原題:『縁〜The Bride of Izumo〜』
監督:堀内博志
脚本:堀内博志/川原田サキ/樋口隆則/佐藤智恵
撮影:クリストファー・ドイル
出演:佐々木希/井坂俊哉/平岡祐太/りりィ/藤本敏史/佐野史郎/国広富之/根岸季衣
2015年/日本
「キルト(quilt)」と「絵画」の「不仲」について
4人の作家によるオリジナル脚本のようだが、ストーリーがいまいち上手く捉えられなかった。結婚情報誌の出版に携わっている主人公の飯塚真紀は大手建設会社で働く中村和典と婚約しているが、今まで和典と一度も喧嘩をしたことがないということで、本当に夫婦としてやっていけるのか疑問を持った理由は、真紀の両親が喧嘩が絶えなかったにも関わらず母親の清子が真紀と一緒に祖母でキルト職人のあきゑに強引に連れ戻されるまで夫の秋国宗一と夫婦でいたという「トラウマ」を持っていたからなのだが、夫婦喧嘩といってもその原因は売れない画家だった宗一が自暴自棄になり自分の作品を破棄しようとするのを止めたりしたからで、いわゆるDVとは違うのだろうが、真紀の両親のシーンが短くて具体的な夫婦関係がよく分からない。
しかしどうやら本作は物語よりも演出に力を入れているようで、例えば真紀の叔母の澄子と墓参りを終えた直後に、真紀の身体が太陽を遮ることで空の青い背景と真紀の身体が作り出す黒い影のコントラストの美しさが素晴らしく、あるいは真紀がしじみ漁師の大森充とワイナリー社長の千葉耕三に秋国宗一の居所を訊ねに行くのであるが、わざわざ大森を置いて真紀と千葉が建物の2階まで上がって交わすほどの会話もしなかったのは、会話の内容よりも、下にいて奥に向かって歩いていく大森と2階にいて手前に向かって歩いてくる千葉の2人を同時に撮りたかったからであろう。
全体的に画面が暗いが、飯塚真紀を演じた佐々木希の美しさは相変わらずで、髪の毛がもっと上手く風になびけば完璧だった。