☆ リハビリパンツで安眠を買える

「ぶらり車イス紀行」　　その６６９
☆　リハビリパンツで安眠を買える

　４日目の朝、おしっこに起こされ、トイレに行こうと思って時計を
見ると、まだ５時３０分である。でも、数えてみると、今夜、トイレ
で起こされるのは、２回目である。と言うことは、薬が効いてきて、
トイレの回数が減ってきた証拠と喜んだ。

　しかし、喜んだのも束の間、ベッドから車イスに乗り換えようと腰
のところに手をやると、お尻のあたりが濡れている。と言うことは、
おしっこを漏らしたとしか考えられない。でも、おしっこならトイレ
に行くはずだし、それに、いくら考えても布団の中でおしっこをした
覚えがない。でも、お尻が濡れているのは事実である。しかし、仕方
ないので、このまま夜が明けるのを待つことにした。その時、枕元に
汗拭き用のボディシートがあるのを思い出し、それで、下半身を念入
りに拭き、下着を取り換え、着替えを済まし、夜が明けるのを待った。

　夜が明けると、早速、ベッドの養生に掛かった。まず、濡れたベッ
ドのシーツを剥がし、脱臭・防菌スプレーを吹きかけてからベッドを
乾かし、病院のベッドでおしっこなどの濡れ防止ために引いているよ
うな防水シートを引いて、その上に、ベッドシーツをかぶせて、ベッ
ドのセットが完了した。これで、今宵からの寝床が確保できた。

　ところが、おしっこを漏らしたとなると、前回は、遠い昔、幼い頃
なので覚えていない。だから、参考にならない。でも、おしっこをし
た記憶がないが、濡れているのは事実であるので、事は重大である。
と言うことは、次、いつ起こるか分からないので防止できない。だか
ら、意識のある昼間は良いとした、寝ている間は保険としてリハビリ
パンツを穿くことにした。

　リハビリパンツと言えば聞こえが良いが、早く言えば、紙パンツ（
紙オムツ）である。これを以前に何度も勧められたが、拒否してきた
紙パンツである。でも、今回は、拒否する理由がなく穿くことにした。
このリハビリパンツは、歳を取れば、誰もがお世話になるシロモノで
ある。ところが、誰も公にしない。なぜなら、誰もがまだそんな年齢
になっていると思いたくないし、思われたくないからである。だから、
みんな恥ずかしいから内緒にしている。

　しかし、リハビリパンツを使うと高くつくと思いがちになる。これ
が、１枚１１０円弱である。だけど、使えば、交換することになるが、
使わなければ、衛生面（本人の基準、また、３～４日）を考えて交換
すればよい。だから、使わなければ、１日３５円くらいで安眠を買え
る。だから、ベッドを濡らすことを思えば、安いものである。
　しかし、この時、テレビから過活動膀胱の言葉が聞こえてきた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　たかし　　でした。