原題:『 Montevideo, Vidimo Se!』 英題:『See You In Montevideo』
監督:ドラガン・ビエログルリッチ
脚本:ドラガン・ビエログルリッチ/ランコ・ボジッチ/ディミトリエ・ボイノフ
撮影:ゴラン・ボラレビッチ
出演:ミロシュ・ビコビッチ/ペタル・ストルガル/アーマンド・アサンテ
2014年/セルビア
(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015)
ルールが無視されていた頃の最初のワールドカップついて
1930年にウルグアイで開催された第1回目のFIFAワールドカップを、出場国のひとつであるユーゴスラビアチームのサポーターとして参加した足の不自由なスタノイエの証言をベースに、当時のサッカーのプレイスタイルも含めて丁寧に描かれている。当時、ウルグアイは1924年、1928年とオリンピックで金メダルを獲得しており、その功績が認められて最初のワールドカップ開催国に選ばれたようであるが、準決勝のユーゴスラビア戦ではその「ホームアドバンテージ」度合いが尋常なものではなく、本当にウルグアイが強かったのか、あるいはたまたまユーゴスラビアの調子が良かったのか疑問が湧いてくる。
ユーゴスラビアチームのメンバーと現地女性との恋愛や、アメリカで新チームを設立するために高額の契約金により有能なプレイヤーを引き抜いていくホッチキンスの誘惑の中、愛国心を維持するのがなかなか難しい理由は、ユーゴスラビアという国そのものが複数の小国から成り立っていたからであろう。つまり原題の「モンテビデオで会いましょう」というスタノイエの願いはユーゴスラビアが崩壊した今となっては叶わないものなのである。