権力と崩壊(2021.5.17日作)
「権力者とは
甘い蜜の花を知った 蜜蜂だ
決して その場を離れようとはしない」
権力の崩壊は常に
内側から始まる
権力を握れば 驕りが生まれる
驕りが生まれれば 自己以外 存在しない
自己以外 存在しなければ 他者は無視
他者を無視して 総てが 自己中心
自己が 核 芯 となり自己だけが
肥大化 してゆく 肥大化する 自己
自己以外の他者 その分 痩せ細る
痩せ細った他者 その他者は やがて 自身の命の
危機を知る 危機を知った他者 権力に束縛された他者は
自身であって 自身でない 自身でない 自己を生きられない他者
その他者は苦痛の余り 悶え 苦しむ 必死にもがく
必死にもがく その力は 始め 小さく ひ弱な力
ひ弱な力 さざ波 小さな波 に しか過ぎない
さざ波にしか過ぎない その波は だが 幾度も幾度も
もがき 苦しみ もがき苦しむそのうちに 次第 次第に
大きくなり 大きな波紋となって 打ち返す 打ち返す その
大きくなったさざ波は あちらで一つ こちらで一つ と 数を増し
数を増したさざ波は その上 更に さざ波どうしぶつかり合い
ぶつかり合ったさざ波は 更に 更に と 大きな波になり
大きなうねりとなって 周りを巻き込み 圧倒する
周りを巻き込み 圧倒する 大きなうねりのさざ波
ぶつかり 溶け合い 大きくなったさざ波の巨大な力 大きなうねりは
やがて 世間を巻き込み 世界を覆う 世界を覆う その
大きなうねりの その果ては
巨大な権力 その力 巨大な力の構築した
堅固を誇る 巨大な城の その足下 足元にまで押し寄せ
ひたひた ひたひた ひたひた と 少しずつ
城の建つ 基盤の砂 その礎を削り取り
崩してゆく 削り取られて崩れた基盤 礎 待つものは
城の崩壊 力の消滅 権力無力化
驕れる者は 久しからず
権力 力の世界 その秩序 その姿
その姿の 永遠不滅 あり得ない
存在し得ない
信なくば 立たず
民が礎 民の上に建つ城
力が礎 力の上に建つ城
二つの城の いずれの城が永遠不滅 ?
明々白々
真実はただ一つ
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化(あだしの)野(5)
身支度が整うとすぐにでも宿へ帰る気になって、囲炉裏の火に灰を掛けて消した。昨夜の残り物で食事をして行け、と女は言ってくれたが、それだけの気持ちのゆとりはなかった。それより、女が漁をすると言った湖を見てみたいと思った。そこで女に会い、一晩、世話になった礼を言ってから村へ帰ろう、と考えた。
猟銃を肩に掛け、小屋の外へ出ると板戸を閉めた。
昨夜は傷の痛みで動かす事も出来なかった腕が、今朝は自由に動いた。薬のせいに違いなかった。
先程見つけた、女が通ったと思われる跡を頼りにすぐに林の中へ入った。
ようやく濃い霧の幾分、薄れかけ始めて来たと思える林の中には、昨夜とは違った明るさがあった。丈高いススキの群れに囲まれていても、辿る方角は容易に見極めが付いた。
それでもなお、歩行には想像以上の困難が伴った。胸元にまで迫るススキをいちいち掻き分けなければ、眼の前が見えて来なかった。
両手も、額も頬も、昨夜の歩行で傷だらけになっていた。改めてその痛みが感じられた。
太陽の光りはまだなかった。
歩いた時間も距離も分からなかった。
何処まで行ってもススキの繁茂と杉の巨木の林立だけが続いていた。
湖は本当にあるのだろうか ?
次第に不安が増して来た。
ーー湖は突然のごとくに出現した。丈高いススキを掻き分けての、先の見えない歩行に疲れ果て、半ば探すのを諦めかけていた時だった。何気なく顔を上げた視線の先に、思いがけず見えて来る明るい空間があった。
もしや・・・の思いと共に、諦めかけていた湖への期待が一気にふくらんだ。
丈高く繁茂するススキを掻き分けての困難な歩行にも係わらず、気持ちの急かれるままに自ずと速くなる足で湖への方角を辿った。
言葉もなかった。
眼を見張るばかりの光景だった。
深い青を湛えた湖は、その底までも見通せるかのような透明感に満ちていた。
湖面を取り囲む湖岸の、さまざまな樹々の鮮明に色付いた紅葉や黄葉が、その豊かな色彩をさざ波一つ立てない湖面の青に映していた。
辺りに満ちた物音一つない静寂(しじま)の中で湖は、夢かと思われるような至上の世界を描き出していた。数限りない色彩の数々が織り成す鮮やかな絵模様に、ただただ、息を呑んで立ち尽くしているより外に出来なかった。
ーーどれだけかの時間が過ぎていた。
ようやく我に返って、わたしは思わずたじろいだ。
わたしが立っていたのは、湖面より十メートルは高いかと思われる切り立った崖の上だった。
あまりに急な斜面に尻込みしながら、後しざった。その時ふと、女の言った言葉を思い出していた。
「湖で漁をしています」
女はこんな急な斜面を降りて行ったのだろうか ?
見渡す限り、一面にススキで覆われた切り立った崖の斜面の何処にも、湖へ降りてゆけそうな場所はなかった。
それでもわたしは、女の姿を探して湖面に視線を走らせた。
時間的に言っても、女はもう、この湖に出ているはずだ。
さざ波一つ立てない湖面にはだが、何処を探しても女の姿はなかった。鏡の面のように見える湖面が、湖岸を覆った様々な樹々の紅葉や黄葉を湖水に映し込んで静まり返っているだけだった。
或いは、あの陰になった辺りにいるのだろうか ?
ゆるやかな曲線を描いて切り立った崖が、湖面に突き出ていた。それに気付くと、その向こう側を見るつもりでススキの群れを掻き分け、岸辺を移動しながら、なおも女の姿を湖面に探した。
だが、ようやく開けて来た視界の中にもやはり、女の姿の見えて来る事はなかった。そして、次の瞬間、わたしは更にわたしの眼を捉えて来た鮮やかな光景に言葉を失った。
対岸の樹々の梢がいっせいに朝の光りに染め抜かれ、一瞬の間に、見事な紅葉や黄葉が溢れるばかりの光りで包まれ、金色の世界を現出したのだった。光りの絵模様が描き出す眼をあざむくばかりの光景だった。
しかし、光りの移動は速かった。言葉もなく見詰めているうちに太陽は、急速に上昇していた。樹木を覆った影の部分がみるみる失われてゆき、光りの領域だけが樹木の全体を包み込んでいた。
その素早く動く、失われてゆく陰の部分に否応もなく、時間の推移を意識させられた。
一挙に現実の世界に引き戻される思いの中でわたしは、そうだ、早く仲間達の所へ帰らなければ、と昨夜からの出来事を思い出していた。
昨夜、一晩帰らなかった事で仲間達はわたしに何があったのか、心配しているに違いない。
そう考えると、途端に気持ちが落ち着かなくなった。
女に会えなかった事に未練を残しながらもわたしは、ひとまず、宿へ帰ろう、と考えた。昨夜、世話になった礼には、また改めて出直して来よう。
再び、杉林に踏み入るとわたしは、樹間から差し込む朝の光りに向かって歩き始めた。朝日に向かって歩いて行って下さい、と言った女の言葉が頼りだった。
宿ではみんなが心配していた。主人をはじめ、村人達数人も応援に来ていて、わたしの仲間達と一緒にわたしを探すために宿を出る準備をしていた。
わたしは午前十時少し過ぎに宿へ戻った。
ポリーは戻っていた。わたしを見ると首を垂れ、尻尾を振りながらしおれた様子で近付いて来た。
「ポリー ! いったい、おまえはどうしたんだ」
わたしはポリーの頭を押さえて言った。
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桂蓮様
何時もお眼をお通し戴き
有難う御座います
「身体を起こすアラーム設定」
強制的でなくなった時に興味が湧いた
面白いですね でも それこそが本物
なんでしょうね 何事も押し付けられたものは
長続きしませんですし
禅もバレーも武道も突き詰めればその
根本は変わらないという事なんでしょうか
とにかく 身体で覚える それが出来た時が
本物 きっと身体にも無理が
掛からなくなっているのですね
痛い 堅い 何事に於いても未熟だという
事だと思います どの道に於いても達人は
いとも軽々 無理なくこなしますから
有難う御座いました
takeziisan様
有難う御座います
ブログ 今回もまた
楽しませて戴きました
様々な花々 よくお探しになると思います
それにしても豊富な花々 気持ちが洗われます
植林 わたくしの方にはありませんでした
もっとも山という山がありませんし
当時は竃で焚く松葉を取るための松林しか
ありませんでした
唐松 いい言葉の響きです
北原白秋の詩を思い出しますし
伊藤久男が歌った
"から松林 遠い雲 雲の行方を見詰めてる "
唐松という言葉を聞くたびに「サビタの花」
という歌が思い出されます
唐松林のたたずまいも好きです
少年時代のお写真 いい写真ですね
学生服姿 ? ですよね
わたくし自身の少年時代が甦りました
もっとも温暖な地方 スキーなど出来る
はずもありませんが それだけに
スキーには憧れました
梅 持てる者の贅沢
きゅうりの採れたて 香りが違います わが家の
屋上のプランターで獲るものでさえそうです
ムクドリ 鳥の抜け目の無さ かりんの実
焼酎で漬けるとか 一度 戴いて処分に困った事が
あります
クスリと笑える川柳 いいですね
楽しませて戴きました
有難う御座いました