MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『崖上のスパイ』

2023-03-04 00:58:22 | goo映画レビュー

原題:『懸崖之上』 英題:『Cliff Walkers』
監督:チャン・イーモウ
脚本:チャン・イーモウ/チュアン・ヨンシェン
撮影:チャオ・シャオティン
出演:チャン・イー/ユー・ホーフェイ/チン・ハイルー/リウ・ハオツン/チュー・ヤーウェン/リー・ナイウェイ
2021年/中国

「歌謡曲」が流れる傑作について

 1934年の冬の満州国のハルビンにおいて、ロシアで訓練を受け、同志の王子陽を国外に脱出させて日本軍の蛮行を世界に知らしめようとする中国共産党のスパイと、諜報員だったが裏切った謝子栄を味方につけた満州国の特務警察の暗号を巡る攻防戦が描かれており、焦点は日本と中国の問題ではなく、あくまでもスリルとサスペンスがメインとなっている。
 作品冒頭から空からパラシュートを使って降下してくる4人のスパイたちの視点の描写から、そのうちの一人である小蘭役のリウ・ハオツンの可愛さと、囚われて拷問を受けるリーダーの張憲臣の両乳首に付けられる電極線、王郁と彼女の生き別れた二人の幼子との再会、高科長の「もう少し泳がせよう」という言葉に呼応するかのように周乙が行なったラストで証拠隠滅のための、王子陽たちを運んできた運転手の韓氏の絞殺まで、ポップから狂気まで織り交ぜた傑作で、音声がなくても見ていられるほどどのショットも的確で、映画のお手本になるような感じの作品だと思う。
 ところで一つ気になったことがエンドクレジットで流れる「歌謡曲」なのだが、『別れる決心』(パク・チャヌク監督 2022年)でもラストで1967年のヒット曲チョン・フニの『霧』が流れており、傑作となる作品には「歌謡曲」が流れる傾向にあるのか?
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1112339


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