凪の海(2026.9.22日作)
風は凪 海は静か
白く輝く 広い砂浜
人影は無く
遠い彼方 水平線に
入道雲 積乱雲を浮かべて
海は穏やか
何事も無いーーこの幸せ
自然は美しい
世界は美しい
美しい自然
美しい世界
人間は ?
人間という愚かな存在
あちらの陸地を血で濡らし
赤く染め
こちらの陸地で草原 樹木を
踏み荒らし 焼き払い
限り無く 繰り広げる
醜い争い 戦争
人の命を軽んじ 犠牲にして
恥じる事が無い
愚かな者達 人間存在
政治 宗教 総ては虚妄
名誉 名声 欲望のみに支配された
虚偽の城 その支配者 長(おさ)達は
人の命の尊さ 貴重(おも)さ そこに
眼を向ける事は無い
自身の権力 虚名 地位保全
その事だけに 精一杯 その事だけに
心を砕く 日々 日毎
あの地 この地で 繰り広げ
繰り返される愚かな争い
血を血で洗う 醜い諍い
延々 絶える事無い蛮行愚行
総ては愚かな支配者 長達の
その下(もと)から生まれて そこから始まる
それでも海は 今日も穏やか 凪いでいる
一人の漁師が今日もまた 舟を漕ぎ出し
海の恵みの魚貝を獲る
やがて 日は暮れ 漁師は
家路を急ぐ舟の上
今日も一日 穏やかだった
何も無く 変わった事も無い
平々凡々 その一日
平々凡々 何も無い
平々凡々 それでいい
昨日も今日もまた明日も
平々凡々 何も無い それでも
こうして生きている
生きている
命の尊さ 貴重さ この世に生まれ 恵まれた
一つの命 人間 人のその命 命の全う
政治 宗教 虚偽虚飾
もう沢山
血を血で洗う醜い争い
沢山だ !
誠実 謙虚 真摯に生きる
人と人との心を通わせ
自身に向き合い 真摯に生きる
平々凡々 日々同じ それでいい
海の彼方に夕陽は沈み
夜が来る
家に帰った漁師は今日も
明日の豊漁夢に見て
夜の静寂 その中で 心安らか
眠りに就く
迎えた朝の 今朝の海
波は穏やか 風は凪ぎ
漁師は今日も
一人 静かに舟を出す
海は穏やか
風は 凪ぎ
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<青い館>の女(6)
女がその扉を開けると眼の前には狭くて短い階段があった。
女はわたしの先に立って階段を上がった。
人気の無い青い灯りの点った廊下が眼の前に現れた。
女は奥に向って廊下を歩いて行った。
両側に四つの部屋が並んでいた。
部屋の入口それぞれに薄紅、焦げ茶、黄、紫、緑、薄紅梅、緑黄色の小さな明りが点っていた。
明かりの色が部屋の色になっている、と女は言った。
女は一番奥、左側の部屋の前へ来て足を止めた。
深紅の明かりが点いていた。
「これがぁわたしの部屋なんですけどぉ、今ぁ鍵を開けますね」
女は化粧バッグを開けて中を探り、合い鍵を取り出した。
女が鍵を差し込みドアを開けると、外から僅かに覗けた部屋の中には深紅の明りが濃い翳を作っているのが見えた。
女は先に立って部屋へ入ると、ドアを押さえてわたしを中へ導いた。
部屋は八畳程の広さかと思われた。
ほぼ中央を仕切って明かりの色より更に濃い、深紅の厚手のカーテンが鈍い光沢を見せて下がっていた。
向こうにはベッドがあるらしかった。
入口正面、部屋の奥には毛足の長いこれも深紅の三人掛けソファーが置かれてあった。
部屋全体が濃密で淫靡な気配に満ちていた。
「すいません、ちょっとぉそのソファーで待ってて貰えますかぁ。今すぐに着替えて来ますからぁ」
女は入口で気を呑まれた様に立っているわたしに向って言った。
わたしが頷くと女はドアに鍵を掛け、深紅のカーテンの向こうへ消えて行った。
わたしは言われたままにソファーに腰を下ろした。
腰の半分程が埋まる感覚のソファーだった。
膝元には店の名前そのままに、青の濃いテーブルが置かれてあった。
上にはAVビデオや若い女性の裸を満載した写真雑誌などが置かれていた。
他にはテレビがあるだけだった。
豪華さを気取った雰囲気とは裏腹に何処とは無いうそ寒さがわたしの心を覆う。
わたしは豪華さを気取った部屋の淫靡な雰囲気にも係わらず、眼の前に置かれたAVビデオや裸雑誌にも興味を抱く事も出来ないままに、ただ、抜け殻の様に空虚な心を抱いたまま坐っていた。
頭の中には何もなかった。
空疎な思いだけが満ちていた。
女に導かれるままにこの部屋に来てしまったが、自分がこの場の雰囲気に馴染めるとは思っていなかった。
初めて訪れた北の小さな漁港街の怪しげな店で、千載一遇の機会を楽しもうなどという気も湧いて来なかった。
わたしの身体の中では最早、総てのものが空虚な影の存在としてしか認識出来なくなっていた。
若かりし頃の溌溂としたあの気分と心の昂揚は遠い昔の、今では帰る事の出来ない過去でしかなかった。
何時、訪れるかも知れない突然の発作とその先にあるもの・・・・意識を過(よ)ぎるのは常にその不安だった。
それがわたしの総てを奪ってゆく。
自身を生きる事の出来ないこの空虚。
わたしは最早、屍でしか無い。
カーテンの陰に消えた女はなかなか戻って来なかった。
わたしを焦らし、気分を昂揚させる為なのか ?
それでも、わたしの心は萎えたままだった。
わたしは手持無沙汰のままにAVビデオやヌード雑誌を手に取ってみる。
それがわたしの心を昂揚させる事は無い。
わたしは手にしたものを元に戻して部屋の中に視線を漂わす。
途端に暗い明かりの深紅の色が息の詰まる様な感覚で迫って来る。
思わず息苦しさを覚えて大きく息を吐く。
更に、足元のテーブルの青が部屋の暗い深紅と絡み合ってわたしの眼を混乱させ、刺激する。
わたしは苛立ちと共に女の消えたカーテンに眼を移す。
その時、カーテンが微かに揺れて女がカーテンの陰から姿を現わした。
女は裾を引きずる赤い身体の透けて見えるネグリジェを付けていて、その下は全裸だった。
女の肉体の総てがわたしの眼に映った。
女は両手にブランデーのグラスを持っていた。
中味が微かに揺れて、わたしの傍へ来た女は、
「どうぞ」
と言って、右手に持ったグラスをわたしの前へ差し出した。
「有難う」
わたしはグラスを受け取った。
女はソファーに腰を下ろすとわたしに身体を摺り寄せて来た。
「お客さんとわたしの夜の為にぃ乾杯 !」
女はわたしの前に自分の持ったグラスを差し出して言った。
わたしは小さく自分の持ったグラスを差し出して女の言葉に応える。
それでも、わたしの心は萎えたままだった。
こんな行為の無意味な事をわたしは知っている。
一体、わたしは何に乾杯するというのか ?
女はだが、わたしの気持ちなどに拘ってはいなかった。
自分のグラスの中味を口に含むと、その口をわたしの口元へ寄せて来る。
わたしの首に腕を絡めて女は、その唇をわたしの唇に押し付け、口に含んだブランデーをわたしの口に流し込んで来る。
わたしは女の為すがままにそれを受け取る。
わたしの脳裡には無意識裡に、過ぎ去った日々に蓄積された数々の思い出が蘇る。
幾度もあった同じ様なこの行為。
女のネグリジェを着けただけの肉体が、わたしの衣服を通してわたしの身体に触れて来る。
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takeziisan様
リバティバランスを射った男
人を思い遣る暖かい心を持ちながら無口で無骨ゆえに
黒色人種の下僕一人に見守られただけで死んでいった男の悲哀
数々の名作を持つフォード監督の作品の中でも
「捜索者」と並んで一、二を競う名作だと思います
「カサブランカ」 あのピアノの場面と共にラストシーン
良いですね 名場面の一つだと思います
「ウエストサイド物語」ジョージ チャキリスが一気に名前を売りましたね
「危険な関係のブルース」何度 聴いたか分かりません
勿論 レコードは持っています
冒頭の音を聴いただけで自然に体が揺すられてしまいます
アート ブレイキーとジャズメッセンジャー
懐かしい名前です
尾瀬 八月末に那須へ旅行しました
あの自然が良いですね 山々の樹々 空気の清涼さ
車の並んだ風景を拝見して改めて思い出しまた
都会の風景の殺風景な事 心の潤いも失われます
猿にイノシシ 様々な害を思っても何故か 羨ましく思われます
川柳 相変わらずいいですね
どの作品もそうだそうだと頷けます
以前見た何処かの代表作品集に比べ 深さが感じ取れます
勿論 以前にも書きましたがオベッカではありません
失礼ですが やはり 年の功という事でしょうか
「深い」 冒頭の二句 皮肉と深さ まず心に響きました
その他 皮肉たっぷり等 面白く拝見しました
有難う御座いました
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