原題:『Big Hero 6』
監督:ドン・ホール/クリス・ウィリアムズ
脚本:ドン・ホール/ジョーダン・ロバーツ
出演:スコット・アツィット/ライアン・ポッター/ダニエル・ヘニー
2014年/アメリカ
メインキャラクターと呼応する「ソフト」なストーリーについて
いわゆる「ヒーローもの」のメインキャラクターであるベイマックスがビニール状のもので出来ているところが斬新だと思うが、観終わって改めてストーリーを振り返ってみると様々な疑問が湧いてくる。
例えば、主人公のヒロ・ハマダの兄のタダシ・ハマダの担任であるロバート・キャラハン教授と技術会社「クレイテック」の社長であるアリステア・クレイは大学教授と会社社長という関係上、技術に対する考え方が違うために、利益を重んじる社長に対して教授は不信感を抱いていたはずであるが、キャラハン教授の娘であるアビゲイル・キャラハンは「クレイテック」のテストパイロットとして勤めていた。しかしここからストーリーがあやふやなのであるが、アビゲイルが実験中に事故を起こした際に、現場にキャラハン教授がいたことが残されたビデオから確認できるため、実際にはキャラハン教授も「クレイテック」に情報を提供していたはずであり、そうなると社長の利益追求に対して本当に不信感を抱いていたのかどうか怪しくなってくる。なによりもキャラハン教授がどのようにして大量に「マイクロボット」を製造したのかよく分からない。
ラストのオチも微妙で、ベイマックスの「ロケットパンチ」の握りこぶしの中にヒロ・ハマダに関する医療データのカードがあり、それを元にヒロ・ハマダによってベイマックスは再生されるのであるが、あの状況の中でベイマックスの胸に挿入されていたはずのカードが手の中に入っていることはありえない。
これらのストーリーの詰めの甘さがキャラクターが良いにも関わらず、本作を佳作にしていないように思うのである。
(ベイマックス巡礼)