現在、上野の森美術館で催されている「ミラクル エッシャー展」を観て思うことは、エッシャーの作品は彼が40歳あたりから描き始めた後期の「トロンプ・ルイユ」と呼ばれるだまし絵ばかり有名なのだが、意外と初期の風景画も素晴らしく、代表作の誉れ高い「カストロヴァルヴァ、アブルッツィ地方(Castrovalva, Abruzzi)」(1930年)も観ることができる。
エッシャーは風景画のみならず人物画も上手く、さらに版画に関するテクニックも研究し尽したようで、要するにエッシャーは描くことが無くなってしまい高度な幾何学的絵画に向かった面もあったのではないだろうか。
当時の版画家としては珍しいのかどうか分からないのだが、エッシャーは日本の浮世絵の影響を全く受けていないようである。