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MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『世界から猫が消えたなら』

2016-06-06 00:41:17 | goo映画レビュー

原題:『世界から猫が消えたなら』
監督:永井聡
脚本:岡田惠和
撮影:阿藤正一
出演:佐藤健/宮崎あおい/濱田岳/奥野瑛太/石井杏奈/奥田瑛二/原田美枝子
2016年/日本

映画にはこだわっても演出にはこだわらない作品について

 主人公で郵便配達員をしている「僕」は突然医師から脳腫瘍であることを告げられ、帰宅すると自分と同じ姿をした「悪魔」がいて、世界から何かを消さなければ延命できないことを知らされ、とりあえず電話を消すことになり、それから映画を消し、時計を消していくことになる。
 しかしどうしても感情移入できない理由は、電話口から聞こえるサウンドトラックだけで「僕」がDVDで観ていた作品を現在は廃盤になっているヴァージョンの『メトロポリス』(フリッツ・ラング監督 1927年)であることを当てるほど映画に精通しているはずの、「僕」の元恋人が入場口のもぎりをしている名画座の「ミナト座」のプログラムが『ファイト・クラブ』(デヴィッド・フィンチャー監督 1999年)と『花とアリス』(岩井俊二監督 2004年)という何の脈絡もない奇妙な組み合わせで、あるいは最後に海岸で「僕」と母親の2ショット写真を父親が撮ったのであるが、その写真がピンぼけになっていて、何故父親は撮り直さなかったのか不思議でならない。
 このように「ツタヤ」も含めて3人共に映像に対するこだわりを持っているにも関わらず、演出にはそのようなこだわりが見られず、観客を泣かせようとするシーンだけを集めたような演出にあざとさを感じてしまい、登場人物たちに感情移入できないのであるが、唯一、イグアスの滝のシーンと小林武史が手掛けた主題歌だけは良かった。


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