MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

「退屈論」その後

2018-06-20 00:33:45 | Weblog

 遅まきながら『戦争する国の道徳』(小林よしのり・宮台真司・東浩紀著 幻冬舎新書 2015.10.15)を読んだのだが、その中に以下の文章を見つけた。話題はネトウヨの感情の劣化についてである。

「宮台:(中略)分断され孤立した連中がいると、彼らが世を捨てていない限り、自分の周囲に承認を供給する共同性がないので、ネット内のクラスタみたいな疑似共同性や、崇高な精神共同体としての国家のような疑似共同体の『虚妄』に自分を委ね、自分は寂しくないと思おうとする。僕は元ナンパ師だからよく知ってるんだけど、主婦にネトウヨが多いでしょ。
 東:そうなんですか。
 宮台:だったらセックスしろよ! 要は退屈なんだ。だから毎日を充実させたいと思って何かをする。ところが、退屈という感情は多くの場合『寂しさ』の変換形。自分は寂しいと思うと自分を傷つけるから、そう思いたくない。だから『退屈』に変換される。それを充実で埋め合わせたい。そこで『ダイエット』と『ネトウヨ』が等価に機能するわけだ。
 サリン事件の頃のオウム真理教幹部はまさに『こんなはずじゃなかった感』を生きる人たちだった。彼らは元エリートだが、上野千鶴子氏は彼らは『二流エリート』だったとした。でも文字どおり地位が『二流』だというのなら間違いだ。彼らのなかには地位上はピカピカのエリートもいたからね。正しくは『こんなはずじゃなかった感』を生きるエリートなんだ。」(p.59-60)

 宮台に言われなくてもネトウヨの主婦はセックスしているとは思うが、それはともかく宮台の話から小谷野敦の『退屈論』(弘文堂 2002.6 河出文庫 2007.10)を思い出した。何故ならば『退屈論』が書かれた経緯は以下の通りだからだ。

「たとえば、オウム真理教事件が起こった時、社会学者の宮台真司は、この事件の根底に、高度経済成長が終わり、今日とは違う明日が信じられず、革命や大きな変革が期待できなくなった時代の『終わりなき日常』を見て取った(『終わりなき日常を生きろ』ちくま文庫)。しかし、それ以後宮台は、ではどのようにこの『終わりなき日常』を生きればいいのか、という処方箋提出の要求に苦しめられるようになる。私が『退屈』について考えはじめたのは、序文で示したとおり、宮台の困惑に対応したものだ。宮台は当初、女子高生たちのように『まったりと生きろ』と言い、何らかの期待をせず、半睡半醒の状態で生きていくことを勧めたが、最近ではこれもやめたらしい。(中略)宮台は結局その後、『原天皇制に帰依する』とか『サイファ』とか言いだして、自己破産してしまう。」(p.47-49)

 残念ながら宮台の「退屈論」がその後どうなったのか分からないのだが、宮台の言う「こんなはずじゃなかった感」という感情は多くの場合「退屈」の変換形であろうから、エリートだかといって退屈から逃れられるわけではないのである。結婚して子供もおり、「有名文化人」として講演をしたりマスコミに出たりして(今のところ)退屈から逃れられている宮台には理解できない問題なのである。


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「ブス」が元気なアイドルグループ

2018-06-19 23:52:29 | 邦楽

【MV full】Teacher Teacher / AKB48[公式]

“文春砲”告白のNGT48中井りか、テレ東「青春高校」副担任から「生徒に降格」
カズレーザー、文春砲被弾の中井りかを斬る「返金しなかったら何言ったって嘘」
中井りか、半同せい報道に「関係はない、何もないです」
フジAKB総選挙生中継は11.0% 瞬間最高は3位・宮脇咲良発表時の13.8%

 AKB48の「Teacher Teacher」は少女時代のようなK-PОPのパロディーと捉えるならばなかなかよく出来た曲だと思う。
 『第10回AKB48世界選抜総選挙』の番組は何故かAKB48に何の興味もない長嶋一茂がゲストに呼ばれており、MCの宮根誠司でさえ大して興味もないのが見え見えだから本当に退屈で、指原莉乃とトレンディエンジェルのたかしとバカなふりをしてメンバーをディスる古市憲寿とのトークが副音声で聴けなかったら見ていなかったと思う。
 ところで中井りかの「毒舌キャラ」というのはビジネスとして成功しているのだろうか? 去年23位だった中井は今年は37位だし、票も去年は29953票だったが、今年は26701票で3252票も減っているのである。中井が個人で活動するぶんにはともかく、NGT48自体のイメージが悪くなってしまうのは真面目に活動している他のメンバーが気の毒だと思う。しかし中井の「アイドルだっていろいろあるんだよ」という言葉を忖度するならば、例えば5000票入れてくれたファンがいたとするならば握手の延長として半同棲という「裏オプション」というものがあるのかもしれない。
 宮脇咲良は3位だった。泣き崩れていた宮脇ははっきり言えないから代わりに言うと「ブス」に負けたということに尽きるだろうが、決して「ブス」が嫌いということではなく、テレビ朝日の『超人女子』は欠かさず見ているのである。
 しかし松井珠理奈が1位ということは世代交代になっていないし、何となくAKB48グループ自体がだんだんとオタク好みの「地下アイドル化」していっているように見える。


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「Echo」 Dean Fujioka 和訳

2018-06-18 22:35:00 | 洋楽歌詞和訳

DEAN FUJIOKA「Echo」Music Video

 久しぶりにディーンフジオカの新曲を和訳してみる。

「Echo」 Dean Fujioka 日本語訳

僕が見ている以上の君を見て
僕に対する君の触れ方を感じることができれば良かったのに
せめて君が住んでいる世界に僕がまだ存在すればいいのだけれど

僕に教えて欲しい
何故僕は自分自身を赦せないのか
頭の中で
僕はエコーを聞き続けている

僕に教えて欲しい
何故僕は自分の過去を忘れられないのか
頭の中で
僕はエコーを聞き続けている

僕に教えて欲しい
何故僕は赦せないのか
僕に教えて欲しい
何故僕は自分の過去を忘れられないのか

頭の中で
僕はエコーを聞き続けている
誰か僕に教えて欲しい
何故僕は赦せないのか

頭の中で
僕はエコーを聞き続けている
僕に教えて欲しい
何故僕は自分の過去を忘れられないのか
頭の中で
僕はエコーを聞き続けている

 歌詞だからかまわないのだけれど、相変わらず文法的に微妙な英語ではある。


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『燃える大陸』(1968年)

2018-06-17 00:40:51 | goo映画レビュー

原題:『燃える大陸』
監督:西村昭五郎
脚本:小川英/蘇武道夫
撮影:安藤庄平
出演:渡哲也/松原智恵子/赤座美代子/ケン・サンダース/久万里由香/山内明/岡田眞澄
1968年/日本

愛されるプレッシャーについて

 モダンアートの全盛時代に乗じて主人公でイラストレーターの磯村敬一は女体にペインティングしたりなど奇抜なアイデアで売れていたのであるが、心の底では本人は満足していない。実は自分の才能に限界を感じていた敏一はレミー・マルタンのラベルのデザインを丸写ししたりして作品を仕上げていたのである。
 そんな時に、松坂屋から「荒野」をテーマに作品の依頼が来て、オーストラリアの大地にインスピレーションを得た敬一は自費でシドニーへ渡航するのであるが、結局、作品を仕上げることはできなかったのである。
 そもそも敬一がイラストレーターになった理由は、かつて学生ボクシングで活躍していたもののライバルの岡部に敗れたためなのだが、次のオリンピックの金メダリストとして有望だった岡部はそのプレッシャーを苦にして自殺してしまったのである。
 敬一の作品にダメ出ししたヒロインの矢代冴子も自分の競走馬である「イサハヤ」が地元のレースに出場するためにオーストラリアに来ていたのであるが、イサハヤは先頭でゴールする直前で脚を骨折してしまい、安楽死の憂き目に遭う。
 同じ頃、ダニーという青年が男たちに無理やり車に乗せられそうになっていた恋人のティナを救うために割れたビンで男の一人の腹部を刺して殺してしまう。逃走中に敬一がダニーを見つけて説得してシドニーに戻ろうとした矢先にダニーに石で頭部を殴られて敬一の車に乗って逃げられるのであるが、ティナが嘘をついてまで逃がそうとしたダニーは結局、警察に捕まってしまうのである。
 これらのエピソードで分かることは、愛されれば愛されるほど生き物はプレッシャーに押しつぶされてしまうという現実である。敬一とケネスに挟まれて思い悩んだ冴子が自動車事故で亡くなった原因がここにある。
 もう一つ見逃してはいけないこととしてダニーとティナがアボリジニーで、だから白人たちに襲われたのであろうが、それがはっきりと明示されていないのは本作がオーストラリアの協力を得ているからであろうし、それ故にダニーに殺された男もオーストラリア人ではなくイタリア人の漁師と設定したのだと思う。
 英語のセリフが多いにも関わらず字幕が全くついていないというのは珍しい。


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『忘れえぬ慕情』

2018-06-16 00:59:24 | goo映画レビュー

原題:『Typhon sur Nagasaki
監督:イヴ・シャンピ
脚本:松山善三/J・C・タケラ/アネット・ヴァドマン/イヴ・シャンピ
撮影:アンリ・アルカン/アンリ・ティッケ/中島信雄
出演:岸恵子/ダニエル・ダリュー/ジャン・マレー/野添ひとみ/浦辺粂子/山村聡
1956年/日本・フランス

意味深長なフランスの「ディザスター・ムービー」について

 本作は長崎を舞台にし、長崎原爆落下中心碑まで映していながらついでに広島の平和公園まで行くことはなく、仕事で大阪へ向かう主人公のピエール・マルサックを追いかけるように元恋人だったフランソワーズ・ファーブルも同じ列車に乗るのであるが宮島口で降車してしまうため、改めて『二十四時間の情事(Hiroshima Mon Amour)』(アラン・レネ監督 1959年)が制作されたのかもしれない。何故かフランスが日本の2つの原爆に関するテイストの全く違う映画を撮ったのである。
 それにしても脚本はよく出来ている。例えば、作品の冒頭でピエールに日本人の男たちが「サルトルは日本の作家についてどう思っているのか」と問いかけたのに対して、ピエールは困惑してしまう。日本人たちは「彼は技師だから文学のことは知らないんだ」と陰口をたたくのであるが、そもそもサルトルが日本人の作家に興味をもって読んでいるのかという問題が忘れられており、日本人の西洋コンプレックスを表している。
 それ以外にも日本とフランスのカルチャーギャップが面白おかしく描かれている。主人公の櫻井乃里子は大学でスタンダールや19世紀のフランス文学を専攻していたのだが、家の跡を継ぐために中退して呉服屋を切り盛りしている。しかし乃里子がフランソワーズと一緒に自身の呉服屋の店先でタバコを吸うシーンは生地を汚したりするために今では考えられないのだが、当時でもあったことなのかどうか怪しい。
 そして日本を象徴する災害として地震と台風も描かれている。地震の小ささに対して台風がメインとなっている理由は、1934年の室戸台風、1945年の枕崎台風、そして本作公開後の1959年の伊勢湾台風も含めて当時は地震よりも台風の方が被害が大きかったからであろう。


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『万引き家族』

2018-06-15 00:08:07 | goo映画レビュー

原題:『万引き家族』
監督:是枝裕和
脚本:是枝裕和
撮影:近藤龍人
出演:リリー・フランキー/安藤サクラ/松岡茉優/城桧吏/佐々木みゆ/樹木希林
2018年/日本

「ドラマチック」では見えない「心」について

 是枝監督のこれまでの作風通りにスキットの連なりで構成された本作は「ドラマチック」なものではないが、例えば、刑事の宮部希衣に「子供たちにお母さんと呼ばれたことがありますか?」と問われた柴田信代を演じる安藤サクラが返す言葉がなく、髪をかき上げる素振りをしながら必死になって涙が流れるのを食い止めるシーンは、観ている観客が泣いてしまう。信代が「お母さん」と呼ばれないのはあくまでも照れがあるからで、「お母さん」になれなかったからではないからである。
 実際に、その後のシーンにおいて実家に戻された柴田じゅりが母親の葉子の左の頬にあった傷を触ったとたんに叱責されてしまい、同じ左腕に傷を持っていた信代とじゅりが一緒にお風呂に入りながら慰め合えた関係とは正反対で「お母さん」としてどちらが正しいのか言わずもがなであろう。
 ラストで施設に帰るときにバス停で柴田治に祥太が「わざと捕まった」と告白した際に、治は万引きという罪を犯してまで生きていく自分を否定されたと思ったであろうが、実際には祥太はゆり(=じゅり)が万引きしたのを見て「妹」が捕まらないようにわざと自分が捕まったのであり、祥太は「父親」も「妹」も認めていたのである。

 ここからは作品とは直接関係ないことを書く。本作を観るとこのような事件が起こるたびに日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビとこぞってワイドショーなどでコメンテーターや専門家たちが「断罪」するのであるが、全ての事件がそんなに早く「答え」が出せる単純なものなのだろうかと思案してしまう。本作の製作にフジテレビが関わっているのだが、フジテレビは是枝監督の真意が理解できているのだろうか。
 もう一つ言っておきたいのは山口達也メンバーの不祥事でTОKIОの残りのメンバーが「公開処刑」に追い込まれ、その後、TОKIОのメンバーがフマキラーのCMを撮り直して「おすだけべープ『金のリーダー』篇」が放映されているのだが、城島茂リーダーが「正論言うなよ」と嘆いて言うのは彼らのメディアに対する唯一の「本音」だと思えたとしても、普段は城島リーダーも国分太一も「断罪」する立場にもいる訳だから自業自得と言えないこともない。

おすだけベープ「金のリーダー」篇


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『いぬやしき』

2018-06-14 00:39:30 | goo映画レビュー

原題:『いぬやしき』
監督:佐藤信介
脚本:橋本裕志
撮影:河津太郎
出演:木梨憲武/佐藤健/本郷奏多/二階堂ふみ/三吉彩花/濱田マリ/斉藤由貴/伊勢谷友介
2018年/日本

ハリウッド大作の後に観てはいけない日本のSF映画について

 『GANTZ』(2011年)を手掛けた監督とあって、主人公で定年間際のサラリーマンの犬屋敷壱郎と高校生の獅子神皓の「サイボーグ化」のシーンは悪くないのではあるが、高齢者の「善」と若者の「悪」という単純な二項対立は最後までストーリーを弾けさせることがない。
 SF映画にリアリティーを求めるのはナンセンスではあるのだが、さすがに獅子神皓がネットの画面を通じて指をさして「バン!」と言うだけで大量殺戮出来るという演出は手を抜いたという誹りは免れないのではないだろうか。
 犬屋敷は娘の麻理、獅子神は幼なじみの安堂直行という理解者を得たというだけのラストのオチも弱い。原作にあった巨大隕石の話は製作費の都合で再現できなかったのであろうが、このメインのエピソードが抜けているために話が盛り上がらないのだと思う。


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『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

2018-06-13 00:47:23 | goo映画レビュー

原題:『Avengers: Infinity War』
監督:アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ
脚本:クリストファー・マルクス/スティーヴン・マクフィーリー
撮影:トレント・オパロック
出演:ロバート・ダウニーJr./クリス・ヘムズワース/ベネディクト・カンバーバッチ/ジョシュ・ブローリン
2018年/アメリカ

観客を襲ってくる「ヴィラン」について

 まさか神であるマイティ・ソーを倒せる能力を持つサノスというキャラクターが現われるとは想像もしていなかった。6つの「インフィニティ・ストーン」を手に入れるという目的のためには養子ではあるが愛娘のガモーラをも殺せるというサノスの非情さの前にアヴェンジャーズのメンバーたちはなす術がないように見える。
 それにしても問題なのはアヴェンジャーズのメンバーの多さである。今回はレギュラーメンバーに、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(ジェームズ・ガン監督 2014年)や『ブラックパンサー』(ライアン・クーグラー監督 2018年)のキャラクターたちも加わり、完全に「一見さんお断り」状態である。だからサノスの真の目的が半分程の「キャラ減らし」だとするならば、なかなか興味深いのではあるが、2時間30分観て結末が次回に持ち越しだったと知った時に、私を襲ってきたものは重度の疲れだった。


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『デッドプール2』

2018-06-12 00:39:00 | goo映画レビュー

原題:『Deadpool 2』
監督:デヴィッド・リーチ
脚本:レット・リース/ポール・ワーニック/ライアン・レイノルズ
撮影:ジョナサン・セラ
出演:ライアン・レイノルズ/ジョシュ・ブローリン/モリーナ・バッカリン/忽那汐里
2018年/アメリカ

「コメディアン」としてのデッドプールについて

 もともとは『ダークナイト』(クリストファー・ノーラン監督 2008年)のバットマンや『アイアンマン』(ジョン・ファヴロー監督 2008年)でさえヒーローという主人公が自身の存在のあり方に葛藤を抱えていたはずなのだが、それぞれ「ジャスティス・リーグ」や「アベンジャーズ」という組織に飲み込まれてしまうと、その一員として問答無用にかっこよく振る舞うことを余儀なくされてしまう。
 その点において本作の主人公のデッドプールはまだヒーローという存在に対してアイロニカルに振る舞うことはできるし、その細かいネタをどこまで理解できているのか正直なところ自信がない。例えば、ラストにおいて主人公のウェイド・ウィルソンが亡くなったヴァネッサと再会するシーンにおいて a-ha の「テイク・オン・ミー」が流れる理由は、「テイク・オン・ミー」のミュージック・ヴィデオを再現したパロディーだからで、このMVを知らなければ面白さが分からないのである。

a-ha - Take On Me (Official Music Video)


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『レディ・バード』

2018-06-11 00:31:10 | goo映画レビュー

原題:『Lady Bird』
監督:グレタ・ガーウィグ
脚本:グレタ・ガーウィグ
撮影:サム・レヴィ
出演:シアーシャ・ローナン/ローリー・メトカーフ/トレイシー・レッツ/ルーカス・ヘッジズ
2017年/アメリカ

「飛ぶ」ことで分かる愛について

 2002年から2003年にかけてのカリフォルニア州のサクラメントの高校3年生である主人公のクリスティン・マクファーソンは自身を「レディ・バード」と呼ばせることで自分を「作り直そう」としている。
 思春期に起こるであろうエピソードを満遍なく取り入れており、文句のつけようがないのであるが、クリスティンが母親のマリオンとしばしば衝突してしまう原因として、自分に子供ができないと諦めてミゲルという男の子を養子に貰った矢先にクリスティンを妊娠したためマリオンはミゲルとクリスティンを公平に扱おうとする余りにどこか無理が生じてしまったように見える。
 そんなマリオンの気持ちをクリスティンがようやく理解できたのは、念願のニューヨークの大学に進学したものの、過度の飲酒で泥酔したあげく大怪我を負ったのに、気が付いたら病院のベッドで一人で寝かされており、体を起こして横を振り向くと怪我をして頭に包帯を巻いていた少年が自分の方を見ているのだが、少年にはちゃんと母親がそばに付いていたことが分かった時であろう。
 クリスティンが好きと言っていたデイヴ・マシューズ・バンドの「クラッシュ・イントゥ・ミー」を和訳しておきたい。

「Crash Into Me」 Dave Matthews Band 日本語訳

君は君のボールを抱えており
さらに君のチェーンも携えて
完全に僕にもたれかかり(=僕の足手まとい)
再び僕を拘束する
君を誘惑するのは誰なんだ?
君の心の中で僕はまた元気になれる
キャンディーのような甘さが僕の魂にまとわりつく
君の「ロック」は甘く
君の「ロール」まで甘い
君を失った
僕は君を完全に見失ったんだ

君は僕の中でクラッシュし
僕は君の中に入り込むんだ
これは少年が見がちな夢
これは少年が見がちな夢なんだ

君の唇に触れられさえすれば
君の目の中で愛は燃え上がる
君が僕の中でクラッシュし
僕が君の中に入り込めば
僕は君に夢中になりすぎて
やせ衰えていく
これは少年が見がちな夢
これは少年が見がちな夢なんだ

もしも僕が熱中したら
慌ててしまった僕を赦してもらうために
僕は君に懇願する
僕が君をしっかり抱きしめる時は
僕のそばに来て欲しい

君は僕の中でクラッシュし
僕は君の中に入り込むんだ
君のスカートをもう少し上げて
僕に「世界」を見せて欲しい
君のスカートをもう少し上げて
僕に「世界」を見せて欲しい
これは少年が見がちな夢
これは少年が見がちな夢なんだ

窓越しから僕は君を見る
僕は君を凝視する
君は「君」以外何もまとっていないから
とても素敵だ
僕がやりたいように
飾りつけて変化させるんだ
君のために
君のために
僕の中にクラッシュしに来てくれ

Dave Matthews Band Summer Tour Warm Up - Crash Into Me 5.23.14


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