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MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『パッセンジャー』

2017-03-29 02:38:18 | goo映画レビュー

原題:『Passengers』
監督:モルテン・ティルドゥム
脚本:ジョン・スペイツ
撮影:ロドリゴ・プリエト
出演:ジェニファー・ローレンス/クリス・プラット/マイケル・シーン/アンディ・ガルシア
2016年/アメリカ

「意味」は正確なのに「見た目」が大雑把な作品について

 120年がかりの人類移住プロジェクトを担った宇宙船アヴァロン号には258人のクルーと5000人の移住者が冬眠状態で乗っていたのであるが、乗客の一人である主人公でエンジニアのジム・プレストンが隕石の衝突による宇宙船の故障で一人だけ目覚めてしまう。
 アンドロイドのバーテンダーであるアーサーだけを話し相手に一年を過ごしたものの、寂しさを紛らわせるには限界があった。その時、ジムの傍で眠っていたオーロラ・レーンの存在を知ってしまったジムはオーロラを目覚めさせてしまう。新しい居住地となる惑星の到着するまで約90年かかるためオーロラの目覚めは「死」を意味することは、もちろんジムには分かっているのであるが、それ以上に寂しさが勝ってしまう。
 本作の見どころは「忖度」しないアーサーがオーロラに真実を告げるところで、愛していた男が自分を「殺した」ことを知った時のオーロラの気持ちは察して余りある。しかし話はそれで終わらない。クルーの一人であるガス・マンキューゾも目覚めたことで、宇宙船の故障の深刻さが露呈し、ガスが病気で亡くなった後に、ジムとオーロラは2人で宇宙船の故障を修理しなければならなくなる。そこで男気を発揮するジムに再び愛情を感じたオーロラは宇宙船の中で人生を全うすることになる。
 これはSF映画を装った不条理劇であろう。類似した作品である『サイレント・ランニング』(ダグラス・トランブル監督 1972年)や『オデッセイ』(リドリー・スコット監督 2015年)同様に本作も主人公が植物を育てようとするところが興味深い。
 何度も書いているが、和風レストランが中華風に見えるところに難があるのだが、壁に書かれている「幸せ遠征」と「起死回生」という日本語は、常識ではありえないとしてもストーリーには合っており、言葉は詳しく調べているようなのに何故いつまで経っても肝心のビジュアルが正確に描かれないのか不思議なのである。


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