わたしの書くもの(2011.1.15日作)
わたしにとって わたしの書くものが
現代詩の基準に照らして
詩であっても 詩でなくても
一向にかまわない
わたしは わたしの書くもの わたしの言葉によって
わたしの今ある心の中の真実
わたしの今を生きる思い
わたしの生きて来た過去
人の世への思いを
わたしの書くもの わたしの言葉を眼にした
その人の心 その人の胸の内に伝えてゆきたい
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もし わたしの書くもの わたしの言葉が 仮に
それを眼にした人の心 胸の内に伝えられたとしても
それで この宏大な宇宙 世界の中の
なに一つとして 変わるわけではない
時は永遠に過ぎてゆき
人の記憶は遠い遠い夢のように遠い彼方へと
すべてを連れ去り やがて
追憶の果ての闇の中に埋没してゆくだろう
そして わたしの影 わたしの形跡
わたしが歩いた足跡などは
砂浜に刻んだ足跡が波に洗われ
消えてゆくように
時の流れの中で洗われ
消えてゆくだろう
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すべては闇 暗黒 無の中へーー
人の生に待ち受けるものは絶対的無
それでもかまわない わたしは書く
わたしの言葉で
わたしが今を生きる思い
わたしの心の中の真実
わたしが生きて来た過去への思い・・・・
なぜなら それがわたしの今を生きる
わたしが今を生きている証しなのだから
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わたしにとっては わたしの書くものが
現代詩の基準に照らして
詩であっても 詩でなくても
一向にかまわない
言葉だけが わたし自身の真実の言葉だけが
わたしにとっては大切なのだ
自分 政治(2010.9.13日作)
真に自己を認識した人間は 決して
自分を過大評価などしたりはしない
自分には 他人の眼から見た幾層倍もの
自分が見えているものだ
自分という人間は
自分が思っているよりも
半分以下の存在だと思えばいい
政治
政治とは妥協の世界
闘いの場ではない
闘いだけの政治では
国民を幸福に導く事は出来ない
人という存在は千差万別
誰一人 同じ人間はいない
その空間 各個間に存在する空間
それを埋め 繋ぎ合わせるものが 政治だ
政治は妥協
仕事(2012.9.127日作)
今のあなたの仕事を
誰も分かってくれない と
嘆く事はない それが
真実の仕事なら 未来の
今の人間より もっと賢く
もっと聡明な人間達が いつか
理解しいくれるだろう
君は今 ひたすら
自身の仕事に打ち込み
磨きをかけ
君の信じる道を
歩んで行けば
それでいい
道
生きるという事
林立する人間の
林の中を歩いて行く事
ゆっくりと静かに
散策するのも 人生
人垣を掻き分け
突き進むのも 人生
どの道を行こうと
人と人とが林立する
人の林の中を行く運命
どの道を行くにも 様々
姿 形の異なる 樹木と出会い
倒木 雑木に道をふさがれ
邪魔され
困難苦難の歩行が続く
それでも歩いて行く
命と命 心と心が絡み合う
複雑怪奇 人の林の中の道
遠い夜汽車(2016.9.20日作)
遠い夜汽車の汽笛が消える
背中に冷たい雨が降る
十日に一度逢うだけの
恋がさよなら終わりをつげる
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いつも逢うたび優しい人の
匂いが仄かに残ってる
コートの襟に頬うずめ
帰る夜道は冷たく暗い
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誰もいなくて淋しい部屋の
扉を開ければただ一人
ガラスをたたく夜の雨
今度あなたが来る日を待つの
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遠い夜汽車の響きも消えて
夜更けのしじまが増すばかり
心を濡らす雨の音
夜は淋しく果てなく長い
童謡ーー歌は世につれ(2011.9.6日作)
ふと 想う
昔うたわれた童謡には なぜ
あんなにも哀愁を帯びた歌が
多いのだろう
なに気なく耳にする一つ一つの歌が
優しい言葉遣いと共に 妙に切なく
心に沁みて来る
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人の世の大半を生きてしまった人間の
単なる感傷
ふたたび辿り得ぬ 追憶の中の日々
過去への 郷愁がなさせる
心の動きなのだろうか
それとも
この国が今よりずっと貧しく
日々の生活にも はるかに多くの
困難が伴った時代
人々がその中で 生きる事の頼りなさ
人の命のはかなさを 日々 実感し
胸に刻み込んで生きて来た それが
自ずと滲み出て
あんなにも切ない歌の数々が
作られたのだろうか
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歌は世につれ 世は歌につれ
歌がその時代を生きる人の心を映す
鏡であるのなら
哀しみに満ちた歌の
作られる事のない時代は 多分
幸福な時代であるに違いない
その中で もし 人が
他人(ひと)の心の哀しみ 愁いに眼を向ける
優しい眼差しを忘れずにいるのであれば
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この世を生きる人の命のはかなさ 淋しさは
いつの時代にあっても
変わる事はない