「生物と無生物のあいだ」福岡伸一
2007年 第29回 サントリー学芸賞・社会・風俗部門受賞
科学読み物の秀作、と思う。
2008年 第1回 新書大賞受賞作品だけど、古さを感じさせない内容。
ぜひ読んでみて、お薦めです。
「面白かった、読んでよかった」、って思える内容です。
P4
生命とは何か?それは自己複製を行うシステムである。20世紀の生命科学が到達したひとつの答えがこれだった。
P36
ウイルスは、栄養を摂取することがない。呼吸もしない。もちろん二酸化炭素を出すことも老廃物を排出することもない。つまり一切の代謝を行っていない。(中略)
ウイルスは自己複製能力を持つ。(中略)
結論を端的にいえば、私は、ウイルスを生物であるとは定義しない。つまり、生命とは自己複製するシステムである、との定義は不十分だと考えるのである。
P84
博士号とかけて足の裏についた米粒と解く
そのこころはとらないとけったくそ悪いが、とっても喰えない
P163
私たちが仮に断食を行った場合、外部からの「入り」がなくなるものの内部からの「出」は継続される。身体はできるだけその損失を食い止めようとするが「流れ」の掟に背くことはできない。私たちの体タンパク質は徐々に失われていってしまう。したがって飢餓による生命の危険は、エネルギー不足のファクターよりもタンパク質欠乏によるファクターのほうが大きいのである。エネルギーは体脂肪として蓄積でき、ある程度の飢餓に備えうるが、タンパク質はためることができない。
P180
常に傷ついたタンパク質、変性したタンパク質を取り除き、これらが蓄積するのを防御することができる。(中略)生命はさまざまなストレスにさらされ、その都度、構成成分であるタンパク質は傷つけられる。酸化や切断、あるいは構造変化をうけて機能を失う。糖尿病では血液の糖濃度が上昇する結果、タンパク質に糖が結合し、それがタンパク質を傷害する。(アルツハイマー病、狂牛病、ヤコブ病もタンパク質が構造に異常を来し、脳の内部に蓄積する。廃物の蓄積速度が、くみ出す速度を上回った状態になる、と)
【ネット上の紹介】
ページをめくる手がとまらない極上の科学ミステリー。分子生物学がたどりついた地平を平易に明かし、目に映る景色がガラリと変える。読むとかならず誰かにすすめたくなる一冊です。15万部突破!。朝日新聞、読売新聞、産経新聞、週間文春等各詩誌、王様のブランチ(TBSテレビ系)ほかで絶賛、話題沸騰!「福岡伸一さんほど生物のことを熟知し、文章がうまい人は希有である。サイエンスと詩的な感性の幸福な結びつきが、生命の奇跡を照らし出す。」――(茂木健一郎氏)「超微細な次元における生命のふるまいは、恐ろしいほどに、美しいほどに私たちの日々のふるまいに似ている。」――(内田樹氏)「スリルと絶望そして夢と希望と反逆の心にあふれたどきどきする読み物です!大推薦します。」――(よしもとばなな氏)「分子生物学の最前線は福岡さんの異議申し立てにどう反論するか。興味津々だ」――(最相葉月氏)
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