監督:『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』
監督:星野和成
脚本:後藤法子
撮影:川越一成
出演:伊藤淳史/仲村トオル/桐谷美玲/松坂桃李/西島秀俊/生瀬勝久/栗山千明
2014年/日本
「超能力」を避けるために起こる「不注意」について
キーワードとなるケルベロスとはギリシア神話に登場する「三つの頭をもつ冥界の番犬」ということであるが、本作の「ケルベロスの塔」とは日本初となる国際Aiセンターを指し、国と自治体と東城医大の三位一体を表すと同時に、「遺体の最終検査」「犯罪を暴く最初の検査」「遺族にとっての希望の光」の意味となるようだが、「希望の光」を番犬に例えることには無理があるように思う。一方で、ドイツ製の高性能のMRIは「リヴァイアサン(Leviathan)」と呼ばれており、これが旧約聖書に登場する海の怪物(レヴィアタン)を指し、クライマックスにおいて普通のMRIでは写されることはない、ペアン(剪刀)に癒着して絡まる神経線維の比喩として観るならば悪くはないと思う。
このようなミステリー作品における問題点があるとするならば、事件が解決した際に、犯人がこんな超人的なことが出来るだろうかという荒唐無稽さであり、その点に関するならば敢えて詳細に言及はしないが本作は上手くいっていると思うのであるが、その代わりに別の問題が生じてしまっている。
事件の発端となる、司法解剖では死因が判別できない前代未聞の集団不審死は「ケルトミン」という新薬に関わった医師の船橋直樹の別荘で起こるのであるが、地下室のある高級別荘に非常口や「セコム」が無いということが考えにくいのである。