原題:『Misconduct(職権濫用)』
監督:シンタロウ・シモサワ
脚本:アダム・メイソン/サイモン・ボーイス
撮影:マイケル・フィモグナリ
出演:アンソニー・ホプキンス/アル・パチーノ/ジョシュ・デュアメル/マリン・アッカーマン
2016年/アメリカ
「会計士」の違いについて
演出が悪いのか脚本が悪いのか、いずれにしても最後のオチは悪くはないのだが、そこにたどり着くまでのストーリーの流れがぎこちない。
一番の問題はイ・ビョンホンが演じている「会計士」の存在である。「会計士」は主人公の若手弁護士であるベン・ケイヒルの命を狙っているようなのであるが、彼の行動の意味が不明なのである。「会計士」はベンの愛人であるエミリー・ハインズではなく、隣人のエイミーを撲殺してしまうのであるが(エミリーとエイミーの名前も紛らわしいのだが)、理由がよく分からない。その後、ベンの妻のシャーロット・ケイヒルとベンを人気の無い教会に連れてきて2人とも殺そうとするのであるが、いとも簡単にベンに逆襲されて殺されてしまうのである。例えば、『ザ・コンサルタント(The Accountant 会計士)』(ギャヴィン・オコナー監督 2016年)のように伏線があるならば納得できるのであるが、ベンが無敵な理由が明らかにされることはない。あるいはラストでベンが上司のチャールズ・エイブラムスとレストランで対峙する際に、チャールズが警官から信じがたい手さばきで拳銃を奪ってしまう時、自分の目を疑ってしまった。
アンソニー・ホプキンスやアル・パチーノまで揃えてこの程度の作品しか撮れない監督が何故選ばれたのか謎である。