MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

パリジェンヌの社会的地位の遍歴について

2018-03-09 00:48:45 | 美術

 世田谷美術館において「ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち」という

特別展が催されている。

 本展の特徴はパリの女性たちの社会的地位の向上の歴史が絵画作品を通して学べる点に

あると思われるが、例えば、テオフィル=アレクサンドル・スタンラン(Théophile

Alexandre Steinlen)の『宝飾品店のウィンドウショッピング』、『女性と求婚者』、

『外を歩くカップル』というタイトルの制作年不詳のリトグラフがある。それはどれも

一人で外にいる女性に話しかけてくる男性が描かれており、女性が一人で外にいることは

当時はそのまま売春を暗示させるような社会的雰囲気だったのである。

 上の作品は時代が少し進んでゲアダ・ヴィーイナ(Gerda Wegner)の『ジョルナル・

デ・ダム・エ・デ・モード』より「袖をたくし上げたドレス」というエッチングの作品

なのだが、1914年の本作においては女性一人でも外を歩ける様子が描かれている

のである。ただゲアナ・ヴィーイナに関しては立場が微妙で、『リリーのすべて』という

トム・フーパー監督の2015年の作品で描かれたようにヴィーイナの夫はリリー・エルベ

Lili Elbe)という世界初の性別適合手術を受けた人物なのである。そこを考慮した上で

検証しなければ上の作品で描かれているように女性の社会的地位の向上が現実だったのか

理想として描かれたものなのか微妙なのではある。


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