原題:『映画 ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』
監督:高木淳
脚本:さくらももこ
出演:TARAKO/中川大志/劇団ひとり/パパイヤ鈴木/渡辺直美/ローラ
2015年/日本
挨拶だけで非難される原因について
まず最初に本作に関する記事を引用してみたい。
「おや懐かしい。映画『ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』が23日から公開された。アニメ放送から25周年を記念しての映画化だ。(中略)香港でも映画の予告編がネット動画で流れ、期待が高まっていた。ところが最近、『おかしい』という不満や怒りの声が出ている。『日本人は香港人と広東語の深い結びつきを知らなすぎ』と香港通のライター、原智子氏が憂慮している。どういうこと?/外国から来た子のなかに『香港のシンニーちゃん』がいる。予告編のミニ語学講座で、香港語の『ありがとう』は『謝々(シェイシェイ)』だと教える。香港人はがっかり。/香港で日常使われる言語は広東語で、ありがとうは『多謝(トーチェ)』。『謝々』は大陸で使われる標準中国語だ。『シンニーはきっと香港から来た子ではない』。確かに、画面の表示は大陸で使う簡体字。香港の繁体字ではない。(中略)香港の若者にとって、広東語は1国2制度の重要な要素なのだ。『その重さに日本人は無知』と原氏は嘆いている。」(「不思議な香港少女」『木語』金子秀敏 毎日新聞 2015.12.24)
その後日談も引用しておく。
「新年に、香港から明るい情報だ。昨年末、アニメ映画『ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』の予告編に北京語を話す謎の香港少女が登場した問題は、封切りしたら広東語になっていた。/香港ファンの反発を知り、『ありがとう』という『謝々』を、「ニーハオ」(こんにちは)の広東語「レイホウ」にして、めでたし、めでたし。よくぞ短時間に修正できたものだ。」(「香港版拉致事件」『木語』金子秀敏 毎日新聞 2016.1.7)
しかし日本においてはローラが演じる香港の少女シンニーちゃんが唯一発する母国語は「ニーハオ」で、さすがに原作者で脚本も担っているさくらももこもそこまで中国に関して詳しくなかったのであろうが、「ニーハオ」を「レイホウ」にしたらしたで耳慣れない言葉に日本の観客はざわつくかもしれない。言葉でここまでこじれる要因は物語の時代設定にもあると思う。映りこんでいたカレンダーから判断するならば、いつも通りの1974年7月で、当時まだ香港はイギリス領だったし、2014年には香港反政府デモもあったから香港人が見る目が厳しいのだと思う。
日本では「中国崩壊論」が根強く存在・・・「脅威論」までも=中国メディア