MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『劔岳 点の記』 70点

2009-06-29 00:21:46 | goo映画レビュー

劔岳 点の記

2009年/日本

ネタバレ

‘人跡未踏’の困難さ

総合★★★☆☆ 70

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 映画の宣伝のためにテレビ番組に出演していた時の木村大作監督の、全く空気を読む気配のない破天荒な言動を目にしてしまっていたので、この作品もかなり‘荒れている’と思って覚悟して観に行ったのだが、意外と堅実に撮られていたので肩透かしを食らったような感じが残ってしまった。
 この作品が観客に強烈な印象を残せていないとするならば、吹雪や雪崩のシーンや人物造形の問題という以上に(黒澤明監督『デルス・ウザーラ』と比較してみると面白い)、陸軍測量手の柴崎芳太郎や宇治長次郎が率いる測量隊がついに剱岳山頂に登頂した時に彼らが登頂した剱岳を自分たち自身が遠くから見て確認することができないことにあると思う。だから自分たちが剱岳山頂に登頂しているシーンを見ることができない彼らは、頂上に既に存在した千年前の修験者の痕跡を見つけて唖然としたり、自分たちの登頂後に登った日本山岳会の会員の姿を自分たちとダブらせるという歪んだ方法で自分たちの業績を確認するしかないのであり、そのストレートに伝わってこない感動がこの作品を観る観客の感動の仕方になってしまうのであろう。
 しかし歪んだ方法であっても、感動できるのは同じ道を進もうとする人たちがいるからである。もしも柴崎芳太郎や宇治長次郎がいなかったら修験者の偉業は誰にも知られずに終わっていた。つまり感動というものは実は歪んだ方法によってのみ伝わるようなものなのである。


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