遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(373) 小説 岬または不条理(2) 他 大谷選手と国民栄誉賞

2021-11-28 12:12:22 | つぶやき
          大谷選手と国民栄誉賞(2021.11.25日作)


 大谷選手 国民栄誉賞辞退
 賢明な選択
 大谷選手に限らず 過去
 イチロー選手 福本選手
 辞退している なぜ ?
 当然の事だ 彼等は
 栄誉を求めて 野球をしている訳ではない
 彼等が目指しているのは
 その道に於ける最高境地 かつて
 誰もが為し得なかった境地を目指しての 挑戦
 自身の技を磨き 心を磨き
 最高境地に挑戦する その
 最高境地 彼等が目指している境地に
 一歩 一足でも近付き得たと思えた時
 彼等の心には 真の喜び 達成感が生まれる
 自身としての満足感に満たされる はずだ その喜びは
 他者の与え得るものではない ましてや
 国家などが関与出来るものではない 国家による
 一つの栄誉 一つの勲章 その授与 彼等に取っては 
 心の自由 精神集中 行動の自由 自在な自身の動きを
 束縛する 一本の太いベルト 堅い帯 に 他ならない
 一本の 太いベルト 堅い帯 彼等が拒否するのは 当然
 一つの仕事を為し終えた 一つの成果を残し得て 今は引退
 静かな余生を生きている そんな人達 現役 現場を離れ
 功なり名を遂げた そんな人々への栄誉の賞 勲章なら いざ知らず
 今を 生きる 懸命に今を生きている その者達への授与など
 百害あって一利なし 余計なお世話 今はただ
 静かに 黙って じっと見守るべし
 下手な口出し 国家の売名行為 国家としての 権威付け 便乗行為
 そう 受け取られても仕方がない 国家 政治は
 極力 黙って静かに見守り 国民 一人一人 誰もが
 自由に生きられる そんな世界を目指して 無言の努力
 無言の援助に努めるべきだ 見えない所で真摯に生きる
 真摯に生きて 豊かな業績 成果を為し遂げ得たそんな人達
 隠れた人達 その人達への豊かな目配り それこそが
 国家の為すべき仕事 その人達の発掘 それこそが
 国家の仕事





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          岬
            または
                不条理(2)


「いったい、あなたは、わたしにどうしろって言うんです。何をしろというんです。見ず知らずのわたしに。この前、ちゃんと断っているはずですよ」
 男は、三津田が明らかに激していると分かるにも係わらず、些かも取り乱した様子を見せなかった。
「いえ、別に大した事ではないんです。極めて簡単な事なんです」
 男は静かに言った。
「あなたに取っては大した事ではなくても、わたしに取っては迷惑至極な事ですよ。いい加減にして下さいよ」
 三津田はそう言い放すと男から顔を背けた。
「それは突然、こんな事を申し出るのは失礼で迷惑な事だとは分かっています。でも、わたし共としましては是非、社内でも優秀社員として通っているあなたのお力を借りたいと思った訳なんです」
「じゃあ、いったい、わたしに何をしろって言うんです。伺いましょう」 
 三津田は改めて腹をくくったように男を振り返ると強い口調で言った。
「そうですか。そう言って戴くと有り難いです」
「でも、話しを聞いたからと言って、わたしがそれを引き受けるとは限りませんよ」
 三津田は機先を制して言った。
「それは、あなたのお気持ち次第です。あなたが、どう御判断されようとわたし共には関係ありません」
 男は言った。
「ちょっと、待って下さいよ。わたしの気持ち次第と言うなら、わたしは、はっきりと断っているんですよ。それをあなたがしつこく言って来る。いったい、どういう事なんです」
 三津田には男の言う事の真意が測りかねて、改めて湧き起こる不穏な疑問と共に言った。
「どういう事でもありません。ただ、わたし共としましては、是非、あなたにお力を借りたいと思っているだけなんです」
 男は言った。
「やっぱり、お断りします。あなたの言ってる事は全く滅茶苦茶で、筋が通らないじゃないですか。そんな訳の分からない仕事になど、手を出したくはありません」
 三津田は言った。
「いえ、そうおっしゃらずに話しだけでも聞いて戴けませんか」
「いえ、お断りします。もう、二度とわたしには近付かないで下さい。こんな話しなど持ち込まないで下さい」
 三津田は怒りを含んだ声で男を突き放した。
 その時ちょうど、五、六人の賑やかな集団がドアを押し開けて店内に入って来た。
 店内は一気に賑わい、騒がしくなった。すると男は、まるで、その賑わいを避けるかのように、
「では、わたしは今日はこの辺で」
 と言って、慌しく会計を済ませると店を出て行った。
「今の方、お知り合い ?」
 ちょうどカウンター内に戻って来たママが三津田に聞いた。
「いや、知らない男だ」
 三津田はなんとなく昂ぶった気持ちのままに不機嫌に言った。それから何故、男がこの店にいたのか気になって聞いた。
「あの男、よくここへ来るの ?」 
「そうね、最近二、三度、来ていたかしら」
 ママは言った。
 三津田には全く、不可解な事だった。男が何故、これ程までにしつこく纏わり付いて来るのか ?
 或いは、ヤクザか何かの後ろ暗い組織が、目先をくらます為に何かの仕事で、全くその組織とは関係のない誰かを利用しようとしているのだろうか ?
 よく考えてみると、そうとしか思えなかった。その誰かが、たまたま、自分に当ってしまった。それ以外には考えられなかった。
 しかし、そう思ってみても三津田には、次にどうすべきなのかは、思いも浮かんで来なかった。警察沙汰にはするのにも、なんとなく厄介な事に巻き込まれそうな気がして、気が進まなかった。
 その夜以降、三津田の日々は再び、不穏な空気に包まれた。しかし、三津田は今度は妻の時子には話さなかった。総てが曖昧なままで、三津田自身、何をどのように判断したらいいのか分からなかった。ただ、ぼんやりした不安だけが三津田の日常を取り巻いていて、日々の中でのふとした小さな出来事に訳もなく怯えたりしていた。
 男からの電話が自宅へ掛かって来たのは、五日経ってからの夜だった。
「三津田さんでいらっしゃいますね」
 男は三津田の答えた言葉に対して改めて確認するようにそう言った。
「そうです」
 三津田は最初、それが男の声だとは気付かなかった。直接に聞く声とは少し違った、野太い声のように聞こえた。
「如何でしょう。この前のお願い、決心していただけませんか」
 やはり男は、静かな声で言った。
 三津田は息を呑んだ。男がまた現われた。
「いえ、お断りします。今、忙しいんです」
 三津田はそう言うと乱暴に受話器を置いた。
 居間には妻の時子も一緒にいた。三津田が緊張した声で乱暴に受話器を置くのを見て、
「どうしたの ?」
 と、心配顔で言った。
「この前、話したろう。あの男だ」
 三津田は下手な隠し立ては出来ないと思って率直に言った。
「何か用事を頼まれてくれって言った人 ?」
「うん」
「まだ、なんとか言って来るの ?」
 時子もさすがに不安げな顔になって眉を曇らせた。
「うん」
 三津田にはそれ以上に答える言葉が見つからなかった。妻や子供達には余計な心配をかけたくないという思いが強かった。
「しつこく言って来るの ?」
「うん」
「警察に電話をしてみたらどうかしら ?」
 時子は三津田の沈み込んだ顔を見て言った。
「うん」
 と三津田は言ったが、やはり、すぐには決断が着きかねた。
 なるべく、総てが穏便に収まってくれればいいという思いだけが強かった。
 取り合えず、今しばらくは様子を見てみようという事で話しは付いた。
 三津田は自身の身辺に気を配る事は勿論、怠らなかったが、妻にも子供達にも、日常、充分に気を突けるうに言っておいた。
「どうして ? 河原のグランドて野球をしても駄目なの ?」
 勝は不満気に言った。
「悪い人が子供をさらっていくのがはやってるんですって」
 妻の時子は子供達に言い聞かせていた。
 家庭内には厳しい雰囲気が漲っていた。子供達はさすがに、そこまでは知らなかったが妻の時子は三津田と同じように日々の暮らしに細心の注意を払うようになっていた。
 三津田自身、眠れない日もあった、このなんとも得体の知れない出来事がどのように進んで、どのような決着をみせるのか、相手の言っている事が皆目、理解出来ない事だけに、不安は増すばかりだった。そしてまた、電話があったのは、十日以上が過ぎた夜の事だった。受話器を取ったのは時子だった。
「どちら様ですか ?」
 と言った時子の声には鋭い棘が感じられた。
 夜の九時過ぎに知り合いからかかって来る電話はほとんど無かった。前回の事から察して時子は、あらかじめ相手を推測したらしかった。
 三津田は受話器を握った妻の姿を固唾を呑んで見守った。
「主人になんの御用でしょうか。はっきり、おっしゃって下さい」
 日頃の妻は、気丈には程遠い女性だった。どちらかと言えば、引っ込み思案な性格とも言えた。その妻が電話口で相手に向かって、食って掛かるような口調で話していた。少し離れた場所でテレビを見ていた三津田には無論、相手の言っている言葉など聞こえるはずはなかった。
「卑怯です。名前も用件もおっしゃらないで、まるで脅迫めいた電話を掛けて来るなんて、いったい、どんな心算なんですか。はっきり、おっしゃつて下さい」
 三津田はいつの間にか立ち上がって妻のそばに寄り添っていてた。
「名前もおっしゃれないんですか。名前と用件だけでもはっきりとおっしゃって下さい」
 強行に食い下がる妻から三津田は電話を取ると、
「いい加減にしろよ。何度、下らない電話を掛けて来ても駄目なものは駄目なんだ。警察に訴えるぞ」
 受話器に向かって怒鳴った。
「分かりました。これが最後ですので、どうか、はっきりとした御返事を下さい」
 相手の男は突然、三津田の声に変わった事にも驚いた様子はなかった。静かな声で言った。
「何度言っても同じ事だ、断る。訳も分からない仕事など、誰がするって言うんだ。人をバカにするにも程がある」
 三津田はそう言うと音をたてて受話器を置いた。
 三津田が電話を離れてソファーに戻った時、再び電話がなった鳴った。
 三津田は受話器を取らなかった。
 電話はまるで生き物でもあるかのように、暫くは鳴り続けていた。


          二


 時子はやはり、警察に訴えるべきだと言った。
 三津田にはそれでもためらうものがあった。
 警察がそれを犯罪として動いてくれるだろうか、という疑問が依然として、拭い去れなかった。確かに、悪戯電話というだけの犯罪なら動いてくれるかも知れない。だが、相手は嫌がらせの為に電話をして来ているだけではない事は明らかだった。何かの目的があるのだ。それが何も分からない、それが不気味だった。





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          桂蓮様

          有難う御座います
          お写真拝見しました
          牛馬なみ 人間トラック
          でも なんとなく楽しそうな雰囲気が伝わって来ます
          さすがアメリカ 日本のようなちまちました庭とは
          格違い 作業の大変さが偲ばれますが でも また
          季節季節の移ろい 変化もより多く 楽しめるのでは
          ないでしょうか 是非また このようなお写真 掲載  
          して戴きたいものです
           二つの御文章拝見しました とても良い文章だと
          思います おっしゃるとおりです
           わたくしに取っては過去 思い出は苦痛の海です
          過去が美しいなどと わたくしにはとても言えません
          未熟な自分 傲慢だった自分の姿だけが思い出されて
          心が痛みます あの事 この事 過去に帰れるものなら   
          償いたいです
           人生 あまり無理をせずに 自分の心 身体に
          正直に それでも真摯に自身の人生に向き合って
          生きてゆければ それが最高ではないでしょうか
          とても良いブログを拝見させて戴きました
           有難う御座います



          takeziisan様

          有難う御座います
           今回も素晴らしい写真の数々 堪能しました
          並木の写真 どれもが秋そのもの 美しいです
          それにしても お近くにこのような自然があるのには
          羨望の思いです わが家の近くにもそれなりの公園が
          ありますが このように見事な景色は現出されません
           ダイサギの写真もいいですね
           キウイ 畑作業 羨ましい限りですが もう 
          わが身には無理な仕事と思います それにしても
          お元気 水泳のせいですかね
           車の運転 気を付けて下さい わたくしは車の
          運転が出来ません もっぱら他人任せです
           秋 随分 詩を書いていらっしゃいますね
          お若い頃のロマンティックな御様子が偲ばれます
          前回 詩を拝見して 書こうと思ったのですが 
          失念してしまいました
           毎回 数々の美しいお写真 堪能させて戴いて
          おります 
           有難う御座いました   
         


遺す言葉(372) 小説 岬または不条理(1) 他 何処へ

2021-11-21 12:48:52 | つぶやき
          何処へ(2021.11.17日作)


 昨日は あの人が逝った
 今日は この人が逝った
 若かりし頃 未だ 青春 壮年 の日々
 眼に耳に親しかった 
 あの人 この人が 次々と 永遠の地 
 永遠の彼方へと去ってゆく
 今年 今現在 八十三歳七ヶ月
 わたしの人生 まだ若かりし頃
 わたしを取り囲み わたしの日々を彩った
 あの巨大 華やかだった空間が 次々と
 蝕まれ 失われてゆく
 後に残るものは 名も知らぬ花のように
 わたしの人生の 失われてゆく空間を埋め尽くす
 若き人々の名前と顔 その存在が
 わたしの空間 今現在 わたしが生きている 
 時間 その中へ 侵入して来る
 わたしは見つめる ただ じっと 失われ
 狭められてゆく空間の中で この
 細りゆく空間 時間の中で
 わたしは いったい
 何処へ・・・・・?



         

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          岬
            または
                不条理 (1)

            この世界は 不条理に満ちたものだ 
             「なぜ ? 今でもまだ信じられない」
               と いう事がしばしば 起り得る


             一


 穏やかな秋晴れの、休日の一日だった。
 大きな流れの川に沿った広々とした河原には、休日を楽しむ数多くの家族や、野球、サッカーなどを楽しむ人々の姿があった。時刻は午後三時を少し過ぎていた。三津田明夫は腕時計に眼をやると、少し西に傾き始めた陽の光りを気にして、そろそろ帰ろうか、と思った。
「おい、勝、もう帰ろう。三時を過ぎたぞ」
 と、草地に腰を降ろしてハゼ釣りの糸を垂らしていた小学四年生の息子に声をかけた。
 勝のそばには妹の小学二年生の真紀が、今日の釣果のハゼの入った小さなポリバケツに手を入れて頻りに掻き廻していた。
「うん、あと一匹釣ったら」
 勝は釣竿の先を見詰めたまま答えた。
 勝が最後の一匹を釣り上げて、二十数匹のハゼの入ったポリバケツにそれを放すと親子はようやく、竿を巻きにかかった。
「今日はずいぶん釣れたね」
 真紀がバケツの中を覗き込みながら嬉しそうに言った。
「うん、ずいぶん釣れたね。早く帰ってお母さんに天ぷらにして貰おう」
 三津田は応じた。
 三人は川の傍を離れると野球をしている少年達の近くを通って緩やかな斜面の堤防を登っていった。
 堤防を登りきってゆったりと開けたサイクリングロードに出た時、その車道で膝を折り、煙草を吹かしながら河原を見詰めていた男が不意に立ち上がると三津田親子に近付いて来た。
 五十代半ばと思われる男は三津田の前へ来ると軽く頭を下げながら、
「三津田明夫さんでしょうか ?」
 と言った。
「はい、そうです」
 三津田はなんの疑問も抱かずに答えた。
「実は、ちょっとお話ししたい事がありまして」
 男は静かな口調で言った。
「なんでしょう ?」
 三津田は軽い懸念と共に答えた。
「お頼みしたい事がありまして」
「わたしに ?」 
 三津田は不意を突かれる思いで答えた。
「はい」
 男はやはり静かな口調で言った。
「なんですか ?」
 三津田は初めて軽い疑念に捉われて言った。
「詳しい事はまた後でゆっくり、お話ししたいと思うんですが、ただ、承知して戴けるかどうか、お返事を戴きたいと思いまして」
 三津田は困惑した。
「お話ししたいって、いきなり、そんな事を言われても困りますよ。なんの話しか訳も分からずに」
 三津田は些か機嫌を損ねてぶっきら棒に答えた。
「それは承知しています。失礼だとは重々承知の上で、あえてお頼みしたいと思いまして」
 男は依然として静かな口調で丁寧に言った。
「お断りします。訳も分からないそんな話し、お断りします」
 三津田はきっばりと言うと、真紀の手を取って歩き始めた。
「よく考えて戴けませんか。また後日、改めてゆっくりとお話しさせて戴きたいと思いますので」
 男は三津田達の後に付いて来ながら言った。
「いえ、お断りします」
 三津田は後ろを見もせずに答えた。
「そうですか。ちょっと残念ですが、でも、今日はこれで失礼します」
 男はそう言うと三津田の後に従うのをやめて足を止めた。
 三津田には気配でそれが分かった。
 少し歩いて三津田が後ろを振り返った時、男は堤防の上に出ていて、三津田に背を向けて遠ざかって行った。
「何処のおじさん ?」
 手を繋いで歩いている真紀が無邪気に三津田を見上げて聞いた。
「何処のおじさんか、パパも知らない人だよ」
 三津田は不機嫌な気分の払拭出来ないままに、それでも真紀には優しく答えた。
「変な人だね」
 勝が釣竿を肩に、手にはハゼの入ったポリバケツを提げて三津田の脇を歩きながら言った。
「うん、全く変な人だよ」
 三津田は吐き出すような口調で言った。
「何をしいる人なんだろうね」
 勝は言った。
「何をしている人かなあ」
 三津田自身、理解出来ないままに重い口調で答えた。
 その夜、三津田は子供達が布団に入った後で、妻の時子に昼間の出来事を話した。
「まったく知らない男なんだ。顔も見た事がない」
「その人が、頼みたい事があるって言ったの ?」 
 時子も不安げな様子で問い返した。
「うん」
「何かしら ?」
 時子は言った。
「なんだか分からない」
 三津田には、そう答える事しか出来なかった。
「何処かで会っている人じゃないの ?」
 時子は言った。
「いや、会った事はない。全く覚えがないよ」
 それは確信出来た。
「それで、後日、また会いたいって言ったの ?」
「うん」
「嫌だわ。何もなければいいけど」
 時子は心底恐れるように顔を強張らせた。

 三津田が心配した男からはそれ以後、なんの連絡もなかった。最初の二、三日は出勤途中の電車の中でも、街中を歩いている時でも、絶えず、男が何処からか自分の様子を窺っていのではないかと気になって仕方がなかった。しかし、それが一週間も過ぎる頃になると、何事もないその状態に馴れて来て、男は、ああ言ったが、きっぱりと断られた事で諦めたに違いないと思うようになっていた。妻の時子も、「あれからなんの連絡もない ?」と聞いて来たりしたが、三津田は晴れやかな気分でいる事が出来た。
 現在、三津田は四十二歳で働き盛りだった。都内にある清涼飲料水メーカーに勤務していて、課長という立場にあった。一家は三歳違いの妻と二人の子供の四人暮らしだった。大きな川を隔てて東京に隣接する市に住んでいて、生活は順調そのものだった。これといって何一つ、心配の種になるようなものはなく、唯一、住宅ローンだけが重荷だったが、それも苦にする程のものではなかった。直属の上司は将来の社長候補といわれる人で、三津田はその人の信頼も得ていた。言ってみれば三津田の人生は輝ける未来に満ちている、とも言えた。

 三津田は社用でも個人的にもよくそのバー、「茜」を利用した。東京駅に近い彼の会社からさして離れていない距離にあって、五十歳前後と思われる品の良い、少し太り気味のママと三人のホステス、それに六十歳代のバーテンダー、アルバイトのバーテン見習いとも言える大学生のいる店だった。カウンター席と四つの椅子席があって、こじんまりとして落ち着いた雰囲気が特長だった。
 その夜、三津田が商談を済ませた取引先を送って「茜」入ったのは、午後八時を少し過ぎていた。店内には二つの椅子席とカウンターに着いている七、八人の先客があった。三津田は緩やかに馬蹄形を描いているカウンターの先客とは少し離れた入り口に近い場所に席を取った。
 ママが三津田の前に来た。
「何時ものにします ?」
 ママが聞いた。
「うん」
 と三津田は答えた。
 三津田に取っては、習慣とも言えるママとの応答だった。
「今日は、お連れは ?」
 ママは言った。
「いや、今、取引先を送って来たんで、ちょっと、寄ってみた」
 三津田は言った。
「相変わらず、お忙しそうね」
 ママは言った。社交辞令ではなかった。
「うん、ちょっとね」
 三津田も満足感と共に答えた。
 一組の三人連れの客が入って来て、椅子席に向かった。
 ママは「ちょっと失礼」と言うと、三津田の前を離れて、椅子席に着いた客達の方へ向かった。
 カウンターの中にはバーテンダーの吉野さんとアルバイトの宗ちゃんがいた。
 三津田が一人でグラスを口にしていると、一人の男が影のように三津田に近寄って来ていた。男はウイスキーのグラスを片手に、三津田に身体を摺り寄せるようにしてスツールに腰を下ろした。
「先だっては、失礼しました」
 三津田が身構える間も置かずに男は、耳元で囁くようにして言った。
 三津田はギョッとして男を見た。
 紛れもなく、あの男だった。
 三津田が言葉を失っていると男は、
「ここには、よくお見えになるようですね」
 と言った。
 三津田は黙っていた。
「如何でしょう。あの件は考えて戴けたでしょうか」
 と、男は言った。
「いい加減にして下さいよ」
 三津田は激しい怒りに捉われたが、店内の雰囲気を慮って腹の底から搾り出すような声に批難を込めて強く言った。
「わたしの方でもそうしたいのですが、この事にはいろいろ、複雑な事情が絡み合っていまして、なかなかそれが出来ないんですよ」
 と男は言った。





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          takeziisan様

          コメント 有難う御座います
           一人の画家の絵に魅せられ 取り憑かれた 
          男の悲劇 芸術が人の心にもたらす影響に付いて
          書いてみました 芸術に限らず 何か一つのものに
          魅せられ それに打ち込む姿勢は なかなか 他人には
          理解出来ないものがあります あいつは何々気狂いだ
          と言われるのがそれで その人に取ってはそれが
          人生の生き甲斐ともなって それが無くなれば 生きる
          価値そのものが無くなってしまう そのために自分の命    
          までも賭ける羽目なる 画家で言えばゴッホなどがその
          例ではないでしょうか その為に無意識のうちに
          命までも削ってしまう ただし この文章の中で 
          それが描き切れているかどうかはまた 別問題ですが
           シャコバサボテン 早いですね なんだかわが家では
          花芽もないです 
           ラテン 当時 流行りましたね ブログ内で懐かしい
          音楽の数々に出会え 当時の思い出と共に心和む一時
          を過ごしています
           その他 紅葉 様々な花の写真 眼の保養です
          昨夜も NHKで京都の紅葉を写していましたが この
          季節 色とりどりの見事な景色を見るのは 毎年の
          楽しみになっています それにしても 豊かな色彩に
          恵まれた国土だと思います 政治もせめて この国土に
          匹敵するような彩豊かなものを見せてくれると
          いいのですが まずは儚い夢にしか過ぎないようです
           水泳 気力がある限り まだまだいけます
          お互い 歳の事は嘆かず 頑張って否 頑張らずに
          元気に行こうではありませんか
           それから忘れました うどん わが家でも昔 つくり
          団子のようになってしまって 大笑いしながら食べた
          記憶があります
           何時も お眼をお通し戴き 有難う御座います
           




          桂蓮様

          有難う御座います
          コメント とても楽しく読ませて戴きました
          落ち葉集め 去年も書いたように思いますが
          改めて良い環境にあればあるなりに御苦労が
          あるのですね それにしても この コメント
          傑作です 状況がよく浮かびます 牛 馬 思わず
          笑ってしまいました 御夫婦仲睦まじい御様子
          ほのぼのとした気持ちになります 拝見していて
          楽しくなりました 身体は鍛えれば鍛えるだけ 
          期待に応えてくれるものですね 読んでいるだけで
          柔軟さを増したお体の様子が見えて来ます
           再読ブログ 人を読む 
           人が見せない部分を読めるようになって やっと
          その人のありのままが見えてくる
           隠している部分を読み取り その隠している部分を    
          尊重する 大事な事ですね 正に正論 深い言葉です
          それもこれも 人を尊重する その気持ちの無い人には
          無理な事ですね 人の気持ちはどんな人の気持ちであれ
          それが他者を傷付けるものでない限り 
          尊重したいものです
           御作品の再読 英文との合わせ読みのせいか
          その都度、面白く拝見ざさて戴いております
           いつも詰まらない文章にお眼をお通し戴き
          感謝申し上げます
           有難う御座いました          
          
            
    

 
 
 
 

遺す言葉(371) 小説 十三枚の絵(完) 他 雑感十題

2021-11-14 12:36:32 | つぶやき
          雑感十台(2020~2021年作)


 1 最初は理想を実現するために結成された組織も
   組織が肥大化する事により しばしば 理想の実現を離れて
   組織維持のために腐敗の道を辿ってゆく

 2 宗教組織は大半以上が 権力維持のための集団組織だ
   真の宗教家になる為には 雑念 雑事を振り払い
   自身の道を極める
   集団組織はそれ自体 道にとっての雑念 雑事

 3 幽霊は存在する
   人間に想念がある限り 幽霊は
   想念の中に生まれて 出現する

 4 悟りとは直覚だ そこにあるけど
   証明は出来ない
   実体 形がないからだ
   実体 形はないが 確かに在る
   それが直覚であり 悟りだ

 5 「生きているから 楽しい事や 嬉しい事に出会えるんだよ」
   相次ぐ病気で苦闘中 ふと
  「生きるっていうのは 辛い事だなあ」と洩らした時
   五歳の孫の男の子が答えたという

 6 わたしとは何か ?
   わたしである
   そのわたしとは何か ?
   わたしではない わたしである
   わたしではない わたしとは何か ?
   わたしである

 7 空は空であり
   空もまた空である
   空が空である事によって
   空は有になり 有になった空は 空である事によって
   空である

 8 詩とは何か ?
   心の動き 躍動を直接 言葉に置き換え 伝えるもの
   散文は心の動きを説明する

 9 人間存在は風船の上に成り立つ存在
   風船が壊れる時 人間存在は消えて無くなる
   風船を造り出した世界は 偶然のうちに成り立ち
   偶然こそが 人間社会を形造る根源

 10 それがどうした ?
   だからどうなんだ ?
   究極 突き詰めればゼロ ゼロの世界
   この世は無 すべて無 世の中 世界は蜃気楼
   何時かは消えて無くなる  





          ---------------



          十三枚の絵(完)



「それにしても、意外に小さな沼だなあ」
 森本が言った。
「ああに、あの沼の絵は、幻覚の中で拡大されたもんだっぺよ」
 辰っあんが言った。
「あの女や小舟も、幻覚だったのかなあ」
 わたしは言った。
「どういうもんだろう」
 森本が言った。それから森本は考え込むように続けた。
「あるいは、この沼の美しさに魅せられた結城さんが心の裡を沼に託して、あのように表現したのかも知れないなあ」
「うん、そういう事も、あるかも知れないよな」
 わたしも、その考えには同意出来た。
「まあ、どっちにしても、結城さんが絵さ描いでるみでえにキジば追っ掛げで、こごまで来だこどは間違えねえな」
 辰っあんが断定的に言った。
「うん、そうだろうな。それで帰ろうとした時には体力を消耗してしまっていたんだよ。きっと」
 森本が言った。
 それは確かに間違いのない事のように思えた。それでなければ、如何な結城さんでも、この奥深い山の中に沼があるなどとは想像出来なかったのではないだろか ?
 その沼は縁をたどって降りてゆくのにはかなりの危険を伴った。密生した熊笹が水際近くにまで生い茂っていて、足の置き場も分かりかねた。水面までの距離は人の背の高さ以上、恐らくは二メートルを越える程にあるのではないかと思えた。
「でも、何故、こんな山の中にポツンと、こんな沼があるんだろう」
 わたしは不思議な感覚と共に言っていた。
「さあ、なあ」
 辰っあんにも分かりかねるようだった。
「思いのほか、平凡だとも言えるが、考えようによってはかなり神秘的だとも言えるよな」
 森本が言った。
「神秘的だよ。あの水の色を見てみろよ。あの深い緑を帯びた水の色を、神秘的と言わなくてなんて言うんだよ。それに、こんな小高い山の上に湧き水がある訳でもないのに、こんな沼があるなんて、不思議な気がするよ」
 わたしは軽い興奮口調で言った。
「噴火があって、その噴火口に水が溜まったって言うんなら、話しも分かるけどなあ。こんな所に噴火などあるはずもないし」
 森本が言った。
「雨なんかが地面の凹んだとごさ溜まって、いづんまにがこんな風になってしまったつうこったぺなあ」
「それにしても、可なりの深さがあるようだ」
 わたしは言った。
「うん」
 森本は言って、熊笹の中から身を乗り出すようにして覗き込んだ。
 出来る事なら、沼の上に小舟を浮かべてみたい気がしないでもなかった。
 無論、そんな小舟もなくて、時間もないままにわたし達は沼を後にする事にした。
 時刻は午後の三時を過ぎていた。秋の日暮れの早い季節であれば、とっくにわたし達が辿って来た山の中は暗闇に覆われていただろう。
「早く帰ろう。それこそ暗くなってしまったら大変だ」
 森本が腕時計を見て言った。
 わたし達が帰路を辿り始めたその時だった。今まで、わたし達から離れて興奮気味に山の中を走り回っていた三頭の犬たちが一斉に激しく吠え立て始めた。
「あんだ ?」
 辰っあんが素早くその声に反応して耳を澄ませた。
 犬たちは三頭が競い合うかのように激しく声を揃えて吠え立てていた。
「あにが、めっけだな」
 辰っあんは言った。
「うん、そうらしい。行ってみよう」
 森本はそう言うより早く犬たちの声のする方へ向かって歩き出していた。
 わたし達が犬たちの吠え立てている場所に到着した時、森本の家にいる二頭がわたし達の方へ近付いて来たが、結城さんに飼われていたメリーだけは、その場を離れようともせずになおも激しく吠え立てていた。
 わたし達がその場所に到着してみると、そこには一羽の大きな鳥の白骨化した死骸が転がっていて、傍には結城さんが愛用していた二連発の猟銃が汚れたままに放り出されてあった。
「ああ、結城さんは何処かでこの撃ったキジを捕まえて、此処まで持って来ていたんだ」
 森本が言った。
「うん、そうだっぺえ」
 辰っあんはそう言うと身をかがめて、熊笹をへし折り横たわっている、かなり大きな鳥の白骨死骸を取り上げた。
「これはやっぱりキジだよ。それに、かなりでっけえど」
 と言った。
 よく見るとその周囲にはキジの羽毛や、尾の欠けらなどが散乱していた。
「何かに食い荒らされたのかね」
 森本がその羽毛の一部を手に取って見詰めながら言った。
「そうだ。狸がイダチだっぺえ」
 辰っあんは言った。
 わたしは放り出されたままになっていた、二連の猟銃を手にした。雨風に晒された銃はすつかり錆び付いていた。
「いずれにしても、結城さんは此処まで来て疲れ果ててしまって、銃も獲物も手放してしまったという事なんだろうか ?」
 わたしは言った。
「そういう事だろうな。何処でこのキジを撃ったのか分からないけど、この場所までは持って来ていた事は確かだよな」
 森本が言った。
「それにしても、かなり大きなキジだなあ」
 森本は辰っあんが手にしている白骨体を見て、改めて感嘆の声を上げた。
「うん、大きい」
 わたしも言った。
「この骨格だど、羽ば広げだとごろは優に一間はあっぺえ」
 辰っあんは言った。
「これだけ大きいとなると、さぞかし見事なキジだったろうな」
 森本が言った。
「そりゃあ、見事なもんだべえ」
 辰っあんも言った。
「だけど、結城さんはこのキジを持ったまま、あの沼の方へ行ったんだろうか」
 わたしは言った。
「そうじゅないのか。キジを捕まえて、帰ろうとした時に方角を見失ってしまったんじゃないのか。掴まえる前に沼に出会っていれば、改めてキジを追う事などしなかったと思うよ。あの沼の見事さには誰だって感動するもの」
 森本は言った。
「そうだよな。そう考える方が自然だよな」
 わたしは言った。
「それにしても、結城さんは銃や獲物を手放さなければならない程に、体力を消耗していたという事は、以前から、何処か悪かったのかね。それじゃなければ、帰って来た時のあの様子から判断しても理解出来ないものな」
「うん、どうなんだろう。結構、悪かったんじゃないのか。医者は結城さんを診察した時、あちこちが傷んでいると言ってたもの」
 森本は言った。
「ああに、体は相当、悪がっただよ。そっでなげればいぐらあんでも、体力ば消耗したっつうだけで、一晩のうぢにあんなに年寄りみでえになってしまうもんでねえ」
 辰っあんは言った。
「そうだよなあ」
 と、森本は当時を思い出すように言った。
「すると結城さんは、その時、暗闇の中で、あの十三枚の絵に描かれているような幻覚に捉われていたのかなあ。それとも帰って来て、画架に向かった時、当時を思い出しながら想像を膨らませて、ああいう絵を描いたんだろうか」
 わたしは言った。
「それは素人の俺なんかには分かんないけど、いずれにしても結城さんは、あの時の体験を通して何かを掴んでいたんだよ。それで、その思いを絵にする事に夢中で、いくら俺が医者に行ってよく診察して貰わなければ駄目だって勧めても聞かないまま、なお、悪くしてしまったんだ」
 森本は悔しそうに言った。
「もどもど、俺なんかには、結城さんのすっこどはよぐ分がんねがった。芸術家っつうのは、俺だぢなんがどはまだべづの世界にいっだよ。俺なんが、結城さんの絵ば見でもまったぐ分かんねえし、俺が貰った三枚のあの絵は、あんなにきれえに描がれでいで、みんなが喜ぶど思うのに、十三枚に描がれでる絵はあにがあんだが分がんねえ」
 辰っあんは言った。
「そうだよな。俺もあのきれいな絵は二枚貰ったけど、結城さんは、そんなきれいな絵を描く事は始めから考えていなかったんだよ。何時だったか、俺に言った事があったもの。売れる絵を描こうとは思わないんだって。売れる絵を描くくらいなら、実家の商売をしていた方が、はるかに効率的だって」
 森本は黙って頷いた。
 わたしは森本や辰っあんの言った言葉からふと、思った。
 結城さんは多分、あの道に迷った夜に体力を失ってゆく中で、何か、自分自身の絵に対するヒントを掴んでいたに違いない。結城さんがその時、どのような心境にあったのかは、知る由も無かったが、幻覚に近いものは確かに見ていたに違いないのだ。それでなければ、あの十三枚、正確に言うと十二枚だが、あのような絵は描かれていないはずだ。それは、それまでに結城さんが描いていた絵とは全く趣の異なる絵で、結城さんが最初にひと目見た時、魅了されたというルドンの絵に近いものがあった。幻想に満ちた絵だった。結城さんはそこに自分の絵の本領を見ていたのだ。そして、その自分自身の絵を見い出した喜びの中で結城さんは、自身の体力の衰えている事も自覚せずに無我夢中という状態の中で描いていたに違いない。その証拠にそれらの絵は三日に一枚、四日に一枚という速さで描かれている。これまでに無い速さだった。だが、結城さんの体力は森本が心配していたように、既に十三枚の絵を描き切るまでには持たない状態になっていたのだ。その証拠には、それまでの絵が何処と無く自分の世界を発見した喜びに彩られるように明るい色彩の多かったものが突然、十二枚目の「小舟」の絵では一変して、空白と虚無の色に彩られた絵肌に変わっている。この時すでに結城さんの体力は限界に来ていたに違いないのだ。それで結城さんは、その白い小舟の上に描き加える喜びを見い出せずに、白い小舟に自身の人生の空白をそのまま映し出すように残していたのだ。
 それからわたしはまた、ふと思った。
 或いは結城さんは、自身の体調を自覚していて、自分の人生の長くはない事を覚り、自身の絵の道を見つけ得たその喜びの中で、必死にこれ等十三枚の絵を描いていた。もう、自分に残された時間は少ない、その自覚が結城さんの気持ちを急き立てていて、これまでに無い速さでこれ等の絵を完成させたーー。そして、最後の小舟の絵は、最早、これ以上、筆を持つ体力も失われてしまったその空白感、空虚感がこの絵として残された。最後に画架に張り付けられたままになっていた白い画布は、そのまま、結城さんが自身の死を象徴するものとして故意に遺したのではないのか ? 
 或いは結城さんの死は、結城さん自身によるなし崩し的自死ではなかったのか ? と、わたしは思った。何故なら、結城さんになんとしても生きようとする強い意志があれば、森本が頻りに勧めたように医師の診察を受け、体調を整える事も可能だったはずではないか。だが、結城さんは自分の絵の本領を見つけ得た喜びの中で、その興奮の冷め遣らぬままに絵の方に自分の命を賭けたーー。
 いずれにしても、結城さんの居ない今となっては分かるはずのものではなかっが、わたしは、芸術、或いは一つの何か、自身にとっての掛け替えの無いものに出会った人の、その人生の壮絶さを思わずにはいられなかった。
 ーーいつの間にか、わたし達の立っている樹々の間から射し込む太陽の光りが傾き始めていた。わたし達はそれに気付くと慌ててその場を離れて帰路に着いた。


              完





          ----------------



          桂蓮様

          有難う御座います
          身体知能 頭脳知能
          拝見しました 全く同感です
          頭で覚えただけでは すぐに忘れて
          しまいます 身体で覚えたものは何年経っても
          忘れません 身体で覚える事の大切さ
          同感です
           コメント 本当にこんな狭い処に
          閉じ込めて置くのは勿体無いです 楽しい文章
          気取りがなくて自然で 情景が自ずと眼に
          浮かんで来ます 
           " いつか "を楽しみに期待しています
          それにしても 人生を楽しんでいる御様子
          ほのぼのとした気持ちになります 人様の事でも
          楽しい記事を拝見するのは気持ちの良いものです
          近頃は日本でも嫌な出来事ばかりが多くて
          ニュースを見聞きするのも気が進みません
          嫌な陰険なニュースの時には 思わず
          テレビのスイッチを切ってしまったりします
           どうぞ これからも楽しい記事 お寄せ下さいませ
          何時も 有難う御座います



          takeziisan様

          何時も お眼をお通し戴き 有難う御座います
           今回もブログ 楽しませて戴きました
           鈴懸の径 懐かしい曲ですね
          当時が甦ります わたくしは当時 池袋
          立教大学の近くに住んでいました 池袋駅から
          少し歩くと三叉路で大学へ向かう道には
          プラタナスの並木がありました 鈴懸の径は
          この道を唄ったものだと聞いた記憶があります
          或いは 何かの間違いかも知れませんが 何故か
          得意に思えた記憶があります
           モンタン 懐かしいです 何時聴いてもいい曲です
          後年のモンタンは俳優としての活躍が目立ちますが
          映画 恐怖の報酬 のモンタンが一番強く印象に
          残っています
           小学校教室での映画 当時は何処も状況が
          一緒ですね 三益愛子 母物映画の看板女優 これも
          懐かしいです
           リンゴ園の少女 当時の懐かしい俳優が悉く 
          亡くなってしまいました わたくしは映画は
          見ていないのですが 確か ラジオ東京 と
          言ったと思いますが そこで放送された
          ラジオドラマを記憶しています
          それが好評で 映画化されたものはずです
          当時はまずラジオドラマがあって 後に映画化される
          そんなケースが多かったですね 島倉千代子の
          この世の花 もそうだったと思います 
          君の名は 等々
           イチゴ 植え付け 写真見事です
          その他 遠くに見える山なみ あれは御当地から
          見えるものですか 環境の素晴らしさ 羨望です
           てばらせた 方言ですね 初めて知ります 
          方言には地方の温もりが感じられます 何時聞いても
          何を聞いても ほのぼのとした気分になります
           何時も 有難う御座います
          


          


 


 













































 



 

 
   
   
   

遺す言葉(370) 小説 十三枚の絵(7) 他 名経営者の言葉

2021-11-07 12:44:40 | つぶやき
          名経営者の言葉(2021.10.20日作)



 「 オムロン(旧 立石電気)創業者 立石一真さん
  京セラ創業者 稲森和夫さん
  二人に 経営の教えを乞うたが
  教えてくれなかった
  立石さんには
  まず 君の考えを言ってみろ 
  と言われた
  経営は理屈だけでは出来ない
  現場でいろいろ困難にぶち当たり
  答えを出してゆくしかない 」

  あばら屋工場から出発して
  一代で売り上げ高 1兆6千億
  世界一の総合モーターメーカーに育てた
  日本電産会長 永守重信氏の言葉
  禅の極意に通じる言葉
  禅は理屈ではない
  直覚だ と言う
  感覚 自分の感じるがままに行う
  理論 理屈は後から付いて来る
  理論 理屈より まず行動
  自身の体で知る 体得する それが
  何事に於いても肝要 肝心 最も 大切 重要な事





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          十三枚の絵(7)


 結城さんが亡くなってから森本が飼うようになったメリーも、森本の二頭の猟犬と一緒にわたし達に付いて来た。
 猟犬たちは久方振りの山歩きに興奮ぎみで、盛んに走り廻ってはキジやウズラなどを追い出した。
 北山は様々な雑木の密生した原生林と思われた。一面に繁茂した熊笹の中に野茨や蔓草、藤づるなどが絡み合っていて、歩行は困難を極めた。辰っあんの持参した樫の棒や大型ナイフが功を奏した。時折り、太陽の光りが樹々の間から洩れて来たが、全体的に鬱蒼とした感じで暗かった。
 道筋は緩やかな勾配を描いていた。一足進むごとに高みを辿っているという感覚だったが、わたしと森本は辰っあんが樫の棒やナイフを振るっては切り開いてゆく、その後に従って歩いていた。
「いったい、結城さんは本当に、こんな所にまで入って来たんだろうかね」
 森本が行程の困難さに辟易した様子で、思わずといった調子で呟いた。
 わたし達に背中を見せて歩いていた辰っあんは、
「さあ、なあ」就いて
 と言ったがその声も、さすがに息切れの色を滲ませて上ずっていた。
「この奥にその沼っていうのは、本当にあるのかね」
 わたしは汗にまみれながら、信じかねる思いで言った。
「あるっていうのが、村の中で信じられている噂なんだ」
 森本が息を切らしながら言った。
「どんな沼なんだろう」 
 疲労感に辟易しながらもわたしの興味は尽きなかった。
「いや、村ん中の年寄りでせえ、実際(じっせい)にはよぐ知んねえだよ」
 辰っあんは言った。
「昔、精米所の爺さんが、沼さ行って帰(けえ)らねがったこどがあったつうけっど、いぐら山ん中(なが)ば探しでもめっかんねえがったつう話しだ」
「今の親父の親父かい ?」
 森本が聞いた。
「そうだ。今の親父がまだ十二か十三の頃だっつうこった。今の親父だって六十にはなっぺえ。だもん、はあ、五十年近ぐも昔(むがし)のこった」
「その間、誰も沼に行かなかったのかね」
 森本が聞いた。
「行ったつう話しは聞いでねえ。第一、こんな山ん中(なが)、わざわざ苦労して来る事はあんめえ。沼の主が住むとがあんだとが噂ばする人間もいるもんでなあ」
「迷信なんだろう」
 わたしは言った。
「迷信だよ、迷信。そんなもん、居るわげあんめえ」
 辰っあんは明快だった。
 小高い山の頂に登るまでには一時間以上かかった。
 頂上に上ると暫くは平坦な地形が続いた。
 雑木の密生や熊笹の中に蔓草や野茨などが絡み合うのは、此処でも変わらなかった。積年の枯れ草や落ち葉の堆積で、足元が厚手の絨毯を踏締めるようにふわふわした。
 この山の中の何処に沼があるのか ?
 密生した樹々に覆われた視界の中ではすぐには信じ兼ねる思いがした。
 わたし達は長い時間の困難な歩行の後での疲れと共に口数も少なくなっていた。ただ、何時かは現われると思われる沼を脳裡に描いて歩き続けた。
「沼があるっつうんなら、そごだけは明かりいはずだがら、すぐ分かっぺえ」 
 辰っあんは迷いを見せなかった。
「そうだよな。樹々がないんだから、太陽の光りが見られるはずだもんな」
 森本が応じた。
 この北山が何処まで続き、その果てがどうなっているのかは、辰っあんにも分からないらしかった。
 わたし達は平坦な地形に出てからも三十分近くも歩き続けた。
 わたしは辰っあんとは違って、些かの疲労感と共になんとはない不安な感覚に捉われ始めていた。
「このまま歩いて行ってもいいのかね。それこそ結城さんじゃないけど、迷ってしまうんじゃないの ?」
「うん、そうだなあ」
 森本も頼り無げだった。
「ああに、大丈夫だよ。陽の光りの差し込みぐえば見れば、方角が分がっから、心配(しんぺえ)ねえよ」
 辰っあんは樹々の間から差し込む光りを仰いで言った。
「今、何時だ ?」
 辰っあんが森本に聞いた。
「一時三十分を少し過ぎた」
 森本が答えた。
 確かにこの巨大な樹々に覆われた西も東も判別し兼ねる空間では、唯一、太陽の光りだけが頼りに違いなかった。
 それから暫く歩いた時だった。
「ほれ、見ろ ! あすこだ」
 突然、辰っあんが指差して、わたしと森本を促すように言った。
 わたしと森本はその唐突さに思わず足を止め、辰っあんの指差す方角を見た。
 確かに、樹木の間に微かに透けて見える明るい空間があった。
「本当だ ! 」 
 わたしも森本も思わず言っていた。
「あれが沼だっぺえ」
 辰っあんは言った。
「そうだよ。沼だよ」
 森本が確信したように声を弾ませて言った。
「早く行ってみよう」
 わたしは急に湧き上がる元気な気分と共に言っていた。
 明るさはわたし達がいる場所から四、五十メートル程先かと思われる、やや左寄りの位置にあった。
 辰っあんは、今までより一層乱暴に野茨や蔓草などを切り払い、なぎ倒しながらどんどん進んだ。わたしと森本が後に続いた。
 ようやくの事で辿り着いた沼はだが、わたし達が想像していた程に立派な沼でも、大きな沼でもなかった。ごくありふれた平凡な佇まいを見せた沼だった。結城さんの絵からは想像も出来ない平凡さだった。
「なあんだ、思いの外、小さな沼なんだなあ」 
 森本が期待はずれの気持ちを露骨に滲ませて言った。
「うん、もっと大きいかと思ったよなあ」
 わたしも言った。
 沼は恐らく、直径五十メートルか六十メートルと思われる程の水面を見せて、ほぼ歪みのない円形に広がっていた。そして、わたし達はその淵辺に立って水面を見下ろした時、だが、思わず誰もが眼を見張ると思われるような驚きに捉われていた。
 さざ波一つない水面には沼の縁を彩る緑が、そのまま水の中に移動したかのように鮮明に映し出されていた。陸の上の景色がそのまま水の中にあるかのように見えた。わたしも森本も辰っあんもその鮮やかさにはしばし、言葉を失って見入っていた。
 暫くしてから辰っあんが、
「これは凄え。底まで見えるみてえだ」
 と、水底を覗き込むようにして言った。
「うん、凄い !」
 と、森本も言った。
「でも、どうして、こんな所にポツンと、こんな沼が出来たんだろう」
 わたしは言った。
「うん、そうだなあ」
 森本も言った。
「結城さんは、この沼を見て幻覚に襲われたんだろうか ?」
 わたしは理解出来ないままに言った。
「多分、そうだっぺえ」
 辰っあんが水面に視線を落としたまま呟くように言った。





          ---------------



          桂蓮様
 
          有難う御座います
          新作のない時の何時もの逍遙 今回は
          未来の幸せ 過去の思い出 を
          拝見しました 以前にも拝見した記憶がありますが
          英文との合わせ読み 英文の素養がないため
          改めて 新鮮に感じられるのです
           それにしても 人との出会い 大切ですね
          良き人との出会い これに勝る人生の宝物は
          ないと思います 冒頭の写真 背後の人は人形
          ではないでしょうね ほのぼのとした気持ちで
          拝見しました 人の幸せな姿を見るのは 見る側も
          幸せな気分で包まれます
           バレーの練習 何事も無理は禁物 まず下準備
          大切な事ですね それにしても こうして打ち込める
          物があるのは好い事だと思います 何もする事のない
          人生ほど詰まらないものはありません どうぞ
          何時までも若々しく 頑張って下さい 人生
          頑張りばかりでも辛いですが 頑張る事の無い人生も
          また 辛いものです
           お忙しい中 わざわざお言葉を御寄せ下さり 
          御礼申し上げます 有難う御座いました



          takeziisan様

          有難う御座います 今回もブログ
          楽しませて戴きました
          鳴子温泉 今朝(11.7日)NHK 小さな旅で 鳴子温泉
          放送していました コケシ作りなども紹介しながら
          それにしても紅葉 見事です また 日光 ここも
          思い出深い場所です 昭和二十八年 修学旅行は日光で
          中禅寺湖を背景に全員で記念写真を撮りました また
          2010年10月には家族旅行もして 改めて当時を
          思い出し 懐かしさを覚えました 湖畔に一本の桂の樹
          があって 修学旅行時に校長先生が これが映画
         「愛染かつら」で有名な 桂という木だと教えてくれた事  
          を覚えていて 家族旅行で行った時 たまたまその木を
          眼にし 改めて感慨にひたりました 当時は細い木だっ
          たのですが 見上げる程の木になっていました なお
          わたくしのブログにも 中禅寺湖畔 桂の木 と題して  
          当時の事を NO157に掲載しました 
           ジャニ ギター 良いですね この曲 大好きです
          ペギー リー この気だるさ 甘さ ぞくぞくします
          この曲 ジャニ ギター と題されているので 初め
          旅のギター という意味かと思っていました それが
          何年か前 初めて映画 大砂塵 を見て 主人公
          ジョニーをテーマにした唄なのだと納得しました
          ジョニ ギターなんですよね ペギー リーの歌を
          聞いてもなんとなく ジャニ ギターと聞こえるので
          ああ そうか と思ったわけなんです 映画は
          ペギー リーの歌ほどの魅力はありません 
          わたくしには平凡な西部劇のようにか思えませんでした
           十三夜 榎本美佐江 久し振りにあの細い声 
          聴く事が出来ました わたくしの母などはこの人の
          大ファンで 末の妹の名前を美佐江とした程です
           その他 後追い三味線 の写真も出ていましたが
          この歌 あまり歌われませんでしたが 好きな歌の一つ
          です 都都逸 昔の風情はすっかり 消えて
          しまいました せめて公共放送のNHKは やたらに   
          民放番組の真似などせずに 地道にこういうもの
          薄れ 消えてゆく日本の文化の紹介 保持などに努めて
          貰いたいものです
           川柳はいいですね ユーモアに交えて皮肉が言える
          いいです
           人生 上り坂下り坂 悲喜交々 連れ添う人のいる
          幸せ 今 この時を大事にしたいものです
           様々なお写真 今回も楽しませて戴きました
           有難う御座いました