
原題:『Ghost in the Shell』
監督:ルパート・サンダース
脚本:ジェイミー・モス/ウィリアム・ウィーラー/アーレン・クルーガー
撮影:ジェス・ホール
出演:スカーレット・ヨハンソン/ピルー・アスベック/ジュリエット・ビノシュ/北野武/桃井かおり
2017年/アメリカ
Tシャツやタトゥーに書かれる日本語レベルのハリウッド作品について
オリジナルである『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(押井守監督 1995年)のテーマは完全な機械の中に宿る「幽霊(魂)」だったはずだが、本作の主人公であるミラ・キリアン少佐は脳だけはそのままで体がサイボーグであり、その僅かな違いが意外と決定的なものであり、ストーリーが自分が「生まれる」前に犠牲になった98人に対する普通の復讐譚になってしまっている。
それでも企業広告としてホログラムが多用されている実写の未来都市はハリウッドでなければ描けないものではあろうが、例えば、街の壁に貼られている「高い」と書かれたポスターが一体何を意味しているのかさっぱり分からないし(物価的なものか?)、あるいは地面に書かれた「禁」が何を禁じているのかも分からない。当然この日本語のおかしな使い方に北野武も桃井かおりも気がついているのだろうが、そこまで脚本に口出しはできないのだとしても、それならばわざわざ日本人をキャスティングしている意味があるのだろうかと疑問を持ってしまう。