事件から五日が過ぎて北川がマスターの店に来た。
「誰が遣ったんだ ?」
 マスターは北川に聞いた。
「チームのメンバーですよ」
 北川は何食わぬ顔で言った。
 マスターはそれ以上は聞かなかった。
 何時も通りの二人の会話が続いた。
 修二は事件から一日が過ぎて、二日目になると女将さんと鈴ちゃんの眼は気にならなくなったが、マスターの視線だけは何故か、気になって仕方が無かった。修二に接する態度に変わった所がある訳では無かったが、それでいて何故か、マスターは事の総てを見抜いているのではないかという気がしていてならなかった。マスターの鋭い眼差しが修二を怯えさせた。




             ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




               takeziisan様


                能登半島に沈む夕陽 素晴らしい眺め
               わたくし自身も幼い頃 海辺に近い村に疎開していた経験がありますが
               これ程 近い距離ではなかったので毎日 海辺の光景を見ると 
               という訳にはゆきませんでした
               懐かしい思い出ではないのでしょうか
                民謡の数々 楽しませて戴きました
               お鯉さん 懐かしいですね
               それにしても阿波踊りは日本が誇る芸能なのではないでしょうか
               至極 単純なあの踊り それでいて奥が深い
               何時まで見ていても飽きない 男踊りのあの単純な動作の中に 
               巧まぬ技巧が隠されている それこそ名手と思われる人の踊りなど
               ほとんど手足を動かさず あの格好だけで見せてしまう
               凄いと思うばかりです
                また 女踊り これも単一の動作を繰り返すばかり
               それでいてそこはかとなく匂い立って来る色気
               あの踊りをおどる女の人が皆 美人に見えて来てしまうのが不思議です
               東京などの都市部にも阿波踊りの連が作られているようですが   
               世界の何処に出しても通用する芸能だと思います
                おてもやん 先週も書きましたが赤坂小梅の十八番でしたね
                農作業 やれやれ 実感出来ます でも 止めるには惜しい気もする
               画面で見る艶やかな収穫物の数々 これはこれでまた
               楽しみなのではないでしょうか 羨ましく思うばかりです
               それに振り返り記事の中の品々の不揃い
               これもまた 趣味の農作業 その気配が伝わって来て
               見ていて楽しくなります
                数々の楽しい記事 楽しく拝見させて戴きました
               有難う御座いました