MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『食事の起源』

2013-10-07 22:29:18 | goo映画レビュー

原題:『Genèse d'un repas』
監督:リュック・ムレ
撮影:リシャール・コパン/ギー=パトリック・サンデリッシャン
出演:リュック・ムレ/クリスティーヌ・エベル
1979年/フランス

「Pêcheur de France」の意味の変容

 ストーリーの発端は、あるカップルが毎朝のように食しているツナやバナナやオムレツ(卵)がどこで生産されているのかと疑問に思ったところからである。「Pêcheur de France(フランスの漁師)」と書かれているツナ缶には南フランス人風の笑顔の漁師の顔が描かれているが、生産地はコートジボワールなどのアフリカで、何故かイメージが操作されているのである。調べてみるとバナナもエクアドル産であり卵もセネガル産で、自国の生産物ではなかったことで、実際にリュック・ムレは現地を取材してこのドキュメンタリー映画を撮ることになる。確かに現地の人々を低賃金で雇うことで発展途上国を搾取していることが明るみにされるのであるが、例えば、インタビューを頼む際に、謝礼としてフランスでは120フランを払っているが、現地では50フランしか払わないなど、低予算で制作しているとはいえ、やがて自分たちも映画制作において現地の人々から‘搾取’していることには変わらないという制度の問題が明るみになり、「Pêcheur de France」は「フランスの罪人」という意味を帯びることになるのである。
 日本製のツナ缶に「GEISHA」と書かれていたことが印象的だったが、果たしてリュック・ムレ監督はこの‘ギャグ’を理解して撮ったのであろうか?


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赤荻千恵子校長の独断と偏見

2013-10-07 00:38:38 | Weblog

『はだしのゲン』はあなたの心に生き続けるか?「見る者への配慮」に覚える違和感の本質と課題(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース

広島の被爆体験を描いた故・中沢啓治の漫画『はだしのゲン』の英訳出版に尽力した米国人

翻訳家、アラン・グリースンによる生徒への講演を2013年10月4日に予定していた東京都

杉並区立井荻中学校が、前日に急遽中止したらしい。講演依頼は約2カ月前にあり、準備を

進めていたが、3日夕方に電話で「中止する」と告げた赤荻千恵子校長は、「都教委や区教委

には相談していない。自分の判断」とし、「『はだしのゲン』は読んだ事がない。生徒も勉強して

いないので興味が持てないと考えた。『はだしのゲン』に特化しないでほしいと伝えたら、

断られた」と取材に答えたようだ。松江市教育委員会による『はだしのゲン』学校図書室閉架

問題に関して最初に報道されたのは毎日新聞の「2013年8月16日」らしいから、まだ騒動が

起こる前にオファーしたのであろうが、赤荻千恵子の答えがおかしいのは、あれだけ話題に

なっていた『はだしのゲン』を読んだことがないということで、中学校の校長ともあろう人が

学校の教育のあり方を問題提起した『はだしのゲン』を読んだことがないと恥ずかしげもなく

言えてしまえる神経が信じられない。今からでも遅くはないのですぐに読むべきである。「生徒

も勉強していないので興味が持てないと考えた」と校長が勝手に判断してしまうことも問題で、

明らかに独断と偏見であり、日本語のセリフが英語でどのように言い換えられているのかなど

興味深い話はいくらでも聞けるはずなのである。


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