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「世界史を変えた植物」稲垣栄洋

2022年11月15日 09時16分34秒 | 読書(科学)


「世界史を変えた植物」稲垣栄洋

コンパクトな中に情報がぎっしり詰まっている。
とても面白く、お買い得な作品、と思う。
読んでみて!お薦めです。

P41
コメは栄養価にも優れている。炭水化物だけでなく、良質のタンパク質を多く含む。さらにはミネラルやビタミンも豊富で栄養バランスも優れている。(中略)
唯一足りない栄養素は、アミノ酸のリジンである。ところが、そのリジンを豊富に含んでいるのがダイズである。そのため、コメとダイズを組み合わせることで完全栄養食になる。ご飯と味噌汁という日本食の組み合わせは、栄養学的にも理にかなったものなのだ。

P135
世界で最も多く栽培されている作物はトウモロコシである。次いでコムギの生産量が多く、三位はイネである。トウモロコシ、コムギ、イネという主要な穀物は世界三大穀物と呼ばれている。四位がジャガイモ、五位がダイズであり、食糧として重要なこれらの主要な作物に次いで生産されているのがトマトである。

P192
日本人が古くから飲んできた番茶に含まれるカフェインの量は、1杯当たりおよそ10ミリグラムである。一方、高級なお茶であった煎茶は20ミリグラムである。
これに対して、コーヒー1杯には、60ミリグラムものカフェインが含まれる。

P211
世界の古代文明の発祥は、主要な作物と関係している。
メソポタミア文明やエジプト文明には、オオムギやコムギなどの麦類がある。また、インダス文明には麦類とイネがある。長江文明にはイネがあり、そして黄河文明にはダイズがある。
アメリカ大陸に目を向けると、アステカ文明やマヤ文明のあった中米はトウモロコシの起源地であり、インカ文明のあったアンデスはジャガイモの起源地である。

P258
サクラの「さ」は、田の神を意味する言葉である。
サクラの他にも、稲作に関する言葉には「さ」のつくものが多い。田植えをする旧暦の五月は「さつき」と言う。そして、植える苗が「さなえ」である。さらに、「さなえ」を植える人が「さおとめ」である。(中略)
そして、サクラの「くら」は依代という意味である。つまり、サクラは、田の神が下りてくる木という意味である。つまり、稲作が始まる春になると、田の神様が下りてきて、美しいサクラの花を咲かせると考えられていたのである。

【ネット上の紹介】
古代の文明が植物によって生みだされたとしたら、どうだろう。近代社会を生みだした産業革命の原動力となったものが、ある植物であったとしたらどうだろう。世界一の大国であるアメリカの隆盛の陰に、ある植物があったとしたらどうだろう。アメリカの南北戦争やイギリスと清とのアヘン戦争の陰に、ある植物の存在があったとしたらどうだろう。人類の歴史は、植物の歴史でもある。本書では、そんな植物から見た世界の歴史をのぞいてみたいと思う。
イネ―稲作文化が「日本」を作った
コショウ―ヨーロッパが羨望した黒い黄金
トウガラシ―コロンブスの苦悩とアジアの熱狂
ジャガイモ―大国アメリカを作った「悪魔の植物」
トマト―世界の食を変えた赤すぎる果実
ワタ―「ヒツジが生えた植物」と産業革命
チャ―アヘン戦争とカフェインの魔力
コーヒー―近代資本主義を作り上げた植物
サトウキビ―人類を惑わした甘美なる味
ダイズ―戦国時代の軍事食から新大陸へ
タマネギ―巨大ピラミッド建設を支えた薬効
チューリップ―世界初のバブル経済と球根
トウモロコシ―世界を席巻する驚異の農作物
サクラ―ヤマザクラと日本人の精神

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