遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(512) 小説 <青い館>の女 (1) 他 青春の時

2024-08-25 12:23:06 | 小説
               青春の時(2024.7.29日作)



 
 哀しみは何時も深く長い
 喜びは何時も短く過ぎて行く 
 おお 青春 青春の時よ
 せめて今 喜び溢れ
 歓喜の横溢するこの時
 精一杯 自分の今を生きるがいい
 老いは長く 青春は短い
 人の世の終わりが何時も 哀しみ
 悲哀で彩られ 
 涙と苦悩で染め抜かれるものなら
 今 光り輝く青春の時 わが青春
 この時を精一杯生きて
 生きるがいい
 人の一生は短い
 刻一刻 時々刻々 刻み取られ
 削り取られてゆく人生の時
 時は一刻一秒 止む事なく
 ただ過ぎて行く




             ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




               

                 <青い館>の女(1)



                (1)



「社長、若くてピチピチしたいい子が居ますよ。ちょっと寄っていって下さい。たった一万円、一万円でいいんですよ。それで気に入れば、一晩中でも相手になってくれますし、社長に迷惑を掛けるような事は絶対にありませんから」
  夜の深い霧の中から突然現われて若い男は言った。
  港の遠い何処かで霧笛が鳴っていた。 
 わたしは男の言葉も無視して歩いた。
 わたしの眼の前には白い霧の流れがあった。
 あらゆるものを包み込んで流れる霧は総ての物を見えなくするとたちまち薄い流れになって再び街の姿を垣間見させた。 
「ほら、あの店なんですよ。あそこに<サロン 青い館>ってネオンサインが見えるでしょう」
 男はわたしの身体を抱きかかえるように身を寄せて来て言った。
 北の街の白い霧に濡れて、夜の中に青い灯りが点滅しているのが見えた。
 時刻は午後九時にもならなかったが、整然と街路樹の立ち並ぶ石畳の通りには人影もなかった。
 北の街の夜は更けるのも早いのだろうか、あちこちのネオンサインだけが 暗い建物の影を映して霧の中に瞬いていた。
「高級な店なんで若い客もいないし、落ち着いて遊べますよ」
 白いシャツに黒の蝶ネクタイ、黒いズボンの男はいかがわし気な仕事柄にも係わらず、何処か実直そうに見えるのが可笑しかった。
「いい子が居るっていうのに嘘はないのか ?」
 わたしはそんな男にふと、悪戯心を刺激されて少しの酒が入った勢いで言っていた。
「ええ、嘘なんか言いませんよ。騙されたと思って兎に角入ってみて下さいよ」
 男はわたしが承知をしたものと思ったらしく、気負い込んで言うとわたしの身体に腕を巻き付け、強引に狭い入口の階段のある場所へ導いた。
 背後から男に支えられる様にして十段程の階段を降りた。
 眼の前には入口の上に青い豆電球を点して薄汚れた黒い扉があった。
「此処なんです。どうぞ」
 わたしの顔を見て男は言った。
 わたしはこの時初めて、からかい半分の冗談を言った事を後悔した。
 わたしには女達のいる店を探す気などまるで無かった。わたしが会長を務める<スーパー・マキモト>の新店舗開店祝賀会会場からの帰り道だった。
 わたしは今年、四月を過ぎて六十二歳になっていた。
 わたしの上着の内ポケットには常にニトログリセリンの舌下錠が忍ばせてあった。
 まさかの心臓発作に備えてのものだった。
 主治医は慢性の心臓疾患をわたしに宣告していた。
 現在、日々の活動にさしたる支障はなかったものの、その宣告はわたしの心の中では無意識裡の負担になっていた。
「変だと思ったらこの錠剤を口に入れて下さい。言うまでも無い事ですが、激しい運動などは控えて下さい。運動に限らず、心臓に負担の掛かる様な行為は何事であれ控えた方がいいですよ」
 医師は言ったが、言外に女性関係に付いて警告している様にしかわたしには受け取れなかった。
 主治医に言われるまでも無い事だった。
 わたしは既に女性への興味を失くしていた。
 命に対する不安と共に肉体的機能もまた失われてしまっていた。
 現在、わたしは自分を抜け殻の様に感じていた。
 時として、その不可能性がわたしに奇妙な解放感をもたらす事が無いではなかったが、何れにしてもわたしは過去に重ねて来た幾多の女性関係も今ではすっかり解消してしまっていた。
 虚無の思いだけがわたしには深かった。
 当然それは、わたしが生きて来た過去と無関係ではあり得なかった。
 わたしと妻との関係、会社に於けるわたしの立場。
 わたしは妻の父が創業した<スーパー・マキモト>の仕事に大学卒業と同時に係わって来た。
 それは一見、恵まれた事の様でもあったが実際にはわたしは、自分が牧本家の奴隷以外の何ものでも無いと思う事がしばしばあった。
 屈辱感の中で煮えたぎる思いと共に一切のものを投げ出し、会社を離れ、妻と妻の父の下を離れて自由で身軽になりたいと思う事も数知れずあった。
 今日までそれを実行せずに来た裏には、会社禅譲への期待があったからに外ならなかった。
 今日、わたしは<スーパー・マキモト>が関東、東北地方を離れて初めて北海道へ進出した記念のパーティーに出席した。
 開店を明日に控えてのパーティーは地元の有力者も交えての盛大なものだった。
 会長のわたしは支店長を始め、町長や町会議員、地元経済界の人達の至り尽くせりの歓待に音を上げたい程だった。
 地味な漁港街の、それも街の中心地から遠く離れて忘れられた様な土地柄では大手スーパーが進出して来る事も無くて、地元の期待はそれだけ大きかった。
「これで、ちょっとした買い物の為にわざわざ二百メートルのトンネルを抜けて、隣り町まで行かなくても済む様になりました。それに、この大型店に地元で獲れた鮮度のいい海産物を置いて戴ければ余所の町からのお客さんも呼び込めますからね」
 七十歳に近いと思われる町長はウイスキーの水割りグラスを手に上機嫌でわたしに言った。
 わたしはだが、一つの支店が開店に漕ぎ着けた満足感の中でも奇妙に胸の中にわだかまる一抹の寂しさを感じていた。
 既にわたしは経営の第一線から退いてしまっている。
 この北のはずれの街への進出も義父の死と共に社長に就任した、わたしの息子が計画し実行したものだった。
 ほぼ、三年前からこの様な形が形成されていた。
 それはわたしが心臓疾患を意識する様になった歳月と重なり合うものだったが、実際には心臓疾患と人事とはなんの関係もなかった。
 妻や、妻の父親が描いた筋書き通りに総てが運んだ事の結果に依るものだった。
 ーーわたしは会長に就任して社長の後見人になる。




             ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




               takeziisan様


               有難う御座います 
              白馬三山 4 きれいな絵に思わず見入ってしまいました
              この山々の美しさと冷え冷えとした空気 登山愛好家が
              魅せられる気持ちが分かります
              今朝もNHKで放送していましたが同じ山に百回登ったとか
              いろいろな話題を取り上げていました
              それにしても鎖場 力業ですね
              力業と言えば千メートル泳ぐ まだまだこれから
              体力気力 充分 傍目にはそう拝見出来ます
              腰痛に負けず是非 頑張って下さい
              頭脳も肉体も使わなければ退化するだけです
               ジミー時田 池真理子 懐かしいですね
              バッテンボー 昔が蘇ります
              ジェイムス デーン モンロー
              帰らざる河 このモンローは良いですね
              ジャイアンツの デーンとテーラー 一世を風靡した二人も
              もう居ない なんだか 総てが夢の様です
              現実はうそ寒い 今の世界に華やかさを感じる事が出来ません
              総てがお手軽な世界になってしまった様な気がします
              それにしても今はこうして手軽に過去をかえりみる事が出来る
              手軽になったと同時に便利さも感じます
              一面の進歩と一面の退歩 これが現実と言うものでしょうか
              有難う御座いました















遺す言葉(511) 小説 希望(完) 他 神は無力

2024-08-18 12:35:09 | 小説
             神は無力(2024.8.11日作)



 
 神よ もし あなたが存在するのなら
 この広大無辺の宇宙の中の小さな星 地球で
 今 現に引き起こされている
 あの地 この地に於ける悲惨な出来事
 数限りない惨状悲劇をどのような眼差しで
 御覧になっておいでですか ?
 神よ 現在 あなた方がこの世界を創ったと信じる
 数多くの人々が あの国 この国に存在する中で 
 あなた方はその人達に何を望んで 何を
 お恵みですか ? この地球上
 あの国の人々が帰依信奉する あの神
 この国の人々が帰依信奉する この神
 国の数だけ存在すると思われる神 神々
 数多くの神々 その神とはいったい
 どのような存在なのですか ?
 只今現在 この地球上 世界各地で繰り返される 
 様々な惨状悲劇 そこに眼を瞑り ただただ
 豪奢 絢爛 金銀財宝で飾り付けられ
 磨き上げられた神殿神社仏閣 その中で
 あなたの存在を世界に吹聴する
 神の下僕(しもべ)と称する者達に あなたの
 尊さ 偉大さを喧伝させて あなたはただ
 この世を超越した存在として 眠っておられる
 それのみですか ? その神 神々とは
 この人間社会に於ける存在として
 どのような価値と意義をお持ちなのでしょう
 お題目で飾られただけの神
 虚飾で彩られただけの神 もし
 あなたがそれだけの存在であったとするのなら
 神はこの世に存在しない
 神などこの世界には居ない
 それと同等 同じ事ではないのでしょうか ?
 そうです 私は思います
 この地球上 世界には神など存在しない
 全知全能 世界の人々 人類の苦難 苦境
 救い得る神など存在しない 人は 人類 人間は
 この広大無辺 宇宙の中に
 ポツンと放り出された孤独な存在
 誰に頼る事も叶わず
 誰に縋る事も出来ない
 孤独な存在 それが人間 人間社会
 その孤独な人間 人間同士 只今現在
 あちらの国 こちらの国 互いに
 憎しみ いがみ合い ののしり合って怒りをぶっ付け
 挙句の果ての惨状悲劇 その繰り返し
 神よ 世界のあちこち 各国各地に存在する神々達よ
 もし あなた方が存在するのなら   
 あの国 この国 各地の人々 数限りない世界の人々が信じるように
 人類 人間を超越した存在としての能力 その力を
 存分 充分に発揮して 只今現在
 この世界 地球上で絶え間なく繰り広げられる
 数限りない惨状悲劇を一刻も早く
 お収め下さい・・・・・否 否 否 !
 それは不可能 無理な事
 やっぱり神など存在しない
 この世の惨状悲劇を救い得る
 優れた神など何処にも居ない この地球上 この世界
 只今現在 絶え間なく繰り広げられる数々の惨状悲劇
 収め得るものはただただ人間 人間のみ
 広大無辺の宇宙の中 誰に頼る事も叶わず 誰に縋る事も出来ない人間 その人間のみ 
 人間 人の持つ心 真心 良心 世界の惨状悲劇を救い得るただ一つのもの
 世界各国各地 おのおの帰依 信奉する幾多の神々
 その神々 神達が この世の惨状 悲劇を収め得るなど
 あり得ない この世界 あの地 この地で勃発
 絶え間なく繰り返される醜い争い
 自国の神 自身の帰依 信奉するあの神 この神
 それらの神々故に引き起こされる醜い争い 愚かな諍い
 世界各地に於けるあの神 この神 その神々達はただただ
 悲劇の根源 災厄受難 その源 それだけの存在
 もう沢山 ! うんざりだ 
 全知全能 無限の力の神など何処にも居ない
 この宇宙 宇宙の中の小さな星 地球 地球に於ける
 孤独な存在 人間 人間
 誰に頼る事も叶わず
 誰に縋る事も出来ない
 そんな人間のみが この世の醜い争い
 愚かな諍い 蛮行 愚行 収め得る
  無能な神々 空疎な神 もう沢山だ !
 人 人 人 ただ 人
 人の心 真心 良心 この現実社会の悲惨な出来事
 醜い争い 蛮行 愚行 収め得るものは ただ 人間のみ
 人間 人 人 人 人の心 真心 良心 現実社会の悲惨な出来事 
 醜い争い 蛮行愚行 収め得るものはただただ
 人間のみ 人間 人の心 真心 良心 心 心 心 ただ心 
 人間 人間 人間 人間の心 真心 良心 この世界 地球上
 あちらこちらで勃発 繰り返される
 醜い争い 愚かな行為
 収め得るものはただ人間 人間 人の心 真心 良心
 無能で無力な神などではない
 他者を敬い 他者を尊ぶ人の その心 真心 人の 良心 それのみ
 全知全能 人間社会の愚かな争い 愚行蛮行 収め得る
 偉大な神など何処にも居ない !
 

          神とは人が人として生きる上で
          自身を律する為に
          自身の心の裡で秘かに育む存在 
          頼るべき存在ではない




            ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




             希望(完)



 
 
 修二は窓際の一つのベッドを占めていた。
 修二が浅い眠りから醒めると女将さんの姿があった。
 ベッドの傍でテーブルの引き出しを開け、中の整理をしていた。
 女将さんは修二の気配に気付くと振り向いた。
「眼が醒めたの ?」
 女将さんは言った。
 優しい眼差しだった。
 修二は黙っていた。
 それでも以前、しばしば見せた人を寄せ付けない険しい表情はなかった。
「さっき、医師(せんせい)が来たの。あと一週間で退院出来るって言ってたわよ」
 女将さんは言った。
「一週間ですか ?」
 修二は静かに言った。
 特別に喜びの感情も湧いて来なかった。
 退院の近い事は日々、充実度を増して来る体調と共に感じ取っていた。
 実際には修二の快復は奇跡に近いものだと医師は言った。
「若さに加え、並外れた体力が命を持ち堪えさせたんでしょうね」
 医師は言っていた。
 出血多量でその場で死んでいても不思議は無かった。ーー
 背中までも突き抜け兼ねないナイフの傷は首に近い動脈をも傷めていた。
 出血多量で十パーセントにも満たない可能性の中で快復手術は行われた。
 女将さんは午後一時過ぎの暇な時間帯をみては顔を見せてくれた。
 マスターも二度、顔を見せてくれた。
 鈴ちゃんは修二の体調が良くなるのと共に、また悪口の冗談を言った。
「踏んでも蹴っても死なないね。見上げたものよ。大したもんだわ」
 鈴ちゃんに悪意の無い事は分かっていた。
「鈴ちゃんだって、踏んでも蹴っても死なないよ」
 修二は言い返した。
 母親は顔を見せなかった。
 連絡が取れないという事だった。
 修二はむしろホットした。
 母親の顔など見たくもなかった。
 北川と鳥越は逮捕された。
 防犯カメラに映った映像と共に、修二がマスターの店で働いている事が動かし難い証拠となっていた。
 ナイフは北川、鳥越、二人共家宅捜索を受けたが発見されなかった。
 問い詰められた北川は、境川へ捨てたと言った。
 それでも発見はされなかった。
 何処かへ流されてしまったのか ?
   ナイフの行方は不明のままだった。
 マスターは二度、警察に呼び出された。
 北川達が頻繁に出入りしていた事と、修二が働いていた事で事情聴取を受けた。
 改めて<ブラックキャッツ>のリーダー傷害事件も関連付けて聞かれたらしかったが、結局はマスターの責任が問われる事はなかった。
 その話しを聞いた時、修二は何故とはなしに安堵した。
 マスターに迷惑が掛からなかった事が嬉しかった。
 退院後の生活に付いては思い悩む事は無かった。
 マスターは早く身体を治して店に戻って来いと言ってくれていた。
 事件の結果、どの様な刑が科せられるのか分からなかったが、いずれにしても、どんな結果が出ようとそれはそれでいいと思った。
 総ての結果を受け入れる覚悟は出来ていた。
 時計屋の老夫婦が二人共怪我もなく、無事だったと聞いた時には心の底から嬉しかった。溢れる満足感と共に、自分の行動が決して間違いではなかったと、改めて認識した。
 気持ちの奥には死んだ婆ちゃんの姿があった。
 婆ちゃんが喜んでいてくれる様な気がしてならなかった。
 ーーだからこそ、どんな罰を受けようが受け入れる事が出来るんだ、と思った。
 女将さんはその日も二時を過ぎてから帰って行った。
 一人になると改めて退院後の生活に付いて思いを馳せた。
 或いは、何年か拘束される結果が出るかも知れないと思ったが、それはそれでやっぱり受け入れる覚悟は出来ていた。
 総て良しだ、と修二は思った。
 たとえどんな結果が出ようとも怖れる気持ちはなかった。
 総てを受け入れる覚悟が出来ていた。そして、その果てに見ていたものは新しい自分の世界だった。今度の出来事の総てを清算する事に依って、全く新しい、真っ新な世界が自分の眼の前に開かれる気がしていた。
 警察には、もし事情聴取された時には一切、包み隠さず話す心算でいた。
 総てを清算した後の生活に付いては思い悩む事は無かった。
 マスターは度重なる修二の不祥事にも係わらず、また働かせてくれると言っていた。
 今度こそ真面目にしっかり働いて、マスターの気持ちに報いたいと思った。
 北川や鳥越を裏切った事に関しては、それ程、心配していなかった。
 マスターが背後にいる限り彼等が修二に対して手荒な行動に出る事は出来ないという思いが強かった。
 マスターはその世界から足を洗ったとはいえ、依然として大きな力を持っている事は女将さんからも聞いて分かっていた。
 修二は女将さんが帰って一人になったベッドの上で眼を閉じると、改めて自分がこれから生きて行く新しい世界への希望に胸を膨らませ、深い満足感に包まれていた。




             完




              ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




               takeziisan様


                連日の猛暑 お変わりない事と思います   
               何時も 有難う御座います
                この暑い夏 山の風景はいいですね 心が洗われます        
               それにしてもあちこち よくお出かけです
               写真を見る事によって思い出もまた 新たに甦るのではないでしょうか
               「夏の思い出」 何時 聴いてもいい歌です
               これもラジオ歌謡から生まれた歌ですね 朝と夕方 決まって流れ
               何時しか耳に馴染んだ歌でしたが 見た事も無い尾瀬の情景がまざまざと
               眼の前に浮かんで来て作詞の江間章子 作曲の中田喜直の名前もこの時
               記憶しました 懐かしい歌です 確か石井好子さんが唄っていたと思います
                ジェルソミーナ 日曜は駄目よ この曲もよく耳にしました
               旅芸人の男がふと立ち寄った地で 洗濯物を干しながら一人の女性が口にしていた
               この曲と共に甦るジェルソミーナの面影 切ないですね
               人はどのような存在であっても それなりに存在意義を持っている
               そう思わせる結末です フェリーニの傑作ですね
               ところが 日曜は駄目よ これは観ていないのです
               何故だか この主題曲と共に評判になった映画なのですが
               今も観てみたい映画の一つです
                ゴーヤ 我が家でも妹の家のゴーヤが食べきれないのでと
               お盆のお墓参りの帰りに貰って来ました
               熱さのせいで しなしなになってしまったのですが
               水に浸けたら快復しました
                カガッポシイ 初めて聞く言葉です
               輝く に掛かる言葉でしょうか 面白く思いました
               方言には 思わぬ深い意味が込められている場合が多いですね
               参考になりました
                有難う御座いました

































 





遺す言葉(510) 小説 希望(34) 他 忘れてならぬもの

2024-08-11 12:39:18 | 小説
             忘れてならぬもの(2024.8.2日作)



 
 わたしは見た
 山の麓の 小さな里に生きる二人 
 畑を耕し 田圃を耕し 自然の恵みの中
 長い歳月(としつき)生きて来て 今二人
 子等も旅立ち 出会いの頃の
 二人だけの静かな日常 静かな日々
 今も変わらず畑を耕し 田圃を耕し
 自然の恵みの中に生きている 
 名も無く 誰に知られる事も無い
 それでも誠実 真摯に日々 日常
 生きて来て 静かに暮れる今日一日
 その終わり 遠く彼方の山の端  
 夕陽の沈む彼方に向かい 二人揃って
 両手を合わせ 頭(こうべ)を垂れる
 眼には見えない 名には知れない何かに向って
 感謝の心 明日の無事を願う心で 祈りを捧げ
 暮れく陽の中 家路を急ぐ
 人の暮らし 人の日常 静かな日々
 これに勝る幸せ無く これに優る人の
 生きる姿は無い 生きるという事
 人が生きるという事
 静かな日常 静かな日々 その中で 人は
 人の命を繋いで 人の心を伝えて生きて来た
 生きるという事 何も無い静かな日常 
 静かな日々 その尊さ 美しさ 
 忘れてならぬもの




             ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




              希望(34)



 

 老婆を片腕に抱えたまま、その体にローブを巻き付け始めた。
 老婆はそんな北川の腕から逃れ様として白髪(しらが)を乱し、必死な様子で抵抗した。
 それでも屈強な若者の力に老婆の力が及ぶはずも無かった。怯えながら身体を振るわせて泣く老婆の身体にはたちまち白いロープが巻き付けられた。
 修二は目隠しをされた老人のローブを握ったまま、逃げられない様に用心してそんな様子の一部始終を見ていたが、その時だった。ふと、寝間着姿の胸元を乱して白髪頭を振って泣きながら必死にもがく老婆の姿に、突然、折り重なる様にして浮かんで来る一つの姿を見ていた。
 修二はハッとした思いで息を呑んでいた。
 今、眼の前に居るのは一介の見知らぬ老婆の姿では無かった。死んだ婆ちゃんの姿がそこにあった。
 修二の父親で、婆ちゃんに取っては息子、その息子の介護をしながら日々の貧しい暮らしの中で必死に生きて、最後には自身がボロ屑の様になって死んでいった婆ちゃんの姿だった。
 今、眼の前で泣きながら必死に抵抗する老婆の苦痛に歪んだ顔と姿は、紛れもなく死んだ婆ちゃんの姿そのものだった。見知らぬ老婆の姿ではなかった。
 修二は我知らず叫んでいた。
「やめろッ ! オイ、止めろよッ !」
  身体の底から沸き上がる激しい怒りと共に、握っていた老人のロープも離してい た。
 北川はそんな修二の突然の怒号に呆気に取られた様子で修二を見た。
 修二の眼と北川の眼が合った。
 それでも北川は事態が呑み込めない様だった。
 修二はなおも怒りに燃える厳しい眼で北川を見詰めたまま、
「そのお婆さんを離してやれよッ !」
 と叫んでいた。
「なんでだよお、バカ野郎 !」
 北川は事態が呑み込めないままの様子で怒りに満ちた声で言った。
「なんでもいいから、離してやれッ !」
 なお、厳しい命令口調で修二は言った。
 その手には刃を開いたままのナイフが握られていた。
 北川はそれで初めて事態を理解したらしかった。
「テメエ、裏切るのかよお」
 思わず、と言った様に叫ぶとそのまま、憎悪と怒りに満ちた眼で睨み付け、老婆を押さえた手を離して修二に向き直った。
 修二は、そんな北川に恐怖を覚えて思わず一足退くと、一層強くナイフを握り締めた。
 北川の手から放された老婆はその間に廊下の奥の方へと走り去った。
 目隠しをされたままの老人は修二の手から逃れて、手探り状態でショーケースの方へ身を寄せた。
 思い掛けない緊張感が修二と北川の間に漂った。
 鳥越はその間、呆気に取られ、二人の遣り取りを見ていたが、思い掛けなく生まれた緊張感に気付くと慌てた様に二人の間に入ってナイフを握った修二の手を押さえた。
「バカ ! 止めろ」
 鳥越は怒鳴った。
 修二は鳥越から逃れる様に一足退き、その手を振り払おうとした時、隙を見た北川が咄嗟に襲い掛かって来た。
 鳥越に腕を押さえられままの修二は、襲い掛かって来る北川から逃れようとして藻掻いたが、その瞬間、握った手の中からナイフがこぼれ落ちていた。
 北川は目敏くそれを眼にした。
 鳥越に押さえられたままの修二が拾おうとする暇もなく、落ちたナイフを手にしていた。
 鳥越はそれに気付いて修二の腕を離した。
 修二の動きが自由になった時にはナイフは既に、北川の手に握られていた。
 修二はそれでも委細かまわず北川に向って組み付いて行った。
 北川はそんな修二から身を守る様にして刃の開かれたナイフをかざした。
 ーーその後の状況は修二にもよく理解出来なかった。
 北川の手に握られた、刃が開かれたままのナイフは修二の肉体を切り裂いていた。
 アッと思う間もなかった。気が付いた時には鎖骨の下、左肩甲骨辺りに肉をえぐられる様な激しい痛みを感じてそのまま蹲っていた。
 ジャンパーの上から痛む箇所を抑えた時には、指の間から流れ落ちる血の気配を感じ取っていた。
 焼かれる様な激しい痛みの為、それでも身体を動かす事は出来かった。薄れてゆく様な意識の中で蹲ったままでいた。
「おいッ、拙いよ。警察が来ると拙いよ !」 
 廊下の奥へ逃げて行った老婆を見ていた鳥越が、緊迫感に満ちた声で言うのが分かった。
 後は痛みで気を失っていた。



             九



 桂木病院、二階十四号室は四人の相部屋だった。





             ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




               
               takeziisan様

            
                この猛暑の中 散歩 充分 お気を付け下さい
               気違いじみた暑さ 熱災害です これまでの感覚では通用しません
               それこそ 昔は夏が楽しみの一つだったものが今は苦痛の種です
               もうすぐ人生百年 変われば変わったものです                   
                この暑さの中の ハワイアン 何時聴いてもいいですね
               良き時代の夏を思い出します ムード音楽全盛の頃
               まだ自分も若かった
               それにしても 何時も言うようですが 現代の音楽の詰まらなさ
               ただ喚き散らすだけ ムードも詩情もありません
               五月蠅いだけです ギターを抱えて頭を振って喚き散らす           
               見ていてむしろ滑稽です
               それにしても冒頭の写真 面白いですね
               奇妙な風景 なんだこりゃ という思い
               計らぬ自然の造形は時には傑作を生み出します
                夏の夜の昆虫 豊かだった自然の中に居た昔を思い出します
               様々な虫の合唱 地方へ行けば今でも聞かれるのでしょうが
               都会の屋根ばかりを見て過ごす環境ではとてもとても無理な事です
               ブログを拝見しながら二度と帰らぬ過去への郷愁に浸っています
                楽しいブログ 何時も有難う御座います
               それにしても猛暑の中の散歩 取材 充分 お気御付け下さい





































































遺す言葉(509) 小説 希望(33) 他 政治家 愚かな舟人

2024-08-04 12:40:48 | 小説
             政治家 愚かな舟人(2024.8.1日作) 



 
 大きな声で他者を罵倒
 俺は偉大だ !
 胸を張る政治家 政治家達
 名誉と権力 欲望に眼が眩(くら)み
 権力維持 地位保全の為なら
 他国の侵害 他者の殺戮 冒涜 意に介さず
 人の心の正しい道
 真摯な姿を忘れた存在
 愚かな存在 政治家
 政治家とは ? 只今現在
 世界に見る政治 政治家 その姿
 愚者の集団 愚かな舟人
 愚かな船頭 愚かな舵手
 地球を巡る世界という船
 世界の船の舵取り人 政治家
 その舵取り人の愚かさ 醜さ 下等な行為
 只今現在 地球を巡る世界という船
 この先一体 
 どんな港に錨を下ろすのか ?
 



              ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




              希望(33)




 
 通話口の声が途切れるとそのまま二人は裏口を離れて通りへ戻った。
 家の横の通りに出ると、鳥越が向こう側で建物に身を寄せて表通りの様子を窺っている姿が見えた。
「オイッ」
 北川が鳥越に囁く様に声を掛けた。
 鳥越はその声に振り返って北川と修二を見た。            
 北川は手招きした。
 そのまま三人で足音を殺しながら店の表へ向かった。
 三人がシャッターの前に着いた時、家の中の明かりが付いて鎧戸に手を掛けるらしい気配が伝わって来た。
 三人は入口の片側に身を寄せて鎧戸の引き上げられるのを待った。
 北川は傍に居る修二にナイフを開く様に促した。
 修二は言われるままにナイフのボタンを押して刃を開いた。
 ほぼ同時に鎧戸が引き上げられて、間もなく中に居る老人の寝間着姿が見えて来た。
 北川は老人の姿が見えるのと同時に、鎧戸の全開を待たずに少し身を屈める様にしてを店の中に押し入った。
 老人が声を上げる暇も与えなかった。北川は鎧戸に手を掛けたままの老人を素早く両腕の中に抱きかかえると片方の手で老人の口を塞いだ。
 老人は何か言ったが言葉にならなかった。
 鳥越と修二はその北川を見て同時に店の中へ入った。
「爺さん、騒ぐな。怪我はさせねえから心配(しんべえ)すんな」 
 北川は老人に言って、同時に、ロープを持った鳥越に老人を縛る様に眼で促した。
 鳥越は北川の言葉と共にすぐにロープを解いて老人の身体に巻き付けた。
 「ナイフ !」
 と北川は修二に言った。
 修二はその言葉と共に刃を開いたナイフを老人の胸元に突き出した。 
 鳥越はその間にも、老人の身体にローブを巻き付けていた。
 北川は老人の両手が動かなくなるのを確認すると両手を離してポケットから目出し帽を取り出し、後ろ向きに老人の頭から被せた。
 老人は身体をローブで縛られ、顔には眼出し帽を被せられて身動きが出来なくなった。
「押さえてろ」
 鳥越が老人を縛り終えると北川が修二に言って、両腕を縛られ、目隠しをされた老人を修二の方へ突き出した。
 修二はその言葉と共に老人の胸元にナイフを構えたままローブを握った。
 老人はその間にも頻りに身体を動かして、抵抗しようとしていたが身動きは出来なかった。おうッ、おうッ、としきりに何か言おうとしている様子だったが、その声は言葉にならなかった。
「早くやっちゃおうぜ」
 北川が鳥越を促した。
 鳥越が頷いて "仕事" に取り掛かろうとした時だった。
「爺ちゃん、爺ちゃん」
 奥の方から声が聞こえて来た。
 歳を取った女性の声だった。
 北川も鳥越も一瞬、ギョッとした様に息を呑んで顔を見合わせた。
「婆さんだ !」
 北川が小声で言った。
 鳥越が頷いた。
 修二に押え付けられた老人がその声と共に、目出し帽を被せられてはっきりした言葉も口に出来ない状態の中で、
「け、け」
 と、懸命に叫んだ。
 明らかに警察、と言うとしているのが三人にもはっきりと理解出来た。
 北川も鳥越もその声と共に一気に緊張感を漂わせて身構えた。
 老婆の声のした廊下の奥の暗がりへ視線を向けた。
 その廊下に老婆の身体の一部が見えた時、北川と鳥越は素早く店のショーケースの陰に身を屈めて隠れた。
 修二だけが老人を押さえたまま、ショーケースの脇の土間に立っていた。
 廊下の暗がりから姿を表した老婆は修二と老人の姿を見ると、思わず、息を呑む様な動作と共に立ち竦んだ。
 その様子を見て北川がショーケースの陰から飛び出してそのまま一気に老婆の方へ走り寄った。
 鳥越も後に続いた。
 老婆は恐怖の余り、声を立てる事も出来ずに震えていた。
 北川はそのまますぐに老婆の身体に手を掛けると取り押さえた。
「ロープ」
 と、北川は鳥越に言った。
 鳥越はローブを取り出した。
「あ、あ、あんた達・・・・」
 老婆の声は恐怖に震え、泣き声になっていた。
 北川はそれでも容赦がなかった。



 
              ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




               
              桂蓮様


               新作 拝見しました
              まず 冒頭の写真 素晴らしいですね
              良い環境にお住まいです ひんやりとした緑に包まれた空気の感触が
              伝わって来る様です
              子供の頃はわたくしもこういう環境に住んでいたのですが          
              現在はむさ苦しい都会の屋根ばかりが見える環境の中に居ます
              それでも二階建ての屋上に出れば高さ制限の区域内にある事から
              遠く彼方まで見通す事が出来ます 富士山もスカイツリーも見えるのですが
              残念ながら お写真の中の緑豊かな雰囲気は味わう事は出来ません
              羨ましく思うばかりです
               思考の剪定=考えが分散される 焦点が絞れない
              自分の考えが出来ていないという事でしょうね              
              しっかりした自身の考えがあればあれこれ迷わない筈です
              坐禅はその点 自己を無にして真っ新(さら)な心で物事に向き合い
              受け入れる という事で自己の無駄な考えを差し挟まない
              多点を切り捨てるーー無になり物事の本質をそのまま見詰め 受け入れる 
              受け入れてもしかし なお 自身は自身のまま動かないで其処に居る 自分を見失わない
              そこまで到達するにはそれこそ修行 修行で
              大変な事だと思います
              考えを一点に絞る 大変面白く拝見しました
              有難う御座いました



                takeziisan様


                  猛暑 暑い日が続きます
                 畑仕事 くれぐれも御注意を 趣味で身体を壊してしまっては
                 元も子もありません
                 それにしても見事な野菜にブルーベリー
                 羨ましいです 以前にも書きましたがブルーベリーは
                 我が家の屋上にもあったのですが 今はありません
                 つくづく地植えの環境が羨ましくなります
                 数々の映画音楽 どれも懐かしいものばかりです
                 特に「第三の男」わたくしはこの映画を史上最高の映画だと評価しています
                 まず グレアム グリーンの原作 脚本に依るストーリー
                 次にキャロル リードの演出 それに出演者達の素晴らしさ          
                 特にオーソン ウェルズは素晴らしいです
                 更に映像 光りと影の使い方の見事さ 
                 あの夜の人影のない街を歩いて行く風船売りのシーンなど
                 ぞくぞくして来ます
                 勿論 その他にも地下水道の追跡場面など
                 どのシーンを取っても最高の場面です
                 欠点を指摘出来ません そして圧巻のあのラストシーン
                 枯れ葉の落ちた並木道を遠くから来て眼の前を去ってゆくシーンのアリダ ヴァリ
                 深い余韻を残します
                  という訳で 脚本 演出 音楽 映像 俳優 総てが揃った 
                 映画史上の最高傑作だと思っています
                   その他 大砂塵 バリの空の下 懐かしい曲ばかりです
                 イノシシ 不謹慎ですか やっぱり笑ってしまいました
                 大胆不敵の面構え 直面したらやはり恐怖でしょうね
                 以前 東北へ旅行した折り 野生の猿が道路から山の中へ入ってゆく姿を
                 物珍しく見た事を思い出しました
                  川柳 相変わらず楽しいです
                 何時も思うのですが 素人目には入選作より面白いものがいっぱいあります
                 何時拝見しても楽しいです 良いですね
                 軽い皮肉を込めて揶揄する 悪意は無い
                 ほのぼのします
                  カルガモ親子 この季節ですね
                 月下美人は一度咲きました 今また二輪の蕾を膨らませています
                 今日か明日かと待っています
                 ブログにも以前書きましたが 
                 月下美人は艶な花 
                 香りと姿で魅惑する
                 だけどおまえは淋しい花
                 夜更けにそっとひとり咲く
                 と言うところです
                  トンボ もう飛んいますか 昔 田圃の上でトンボ釣りをした事を思い出します
                  今回も楽しませて戴きました
                 何時もお眼をお通し戴く事と共に感謝申し上げます
                 有難う御座いました